どんな病気? 原因は? 症状は? 合併症は? 治療は? お家ではどうする?
予防するには? 水痘と帯状疱疹
水痘(水疱瘡)ウイルスに感染して起こり、発熱と全身に強いかゆみを伴う発疹が特徴の感染症。水痘にかからない子供はほとんどいないといわれるほど子供にはよく見られる病気。 一般に小さいうちにかかると軽く済むので、乳児期の水痘はそれほど心配はいらないが、発疹のかゆみが強いので赤ちゃんにとってはつらい病気といえます。 水痘ワクチンの接種によって感染を防ぐことができます。 10歳ごろまでの子供によく見られる病気だが、最もかかりやすいのは1〜4歳の子供。生後間もない赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫があるのでほとんどかからないが、まれに生後1ヶ月過ぎの赤ちゃんがかかることがあります。小さい時期にかかった場合一般的に熱もそれほど高くなく発疹の数も少なくて済むことが多いが、年齢が上がるにしたがって、熱も高く、発疹も多くなる傾向がある。子供のときに感染を免れ、大人になってから感染するとかなり重症になり、発疹のあとが残ることもある。 妊娠中に水痘ウイルスに感染するとまれに胎児に影響することがある。したがって水痘にかかったことのない妊婦さんが水痘の子に接触した場合はすぐに産婦人科医に相談してください。 水痘は一度かかると免疫ができるため二度と感染することはない。 11月から7月の冬から初夏にかけて流行し夏にはあまり見られない。
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水痘にかかった子供の咳やくしゃみからウイルスが飛び散って広がる(=飛沫感染)ほか、水疱(水ぶくれ)の中にウイルスが入っているので、つぶれた水疱から出た液を通して(=接触感染)感染することもある。 水痘のウイルスの感染力は非常に強く、兄弟の1人が感染すると、90%以上の確立での頃に兄弟にも移るとされている。保育園や幼稚園などでも集団発生することもよくある。 水痘ウイルスに感染するとほとんどの子供は水痘を発症する。 感染から発症までの期間は2〜3週間。発疹が現れる1〜2日前からすべての発疹がかさぶたになるまでの期間感染力がある。 |
ごくまれに「脳炎」や「髄膜炎」を起こすことがある。 発疹が出始めて1週間以内に「頭痛・高熱・けいれん」などの症状が見られる場合は脳炎が疑われます。水痘による脳炎の場合は適切な治療により後遺症もなく完全に治ることがほとんどです。 |
かゆみを抑え、水疱をすばやく乾かす薬が処方される。 ふつう水痘は特別な治療をしなくても自然に治りますが、痒いが強く赤ちゃんにはつらい病気なので、かゆみを抑え、すばやく水疱を乾燥させる外用薬(軟膏)のほかに、かゆみを抑える「抗ヒスタミン剤」や水疱をかきむしったところから細菌感染しないように「抗生物質」の飲み薬が処方されることがある。 抗ウイルス薬 発症してからはい時期であれば「アシクロビル(商品名:ゾビラックス)」という抗ウイルス薬が使われることがある。 「アシクロビル(商品名:ゾビラックス)」は、ウイルスが体内で増殖しないように作用する薬。感染の早い時期に服用すると発疹や水疱の数が少なく済むので症状が軽くなり、治りも早くなります。ただし、すでにたくさんの水疱やかさぶたができている場合は「アシクロビル」を使っても効果はあまり期待できない。 「アシクロビル(商品名:ゾビラックス)」は新しい治療薬なので(10数年前は点滴しかなかった)すべての医療機関で使われているとは限りません。 受診した医療機関でほかの子に移す危険があるので、水痘が疑われるときは一般の待合室に入らないように!事前に発疹などの様子を電話などで伝えて、医療機関の指示に従ってください。 |
かゆみへの対処 水疱を掻き崩すとそこから細菌感染を起こし化膿し痕が残ることがあるので、処方された薬を正しく使ってかゆみを抑えましょう。 外用薬(塗り薬)を付けるときは、水疱を破らないように注意し、一つ一つの発疹や水疱に丁寧に塗る。破れた水疱から出た液が手などにつくと、二次感染を起こすことがあるので綿棒を使うといいでしょう。 薬を薬を塗った後は手をきれいに洗ってください。 掻き壊さないために、子供のつめも短く切っておきましょう。嫌がらなければ手袋をはめるのもいい方法です。 子供の手にも水疱の液がつき感染を広げる恐れがあるので、こまめに手を洗うようにしましょう。 熱への対処(保健室〜症状編〜発熱もあわせてご覧ください) 水痘の熱はそれほど高くなく、熱があっても比較的元気なことが多いです。しかし熱の出ている間は新しい発疹が次々と出てくる時期なので、できるだけ静かに過ごし、体力を落とさないようにしましょう。 「水分をこまめに取り脱水を予防する」「熱がこもらないように注意する」など発熱時のケアを心がけましょう。 現在小児の解熱剤にはアスピリンはほとんど使用されていませんが、水痘やインフルエンザの場合、アスピリン入りの解熱剤を使うと、激しい嘔吐や意識障害などを伴う「ライ症候群」を起こすという報告があります。自宅にある解熱剤がどんなものか不明なときは使わずに受診してください。(雑学〜インフルエンザと解熱剤〜も参考にしてください) 食事 食欲があれば何でも食べてかまいませんが、口の中に発疹があって痛む場合は、喉越しのよい、ヨーグルトやゼリー、うどんなど、飲み込みやすい物がいいでしょう。 清潔を保つ 水疱がかさぶたになるまでは入浴は控えます。ただしお尻や外陰部にできた水疱は破れてもかさぶたになりにくいので、不潔になりやすい。お尻だけはシャワーで洗い流しきれいにしてあげましょう。 水疱がつぶれると衣類や寝具が汚れます。下着やパジャマはこまめに着替え、シーツや枕カバーも取り替えましょう。洗濯はふつうにしてもかまいません。気になるようでしたら、病気の子のものは別に洗うといいでしょう。 周囲への感染を防ぐ 水疱がある間はほかの人への感染力を持っています。すべての水疱がかさぶたになるまでは登園、外出は控えましょう。(幼稚園学校などはすべての水疱がかさぶたになるまで出席停止です) 破れたり、つぶれた水疱からもほかの人に移す可能性があるので、手をよく洗いましょう。 合併症に注意! 「水疱が化膿してきた」「4〜5日してもかさぶたにならない」などのときはもう一度受診しましょう。 「高熱が続く」「けいれんを起こした」などのときは合併症を起こしている可能性もあるので至急受診しましょう。 |
水痘の子と接触してから3日以内にワクチンを接種すれば予防することができる。しかし、100%ではない。 水痘を予防するには、「水痘ワクチン」の予防接種を受けることです。副反応がほとんどなく安全性の高いワクチンとされ、「受けておいたほうがいい」とされる任意接種の一つで、1歳から受けることができます。費用は自費。 しかし、免疫を作る力があまり強くないため、予防接種を受けていても1〜2割程度の赤ちゃんは、水痘に自然感染することがあります。その場合でも症状は軽く済みます。 アトピー性皮膚炎などの皮膚の弱い子は水痘にかかると皮膚症状が重くなることがあるので水痘ワクチンを受けておくとよいでしょう。 ネフローゼや白血病などの病気治療で、副腎皮質ホルモンを常用し、免疫力が低下している赤ちゃんが水痘にかかると重症になります。これらの治療を始める前に必ず水痘ワクチンを接種しておくようにしましょう。 |
水痘ウイルスに感染すると、ほとんど水痘を発症します。水痘は治りますが、治った後もウイルスは体の神経節と言うとことに潜んで生き延びています。過労などで免疫力が落ちたときにウイルスが再び活動を始めると、胸や背中、顔などの神経にそって痛みを伴う発疹や水疱が帯状に現れます。これを「帯状疱疹(タイジョウホウシン)」と言います。 一般にお年寄りに多い病気ですが、若い人や子供でもまれに発症することがあります。 感染力は弱いですが、家族が帯状疱疹になったとき、その水疱液からウイルスが感染すると水痘になったことのない赤ちゃんは水痘を発症する事もあります。 治療は「抗ウイルス薬」を服用します。冷えると痛みが増すので暖めるとよいでしょう。まれに発疹や水疱は治っても神経の痛みが残ることがあります。
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