戻る

ハチ的韓国旅行2010
ソウル・釜山 同人誌即売会探訪
時々自由行動の旅
SEED9見学もあるよ


5月21日


 1020時、1030時発の大韓航空機に乗り込んだハチは、冷や汗――いや、滝汗をかいていた。

 コトの始まりは、2時間前にさかのぼる。国際線は国内線よりも、余裕を持たせて搭乗手続きその他をしないといけない。理想は、出発前の2時間前。せめて90分前、遅くても1時間前には空港に着いてないといけない。そんなワケで、90分前を目標に十分間に合うよう、予め前々日に準備を済ませてしまい、時間に余裕が出来たので、ネットラジオの投稿もして、この時点では、余裕綽々のハチ。

 が、出発5分後に、バッグに挿してあった筈の折りたたみ傘が無くなってるのに気がついた。現地では22・23日雨が降る予報なので、コレが無いとちょっとマズい。落としたか?それとも忘れたか?来た道を引き返しつつ、更に家を探したが無い。結局、母上から借り受けることになった。

 そうしてる内に、大幅なタイムロス。コレ読んでる人は「傘ぐらいコンビニで調達すれば良いのに」って思うんだろうが、ハチは、このテの、雨が降ったからって安直に安物のビニール傘を買うが如き風潮ってのが、気に入らない人であって、それぐらいなら濡れて歩くことを選ぶし、現に選んだ事もある。

 結局、1時間前どころか、福岡空港国際線ターミナルに到着したのは、30分前。本来ならば、アウトでも文句言えない時間。結果的に間に合ったが、くれぐれも、良い子はマネしないように。

 既に搭乗口で待っていた、この便の同行者であるKの罵詈雑言を浴びながら、機内へ。――話は長引いちゃうけど、ちょっと解説しとくか。今回の旅のメンバーは…って言うか、日韓アニメ研究会の取材旅行にハチが同行する形なんだが。で、参加メンバーは、同研究会の名目上のリーダーであるKと、事実上の指導者であるヨースルの人、そしてハチの3名。福岡空港からは、ハチとKが福岡空港から大韓航空機で、ヨースルさんが成田からアシアナ機で、それぞれ、ソウルは仁川(インチョン)国際空港を目指す。

 さて、座席に座ると…おぉ、座席に個人用ディスプレイが付いてるじゃないか。最初の韓国遠征に乗ったアシアナ機とは違って、格段に良いよ。リモコンも付いていて、これでゲームも楽しめる。ハチは、延々とフリーセルやってたな。

 それと、国際線のお楽しみ、機内食は、チーズサンド&プリン程度の容積のカップに入った水。後はこれに、お好みの飲み物が付く。まぁ、1時間程度の旅では、機内食は、これぐらいシンプルな方が良いんじゃないかい?下手に凝ったもの出されても、食べるだけで空の旅が終わっちゃうし。

 長々と話したけど、定刻を若干過ぎた1200時過ぎ、ようやくソウルは仁川(インチョン)国際空港に到着。ここで、ヨースルさんと合流。まずは、ヨースルさんらが、ソウル在住の知人縁者と会う事になってるんだが、ここでヨースルさんが、ハチに驚くべき提案をぶつけて来た。「お前、ちょっと別行動して時間潰してろ」

 本当なら、KTXでハチだけ一足早く釜山入りする予定だったんだが、運悪く、近い時間の便が空いてない。なワケで、ヨースルさんが用件を済ませてくる間、南大門(ナンデムン)市場周辺で2時間程度、ブラブラして来る羽目になった。

 そうと決まったら、まずはみんなで腹ごしらえ。ソウル駅内の食堂で、(名前は知らないが)肉と野菜とキムチのビビンバを食べた。石焼ではなかったが、グレイトに美味。

 食った後で、解散。地下鉄でも良かったが、歩いてでも行けるそうなので、ソウルの街の空気を実感したく、ちょっと歩くことにした。まずは地下道を歩いたんだが、ふと通りがかった地下鉄の改札で、何と、オヤジが改札をジャンプ!そしてそのまま、何事も無かったように去って行ったオヤジ。

 この大胆不敵な行為に、唖然とするしかなかったハチ。後でヨースルさんに聞くと、韓国の地下鉄ではこのテのサツマノカミは珍しくなく、改札を飛び越えたり潜ったりは当たり前なんだと。その代わり、罰則は厳しく、日本では不正乗車の罰金は大抵、運賃の2倍なんだけど、韓国では20倍(30倍だったっけ?)らしい。

奥の温泉マークは、旅館(っていうか安宿?)を意味するんだとか

 手持ちのガイドブックを頼りにテクテクと歩いていくと、地図看板を発見。

たまたま見かけた道路看板 拡大図

 いやはや、日本語表記の地図を、いとも簡単に見かけようとは。この街の日本人観光客の多さを、見事なまでに物語っているね。

 そんなこんなで、南大門市場に到着。カオスにひしめく露店に屋台、あふれる人々、その合間を無理に通り抜ける車(!)すべてがカオスに展開していく。いやいや、これでこそ、ステレオタイプの韓国って感じで良いねぇ。しかしまぁ、露店や店のオヤジにオババは、日本人を見かけるや「ノリ(海苔)アルヨ」「ニセモノヤスイヨ」だの、全く同じことしか言わないのな(笑)

 ふと空を見上げると、無数の国旗が翻っていた。

韓国で日の丸を見かけるとは、正直、意外だった

 W杯が近いので、韓国は、既に国を挙げてのW杯モードに入ってて、W杯参加国の国旗かな?と思ったら、中国とかもあるので、どうやら万国旗のつもりらしい。

 店をひやかして回ってると、非っっ常に気になる店を発見。

画面中央のTシャツは…

 …このTシャツって、ゲバラだよな?仮にも韓国は(一応)準戦時国家で、共産主義的は非合法だったんじゃなかったっけ?いいのか!?こんなの売って。


 そんなこんなで、自由行動の時間終了。ソウル駅でヨースルさんと合流し、KTXに乗って、釜山に移動することに。んで、一番良い席を取った――ってか、それしかなかったんだが。うーん…これは、ちょっと説明が要るな。今日は旧暦の花祭(お釈迦様の誕生日)で、韓国の祝日になってる。つまり3連休で、先にKTXの便が取れなかったって言ってたのも、それが影響してる。この特室(新幹線のグリーンに相応)席も、それしか空いてなかったんで、仕方なく取ったようなモノなんだがな。

 さてさて、KTXの特室席へ。座席は、ひかりレールスターの指定席を、もうちょっとリッチにして、飛行機みたいなオーディオ設備を付けたような感じ。ちなみに、ここの席の客は、ミネラルウォーター飲み放題で、無料自販機からのセルフサービスになってる。

 1800時、ソウルを出発。移動中、ヨースルさんとKは爆酔していたが、ハチはこのような時の為に買ってた、文庫版伊集院光「のはなし」イヌの巻キジの巻を読んでいた。これが面白いの何のって。移動中、ずっと起きていられた。

 2043時、釜山に到着。まずは、釜山駅前の夜景を撮ってみる。

釜山駅前の広場 同じく駅前広場より。この灯篭(?)は花祭関連のモノらしい

 その後、東横イン釜山駅前にチェックイン。予約を済ませているので、支払いを。…えっ、韓国ではカードのサインでは、こんなモノを使うの!?

もちろん、普通にボールペンでサインする事もある

 ほぉ…これは面白い。韓国ではタッチペンを使うのか。じゃあ、サインを――あ、ミスった。すいません、もう一回…「これで結構です」ゑ!?で、でもこれは…「韓国では、これでも構いませんので」

その時のレシート。一番下が、書いたサイン(?)

 あのーこれって、サインですらないんだけど…合点がいかないハチに、「本当にコレでも構わないぞ」とは、ヨースルさん。ヨースルさんが言うには、こうやって決済をスムーズに行うのが韓国流のやり方だとか。ふーん…でも、ハチにとっては、名前ですらない棒線2本で、決済が通ってしまうのは、かなり怖いんだが。

 チェックインを終え、荷物を降ろした後は、早速、腹ごしらえ。ヨースルさんが、釜山駅周辺の屋台を物色し、遅い夕食に。

キムパプ(海苔巻き)をメインに色々と
  
今回の旅行でのMVPはこれ!
旅行中色々食べたけど、これに勝るのは無かった

 このメニューの中で一番大当たりだったのは、写真右のハマグリ。刻んだハマグリとキムチその他の具を混ぜ込んで、貝を容器代わりにした物件。本来は、生で食べるらしいが、日本人には生食はキツいだろうと、店のオバちゃんが機転を利かせてくれて、わざわざ焼いてくれた。

 これが美味い!ガチで感激するほど美味かった!!ハマグリの出汁と、程々の辛さのキムチ汁が、これまた絶妙のバランスで混ざって、素晴らしい美味さになってる。もし嫌韓厨に食わせたら、10人中1人ぐらいは宗旨替えしちゃうんじゃなかろうか?ってぐらい、すさまじい破壊力があった。

 この旅行中、色々、美味いモノ食ってきたけど、結局、これが一番だったな。これは是非、正規にメニュー化すべきだと思うよ?

 さて、これだけでは少々物足りないので、コンビニでちょっと買い足す事に。

東横イン隣のファミマ。韓国のコンビニはファミマが強いようで、
一番多く見かけた

 韓国コンビニの基本的なレイアウトは、日本とさほど変わりないんだけど、何か違和感がある。

 何件かハシゴして回って、ようやく分かった。おにぎりの棚が無いんだわ。厳密に言うと、無きに等しいってとこか。いや、おにぎりが無いワケじゃない。しかし、日本のように、かなり広大なスペースを割いて置いてない。せいぜい、弁当と殆ど同じ扱いってところ。美希が見たら、泣いちゃいそうだ。

 まぁ、おにぎり自体は、カルビやキムチが入ってたり、コチュジャンで味付けしてたりしてて、美希も気に入りそうな程、結構美味いがな。


5月22日


 0700時、食堂にやってきたハチ。はて、ヨースルさんが昨日言ってた集合時間の筈なんだが…まぁいい。先に食事にしよう。さて、朝食はビュッフェ形式で、洋食か韓国風かを選べる。韓国風のご飯食も捨てがたいが、韓国風の、器を持ち上げないでご飯を食べる風習が、どうしても馴染めないので、洋食をチョイス。

 旅の疲れが出てたのか、ハチの食事が終わった頃にようやく、ヨースルさんとKが、食堂にやって来た。

 ここで、今日の日程を再確認。ハチは、以後、ヨースルさんらと別行動をとり、釜山観光に出る。単独行動をとるに当たって、ヨースルさんからレクチャーを受ける。釜山という街は、ソウルよりも路地裏が多く、不用意に入り込みやすいらしい。言うまでも無く、そんな場所に日本人が単独で下手に入り込むと危険なので、十分に気をつけること。だそうだ。

一夜明けた釜山駅前広場 同じく釜山駅。やたらと立派な場所でやんの

 早速、釜山観光に出発。持ち時間は、約4時間程度。これで回れる所を、と検討した結果、竜頭山(ヨンドゥサン)公園の釜山タワーに上って、チャガルチ市場行って、PIFF(ピップ)広場国際市場という、南浦洞(ナンポドン)周辺の名所を巡る、釜山観光の定番中の定番コースをチョイス。

 その南浦洞へは、地下鉄に乗って移動。切符よりは便利かと、ハナロカードというICカードを買おうと思ったが、案内のおじさんの勧めにより、一日乗車券を買う。

釜山地下鉄一日乗車券。外国人・韓国人問わず、
幅広い人々が利用してた
一緒に貰った日本語パンフレット。変にヨレヨレなのは、
当日、雨が降ってたんで

 このおじさん、日本語が上手で、「アナタ、日本の何処から来ましたか?」と言うので、九州の福岡から来ましたって答えると、「私は鹿児島に行ったことがあるんですよ。連絡船に乗って」って言ってた。あぁ、これは多分、全地方のパターンがあるんだ…と思ったりする、うがったモノの見方しかできない(笑)ハチ。

 おじさんに見送られて、釜山観光の始まり始まり〜♪地下鉄に揺られ、南浦洞(ナンポドン)駅で降りる。余談だが、韓国の電車は日本とは逆の方向走ってる(ソウル地下鉄1号線など、一部例外を除く)ので、方面をよく確認した上で乗らないと、逆方向に乗っちゃってるって事もあるので、注意。恥ずかしいのでヨースルさんらには言って無いが、ハチも一回やらかした。

 チェックは、市販のガイド本に書いてある路線図や、上の写真にあるパンフレットを参考にすれば、十分にできるだろう。ハチ個人的には、パンフレットには漢字表記しか書いてないので、ガイド本のアルファベット表記で認識したほうが楽と思う。

 駅を出て、竜頭山(ヨンドゥサン)公園を目指す。公園入り口は住宅地のど真ん中にあるので、観光地と思って行くと、ちょっと見分けが付きにくいかも。エレベーターに乗って上がると、さっきのゴチャゴチャした市街地とはうって変わった別世界が広がっていた。

竜頭山公園入って直後。シンボルの釜山タワーがお出迎え

 階段を更に上っていくと竜頭山公園へ。タワーへ登る前に、しばし公園を見て回る。

公園入り口の石碑
公園中央の広間にあった鐘 拡大図。かなり巨大なんだが、分かり難くて残念
タワーのある建物の少し前にあった龍の像 正面から。指が4本なのに注目
釜山タワーのある建物の展望台から。
タワーに登らずとも、なかなかの景色。左端は李舜臣像
その李舜臣像を正面から。ネルソンや東郷平八郎の像も
ある事だし、別にいいんじゃね?としか言いようが無い
何かの博物館になってる塔。さっきの鐘もだったけど、
日本とも中国とも微妙に異なる造形が印象的

 では、いよいよ釜山タワーの絶景を楽しむことにしよう。まずは展望台の入場券(4000ウォン)を買って、タワーに入場。売り場も展望台の案内も、日本語が通じるので無問題って事で。

 耳がキィーンとなるぐらいにエレベーターで上がっていくと、展望台に。

コインを使う望遠鏡なんて、久しぶりに見た

 もしかしたら、セフィーロに行っちゃいそうだな…とか、おバカなことを考えつつ、景色を楽しむ。まずはお約束で、真下を覗き込んでみた。

落ちたら、即時昇天で(別のイミで)戻って来れそうだ

 …止めておこう。クラクラしてきた。では、釜山港周辺を見てみよう。

釜山港へ(以下略) 大型フェリーが見えるので、国際旅客ターミナル付近か
釜山南港付近。手前建物がチャガルチ市場で、
奥の橋が南港大橋か

 流石は大規模な港。魚河岸の魚みたいに、船がズラ〜っと並んでる光景が珍しくて、ついつい撮った。

何艘もの船が一列に 船の列が何列も
船の群れがいっぱい

 今度は、市街地を見る。

西側の国際市場方面か 画面中央は、中央公園の忠魂塔

 展望台をグルリと一周見て回って、十分に楽しんだ。展望台で見かけた観光客には、日本人だけでなく、欧米人も結構居たわな。

 竜頭山公園を後にし、続いては、チャガルチ市場に向かった。ここは、ゴチャゴチャした市場ゾーンに、不自然な近代的な建物がズドン!とおっ建ったって感じなので、道中、それこそ、先にレクチャーして注意を受けたように、かなりゴチャゴチャした路地裏が多く、どうやって近づいていいのか分からない。PIFF(ピップ)広場方面からだと、魚介類の看板が見えるので分かるんだが、光復洞(クァンボクドン)や竜頭山公園方面から行く場合は、ちょっと分かり難いので注意が必要かも。

 チャガルチ市場に到着。水産物専門市場…のイメージとは大幅にかけ離れた近代的な建物故に、韓国最大の水産物市場だけでなく、釜山屈指の観光地にもなっているようで、何台もの大型観光バスが停まっていた。建物に入った第一印象は――世界一魚臭い水族館(笑)

 いやいや、当にそういう感じなんよ。生け簀の魚介類は売り物ってよりは、どちらかといえば水族館感覚なんだが、魚臭さが台無しというか良い感じ出してるというか。んで、この魚臭さというのが、日本の魚市場よりも強烈!が、どちらかといえば日本人に慣れた匂いであるので、さほど違和感は無いかも。

 ここの人々も、日本人見かけると「ココハホカヨリヤスイヨ」と、録音でもしたように画一的なモノの言い方をするのが面白い。

 チャガルチ市場を後にした後は、PIFF(ピップ)広場へ。ここは、釜山国際映画祭の舞台ともなっている韓国映画のメッカで、無数の映画館が建っている。通りの中心に、著名な映画監督の手形のプレートが埋め込まれていて、ビートたけしこと北野武監督の手形もあって、おぉっ!と思った。が、コレの写真を撮ったら、何となく負けな気がしたし、雨が強くなってきて、カメラを出しにくくなったんで、敢えて写真は撮ってこなかったけどね。

 続いて、PIFF広場に隣接した国際市場へ足を運ぶ。昨日の南大門(ナンデムン)市場程では無いにしても、混沌としたカオスな店の並びっぷりがステキである。(一応、ブロックごとにジャンルが分かれてるらしいが)とはいえ、ハチには買うべきものも無いので見て回るだけだったが、これはこれで、かなり楽しかった。

 で、やたらと日本語の書いてある眼鏡屋が目立つんだわ。「日本語OK」や「すぐ出来ます」の定番に始まり、「ホテルまで届けます」等々、韓国メガネ業界の、熱きサービス精神を見るようだった。ってか、作る日本人が多いんだろうねぇ。値段を見ると、悪く無い値段なんで、スペアのメガネ作ろうかなと思ったが、やっぱり止めた。

 まぁ…なんというか、ここの人々も商売熱心(?)で、日本人を見ると、判を押したように「カバンヤスイヨ」「ノリアリマスヨ」と、同じ事しか(以下略)あと、ここも、不用意にフラフラと歩いてると、路地裏に紛れ込みやすいので注意。

 再び、PIFF広場に舞い戻る。ここは、屋台が充実していて、お昼はちょっとずつ、食べ歩いていこうかなーっと思う。最初に、屋台を見て回って、面白かったモノを紹介しておこう。

ラーメン? 拡大図

 日本語で「ラーメン」って書かれた提灯が飾られてる屋台だけど、屋台には鉄板。よく見ると、お好み焼きらしきモノを焼いていた。勘違いもここまで極端だと、清々しさを感じる。

 何件か回ったところで、トッポキ(細長い餅を甘辛く炒めたもの)とマンドゥ(餃子風肉まん)が美味そうだった。どれ、1個ずつでも食べてみようかと、指でジェスチャーして注文。そしたら、その屋台のオバちゃんったら、1個どころか、器――立ち食いそば程度――にドッカと盛ったじゃないか。いや、ハチは一個だけ欲しくて、別にそんなに要らないんだけど…ってか、元からこんな分量なシステムっぽい。

 仕方ないので、箸を手に食す事に。今気づいたんだが、ここの屋台って、割り箸率が極端に低いのな。さてさて、食べ始めたのはいいんだけど、このトッポキというのが、予想外の強敵でねぇ。甘辛いって聞いていたんで(文字通り)甘く見てたんだけど、甘かった。いや、辛かった

 いやいや、結構なツラい辛さでねぇ。これが我慢できないのならば、「こんなの食べられない!」って言えるんだけど、我慢しようと思えば我慢できる、絶妙の辛さ設定なのが、これまた憎たらしい。こうなったら、完食するしか無い。が、元が餅だけあって、かなりへヴィーで、なかなか減らない。

 黙々と餅を口に放り込むハチに、突然……ババアアアアアァァァ――――――――――!!!!

 屋台のオバちゃん改めババァが、いきなり、ハチの器に、トッポキやマンドゥの追加を放り込んだじゃないか!?多分、「折角、日本から来てくれたんだし、ちょっとサービスでもしてやろうかね」ってつもりなんだろうけど、今のハチには、ありがた迷惑以外の何者でもない。いや、マジで。

 辛い…減らない…トッポキと格闘し始めてから、どれだけの時間がかかっただろうか?釜山は長袖でもちょっと肌寒いぐらいだったが、ハチの顔からは、滴り落ちてくる汗が止まらない。でも、一度箸を止めたら、二度と入らないような気がするので、ひたすら機械的に箸を動かすハチ。通りすがりのお客に、日本語出来る人が居て、「日本人デスカ?何カ手伝ウコトリマスカ?」と言ってくれたが、今はトッポキとの格闘で必死なので、折角の申し出ではあるが、丁重に辞退しておいた。

 ぅりゃああっっっ!ごっそさん!――何とか完食して、屋台を後にする。これ以上、何かを食べる気が起きなくなったので、近くのスタバに避難する事に。韓国スタバも、基本的な所は日本と変わりない。(只、抹茶フラペチーノが無かったり、エスプレッソが見当たらない(?)等、メニューに一部違いがあるけど)言葉分からなくても、メニューの写真と英文を参照すれば、簡単に注文できるだろう。もっとも、ハチが行ったPIFF広場近くのスタバには、日本語メニューがあったけど。

 ハチがトイレ休憩ついでに行ったスタバは、全4階建ての、かなり凝った造りの店舗だった。やっぱり物価比率からいって割高なのか、見るからにアッパークラスもしくはオシャレさんな人々が多かったように見えた。日本みたいに、オバちゃんやリーマンまで誰でも…って感じではないようだ。何故か支払いにカードが使える所からも、上流志向(?)が覗える。

人が結構居たので、店内写真は取らなかったので代わりに
レシートを。ラテのトールが4100ウォン(300円強)

 ここで時間切れ。ヨースルさんに電話をかけると、もうちょっと用事があるので、先にホテルに帰って待っててくれとの事。いや、ホテルの掃除は終わって無い筈なので、もうちょっと寄ってみるか。そうだねぇ…ガイドに書いてあった、韓国伝統茶の茶房なんて良いねぇ♪

 なワケで、行きましたるは素花房(ソファバン)。この店は、小さいビルに入ってて、それこそ場末のバーかスナックが入ってそうなビル。喫茶店に行くって感覚で行くと、かなり分かりづらいだろうから、行くつもりなら注意。(2013年11月追記・既に閉店してる模様。以下の写真等は、参考までに残しておく)

 入ってみると、さっきまでの釜山のゴチャゴチャした空気とはガラリと変わって、落ち着いた雰囲気の、非常に良い店だった。まさに釜山の雑踏に輝くオアシスだわな。先客が居たので、店内の写真は止めておいた。関連リンクに店内が載ってるんで、それを参考にしてもらえれば、と思う。まずは、野生茶で作ったという抹茶を注文してみた。

最初に出てきた、お茶菓子
上品ってよりは素っ気無い甘さだけど、悪くない
続いて出てきた抹茶
スタイルは日本と殆ど同じだけど…

 野生茶というから、どれだけ濃厚な味の茶なのかな?と思ったが、実際は、全く逆。何て言うか…全然、お茶お茶してないんだわ。煎茶ぐらいの濃度が抹茶になったというか、お菓子で使われるぐらいの抹茶フレーバーというか…全く予想外なソフトな味に、内心驚きつつ、茶碗を啜ったハチ。先に出たお茶菓子の、素っ気無いほどに抑えられた甘さも、これなら合うわな。お茶というのは、人の手が行き届いて、あんな風な、濃い味になっていったんだろう。(2012年2月追記)野生茶ってのは、後で調べると韓国在来種の事らしい

 もう一杯ぐらい飲んでみようか…ここで威力を発揮したのが、「旅の指差し会話帳(5)韓国」という本。これは、日常会話に使える用語を厳選してあって、話したい言葉に指をさしながら話せば(話さなくても指差すだけでも可)、何とか会話が成立してしまうというスグレモノ。流石にヨースルさんが勧めてくれただけあって、かなり使える。

 さて、頼んだのが、精神安定・リラックス作用があるという、ナツメ茶(テチュチャ)。

こんな器に出てきた 中身はこんな感じ。ココアのように見えなくも無いが、味は全然違う

 えーっと…どうやって飲むんだろう?韓国の作法からいうと、器を持つのは良くないと言うし、って言うか、持てないほど熱い。丁度、スプーンもある。これは啜って飲むのかな?と啜って飲んでたら、「これは持って飲むものです」と注意される。ふーん…そういうものか。確かに、器には持ち易いような凹みがあるわな。でも、器ごと煎じたのか、かなり熱過ぎて持てないので、最初は、ハンカチで持って飲む。

 うーん…不思議な味としか言いようが無い。ドロドロとしてて甘みがあるんだけど、何とも説明しがたい不思議な味だな。何回も飲みたいとは思わないけど、たまに飲むと美味いかも?と思える味。先に書いたように、ドロドロしてて甘いんだけど、後に残らないので、見た目よりは、案外飲みやすい。余談だけど、飲んだ後に、口直し(?)で出てきた麦茶が好印象♪

 ホテルに帰り、ヨースルさんらが戻るまでの間、ちょっと一息。

ホテルで出されたティーバッグ。釜山でもソウルでも同じ銘柄

 お茶を飲みつつ、テレビを見る。前の韓国旅行の時にも話したけど、韓国のコーヒーの不味さは、悲惨を通り越して芸術の領域に達している。飲めた飲み物といえば、ホテルで置いてあった、このティーバッグのお茶。粟を煎ったか何かして玄米茶風になっていて、結構、美味しかった。これなら、雪歩にも勧められる。

 NHK-BSが映るので、相撲中継を見てた。テレビと言っても言葉が分からないので、大抵、野球かサッカーのチャンネルばっかり見てたな。

 さて、戻ってきたヨースルさんらと合流後、夕食にプデチゲと、名前は忘れたが、何かの鉄板焼きを食らった。いやいや、これも美味だった。そんなこんなで、その日は終了。


5月23日


 0700時過ぎ、ホテルの食堂。今日は、ハチの方が来るのが遅かった。昨日同様、パンを取って来て、バターを塗って、もしゃもしゃと食らうハチ。ふと周囲を見回すと、欧米人も結構居て、意外やみんな、米飯を食べている。器を持ち上げないでスプーンで食べる、韓国風のスタイルってのは、欧米人には食べ易いのかな?

 さて、今日は釜山コミックワールドに一般参加する。このコミックワールドに関しては、ヨースルさんにとって、色々因縁があるんだけど、長くなるんで、ここではカット。詳しくは、夏に出るであろう日韓アニメ研究会の新刊を参照って事で。

 今日も一日乗車券を買おうとしたが、持ってるICカードTマネー(本来はソウル専用だけど、釜山でも使用可能)の残高が十分に残ってるので、それを使うことに。地下鉄に揺られて、会場であるBEXCO(べクスコ)へ。

 チケット(4000ウォン)を買って、会場のホール内へ。カタログは、会場の一角に山積みされてて「ご自由にお取り下さい」状態だった。

 会場内の撮影自体は自由だというので、個人が特定できない程度の写真を、何枚か撮ってみた。

入り口入って左端から
小規模ながらも活気が溢れていた
同じく右端から。日本と比べて、サークルのオブジェの
大きさが分かるだろうか?
やたらと広い奥半分は、コスプレ&イベントスペースに
日本では考えられないが、休憩用の椅子が所々にあった
イベントスペース拡大図。アニメOPを延々と流してたり、
アニソンカラオケ大会をやってたりしてた

 少しは、イメージが分かってもらえたかな?1000SP級の会場――福岡で言うとマンリンメッセ、大阪で言うとインテックスの1個館分――の広さの会場で、強引に100SP(韓国コミックワールドの1SPは、日本の2SPに匹敵するので、厳密には200SP)のイベントをやるような感じ。人口密度の低さは、Cシティヤフードームを遥かに超越する。

 折角来たので、何か買ってみよう。と思ったが、過半数がグッズサークルで、買う気が起きない。なのにも関わらず、現地の人々は、グッズをどんどん買っていくじゃないか。うーん…理解できない。

 その中でも、いくつか本を見つけたので、買ってみる事に。ここでも、「旅の指差し会話帳(5)韓国」が、恐るべき威力を発揮。まず、『〜ウル・カジゴ・シプタ(〜が欲しい)』の文字を指差して、続いて、欲しい本を指差す。これで先方も、ちゃんと理解してくれた。中には「アリガトウゴザイマス」とか「日本ノ方デスカ?」とか言ってくれるサークルさんもいたりした。

 手に入れた本だけど、全般的にレベルがかなり高い。これだと、日本は近い将来、追い越されるんじゃないか!?規制とか言ってる場合じゃないぞ?こうなりゃ、我が国の同人文化を守る為、ゴルゴを…と言いたいところだが、後日、戦利品をじっくりと読むと、状況はそんなに単純ではないようだ。

 ってのも、絵のレベルが高い本に、マンガが極端に少ないんだわ。そういうのは、ほぼ間違いなく、フルカラーのイラスト本。これは、表現の手段としてカラーイラストを選んだのか、それとも、マンガを描くのが面倒くさいだけなのか、コレを見る限りでは分からない。仮に後者だとしたら、まだまだ我が国の独占は続くんだろうけど、もっと大規模なソウルのコミックワールドを見てみないことには、何とも言えないね。

妙にボーカロイド系が多かった。彼の国の同人作家らが
みっくみくにされる様子が想像される(↑クリックで拡大図)

 一旦、会場のホールを出て、一息入れる。建物内とはいえ、会場の外でも、平気でコスプレ&撮影会が行われていた。韓国の同人即売会事情は、今の時点では、日本と比べて、かなり大らかだが、近い将来、そう言ってられなくなるだろうな。さて、コンビニで、気合入れのドリンクを買って飲む。

ちなみに左の水は三度水(サンダソー)
韓国滞在の間、やたらこればっかり飲んでたような気が

 日本でも売ってる活蔘(カツジン)28。何でコンビニ売り?とも思ったが、日本で売ってるのと薬効成分の濃度が違い、清涼飲料水扱いなので、コンビニ売りが出来るんだそうだ。日本のとビンの大きさも違うし。

 イベント終了後、KTXでソウルに移動。夕食は車内で、コンビニ弁当。ソウルに到着後、東大門(トンデムン)方面に行き、東横イン ソウル東大門(トンデムン)にチェックイン。禁煙室を予約したんだけど、ここが面白くてねぇ。禁煙室は何と、地下にあるんだわ。あまりの物珍しさに、ヨースルさんやKが、見物に来た位。地下なワケで、当然、窓は無く、ちょっと閉塞感はある。ハチとしては、この程度が落ち着くんだが。でも、閉所恐怖症の人は気が狂いかねないな。

 その後、ソウル駅に戻り、ロッテマートで土産の買出し。と言っても、海苔の個人輸入状態だったがな。

 買出し後、ちょっと物足りなかったので、コンビニへ買出しに行って来た。道中、こんな自販機を見つけてきた。

カップ入りコーヒーの自販機 拡大図。妙にレトロチックなのがステキ

 韓国では、こんな感じのレトロな自販機が未だ健在で、あちこちで見かけた。コレを撮ったときは、小銭が無かったので買わなかった。どうせ美味しくないだろうけど。


5月24日


 韓国旅行も、あっという間に最終日。そんなワケで、最後の朝食。ここソウル東大門の朝食は、昨日おとといの釜山第一と比べて、若干レベルが落ちたかな?まぁ、食えればいいけど。

 さてさて、今日は、ある所に行く事になってる。その前に、都心空港ターミナルに寄る。ここは、ソウル市内に居ながら、チェックインと出国審査が出来て、飛行機に預ける大荷物まで、ここまで預けてしまえる。一旦、ここで手続きを済ませてしまえば、空港では専門通路を使ってスムーズに出国ができる、という便利な場所。

 なワケで、出国手続きも荷物も預けて、手軽になった我々。便利なのは便利なんだけど、ソウル中心部からちょっと遠い場所にあるんで、今一つ便利さを実感できないんだわな。せめて、ソウル駅の隣にでも、もう一軒建ってくれたら、便利さを実感できるんだろうけどねぇ…

 さて、最終日に行った場所というのは――

前回の場所から移転した 「〜entertainment」から「〜GAMES」に改名したらしい

 我らが生首の本拠地、SEED9社(※)へ、再び行って来た。今度は、新社屋になってから初めての訪問。旧社屋は、ビルの一階だけだったが、新社屋はビル一軒丸々使ってるとか。どうやら、また儲かってるらしい。

 今度の夏コミ新刊は、この時の見学のレポート本を出す予定。なワケで、詳しいことは、今度の夏をお楽しみって事で。

 (※)日本語および英語版サイトは、相変わらず旧旧社屋(笑)のまんまだが、本家・韓国語版のサイトは、ちゃんと新社屋の住所が記載されていた。

 SEED9社を後にして、先程の都心空港ターミナルから出てるリムジンバスに乗って、仁川(インチョン)国際空港へ。アシアナ便で成田から関東に帰るヨースルさんとは、ここでお別れ。ちなみに、同じ便に乗るKとは、もうちょっと同行。

これから乗る便。昔はここは撮影禁止だった、と
ヨースルさんが言っていた

 1830時、離陸。機内食は夕飯時だけあって、ちょっとだけリッチで、ちらし寿司とスナック菓子と、カップ入りの水+好みの飲み物だった。

 ふと視界に隣の席が入ったんだけど…えっ、産経!?

 隣の隣の人が、産経を読んでいた。九州では産経は配達だけで、店頭販売やってないんで、現物を近くで見たのは初めてだ。ってか、大韓航空で産経ってのは不思議な感じするなー(苦笑)先の南大門市場の万国旗に混じってた日の丸と同じぐらい。まぁ、お客の幅広いニーズに合わせるその姿勢は、評価していいと思うな。

個人的に感心した物件。預け荷物用半券を、
パスポートに挟める大きさの別紙に纏めて貼ってくれた
コレなら失くし難いわな

 2000時前に着陸し、何やかんやで、2030時に空港を出る。ここで、家に電話をかける。――母上、今、帰国しました。夕食は白ご飯を用意しておいて下さい。自分でレトルトの…「カレー食べたいって言うと思って、カレー作っておいた」…さすが母上。息子の行動パターンを、完全に読み切ってらっしゃる。

 帰宅後、数日振りの『日本食』を堪能し、疲れを癒したハチだったとさ。

 ――さてさて、長いダラダラした文章を、最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。オマケに、韓国で見つけた面白い物件の写真を集めてみましたので、お楽しみ下さいませ。こちらからどうぞ。


戻る