文化祭1年目
文化祭
2学期が始まって1ヶ月がたとうとしている。
文化系の部活は文化祭に向けての準備が急ピッチで進められている。
科学部もその例外ではないはずなのだが、その様子はいささか他の部とは異なる。
やはり原因は葛飾達夫・・なのだろうか?
その葛飾が、買い出しから戻ってきた。
紐緒「達夫君。あなた、何を買ってきたの?」
横にいた館林も大量の買い込みをみて不思議そうにしている。
館林「お砂糖、ホットケーキの粉、そば粉、片栗粉・・・。これ、何するの?」
葛飾「ん?文化祭のときにでも使おうかと思って。」
紐緒「くだらないわね。まぁ、相変わらずだけど。」
葛飾「ほんとそうなんだよね。ただ、ちょっと思うところがあって。」
紐緒「そう。私は止めはしないわよ。」
そう言うと、紐緒は自分の研究に取り掛かりはじめた。
館林が、葛飾に問い掛ける。
館林「いいの?」
葛飾「なにが?」
館林「紐緒さんに協力してもらわなくって。」
葛飾「だって、これ客引きのために使うだけだよ。」
館林「え、どうやって?」
葛飾「実演するのさ。」
館林「おそばとかつくるのを?」
葛飾「そうだよ。」
館林「なんだかなぁ。」
紐緒「見晴ちゃん、彼はいいだしたら聞かないのよ。ほっときなさい。」
自分の研究を続けていた紐緒が話をまとめてしまった。
館林「そうする。」
そういうと、館林も文化祭の準備に取り掛かった。
〜文化祭当日〜
科学部の前にはなぜか親子連れが多い。
しかし、これこそが葛飾の真意だったのだ。
ひとりの小さな子が葛飾に問い掛ける。
4〜5才くらいだろうか。
こども「ねぇねぇ、なにつくってるの?」
葛飾「おそばとかねー、ホットケーキとかだよー。」
こども「たべたいなぁー。」
葛飾は(”採った!”)という感触をつかみ、
ニヤリとしてそのこどもにはなしかける。
葛飾「やっぱり、たべたいんだ。」
その子がうつむきながら言う。
こども「でも、お金・・・・持ってないんだ。」
葛飾は実演をしていた場所から外に出てきた。
その子のところでしゃがみこんで話を続けた。
葛飾「大丈夫。お金はいらないよ。」
その子の顔が明るくなる。
こども「え、ほんと!?やったー。わーい。Y(^^)Y」
葛飾「で、聞いてちょうだい。」
こども「うん。」
葛飾「まず、この”科学部”っていう看板があるでしょ?」
その子は無言でうなずく。葛飾が続ける。
葛飾「で、中に入るといろんなコーナーがあるのね。」
こども「あそべるの?」
葛飾「うん、そうそう。(^^)そこにお兄さんやお姉さんたちがいるから、それをみるの。」
こども「みてどうするの?」
葛飾「それがおわると、こういう紙にスタンプ押してくれるんだ。」
こども「おしてもらうの?」
葛飾「そうだよ。あ、この紙はそこの入口にあるよ。」
こども「ほんとだ。あれをもらってはいるんだ。」
その子が入口を指差していう。
葛飾「そうそう。で、全部のところをまわってスタンプを押してもらうんだ。」
こども「どうなるの?」
葛飾「出口の近くに休憩所があって、そこでおそばとかが食べられるんだよ。」
こども「じゃぁ、いってくるねー。」
葛飾「またね〜。」
こうして、葛飾は文化祭での作業を着々とこなしていった。
(葛飾はたべものでこどもたちを集め、科学部を見学させてしまうことを目的としたのだ。
なぜこどもたちであるかというと、こどもたちの発展性に期待したからということだったのである。)
〜終了後〜
文化祭が終了したあと、紐緒、館林、葛飾の3人が、文化祭の話をしていた。
3人「おつかれさま。」
館林「それにしても、びっくりしたわ。ああいう手段に出るとはね。」
葛飾「これで、ああいった子たちが科学に興味をもってくれればいいんだよ。」
館林「ふうん。」
葛飾「そうなると、その中に”あの野望”をも興味が出てきたっていう子が出てくるんじゃないかと思ってね。」
紐緒「効率は悪いわね。その集め方だと。」
葛飾「でも、文化祭なんだし、いいんじゃない?」
紐緒「まぁ、経費でおちるしね。」
館林「経済的なんだね。」
葛飾「出店と違って代金とってないから、来た人にも経済的だし。」
館林「でも、前半はおそばとかが多かったのに、なんで後半はホットケーキ中心だったの?」
葛飾(ギクリ)(^^;;)
葛飾「実は・・・、単に疲れてきただけだった。」
紐緒「まぁ、文化祭そのものとしてはわりと成果があったと思うわ。」
葛飾がふうっとひといきついた。
葛飾「それ聞いて安心した。」
かくして文化祭は無事終了した。
この中から”あの野望”に参加したいと願う部下が増えればなんて考えている葛飾であった。
でも、2年目、3年目はどうなるんですかね?
まぁ、変わった文化祭になるのは間違いないのだろうけど。
そうね、かえりましょ。
それじゃ、そろそろかえるわよ。
さぁ、かえるわよ。