Der Weg
nach Bayreuth 03-5 セリフの暗記
新国立は舞台両袖に字幕がありますし、ウィーンのシュターツオーパも各座席の前に
小さな字幕掲示板があります。(ただし日本語は無し)バイロイトは字幕などないので
事前にかなり勉強しなくちゃいけません。ただ、単に対訳リブレットを読むだけでは
頭に入りませんね。それで8月の音楽祭まで8カ月あるので、私は持っているスコア
にセリフの日本語訳を全部書き込むことにしました。セリフは赤いボールペン、ト書
きは青いボールペンで。ところがこれが結構手間のかかる作業で、ひとつの演目で約
1か月はかかりました。ライン⇒ワルキューレ⇒ジークフリート⇒黄昏⇒トリスタン
と進めていってすべてが完成したのが5月末でした。日本語訳は日本ワーグナー協会
監修のものを使いました。おかげさまで、けっこうドイツ語の単語を覚えました。
ドーバー社のスコアは今から25年も前に渋谷のヤマハで買ったのですが、今回初めて
役に立ちました。そのほかには寺山修二他訳の「ニーベルンゲンの指環」全4巻。これ
は最初のラインゴールドのみ寺山修二が訳して、そのあと彼が亡くなってしまったので、
高橋康也氏が後を引き継いで完成させたものです。寺山の訳は非常に文学的で、冒頭の
ラインの乙女の歌を「この世の果ての揺り籠へ流れておいきちぎれ雲…」と訳したのは
有名ですね。アーサーラッカムの挿絵も秀逸で非常に価値のあるシリーズといえます。
私の指環のイメージはこのアーサーラッカムが基本ですね。
あと妻が持っていた里中満智子の描いた漫画版の指環も面白かったです。
里中満智子は基本少女マンガなのでイメージがちょっとという感じですね。
特にアルベリヒとかミーメとかハーゲンとかが普通の人でちっともおどろおどろしく
ないのが残念でした。指環を漫画にするのであれば私はぜひバガボンドの井上雄彦に
描いてもらいたいですね。ちなみにローエングリンを漫画にするのなら、私の一押し
はさくらももこ。ぜひ代表作の「コジコジ」のキャラクターでローエングリンを描い
てもらいたいですね。ナゾ怪人のスージーをオルトルートに、ハインリッヒ王はゲラン
とか、ぴったりだと思いますが…
あとは、お薦めするとしたらこの2冊です。知の再発見双書はカラー図版がとても
きれいで、非常にいい本だと思います。