ガンパレ妄想劇場2.25



速水と舞の両名。
この5121小隊半公認カップルの昼休みは、2人で味のれんへ向かうのが日課となっている。
小隊メンバーのほぼ全員が弁当持参なので、ここは、他者に干渉されずに昼休みを過ごせる穴場である。
あの忌々しき奥様戦隊も、今の時間なら腹の虫には勝てず、偵察よりも昼食を優先させるハズ。
貴重な2人だけの時間を確保する為ならば、2人にとって、若干の昼食代は安い投資である。

「味のれんに行くぞ、来い」
「うん、いいよ」
舞は、今日もいつものように速水を昼食へ誘った。
快く快諾した速水、ふと滝川が視線に入った。
「滝川ぁ、お前も弁当無いんだろ?一緒にどう?」
速水は、滝川を、親友として当たり前の事のように昼食へ誘った。
「い、いや、俺はパン買って食うよ」
「そう…」
一瞬快諾しそうになった滝川だったが、舞の鋭い視線に気付き、慌てて断った。

以前は滝川も、よく味のれんへ同行していた。
しかしある日、滝川の机の中に、転属願いが入っていた。
それには、スカウト希望の旨と、滝川の名前が書かれていて、裏には、
『貴様の昼休みの行動を見ていると、余程スカウトになりたいようだ。それ程スカウトになりたいのであるならば、私の発言力で望みを叶えてやろう。 芝村舞』
と書かれてあり、それ以来滝川は、昼食に同行しなくなった。



ともかく、味のれんである。
元来は居酒屋であるが、戦争の激化によって夜の客が減り、昼間も営業するようになったと言う。
しかしながら、この時間は客は殆どおらず、速見と舞の貸し切り状態である。
ちなみに、この状態が『芝村の力』による物かは定かではない。

いつものように、コロッケ定食を頼む2人。
この店では、すっかり常連客である。
壁に貼られたお品書きの隣には、ぽややん顔の速水と、あからさまに不機嫌な顔をした舞の写真が、両名のサインと共に飾られていた。
黄金剣翼勲章を授章した際に、嫌がる舞を何とかなだめて撮った物件である。
今や熊本一の有名人の客として、店のハクを上げるのに貢献している。

「おじさん、今日のコロッケも美味しいね」
「ふむ、確かに値段相応以上の味ではあるな」
「ハハハ、郷土の英雄にそげな誉められっと嬉しかねぇ!」
速水と舞の言葉に喜ぶ、味のれんのオヤジ。
最近では、『英雄の来る店』として取材も受けるようになり、なかなか繁盛しているようである。

「じゃ、ゆっくりしてきんしゃい」
そう言うとオヤジは、夜の料理の仕込みをする為にカウンターの奥の厨房へと行ってしまった。
突然、厨房の中で物が割れるような大きな物音が鳴り響いたが、2人きりの時間を堪能してる2人には全く聞こえてなかった。




「舞、口にソースがついてるよ」
「そうか?すまぬな」
速水の指摘を受け、懐からティッシュを取り出そうとする舞。
しかし速水は、舞の口元のソースをペロペロと舐めだした。

「な、ななななな何をする!!!!」
いきなりの事態に、顔を真っ赤にして動揺する舞。
「だってソースがついてたし」
事も無げに言う速水。
「たわけ!そのような問題では無いであろう!!」
舞は反論するが、お構いなしに速水は舐め続ける。

「き、貴様は何をやっているのか理解しておるのか!!!」
「舞の可愛い顔をキレイにするのさ。だって『カダヤ』なんだし、こうやってもいいじゃん」
「良くない!決して良くない!!!!」
まったく悪びれない様子の速水に激怒する舞。

「人前で、そのような事をするなと申したであろうが!!」
「おじさんは向こうへ行ったっきりだよ」
舞の抗議を無視する速水。今度は舞の唇にキスをする。

「〒◎▲`△@●梶栫~求I!!!」
言葉にならない絶叫を上げ、手足をじたばたさせて抵抗する舞。
速水は、その片腕で舞の手を押えつけ、もう片腕で舞を抱き寄せ、舞の唇を貪る。
「…ん……」
舞の唇に、何かが唇をこじ開けるような感触が伝わる。
必死にもがいていた舞だったが、速水のキスが濃厚になるにつれて次第に腕の力が緩み、やがては抵抗を止めてしまった。

「コロッケの味だね☆」
ようやく口を離した速見は、悪戯っぽい表情で舞に言った。
「………」
一方の舞は、キスの余韻で、顔を赤らめつつ、とろけるような表情のままで言葉も出ないでいた。

「舞って、ホントはこんなの好きなんでしょ?」
「……ば、馬鹿者!!!」
速水の言葉に、瞬間的に我を取り戻し、また怒鳴る舞。
「いいんだよ。僕の前なら素直になっても…」
速水は舞の耳元で囁くと、再び反論しかけた舞の、その唇を封じた。

速水は、つつー…と首筋からうなじへ指を這わせた。
「……っ」
口を塞がれている舞は、ピクンと肩を震わせる。

次に、ストッキングが艶めかしい脚へと手を伸ばす。
きちっと閉じた太腿をこじ開け、内股を基点に、キュロットの奥までの稜線に指を這わせた。
「……っ…んっ……」
舞は、またピクンと肩を震わせ、次第に息が荒くなっってきた。

今度は、巧みな指使いで舞の上着の前を開け、ブラウスのボタンを一つ二つ開けてゆく。
そして、露になった胸元に手を入れる。巧妙に奥のホックを外し、柔らかい丘をなぞるように触れた。
「……んっ…っ……んっ〜〜〜……」
舞の息が荒くなり、嬌声にも似た甘い吐息を吐きながら、全身をピクンと震わせる。



「舞…可愛いよ」
ようやく口を離し、愛しい人の最も『可愛い姿』を、満足げに眺める速水。
「はぁ…はぁ……」
全身を真っ赤に染め上げ、うっとりした表情のままで余韻に浸る舞。

「も…う…許せ……昼の…授業……が」
このままでは、理性が欲求に屈服してしまう。そうなったら昼の授業どころの問題ではなくなってしまう。せめて授業が終わるまでは…そう思った舞は、速水に懇願した。

「な〜んだ、そう言う事か。大丈夫、僕にまかせなよ」
そう言うと、速水はカウンターの中に入って電話をかけた。
「もしもし?速水です。実は芝村が急に熱を出しまして…はい…僕が家まで送りますので…はい…先生にお伝え下さい…はい…はい、分かりました…では、失礼します」
(ガチャン☆)
「はい、これで大丈夫だよ☆」
電話を切ると、速水はぽややん顔に笑みを浮かべて言った。

「おじさ〜ん、帰るね。お金は置いておくから。じゃ、ごちそう様!」
速水は、厨房から出てこないオヤジに声をかけ、舞をお姫様だっこした。
「舞、大丈夫だよ。僕が『看病』してあげるからね」
「ま、待て!私は病気ではないぞ!!」
手足をじたばたさせて、速水に抗議する舞。
「それなら朝まで平気だね☆」
「たわけが!ええい!離せ、離さぬか〜〜!!!」
舞の抗議を無視し、速水は舞をお姫様だっこしたまま、味のれんを後にした。



「パンサーからイーグルへ。目標は授業をサボり、どちらかの家へ向かう模様。どうぞ」
何故か厨房から出てきた奥様戦隊若宮が、気絶しているオヤジをカウンターへ座らせながら、通信機で連絡を取っていた。

「こちらイーグル。目標がどちらの家へ向かうか特定されたし、監視を続行して下さい。オーヴァー」
小隊長執務室では、奥様戦隊善行が若宮の連絡を受けていた。
「さて、これは授業どころの問題ではありませんね……彼女は、確かハンガーでしたね」
善行は一言呟くと、通信機のスイッチを入れた。

「イーグルからシャークへ。目標が動きました、急ぎ準備に取りかかって下さい。どうぞ」
「こちらシャーク。了解したわ。でも、今日は幻獣の侵入で、昼にでも出撃要請が下るんじゃなかったの?どうぞ」
善行の通信に、ハンガーにいた奥様戦隊原は答える。
「こちらイーグル。その件ですか…ま、大丈夫です。準備が出来てないとか言い訳つけて、要請は無視しますよ。では、待ってますよ。オーヴァー」

通信を終えた奥様戦隊善行は、愛用のデジタルカメラを手にし、戦闘の時よりも真剣な表情で、執務室を後にした。


戻る