Drive AKIRA SIDE

Drive 2


行き先はナイショな。

出発する前に進藤は、いたずらっぽい顔でボクにそう言った。
そう言われてしまうと余計な事が言えない。ボクはおとなしく目的地まで行くつもりで助手席に乗り込んだ。
進藤の運転はそつなく上手だと思う。危ないと思うような場面はまるでなかったし、動作の一つ一つが手慣れた風だった。
免許を取ったあと、かなりの回数練習のために車に乗っていたのかも知れない。


むしろ緒方さんの方が平気でアクセルを踏み込んだりする。都心ではまだ抑制がきいているが郊外を走る時はとても危険だ。 たまたま乗り合わせた時、命が幾つあっても足りないと思うような経験をボクはしている。
そういう困った先輩をわざわざ引き合いに出さずとも、進藤の運転には安定感があり、ボクは落ち着いて座っていられたのだ。


ドライブ中は運転者のストレスにならない程度の会話をしようと思っていたのだが、むしろ進藤の方から色々と話題を振ってくれた。
進藤は話がなかなか上手い、教習中のエピソードを面白おかしく語って聞かせてくれたりして、ボクは随分進藤に笑わされてしまった。


途中でコンビニエンスストアに寄り進藤は二人分の飲み物を、ボクも必要と思われる物をいくつか買った。 しばらく走ったあたりで先ほど購入した物の中のひとつを取りだし、進藤に声をかけた。

「進藤、口あけて。」

「 …? 」

素直に大きく口を開けた進藤を鳥の雛みたいだなと思いながら、ドロップを一粒指でつまみ彼の口の中に放り込む。

「わっ!!」

「甘いだろ?」

「イキナリ口に入れるなよ。」

「ちゃんと断ったじゃないか。」

「あれが断ったうちに入るかよ……あっこれ…なんかスゲー懐かしい味だな。
さっきのコンビニで買ったの?」


ボクはそうだよと手にした古風なデザインの缶をカチャカチャ鳴らしてみせた。 運転はけっこう疲れるものだから、甘いものを摂った方が良いよ。こういう古風なドロップの方が長保ちするし、気分転換にもなる。でも嫌いだったかな、と謝ったら、 いや、嫌いってわけじゃなくて突然だったからちょっとびっくりした、でも旨い、と穏やかな笑い声で返された。


一応は和やかかつ平穏に車の旅は続づいていたのだが、郊外に出たあたりからどうも進藤の様子がおかしくなりだした。


先ほどまで滑らかだった口が閉ざされ、妙な沈黙が続く。


表情も硬い。


ボク達の乗った車は交差点へ近づきつつあった。
進藤はウィンカーを上げると左側端へ寄り、そのまま交差点に進入して左折をした。


…………


左折?


また?


…というかこの道…


…………




「…進藤、ちょっと聞いても良いか ?」

「なっ何 ?」


声のトーンが妙に高い。


「行き先は内緒だって言うから、黙っていたんだけど…
この道さっきも通ったんじゃないのか ? !」

「…………」

「進藤 ! !」

「う……うん。ちょっと…曲がるトコ違えて…
だ…だんだんわかんなくなって…きちゃって…」


しどろもどろだ…
ああ…迷ったんだな、キミは!!

相変わらずだな進藤。

……そうだよ、キミは地図を書いてやっても迷う奴だったんだ。
内心深くため息をつき、質問もつい詰問するようにきつくなる。


「わからないままで、走っていたっていうのか !」

「うっさいなあ ! ! ナントカするよっ ! !」


気まずさと開き直りから言葉の段々荒くなってくる進藤と、進藤相手だとなぜか絡んでしまう、ボクのまずい対応のせいで車内は喧噪状態に陥った。

こうなったらどこかで切るしかないじゃないか。




大きく息を吸い、ありったけの大声でボクは怒鳴った。


「車をとめろ! ! 地図を貸せっ ! ! 」










Drive.2
2003.02.08.up
Sentence Sayumi-Watayuki
関東の地理がまったくわかりませ〜ん。
そういう事を何も知らずに
Driveなどというお話を書いています。
2人が走っている場所はドコ?という突っ込みはナシで…
(きっと此処は架空の場所なの…)お願いします^^;