気象学 (中学2年 第4単元 「天気とその変化」)

第2章 前線とまわりの天気の変化

1 気団と前線 ワークシート

第1時    天気の変化

 3日間の連続する気象衛星「ひまわり」の雲画像と雨雲画像(ひまわりが撮影したものではありません。地上レーダーのデータから作成されたものです)を並べました(少し古いデータですが)。 連続する3枚(縦に見ましょう)から、自分たちの住んでいる地域や、各都市の天気の変化を読み取りましょう。

 左の雲画像の変化から、第1日目は九州西南部~沖縄と北海道西部に雲がかかっています。第2日目は日本のほとんど全てが雲におおわれています。第3日目は北海道東部に雲がかかっています。

 右は雨雲画像の変化です。天気図を載せた方がいいのでしょうけれど、見やすい天気図が見つからなかったコトと天気図の見方を学習していないコトから、雨雲画像にしました。

 気象衛星「ひまわり」の画像は直感的でわかりやすいですが、利用の際はいくつか気を付けなければならないコトがあります。
 一般的に「ひまわりの画像」と言った場合は、「赤外線画像」を指しています。白く見えるのは温度の低い部分です。雲の上部ほど温度が低いので、白く見えます。また、雪が写っている場合もあります。雲そのものを見るには「可視光画像」がいいのですが、当然夜は写りません。従って一日中観測できる「赤外線画像」が利用されています。
 「赤外線画像」では、霧のような雲や地上付近の雲は写りません。気象衛星「ひまわり6号」からは「近赤外線画像」が撮影できるようになり、霧のような雲や地上付近の雲が撮影できるようになり、観測範囲が広がりました。
 「雨雲画像」は水滴を地上レーダーで捉えて画像にしたものです。
 気象衛星「ひまわり」ではその他に「水蒸気画像」も撮影しています。雲が発生していなくても、水蒸気が多い場所が分かり、今後の天気を予想するのに役立ちます。

 

 

ひまわり画像は日本気象協会から入手してください。

http://tenki.jp/past/

その他のさまざまな画像は、高知大学から入手してください。

http://weather.is.kochi-u.ac.jp/wiki/archive

 

第2時    気団と前線

 気団は空気が長時間同じ場所に留まることで、気温や湿度などの性質が一定の塊として形成されます。「朱に交われば赤くなる」と言ったところです。ただし、どれぐらいの期間が必要かは専門書にも書かれていません。結局、実験ができないからでしょうか。

 性質の異なる空気の塊はすぐには混じり合いません。これも人間に似たところでしょうか^^;

 (2)の実験をする際、冷たい空気の進みがとても速いので、しっかり注目させてから実施しましょう。もちろん、線香の煙などで着色しておくことも忘れずに。線香の熱で温まるから…と暖気を着色すると寒気の進みが見えづらくなります。
 また、仕切り板を一気に抜くと、乱気流ができて失敗します。かといって、ゆっくり過ぎると、僅かの隙間から寒気が一気に移動してしまうので、これも失敗します。何回か試して、コツをつかむしかありませんね(
このHPの目的は、そのコツを分かりやすく示すことですが、上手に説明できなくねゴメンナサイ

 前線面及び前線は空気同士の境目ですので、実際には数十kmの幅があります。

 前線の記号は、昔、カラーが発達していなかったころにつくられたものでしょうから、1色だけで表現するのが基本です。前線の進行方向に半円は三角形(半円が切り取られた図形)を付けます。停滞前線は北側から寒気が来るので南側に三角形、南側から暖気が来るので北側に半円です。
 カラーにする場合は(本来は線のみで、記号を付けないハズ…)、寒冷前線は寒気の侵入を表しますので青色、温暖前線は暖気の侵入を表しますので赤色です。

 日常会話で「急に寒くなった。」とか「一気に暑くなった。」などと良く使いますが、これはその地域をおおっている空気の塊が入れ替わったからです。今ある空気の塊がその場で冷えたとか、温まったとかではありません。
 お風呂の水を加熱しながらお湯にするのではなく、お風呂の水をゴッソリ別の所にあったお湯と入れ替えてしまう、そんなイメージです。

 気団同士がぶつかっているところ(前線付近)は、空気の乱れが激しくなり、天気が変化していきます。これも人間の世界と似ているところです^^;

 上では『空気の乱れ』と表現しましたが、空気が上昇するとこれでは雲が発生しやすく、くもりや雨になる確率が大きくなります。
 (東京書籍の教科書では、雲の発生は後で学ぶことになります)

 「」は「空気中に浮いている小さな水滴」です。
 このことを徹底しておきましょう。
 雲=水蒸気と考えている生徒も多いです。水蒸気なら目には見えません。1年の時の「状態変化」を復習させましょう。

 「温帯低気圧」は暖気と寒気の接するところで発生します。東側に温暖前線、西側に寒冷前線ができています。温帯低気圧は東進しますので、その結果、進行方向に温暖前線、後方に寒冷前線となります。
 温帯低気圧の発生は難しいので、別の項目で説明します。

 

第3時    前線に伴う天気の変化

 前線に伴う天気の変化を学習します。

 寒冷前線は寒気が暖気を押すように進む前線です。
 寒気は暖気より重たい(比重が大きい)ので、暖気の下にもぐり込みます。その結果、暖気は上空に押し上げられます。垂直に近い角度で持ち上げられるため、背の高い雲(積乱雲)が形成されます。
 雲は10000mを超す高さに成長します。雲の上部で作られた雨粒は下降している間に次々と成長し、雲底から離れるときにはかなりの大きさになります。この雲の下では大粒の激しい雨が降ることになります。
 一方、横の広がり(進行方向と同じ向き)は多くなく、進む速度も速いので、雨の降る時間は長くありません。また、速度が速いことから、突風となることもあります。

 寒冷前線は、寒気の先端が移動してくる現象なので、寒冷前線通過後は、冷たい空気におおわれます。従って、気温が下がります

 
 温暖前線は暖気が寒気を押すように進む前線です。
 暖気は寒気より軽い(比重が小さい)ので、寒気の上をはい上がるように進みます。その結果、暖気は緩やかな角度で上空に上がるため、層状の雲が広範囲に形成されます。
 雲の厚さは厚くなく、雲の上部で作られた雨粒も大きく成長することなく雲底から離れます。従って、穏やかな雨になります。雲の広がる範囲が広いので、前線が通過するまで長時間にわたり雨が降り続きます。

 温暖前線は、暖気の先端が移動してくる現象なので、温暖前線通過後は、暖かい空気におおわれます。従って、気温が上がります
 停滞前線は、北側から寒気、南側から暖気が侵入し、衝突している状態の前線です。行き場を失った暖気と寒気は上空に移動し、そこに雲を形成します。空気がぶつかり合っているためあまり移動せず、長期間にわたって雨が降り続きます。
 梅雨前線、秋雨前線は停滞前線です。

 
 閉塞前線は、寒冷前線(寒気)が温暖前線(暖気)に追いついて追い越してしまった状態の前線です。上空には雲が残っているため、雨が降りますが、地上は寒気におおわれ、上昇気流が発生しなくなります(空気が安定する)。上昇気流を失った低気圧は、やがて消滅します。

 

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