優勝レポート番外
ドキッ!ホークスファンだらけの水泳大会
太古の福岡平野一帯には、鷹を神と崇める氏族社会が栄えていた。
秋になると、鷹に扮した若者達が、羽ばたきながら、彼等の聖なる川・那珂川に飛び込む神事が行われていたという。
彼等は、神への感謝と神への一体感を望み、少しでも鷹に近づくべく、大掛かりな高台を築いて飛んだ。
やがて、この地を支配した大和政権は、この儀式を邪教淫祇として大弾圧を加え、この神事は歴史から姿を消した。
ところが、この幻の儀式は、意外なきっかけで蘇る事となった。
20世紀も最末期となった1999年秋、福岡ダイエーホークスの初優勝である。
福岡の若者達は、地元球団の大活躍に、熱狂的な愛郷心に目覚めた。
そして誰言う事も無く、那珂川に飛び込んだ。幻のいにしえの儀式は、当に今、復活した――
(眠明書房『飛翔・鷹となった漢達』より抜粋)
まあ、ネタ振りはこのぐらいにして、一部の皆さんお楽しみ、那珂川ダイブのレポートですよ。ダイブで死人が出てないかを確認してたんで、アップがちょっと遅れたのは、ご勘弁を。
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出会い橋。観衆で凄いことになってる。 |
ハチがダイブのメッカ、中洲出会い橋に着いた時は、2300頃だったろうか。出会い橋は、既に凄い人だかり。ところが道頓堀ではこれでもかと群がっていた警官の姿は、何故かここには無く、那珂川飛行隊は、もぉやり放題…と思いきや、なかなか飛び込まない。
いきなり歓声が上がる。声のほうを向くと、屋根に立つ那珂川飛行隊の勇姿が!その漢は、観衆に歓声を求め、散々盛り上げまくった上で、那珂川の闇めがけて飛んで行った。
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円の中が、今まさに飛び込もうとしてる飛行隊員。 |
なるほど、そういうことか!道頓堀のように、只無為にボトボトと墜ちていくのではなく、我こそは鷹漢である!と、しっかり主張し、ホークスファンの聖河・那珂川に舞うのである。阪神のにわかファン連中とは一味も二味も違うこのダイブを見て、日本シリーズでのホークスの勝利を確信したハチだった。
――ま、世間一般的には、五十歩百歩目○ソ鼻○ソを笑うビンラディンが金正日を悪魔と罵る、の類ってのは百も承知だけどね。
この那珂川は、前にも言ったように、水質は良い。道頓堀に比べれば、エビアン水と秋子さんジャム水溶液ぐらいの差がある。ただ、水深が浅い。海に近いんで潮の満干で左右されるが、平均は1メートル前後で、多くても1.5メートルを超える事は殆ど無い。底の砂がはっきりと見える事も珍しくないぐらい。今夜も、目分量1メートル強って所で、決して深くは無い。
ここ出会い橋から飛び込むのを例えると、3階建ての建物から小学校のプールに飛び込むのにほぼ等しい。自己責任の自業自得とはいえ、飛行隊達には何とか、怪我無く終えて欲しい!と願うハチだった。
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屋根の上から勇者を募る飛行隊長ら。 | 当局の警告。今となっては、空しきかな… |
橋の近くに階段があり、そこから川に自由に出入りが出来るようになっている。そこの階段は、早くもダイブ鑑賞スポットとなっていて、多くの観衆が座っていた。そうしてる内に、先程飛んだ飛行隊が上がってくる。観衆達は、彼の勇気(蛮勇だろうけど)を称え(?)、熱い拍手で出迎えた。
…あれ?あれあれあれあれあれ?!屋根に女の子2名が上げられてるじゃないか。これには観衆も大盛り上り。そして、早くも「脱げェェェェェェェ!!!!」ときたもんだ(汗)
一向に飛ぶ気配が無い。屋根の上の飛行隊長は懸命に促すが、躊躇し続けている。その気になったはいいいが、屋根に上がって怖くなったか、それともその場の勢いで屋根に上げられたのか、この場ではちょっと判定不能。流石に周囲の観衆も、一時静まった。「もうよか、下ろさんね」との声もチラホラ上がる。
が、ハチの近くにいた奴が「オラァァァ!早く飛ばんね!!」と叫んだ。更に、「そげなこった阪神に負けろぉがァァァァ!」と煽る。これにハチは、ムッ!と不快感を覚えた。
矛盾してる?違うね。このダイブは、勇敢なる鷹漢が、あらゆるリスクを承知の上でやるんだ。見てるだけの我等ギャラリーは、彼等に惜しみない賞賛はしても、決して強制しちゃイカン!こんな扇動をする奴に限って、自分は飛び込まないんだわな。『主戦論者は決して前線には出てこない』とは、良く言ったモノだ。――なら、お前が飛び込め!久々に怒りの感情が沸沸とこみ上げてくるハチだった。
押し問答が続いていた屋根の上では、ようやく覚悟が決まったのか、女の子達が上のシャツを脱いだ!これには、ギャラリーから惜しみない拍手が上がる(笑)流石にそれ以上は脱がなかったが、まずは一人、そしてもう一人も、那珂川に飛んでいった。
この華麗なる飛行を号砲代わりに、イカれた飛行隊員が台頭してきた。また歓声が沸き起こった方を見ると、飛行隊員が橋にある電灯によじ登っているじゃないか。んで、その飛行隊員は、電灯の上でパタパタと羽ばたいている。鷹のつもりらしい(笑)そして、鷹となった飛行隊員は、ホークスファンの母なる川・那珂川へと飛んでいった。
言うまでも無いけど、電灯壊すと弁償は間違いないので、真似しないように。
そして、まぁ…お約束だけど、当然全裸飛行隊は健在ナリ。
ある飛行隊員が屋根の上にあがるや、何の躊躇も無く脱ぎ始めた。先程の美しき飛行隊とは全く対極の醜態に、笑いと悲鳴とブーイングが同時に巻き起こる。あっというまに全裸となった勇者は、ギャラリーのブーイングを背に、那珂川の闇へと消えて行った――
この模様は、偶然にもカメラに収める事に成功。ハチ的にはピューリッツァー賞モノと言ったところだろうか。ま、ブツがカメラ携帯なんで、顔が特定できないぐらい画像悪いんだけど、飛行戦士の名誉の為、念の為に画像を加工しておいた。
勇敢なる飛行戦士(?) |
川から上がってきた彼を出迎えたのは、ギャラリーの熱い声援ではなく、警官だったのは言うまでも無い。
もうちょっと見ていたかったが、終バスも近いので、このへんで引き上げた。ハチがいた15分ほどの間に、目分量20名近くが飛んだだろうか。ちなみに後日の報道では500名程度が飛んだという。
日本シリーズでは、我等がホークスが虎を破り日本一に輝くので(確定事項)もう一回、この狂気の宴が行われる事になるだろう。ハチしては、止めろと言うつもりは毛頭ない。ただ、非常に危険な行為なので、決してお勧めはしない。やるなら、相当な覚悟が必要となる。