久石譲全曲解説PROJECT
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千と千尋の神隠し(イメージアルバム)

  • そこはもう不思議の国の楽しい世界・・・。

1あの日の川へ

映画の予告編でも使われたため認知度は高い。木村弓さんの主題歌「いつも何度で も」と共に千と千尋の神隠しを象徴する「曲」として耳に残るメロディーだ。このメ ロディーをもとに歌詞をつけ、木村さんが歌ったものがマキシングルに収録されてい る「いのちの名前」である。「あの日の川へ」の「川」はおそらく映画で千尋を助け る「ハク」が主だったコハク川を表していると思われるが、う〜みさんのやさしい ヴォーカルはどちらかと言うと映画序盤の家族が車で道に迷う場面にぴったり来る。 見事にこの「千と千尋の神隠し」を表している一曲だ。サントラの曲にもこの曲のメ ロディーを利用して作曲してあるものが多く含まれる。

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作品データ

作曲 編曲 久石 譲
ヴォーカル う〜み
収録時間 3分54秒


1夜が来る

最初、ピアノだけのやさしい音からはじまる。その後、シンセによると思われるコー ラスが入り盛り上がる。このコーラスは曲の各所に入ることとなる。映画では千尋の 両親が豚に変わり、千尋が大混乱に陥る場面を表していると思われる。全体的にあや しげでまた恐ろしげなメロディーを多用。ズバリ言えば、いかにも「アニメーション ・ミュージック」というような音楽だ。だが、このメロディーをサントラに利用しな いところが、また久石さんらしい。

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作品データ

作曲 編曲 久石 譲
収録時間 4分25秒


1神々さま

ヴォーカルはおおたか清流さん。「昭和の日本文化」に良く似合うような音楽だ。 バックでは藤堂彰寛さんが併唱しておおたかさんをサポートしている。全体的な感じ としては演歌風でアジアンチックに仕上がっており、三味線や打楽器を多用してい る。参考までに書いておくが、この曲を歌うには相当な力量が必要とされると思う。 歌詞は映画に登場する「油屋」にやってくる神さまたちを描いたものとなっており、 「千と千尋の神隠し」監督の宮崎駿さん自ら作詞している。

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作品データ

作詞 宮崎 駿
作曲 編曲 久石 譲
ヴォーカル おおたか静流、藤堂彰寛
収録時間 3分56秒


1油屋

「労働の場」としての油屋の雰囲気がかなり強くメロディーに出てきている。聞いて いるだけでだるくなりそうなメロディーと歌詞(笑)。しかし、この曲を聴く度に 「久石さん、こんな曲も作れるんだなー」と感心してしまう。ヴォーカルは上條恒彦 さん。今回の千と千尋の神隠しでは「父役」、もののけ姫では「ゴンザ」の声にキャ スティングされている方で、宮崎監督の信州の別荘のご近所仲間だそうだ。この曲も 作詞は宮崎監督自身が担当している。

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作品データ

作詞 宮崎 駿
作曲 編曲 久石 譲
ヴォーカル 上条恒彦、西田美和
収録時間 3分57秒


1不思議の国の住人

サントラの曲「ボイラー虫」の元となっているメロディーだ。このボイラー虫とは、 トトロに出てきた「ススワタリ(=まっくろくろすけ)」のことで、本編では釜爺の 下で石炭を運ぶべく労働をしている。コミカルなメロディーにはピアノも多用されて いるが、滑稽さの反面、せっせと労働をこなす「ボイラー虫」とその上司「釜爺」た ちのひたむきさを醸し出している。

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作品データ

作曲 編曲 久石 譲
収録時間 3分20秒


1さみしい さみしい

映画の本編を観てから聴くと、切なくなってくるような、悲しい存在「カオナシ」の 歌だ。歌詞はこの曲も宮崎監督が作っている。ムッシュかまやつさんのヴォーカルが 印象的なリズミカルな曲で、62歳のムッシュかまやつさんの声の若々しさに驚嘆す る一曲でもある。この若々しい声が読むだけだと悲しくなってくるこの歌の歌詞をや わらかくしているのだろう。ピアノとアコースティックギター中心のシンプルなメロ ディーで演奏されていて、ムッシュかまやつさんの声によく溶け込んでいる。

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作品データ

作詞 宮崎 駿
作曲 編曲 久石 譲
ヴォーカル ムッシュかまやつ
アコースティックギター 古川昌義
収録時間 3分42秒


1ソリチュード

ヴァイオリン・チェロとピアノによる深みのある悲しげなメロディー。タイトルの 「ソリチュード」とは【孤独】と言う意味の英語【solitude】から来ている。このメ ロディーは映画の中には一切登場せず、イメージアルバムだけで楽しめる美しい弦楽 器の音色だ。ただ、確かに映画に使うにはちょっと音が濃すぎるような気もする。こ のアルバムに収録されているのを知らないと、どこかの小さな演奏会を収録したよう な感じだ。

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作品データ

作曲 編曲 久石 譲
ヴァイオリン チェロ 近藤浩志
ヴァイオリン 鈴木理恵子
収録時間 3分50秒


1

イメージアルバムをジブリに持ち込んだ時、宮崎監督が真っ先に気に入った曲であり、 また久石さん本人曰く、「千と千尋のテーマ曲の根底となっている、非常に素朴で懐 かしい感じ」の曲。夜の電車のなか千尋たちがハクを救うべく電車に乗っているとき のイメージだ。サントラにもこのメロディーが利用されており、その場面の情景とこ れ以上ないほどマッチしている。久石さん本人が奏でる美しいピアノがベースのイ メージアルバムの目玉曲である。

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作品データ

作曲 編曲 久石 譲
収録時間 3分22秒


1白い竜

作詞は宮崎監督本人。これはいわゆる「千尋のハクへの気持ち」を表した歌である。 イメージアルバム発売初期は「これが主題歌になるのでは?」と噂されたほど、リス ナーの間では評価の高い曲だ。ヴォーカルはRIKKIさんでファイナルファンタ ジーの主題歌を歌われた方でもあるが、澄み切った声は、竜である「ハク」を歌った 歌詞に見事に調和している。途中、何ともいえない盛り上がりがあり、久石さんが 作ったヴォーカル曲の中でも質の高いものとなっている。

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作品データ

作詞 宮崎 駿
作曲 編曲 久石 譲
ヴォーカル RIKKI
収録時間 3分34秒


1千尋のワルツ

3拍子の優しく心を和ませてくれる曲。映画でもこの曲を発展させた「ふたたび」が 後半で音楽の威力を発揮してその場を盛り上げるのに一役買っている。「1.あの日 の川へ」のメロディーと同時に「千と千尋の音楽」を語る上で外せない一曲だ。ピア ノからシンセまで、イメージアルバム製作の中でできる限りの音を惜しみなく使った 壮大な音楽といえる。サントラの「ふたたび」よりは各音がはっきりしていて、「ふ たたび」より「千尋のワルツ」が気に入っているという人も多い。

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作品データ

作曲 編曲 久石 譲
収録時間 3分20秒


音楽スタッフ

作曲・編曲・演奏 久石 譲
プロデュース 久石 譲
作詞 宮崎 駿
音楽制作 スタジオジブリ
製作プロデューサー 鈴木敏夫(スタジオジブリ)
レコーディングエンジニア 大川正義、浜田純伸、瀧田二郎(ワンダーステーション)
アシスタントエンジニア 秋田裕之、伊世照明(ワンダーステーション)
レコーディングスタジオ ワンダーステーション
マスタリングエンジニア 石原裕也(ワンダーステーション)、藤野成善(ユニバーサル レコーディング スタジオズ)
マネージメントオフィス ワンダーシティー
制作マネージャー 関島雅樹、伊藤聡一郎(ワンダーシティー)
A&R 稲城和実(スタジオジブリ)、岡田知子(T.J.C)
セールスプロモーション 小田 学(T.J.C)
デザイン 石野順子(T.J.C)
プロダクションマネージャー 長井 孝(スタジオジブリ)
スペシャルサンクス アクセント & cent cent records、アトリエダンカン、池田潤事務所、イズムコミュニケーションズ、Office RIKKI、ケイダッシュ、ドウ!カンパニー、藤澤麻衣

Written by Excenter at 2002.1.28 最終改訂2002.1.29
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