気象学 (中学2年 第4単元 「天気とその変化」)

第1章 気象の観測

1 気象の観測 ワークシート

第1時    天気観望(雲を観察しよう)

 「地学教育」は地球を相手にする学問です。先ずは、野外観察から始めましょう!
 天気の基本は雲の観察からです。
 ただボ〜と眺めていては学習にならないので、とりあえず教室で、大気の厚さと、雲の分類を学びましょう。

 大気は地表から対流圏
(10km)、成層圏(10-50km)、中間圏(50-90km)、熱圏(90km)に分かれています(高度はおおよその値)。熱圏の上部(400-800kmより外側)は外気圏と呼ばれています。オゾン層は成層圏内20-25km付近のオゾン密度の高い部分を指しています。

 地球の半径6400kmと比べると、気象現象が生じているのは、地球のほんのわずかな表面であることがわかります。


 雲の分類で押さえておく点は、縦に発達する「積雲」の仲間と、横に発達する「層雲」の仲間があることです。
 そして、「乱」の漢字が使われている「積乱雲」と「乱層雲」があることです。「乱」すなわち「荒れた天気=雨」をもたらす雲です。

 「雲量」は全天を10等分して、その何割が雲で覆われているかを示した数値です。雲量で「天気」を決めています。
 「晴れ」は雲量が2〜8までの範囲です。全天の8割が雲におおわれていても「晴れ」と呼びます。一般的な感覚と異なるので注意が必要です。

各天気をまとめました。
霧:霧または氷霧のため、視程が
1km未満になっている状態。
霧雨:直径0.5mm未満の細かい水滴だけが降っている状態。
雨:直径0.5mm以上の水滴が降っている状態。
霙(みぞれ):雨と雪が混ざった降水の状態。
雪:結晶状態の氷滴が降っている状態。
霰(あられ):直径5mm未満の氷滴が降っている状態。
雹(ひょう):直径5mm以上の氷滴が降っている状態。
雷:過去10分以内に、雷電または雷鳴があった状態。

天気記号は「気象の観測」の項を参照してください。

 

 

 

第2時    校内気温分布図をつくろう

 理科で、観察・観測することは大切です。気温の測定だけでも、ぜひ実践しましょう。

 気温の測定法は次の通りです。
 地上から1.252.0m の高さ空気の温度(日本の気象庁の基準は1.5m)。直射日光や外気に触れないようにして測定します。

日本の最高気温40.9℃(2007.8.16岐阜県 多治見市、埼玉県 熊谷市)。
日本の最低気温-41.0℃(1902.1.25北海道 旭川市)


 気温による分類です。

 
冬日:日最低気温が0℃未満の日。
 ・真冬日:日最高気温が0℃未満の日。
 ・夏日:日最高気温が25℃以上の日。
 ・真夏日:日最高気温が30℃以上の日。
 ・猛暑日:日最高気温が35℃以上の日。
 ・熱帯夜:日最低気温が25℃以上の日。
 
真夏夜:日最低気温が20℃以上の日。

 

 ここでは、実験器具の補正の仕方を学習しましょう。

 学校で使う温度計は誤差が「±1℃」ぐらいあります。ということは、同じ温度を測定しても最大2℃の開きがあるということです。

 基準を水銀温度計にしても良いのですが、生徒が使う物と同じ物を使った方が親近感がわくと思います。

 左の例では、基準の温度計が20℃を指していて、自分が使う温度計が18℃を指しています。自分が使う温度計は基準より2℃下を指しますので、基準と合わせるためには2℃加えればよいのです。

 

第3時    気温、湿度、気圧、風の観測

 前時では、気温の測定をしました。この時間は、その他の気象要素の測定を学習しましょう。

 各気象要素の解説を以下に示します。

・湿度:大気中に含まれる水蒸気の量や割合のことです。通常は相対湿度を指します。乾湿計、湿度計を用いて測定します。

・気圧:空気の重さにより生じる圧力のことです。気体の圧力と区別して「大気圧」と呼ぶこともあります。気圧は気圧計を用いて測定します。液柱型水銀気圧計(フォルタン型水銀気圧計)は正確であるが高価で操作も難しいです。アネロイド型気圧計の方が一般的です。アネロイド型気圧計は、円筒型(又は円盤型)をした内部がほぼ真空の金属製密閉容器を気圧がつぶそうとする力と、容器内部に備えられたばねの反発力との釣り合いで気圧を測定する器具です。精度は落ちますが、安価なので家庭用の気圧計も、この型をしたものが多いです。

・風向:風の吹いてくる方向を16方位で表したものです。「北の風」は北から南に向かう風のことです。通常は10分間の平均で示します。方位は小学校や社会科でも学習ますが、十分に身に付いていない生徒もいます。教室の天井や壁に大きく方位を書いた紙を掲示するなど工夫して、「北を向いたとき、右手側が東」など体感的に学習させるとよいと思います

・風力:風速に対する影響を表したものです。通常は10分間の平均で示します。風速の数値が0.31.6m/sと半端な値になっているのは、もともとイギリスで考案され、ノットで表現されたためです(風力1=1〜3ノット)。

・雲量:全天に占める雲の割合のことです。「晴れ」の範囲が雲量2〜8でかなり広く、間違えやすいです。一般的な感覚では雲量5(空の半分が雲に覆われている状態)ぐらいで「くもり」と表現するのではないでしょうか。

・雨量:雨量計を用います。ない場合にはなるだけ寸胴な容器(茶筒のようなもの)を用います。雨のたまった深さで測ります。雪の場合は、水(お湯)を加えて溶かして測定します。

・一般に「天気図」と呼んでいるのは地上天気図の中の日本式天気図のことです。表現されている気象要素も限られていて分かりやすく、新聞やWebに掲載されておりなじみ深いです。

 

第4時    観測結果の記号によるまとめ方

 この時間では、結果のまとめ方を学習しましょう。

 気温、湿度、気圧、風向・風力をグラフに表します。

 教科書では、気温、湿度、気圧を1枚のグラフに記入していますが、ここでは別々に記入します。3つ一緒にすると訳が分からなくなる生徒もいるからです。

 ここでのポイントは、「晴れた日の気温の変化」をシッカリ定着させることです。
 すなわち、晴れた日は、気温が6時頃(日の出あたり)が最低で、昼に向かって上昇します。14〜15時に最高に達し、夕方から翌朝まで下降します。昼に気温のピークが来ないのは、空気は太陽の熱では直接暖められず、太陽の熱によって暖められた地面が空気を暖めるためです。

 湿度は、気温が上昇すると、下がります。
 空気中の水蒸気量は、晴れた日はあまり変化しません。しかし、気温が上がると含むことができる水蒸気量が増えるので、湿度が下がります。詳しくは、後に空気中の水蒸気の項で学習します。

 気圧は天気の変化に伴って変化するものではありません。全く逆で、気圧が変化するので、天気が変化します。
 おおむね、気圧が下がると曇りや雨になり、気圧が上がると晴れになります。ただし、気圧の上下だけでは天気は決定されません。これから詳しく学習していきます。





 気温、湿度、気圧、次ページの3要素のグラフは、1つのExcelファイルです。他のデータを利用する場合は、一番上の表部分をダブルクリックして、シートを開いて、変更してください。
 その後は、コピペすれば出来上がりです。

 過去の気象データは気象庁から入手してください↓
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

 
 

 

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