体験記14 潜入の才能




 私がPlane of Hateに到着した時、光源となる物は何もなく、暗視のSepllもかかっていませんでした。その為あたりは薄暗く、この異世界の不気味さが際立っているように思えました。

「とりあえず東の壁へ!」
「うん」

 それから私たち3人はGate Outしてくる建物から外に出、東の壁に取りつきました。
 Plane of HateはUndead・非Undeadが入り乱れたZoneであるため、モブから発見されないためにはInvisibilityとInvisibility vs Undeadの両方が必要です。しかしそれら両方をかけていても、See Invisibleしているモブには見つかってしまいます。要するに、なるべくモブに発見されないよう、Zone際を移動するのがセオリーなのです。

 東の壁まで無事たどり着いたら、今度は壁沿いに時計回りに移動。南西にある比較的安全な場所へ移動します。Plane of Hateのbreakはだいたいここで行われることが多く、その日もどこかのギルドが狩りをしていました。一言二言挨拶を交わし、私たちはそのまま北上します。

「この辺でいいかな」
「ですね。じゃ、私は早速Maestro邸に行ってきます」
「しばらくここにいるね。辿り着けずに死ぬかもしれないし」
「そ、そうですね」

 さてここからがRogueとしての腕の見せ所! See Invisibleを持ったモブをかいくぐり、Maestro邸の2階、南西隅のベッドルームまで行かなければいけません。ベッドルームにあるテーブルの上に、Book of Soulsはpopするはずです。

 Banshee(見た目は巨大女zombie)はあまりいないのですが、問題はLich。Lichはroamerタイプが多く、これをいかに避けられるかが、Maestro邸侵入の鍵となります。Maestro邸の前では、2人のLichがのらりくらりと移動しています。彼らが背中を向け、遠ざかっていく瞬間を見計らってダッシュ! 何とかMaestro邸に入ることができました。あとは2階に上がり、ベッドルームを目指します。2階にもLichがいるので、油断はできません。


そして、発見されるベッド

 目当てのベッドは見つけました! 私が以前Plane of Hateに来たときもこんなに奥までは行ったことがありませんでした。その為ベッドを見たのは初めてです。

「何とか到着しました」
「モブとかいる?」
「Ghoulみたいなのがウロウロしてますね・・大丈夫、ばれてないです」
「そか。気をつけて」
「ありがとー」

 ということで張り込み開始です。しかし回線状態は大変悪く、PLが80%を上回ることもしばしば。最悪、リンクデッドなんてことも考えられます。リンクデッドして復帰した場合、HideもSneakも解けてしまうわけで、それだけは何としても避けねばいけません。私は部屋のできるだけ角を陣取り、最悪リンクデッドしてもモブに発見されにくくしました。

 そのようにして2時間ほどキャンプするわけですが、Book of Soulsはpopせず。その日は諦めることにしました。ログアウトするにもここでログアウトするわけにはいきません。一度安全圏まで戻る必要があります。慎重にモブの動きを見ながら、何とか屋外へ。私は南西の安全圏でその日のゲームを終えました。

 死体が消えるまでの残り時間、あと21時間。

 翌日。

 再び私はログインし、Book of Soulsを狙います。昨日、潜入に成功した具合をよく思い出しつつ再びMaestro邸へ。途中、様々なshoutやoocがZoneに飛び交います。/whoしてみたところ、今日raidをしているのはThe Three Flameというギルドのようです。

 首尾良くベッドルームまで到達した私は、部屋の隅へ。昔読んだ小説を本棚から掘り出し、Book of Soulsのpopを待ちます。しかし、覚悟してはいましたがなかなか本はpopしてくれません。お腹を空かせた私は冷蔵庫をゴソゴソ漁り、適当な昼ご飯の仕度をしてディスプレイに戻ってきました。そして、絶句。

 ディスプレイが表示したのは、見慣れたサーバー選択画面だったのです。

 そう、私が席を外している間にリンクデッドしていたのです。RogueのSenak / Hideはログアウトしたりリンクデッドしたりするとキャンセルされてしまいます。そして、今、Okotaは敵陣のまっただ中。

(・・わし死ぬのかなあ)

 EQをプレイするようになって、何度も頭によぎったこの言葉がフラッシュバックします。まさに大ピンチ。ログインし、目の前にモブがいたらすべては終わり、サヨウナラです。しかし迷っていても好転はしません。The Three Flameが私の前のモブを片づけてくれるまで待ってもいいですが、そうなる保証はないのです。私は覚悟してログインしました。Hideボタンが仕掛けてある「3」のキーに指をおきながら。

(・・よし!)

 私は賭けに勝ちました。
 Okotaの周りをうろついていたGhouldもどきは、かなり離れたところにいたのです。

 死体が消えるまでの残り時間、あと19時間。

 回線状態はその後悪く成さそうだったので、私はキャンプを続行しました。The Three Flameのraidは相変わらず続いています。その時oocがZoneに響き渡りました。

「ダイアだ」

 うーん、うらやましい。私は当時ダイア製アイテムを一つも持っていませんでした。今後大物と戦うならsv upは欠かすことのできぬ重要な要素であり、sv up装備として、ダイアはぜひ欲しいアイテムです。彼らはその時zoneにいる人数で/ranするという形式でraidをやっているらしく、代表者が/ranしたようです。が・・

「ダイアはOkotaへ」
「おめー」
「おめでとう」
「・・はて、Okotaって誰だ?」

 ぎく。
 私がraidに参加せず、こっそりMaestro邸にいることに気づかれてしまいました。本来ならこれはマナー違反で、やるべきことではありません。私はThe Three FlameにRogueがいないようだったので、その手順を怠っていたのです。

「Okotaなんていたっけ?」
「Anonになってるぞ」
「・・/guildstatusしてみたぞ。OkotaはWanderersのOfficerだ」

 次々と暴かれるOkotaの正体(汗)。この期に及んで私は自分のしたことの迂闊さを悟り、彼らの代表者らしきFeantという人に事情を説明しました。つまり、自分が単身Plane of Hateに来ていることや、Book of Soulsを狙っているということを。すると彼らは、自分たちにはRogueがいないので問題ないと言ってくれ、私はキャンプを続けることができました。

 あまつさえ彼らは余ったWoven Shadow ArmorのBootsとLeggingを私に譲ってくれました。まさに棚からぼた餅(汗)。しかしBook of Soulsはpopする気配を見せません。まさに持久戦です。

 そして翌日。私は夕方ごろログインしました。

 かれこれキャンプは続いており、死体が消えるまでの残り時間は13時間を切っていました。/whoしたところ、The Three Flameがraidをしていました。Maestoro邸への進入路はちょうど掃除が終わった直後らしく、キレイなものです。今回のMaestro邸への侵入は容易でした。

 2階への階段を上がり、いつものベッドルームへ。すると・・何か見慣れない物が見えます。その場所へ急ぎたくなる衝動を抑えつつ、私はモブを警戒しながらベッドルーム脇のテーブルに向かいます。そしてそこには・・!


これこそ私が探し求めていた物!

 ついに!
 ついに見つけました、Book of Souls! これがあればダークエルフの言葉で書かれている複雑な暗号を解読することができるのです。手早く本をクリックし、Book of Soulsをゲット。

「Book of Soulsを回収できました! みんなありがとー」
「おめでとう!」
「おめー」
「キミの幸運を祈ろう。がんばれ」

 The Three Flameの祝福を受けつつ、Leatherfoot Raiders Skullcapで下界へ。
 次のステージでは、Rogue Epic Quest初の戦闘イベントが待っています。

 その敵とは、Renux Herkanor。Qeynos Rogue Guildが誇る、強力なPoison Masterです。




(余談)
 3人でPlane of Hateに行ったと書いていましたが、実はCurtis(Sutetekokunの別キャラ)も一緒だったことが判明(汗)。つまり4人だったわけですが、あとから書いた物をいじるのも何か不自然なのでそのまま書いちゃいました。ごめんよ、Sutetekokun。
 一緒にRagerbringerの探索に乗り出したSutetekokunも先ほどEver Questを引退しました。残る者としては少し寂しい気もしますが、新しい何かにがんばってほしいと思います。