このページは、「おたふくかぜ」について説明しています。以下の質問項目から、見てみたいものをクリックしてください。このページの答えの部分にジャンプします。

どんな病気ですか?

どんな症状ですか?

治療とホームケアは?


●どんな病気ですか?● ムンプスウイルスの感染、赤ちゃんには少ない病気です。

Q:「おたふくかぜ」ってどんな病気ですか?

A:正式名は、「流行性耳下腺炎」です。耳下腺が腫れて、しもぶくれの「おたふく」のような顔になるので、そう呼ばれています。唾液などに含まれるムンプスウイルスが飛び散って、口や鼻などについてうつります。

Q:おたふくかぜにかかりやすい年齢はいつ頃ですか?

A:お母さんの免疫が生後7〜8ヵ月ごろまで残っています。感染しても症状がでない不顕性感染が30%ほどあり、発病率はおよそ70%、さらに年齢が小さいほど、症状がでにくいので、ピークは4〜5才ごろです。2歳以下ではまず見られません

Q:おたふくかぜに流行はありますか?はやる季節は?

A:流行性耳下腺炎は麻疹や水痘より感染性は低いです。非常に人口が密集した地域では、1年を通じて発生しますが、冬の終わりから春先にかけて最もよく発生します。流行は、感染しやすい人が人込みの中にいた場合に発生します。

● どんな症状ですか?●耳下腺が腫れ、おたふく顔に。髄膜炎や難聴を引き起こすことも。

Q:おたふくかぜにかかると、どんな症状が出ますか?

A:ウイルスは唾液腺(耳下腺や顎下腺)に感染し、症状は感染してから14〜24日後に始まます。悪寒、頭痛、食欲減退、不快感(倦怠)、中程度の発熱が、片方または両方の唾液腺が腫脹し始める前12〜24時間に、現れることが多いですが、25〜30%の人にはこれらの症状がありません。
 唾液腺感染の最初の症状は、咀嚼時や、飲み込むとき、特に柑橘系の果物ジュースのような、酸性の液体を飲み込むときの痛みで、唾液腺はさわると軟らかい感じです。
耳たぶの下を中心に耳下腺が腫れてきて、2日目ぐらいに最も腫れます。少し触れただけでもとても痛がります。高熱は出ることも出ないこともありますが、長くても3日間ぐらいです。
 両方腫れるのが70%、片方だけが30%、また顎下腺(あごの下)が腫れるのが30%程度です。

Q:どのような経過をたどって治りますか?

A:腫れのピークは3〜4日、その後1週間ぐらいで徐々にひいていきます。普通、片方が腫れて1〜2日以内(4〜5日のことも)に反対側も腫れてきます。年長児ほど症状が強くなる傾向にあります。熱が5日以上続く場合や、赤く腫れる場合は再度受診が必要です。

Q:片方しか腫れなかった場合、もう片方も今後腫れることがありますか?

A:これは非常によく尋ねられます。本症は終生免疫で、ムンプスウイルスによる耳下腺炎の反復はありません。もし同じように腫れることがあれば、それはムンプスウイルス以外のウイルスが原因であり、したがっておたふかぜではありません。何回も耳下腺炎を繰り返す場合、反復性耳下腺炎といって、唾液腺末端拡張症が考えられますので、耳鼻科での検査が必要になることもあります。

Q:後遺症や合併症の心配はありますか?

A:子供は髄膜炎や難聴を合併することがあります。発病して4〜5日後に高熱、嘔吐、頭痛などが見られれば、髄膜炎の可能性があります(2〜5%)。しかし脳炎がなければ、1〜2週間で後遺症もなく治ります。難聴は、不顕性感染でも起こり、片側性のことが多く、発見が遅れ、一度なると一生治りません(10000人に1人の割合)。
 また、発病後1週間ぐらいで、膵臓の炎症である膵炎が生じることがあります。腹痛・悪心・嘔吐の症状はおよそ1週間で消失し、完全に回復しましすが、重症な場合は点滴が必要になることがあります。
 さらに、炎症が多くの他の器官を冒すことがあり、例えば、もし炎症が腎を冒す場合、その患者は大量の薄い尿を放出することがあり、関節炎が一つ以上の関節で痛みを引き起こすこともあります。

Q:ワクチンを打った後、おたふくかぜにかかると、どうなりますか?

A:当院でフォローしている患者さんを見ていると、ワクチン接種後数年の間に、周囲でおたふくかぜが流行したとき、確かに耳下腺が腫れますが、痛みも熱もなく、元気に過ごしています。この段階では、おそらく抗原抗体反応を起こしていて、耳下腺は腫れますが、ムンプスウイルスは増殖していないと考えています。つまり、反復性耳下腺炎に近い状態と考えられ、したがって幼稚園や学校は休む必要がないと判断します(私見)。ただし、ワクチン接種後、何10年も経った場合でも、おたふくかぜを発症しないかどうかは、疑問が残ります。今年(2000年)アメリカ人(成人)がおたふくかぜを発症して、当院を受診しました。アメリカでは、小学校に上がる前に全員おたふくかぜワクチンを接種しているはずです。とすれば、この方はワクチンの恩恵を受けていないと考えねばなりません。つまり子どものときのワクチン接種の効果が大人になるまで、維持できるかどうかは不明だと考えざるを得ないのです。

Q:合併症を防ぐ方法はありますか?

A:予防接種が唯一の方法です。副作用として無菌性髄膜炎がありますが、自然感染して起こる無菌性髄膜炎に比べると軽症で済むし、頻度も100分の1以下です。副作用がゼロではないし、有料なので、受けるかどうかは親御さんの判断です。

Q:大人がおたふくかぜにかかると不妊の原因になるといわれますが…

A:特に思春期後に感染した人で、唾液腺以外の器官に合併症を併発することがあります。合併症は、唾液腺腫脹がある前、ある間、消失後などに発症する可能性があり、唾液腺が影響を受けることなく合併症が起こることもあります。
 思春期後に感染する男性のおよそ20%に片側あるいは両側の精巣に痛みを伴う炎症(精巣炎と呼ばれる状態)が起こります。感染症が治癒すると、冒された精巣は縮小することがあり、稀な例では、精巣が永久的な障害を受けます。もし両方の精巣が障害を受けると、不妊をもたらす可能性がありますが、非常に稀です。女性における片側または両側の卵巣の炎症(卵巣炎)は、もう一つの稀な合併症です。この合併症はわずかな腹痛を引き起こしまが、めったに不妊を引き起こすことはありません

● 治療とホームケアは?● 好きなもので、やわらかなものを食べさせます。

Q:どのような治療を行いますか?

A:特別な治療法はなく、熱があれば解熱剤を、痛みがあれば痛み止めを使います。
 睾丸の腫脹を伴う少年や成人男性は、ベッドで安静にする必要があります。陰嚢の上に脱脂綿を置き、両足の大腿部の間に絆創膏をブリッジ様に張り渡してそれをサポートします。痛みを軽減するために氷のうを用いることもあります。

Q:家で気をつけることは?腫れに対してはどうすれば?

A:腫れがひくまでは他の人にうつす可能性があるので、家で静かにすごしましょう。腫れている部分は冷やすと気持ちがいいですが、治りが早くなるわけではないので、無理にする必要はありません。

Q:食事で注意することはありますか?

A:酸っぱいものやかたいものは控えて、水分補給を十分にしましょう。

Q:お風呂や外出はいつ頃から大丈夫ですか?

A:熱が下がって丸1日たてばお風呂もOK。外出は腫れがひいてから、一般的には発病から10日前後と考えてください。