現代サッカーにおける最強のシステムとは何か?
やや大袈裟です(笑)。
99/11/9
サッカーにおけるシステムというモノは非常に重要で、システムの優劣の差で勝ったり負けたりと言う事が往々にしてある。では優秀なシステムとはどういうモノなのか? チャンピオンズ・リーグのバルサVSフィオ戦でのバルサの強さを目の当たりにし、ファン・ハールの戦術の奥の深さを感じ、このページを作りました。 とりあえず、現在のところ最も完成しているサッカーをしていると言っても過言ではないバルセロナのサッカーについて書いてみますが、サッカーに絶対というモノはありません。バルサも結構コロッと負けてますしね。(そこがサッカーのいいところでもある) 皆さんのご意見も掲載したいと思いますので、何かあったらメールください。 |
ルイス・ファン・ファール(オランダ) アヤックスやバルセロナなどビッククラブの監督を歴任。 彼のサッカーには理想を追いかける信念がある。 しかし好き嫌いが分かれる監督であるという事は確か。 |
VSフィオレンティーナ(チャンピオンズ・リーグ) 基本的には4−3−3のシステム。3トップは山形だがスペイン特有の1トップのスピッツのシステムとも取れる。 両ウイングは前線に張り付いているだけではなく、守備もするので思っているほどMFの負担は多くはない(と思う)。 注目は両サイドバック!二人とも他のチームに行ったら絶対こんな所では使われないだろう。 |
ファン・ハールの基本戦術はボールを支配し、ゲームを支配する事。自分のチームがボールをキープしていれば攻められる事はないし、ゲームを有利に進める事が出来る。要するに攻撃は最大の防御という戦術を実践しようとしているのだ。 理にはかなっているのだがこれを実践することは並大抵ではない。現代サッカーでは攻撃の人数を多少割いてでも守備に徹し、失点を防ごうとする。もちろん点を取って勝ちたいのだが、ハイリスクな事はあまりしない。要するに絶対に負けたくないのだ。 しかしファン・ハールはあえて前述のようなハイリスクだがスペクタクルで見ている方も楽しめるような戦略を用い、しかも良い結果を出している。恐ろしい事である。 |
まずはオフェンス面について考えてみる。 ファン・ハールの戦術で攻撃する時の最大のポイントは、敵にカットされるようなリスキーなパスをしない。前に出せないときは後ろへ。DFラインでボールを回す時、危なくなったらキーパーへ。 当然後ろに戻しているだけでは攻撃ができないので、前へのパスを受けやすくするために、リバウドとフィーゴの両ウイングはサイドラインぎりぎりの位置まで広がって待つというのもポイント。ウイングだけでなくサイドハーフも。 1トップのクライファートはくさびに徹し、真ん中にどんと構えてボールを待つ。サイドに流れるのは両ウイングに任せる。でもファン・ハールは、リバウドとフィーゴの二人にはある程度なら自分の思ったプレーをしても良いという事にしている節がある。特にリバウドはサイドより真ん中が好きらしく、真ん中でのプレーもやや目立つ。まあリバウドクラスのプレイヤーだから許されているのだが。 要するにボールを回す事によって相手の出方を窺い、「出てきたらその裏を取るよ、出てこなかったら好き勝手にボール回して崩すよ」という非常に嫌らしい戦術なのである。 あと特徴的なのはサイドバックの位置に攻撃的な選手を配置しているところだろう。コクーとゼンデンは頻繁にポジションチェンジを行い、相手のDF陣を混乱させる。反対側のルイス・エンリケとR・デブールもそうだ。とにかくこのポジションは流動的で、並大抵のスタミナでは務まらないと言える。 一つ言い忘れていたのだが、攻撃時にこのショートパス戦術を行うためにはFWからDFラインまでの距離がコンパクトになっていないと、一人一人の距離が長くなってしまい、パスが繋がらない。 その為DFラインは攻撃時にはセンターラインまで押し上げ、コンパクトな距離を保つ。そしてサイドバックは常に攻撃参加するため、最終ラインは2人だけという状態になる。どうしてそんなリスキーな事ができるのだろうか?答えは前述したように絶対に相手にボールを渡さないという大前提があるからである。 あとはパスを的確に散らすボランチがいる事も絶対条件。バルサには世界最高峰のボランチといっても過言ではないグラウディオラがそのポジションにおさまり、ゲームをコントロールする。 |
守備に関してはハイリスクな為、優れたCBが2人必要。相性も抜群で、一人はポジショニングに長けていて、危険察知能力が高いDFと、高さがあり屈強なDFというコンビが理想なのではないか? それとDFラインでのボール回し時に危なくなったらすぐキーパーに戻すという事になっているので、足技に長けたGKも必要。今やGKはゴールマウスに張り付いて、ゴールを守れれば良いという時代ではないのである。 守備時にはサイドバックはきちんと戻り4人でラインを形成し、ディフェンスに当たる。リバウド、フィーゴの二人もある程度は戻ってディフェンスをするようだ。でも基本は相手に勢いに乗って攻められる前にガンガンプレスをかけて潰すのが前提としてある。 以上の事をふまえると、彼のサッカーは全員攻撃、全員守備というオランダに古くから伝わるトータル・フットボールを実践しようとしているのである。 そのため一人が一つのポジションを受け持つのではなく、複数のポジションをこなせるユーティリティー性というのが求められ、しかも戦術理解度も高くなくてはならない。まったく大変な話である。 |
これは独断と偏見で考えます。やはりキーパーにはファン・デル・サールを置きたい。キーピングではハッキリ言ってもっと巧い選手はいるが、足技が巧いのでこの戦術にあうだろう。 センターバック候補はF・デブール、ネスタ、テュラム、カンナバーロ、スタムといった所が良いかな?左から巧い→堅いという順。 サイドバックは頭が痛くなるから深く考えないけど、この戦術だと左はロベカルとかが適任のような気がする。 ボランチはバランス感覚があって、ミスをしない選手を選ばなくてはいけないので、必然的にグラウディオラ、レドンドといった所が挙がる。アルメイダとかも渋い。暴走機関車よりはエレガントなボランチが良さそうだ。 前のポジションは一杯いすぎて数人挙げるだけでは気がすまないんだけど、ユーティリティ性のある選手じゃないとだめ。コクー、ルイス・エンリケはまさに適任。ゲオルガトス、ベッカムという左右も良いかも。 前の3人は個々の特徴も違うし、最高の組み合わせの一つと言う事は間違いない。でも1トップは圧倒的にビエリを押す。渋いドコロではクレスポ。 フィーゴと同じようなタイプを探すとシェフチェンコ、ややスケールは落ちるがインザーギといった所か。あえてオーフェルマルスみたいな選手を置くのも手である。 リバウドの所はカヌ、ラウル等が思い当たる。それにしても豪華なメンツだ(笑)。 以上はあくまでも、ファン・ハールのフォーメーションに当てはめた場合なので悪しからず。 |
ここまで書いて言うのもなんですが、ハッキリ言ってサッカーのフォーメションというのは水物です。自分が小学生の頃は4−3−3でサッカーをやってましたし。 古くはWMシステムとか2−3−5とかがあり、1994年のアメリカワールドカップでは4−4−2のダブル・ボランチのシステムが大流行でした。でも今は3バックが流行っています。しかし未だに4−4−2のダブル・ボランチで成功しているチームもあります。(例えばマンチェスターなど) 要するに監督と言うのは、チームにいる選手のプレースタイルなど様々な要素を考えて、一番チームに適合する戦術を見つけなくてはいけないわけです。なんて大変な職業なのでしょうか。でもメチャクチャやりがいあるんでしょうね。 |
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