その他



  1. むくみ
  2. 熱中症
  3. 帯状疱疹
  4. 腰部脊柱管狭窄症
  5. SARS(重症急性呼吸器症候群)
  6. 低髄液圧症候群
  7. 顔面神経麻痺          





















1.むくみ(浮腫)
 最近むくみのある方が増えた様な気がします。そこで、今回むくみについて少し説明します。  

体内の細胞の間の組織が通常よりも多めの水を含んでいる状態です。身体は沢山の水を含んでいます。体重の約三分の二は水なのです。はれぼったく、水ぶくれのように感じるむくみの中身はこの水なのです。その水の多くは細胞の中にありますが、血液にも含まれ、細胞と細胞の間のクッションとなる組織にも含まれています(組織液と言います)。これらの水は身体の調整機構によって、それぞれ一定に保たれていますが、何かの病気で血管の内圧が非常に高くなったり、血液成分が変化して浸透圧が低くなったり、血管が痛んで弱くなったりすると、血管から水分が漏れ出て組織液が異常に増えることがあります。それが、むくみなのです。しかし、むくみのすべてが病気から起こるというわけではありません。例えば、一日中立ち仕事をして足がむくむのは、健康な人でもよく起こることです。これは重力によって組織液が下の方へと集まったからなのです。つまり、身体の中で組織液の分布が変わっただけで、組織液が増えたわけではありません。時間がたてば自然に治る、心配の無いむくみです。

 むくみを自分でチェックするには、むこうずね、つまり、すねの前面の内側を指で押します。指のあとがへこんで残るようなら、むくみです。

 それでは、悪いむくみとはどのようなものでしょうか。一つの目安になるのは、体重の増加を伴なうかどうかです。異常に組織液が増えるとその分体重が増えるのです。

 他の症状がある時や、立ち仕事など、むくみの原因に心当たりが無いのに、いつもむくんでいるという場合は、腎臓、心臓、肝臓、内分泌などの病気が隠れている可能性があります。

【顔のむくみ】
腎性浮腫(急性腎炎、慢性腎不全、ネフローゼ症候群)  急性腎炎では主にまぶたのまわりにむくみがみられます。日本人ではまぶたに皮下脂肪がついているため、眼球が眼窩へ落ち込まず、顔のむくみがまぶたにみられやすいとされています。慢性腎不全やネフローゼ症候群ではまぶたのみならず、顔全体にむくみがみられ、特に慢性腎不全では顔色が少し黒ずんでみえます。
内分泌性浮腫(粘液水腫、クッシング症候群)  甲状腺機能の低下によってみられる粘液水腫のむくみは顔全体がはれぼったくみえ、眉毛は全体に薄くなり特に外側三分の一が脱落します。このむくみは全身性にあらわれますが、圧迫しても元に戻る様なむくみです。クッシング症候群でも顔にむくみが現われますが、これは粘液水腫とは異なり、顔が月のように膨らみ(満月様願望)、皮膚が艶やかになります。このむくみも全身性にあらわれます。
アレルギー性のむくみ(アレルギー性浮腫)  このむくみは数分から数時間見られ、すぐに消失します。そのため、外来で観察されることは少ないとされています。このむくみは顔、手足、陰部、そして口や気道の粘膜にみられます。

【全身のむくみ】
心性浮腫  このむくみは引力の方向にはっきりとあらわれ、立位の場合には下肢に、仰臥位の場合は背中にあらわれます。初期には左足のみに認められますが、徐々に両足、全身性にみられるようになり、さらに進行すると腹水や胸水が溜まるようになります。
肝性のむくみ(肝性浮腫)  肝硬変などでむくみが見られます。腹水が溜まる前兆として最初左足にむくみがみられます。
低栄養性のむくみ(栄養性浮腫)  高齢者が体調を崩したときに起こりやすく、低蛋白血症になり全身性のむくみがみられます。
薬剤性のむくみ(薬剤起因性浮腫)  非ステロイド性解熱鎮痛剤を連用していると、顔面から全身のむくみがみられます。またカルシウム拮抗剤でも足のむくみが認められます。

【足のむくみ】
血栓性静脈炎  下肢の大きな静脈が詰まると足が赤く腫れて来ます。痛みもあり、片側が多いので区別はつきます。
リンパ性のむくみ(リンパ性浮腫と静脈性のむくみ)  現在では少なくなりましたが、フィラリアによるもので足などにむくみがみられます。その他には、20才前後に多く、片足にむくみが見られる原発性リンパ性浮腫があります。この原因はわかっていません。
原因不明のむくみ(特発性浮腫)  女性によく見られるむくみです。足や首にあらわれ、その変動が大きく、原因が明確でないため特発性浮腫と呼ばれています。
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