久石譲全曲解説PROJECT
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MKWAJU

  • 概略

    久石さんは、1982年にファーストソロアルバム「INFORMATION」で デビューとなっているが、このアルバムはそれより以前に発表された、 事実上のデビューアルバムである。 「ムクワジュ・アンサンブル」という名義で作成されてはいるが、 全曲、久石さんの手によるものである。 ここで、「ムクワジュ」を語る上で外せない「ミニマル・ミュージック」につい て少々。

     短い旋律。短すぎて、それだけでは喜びも悲しみも表現できない。  その旋律を単位として何回も何回も繰り返す。果てしなく続く旋律。 太陽の動きとおなじくらいゆっくり変化する。  またこの旋律を何人かでひいてみる。ズレが生じる。このズレが思いがけない メロディーを 生む。音と音の隙間にできる新しい音。ついには、この新しい音が独立して最初 のメロディー とは無関係に動き出す。  ミニマル・ミュージックとのちに名づけられるのは、こんな音楽。  アフリカでもアジアでも、ヨーロッパ文明の浸食をうけていないところでは、 多くの場所に のこっている。 (歌詞カードより抜粋)

     最近の久石メロディーの特徴である、美しい旋律やリリカルな流れを予想する と、 とても同じ人の作品とは思えないほどかけ離れたものである。ピカソの「青の時 代」と 「ゲルニカ」の頃とのギャップのようなものであろうか。だが、どちらにも言え ることは、 それだけ幅の広い力量を持っているからこそなせるワザ、ということである。

Written by 渋谷 智陰


■ピアノ曲 ■アンサンブル曲 ■オーケストラ曲 ■シンセ曲 ■ボーカル曲 ■複合曲・その他

■ムクワジュ
小さな短い旋律の繰り返しであるが、そこから生まれる浮揚感や躍動感は 言葉にできないほど美しく楽しい。「曲」として位置づける難しさはあるが、 「作品」として見た場合、久石さんを語る上では外すことのできない作品といっ ても良いだろう。

Written by 渋谷 智陰

作品データ

作曲 編曲 久石 譲
マリンバ 高田みどり、定成庸司
ヴァイブ 高田みどり
ミトラ・マリンバ
(日本製ブースター付きマリンバ)
荒瀬順子
ラテン ペッカー
ピアノ:スタインウェイ&
エレクトリック・ピアノ:フェンダー
久石 譲
シンセサイザー:MC-8、プロフェット-5 松武秀樹
収録時間 6分26秒


■シャク・シャク
タイトル通り、「シャクシャク」とした音をメインに作られている。 マリンバが、聴いている人に疑問を投げ掛けてくるような、そんな「闇の部分」 とでも言おうか、何だかわからないちょっとした不安を駆り立てられるような作 品。 5月17日発売の「Shoot The Violist」では、ムクワジュ組曲全4曲の中で唯一収 録されていない 幻の作品。

Written by 渋谷 智陰

作品データ

作曲 編曲 久石 譲
マリンバ 高田みどり、定成庸司
ヴァイブ 高田みどり
ミトラ・マリンバ
(日本製ブースター付きマリンバ)
荒瀬順子
ラテン ペッカー
ピアノ:スタインウェイ&
エレクトリック・ピアノ:フェンダー
久石 譲
シンセサイザー:MC-8、プロフェット-5 松武秀樹
収録時間 3分23秒


■レモア
「α-BET-CITY」にも収録されており、アフリカ大陸の広大さと力強い息吹、 宗教的儀式の香りがする作品。深い悲しみに包まれたような、 まるで大地の悲哀を歌ったかのような短い旋律が心に痛い。

Written by 渋谷 智陰

作品データ

作曲 編曲 久石 譲
マリンバ 高田みどり、定成庸司
ヴァイブ 高田みどり
ミトラ・マリンバ
(日本製ブースター付きマリンバ)
荒瀬順子
ラテン ペッカー
ピアノ:スタインウェイ&
エレクトリック・ピアノ:フェンダー
久石 譲
シンセサイザー:MC-8、プロフェット-5 松武秀樹
収録時間 6分00秒


■ティラ=リン
人を食ったようなタイトルはまさにそのもの。これを実際に演奏しようとする と、 それは相当の技術とセンスを必要とされると思われる。 普通に拍子を取って聴いていても、必ず狂ってしまうであろう。理由としては、 曲の後半になると、一音ずつ音が抜け落ちていき、最後にはすべて消え行くから だ。このアルバムの中で最高の作品、と言っても良いであろう。

Written by 渋谷 智陰

作品データ

作曲 編曲 久石 譲
マリンバ 高田みどり、定成庸司
ヴァイブ 高田みどり
ミトラ・マリンバ
(日本製ブースター付きマリンバ)
荒瀬順子
ラテン ペッカー
ピアノ:スタインウェイ&
エレクトリック・ピアノ:フェンダー
久石 譲
シンセサイザー:MC-8、プロフェット-5 松武秀樹
収録時間 4分28秒


■パルス・イン・マイ・マインド
アフリカというよりは、タイやインドネシアの「クロマテッィク・ゴング」と いわれる 鐘の音が耳に残る。「前衛的」と言えば言葉は良いが、超難解な作品であること は確か。

Written by 渋谷 智陰

作品データ

作曲 編曲 久石 譲
クロマティック・ゴング 高田みどり、定成庸司、荒瀬順子
ピアノ:スタインウェイ
エレクトリック・ピアノ:フェンダー
久石 譲
収録時間 5分48秒


■フラッシュ=バック
13分近い大作。みせす ちゃいるどさん曰くところの、「心臓の音」。 胎内の心拍音を感じる胎児の心境を味わうことができることだろう。 それ故に、長い曲で単調な曲ながら、何故か変な落ち着きを与えてくれる作品。

Written by 渋谷 智陰

作品データ

作曲 編曲 久石 譲
トムトム
ボンゴ
バンブー・ドラム
カウ・ベル
高田みどり、定成庸司
収録時間 12分52秒


スタッフ、スタジオ等

録音 1981年2月6,7日,3月12日
スタジオ 日本コロムビア第1スタジオ
録音&ミキシング担当 林 正夫
制作担当 橋本珠子
1981年6月25日発売 日本コロムビアCOCO-7764


Written by 渋谷 智陰 at 2000.5.1 最終改訂 2002.9.10 無断転載を禁じます。
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