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PIANO STORIES |
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1 | A Summer's Day |
私の家には白いデッキがある。 いつも私はそのデッキで朝に海を見るのだ。 今日は何と幻想的な日だろうか・・・ 砂浜をそして海面を白い靄が覆っている ゆっくりと風に流れ、揺らいでいる。 私は砂浜におりた。砂は少し湿っており、そこに裸足で立つととても気持ちがいい。 ふと海のほうから声が聞こえた。 懐かしく、とても優しい声が。 歌っているのだろうか・・・ しかし私の記憶の中にいるその声の主はもうこの世にいない。 その声にあわせて靄はゆっくりと動く。 少しの間聞き惚れていると、あたりが明るくなりだした。 夜明けか・・・と私は思った。 靄に阻まれ、赤紫に近い色の太陽だった・・・ 夜明けとともに靄はすっと消えていき、 後には静寂が残る。 いつの間にか声も消え、私は波打ち際にいた。 ある夏の日の懐かしい思い出とともに・・・ Written by D−SUKE |
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1 | Dreamy Child |
あたりをすっかり闇が包み、星が空に輝く頃 私の家庭には和やかな団欒の時が訪れる。 父、母、祖父、そして祖母。 その輪の中にいる私は幸せだった。 祖母は優しく微笑み、私の頭をなでてくれた。 何時でもどんな時でも微笑んでいる祖母が私は大好きだった。 団欒が終わり、父はもう寝なさいと私に言う。 私は頷き寝室へと向かう。 私が布団に入ると祖母は本を読んでくれた。 優しい声にうっとりとして私はだんだんと夢の中へ入っていく すっかり私が寝てしまうと祖母は部屋を出る。 ゆっくりと、私を起こさないように。 祖母のおかげで今日も私は安らかに夢を見る。 優しい祖母のぬくもりに包まれて・・・ 今、その祖母は私の心の中で生きている。 その時の懐かしい記憶と共に・・・ Written by D−SUKE |
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1 | The Twilight Shore |
秋から冬へ移り変わろうとする季節に一人の若い女性が落ち葉の降る並木道を歩いている。しかしこの女性の足取りは軽やかではない。むしろ少しうつむき、ゆっくりと歩いている何か悲しい理由があったのだろうか、それともまた別の理由なのか・・・。彼女の顔は深い哀しみや何か思いつめたような色があった。そのまま少し歩いた所に少し古ぼけたベンチがあった。彼女はベンチに座った。何か考え事をしているのだろうか、その顔は曇っていた。どれ位考え事をしていたのだろう、ふと彼女は顔を上げる。目の前にはとても明るくて大きな夕日があった。その夕日に照らされた彼女の顔には先ほどまでの暗い色は無く、その代わり夕日の色という温かく穏やかな色があった。そして彼女は歩き出すにつく。その心に新たな思いと決意を秘めて・・・。
Written by D−SUKE |
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Written by D−SUKE at 2001.8.20 最終改訂2001.10.9 無断転載を禁じます。 Copyright(C) 2001 by D−SUKE |