Der Weg nach Bayreuth  06 トリスタンとイゾルデ

 

バイロイト3日目 8月9日火曜日。

この日は前日と打って変わってどんよりとした曇り空で、肌寒い天気です。半袖だと寒いですが

ジャケットを羽織るとすこし暑い中途半端な気温です。本日は駅をはさんだ反対側で開催されて

いるバイロイト園芸展示会という催しに行ってきました。駅前から無料のシャトルバスが出てい

て走ること10分ほどで入り口に到着です。先生らしき人に引率された多数の子供たちでけっこう

会場は盛況でした。入場料は€16.00でけっこう高いですね。会場はかなり広くて一周するのに1

間弱かかります。野外ステージなどもあって、この日は何もやっていませんでしたが、コンサート

などもやるようです。突然土砂降りの雨が降ってきたので大きな温室の中に避難したら、日本の草木

の展示がありました。作品名が日本語で書いてありました。雨がやみそうもないので、早めに会場を

後にしました。昼寝して本日は指環はお休みでトリスタンです。

 

(屋外ステージ 河沿いの遊休地を利用した会場 10月まで開催)

 

さて、バイロイトに来て思ったのが日本人がやたら多いこと。たぶん100人は軽く超えていると思います。

中でも団体で来ているグループが2つはありました。群れて日本語で大声で喋ってるから目立つんですよね。

それでトリスタンはお隣が日本人でした。ご夫婦で来ていて奥様は並びではなくひとつ後ろの列にいらっ

しゃいました。お話しを伺うとたいへんなオペラ通で、バイロイトは初めてらしいですが、いろいろと歌手

の名前に詳しかったです。その方は申し込んで5年でチケットが取れたとのことでした。バイロイトは国別

に枠とか設けているのですかね?1950が定員なので、日本人が仮に100名とすると、ドイツ900、欧露450

北米450、その他50とか。指環が3クールとその他2クールとして日本人が500名。仮に6年に一度チケット

が取れるとして500×6=3000名が常時申し込んでいる人ですかね?それでそのお隣さんも8年待ちって聞い

ていたので、こんなに早く来られるなんて思いませんでしたと仰っていました。

 

 

さて、カタリーナワーグナー女史演出、ティーレマン指揮の「トリスタンとイゾルデ」ですが、演出の

特徴は次の3つに尽きますね。

 

○ 惚れ薬を飲まないで捨てちゃう

○ マルケ王がかなり陰険

○ 愛の死でイゾルデが死なない

 

上の写真は第1幕のセットです。2人がいる渡り廊下みたいなのがエレベーターみたいに上下します。

花嫁衣裳らしき白い服をビリビリに破っていく演技が面白かったです。音楽的にはペトララングが圧巻。

特に第1幕は芝居も歌唱もど迫力でした。ラングは新国立で5月にやったオルトルートも凄かったですね。

完全に主役を食っていました。下の写真は第3幕の一場面。紗幕を効果的に使った幻想的な舞台でした。

最後にイゾルデが死なないで、マルケ王に連れていかれるという演出はよくわかりませんでしたが…

音楽的には前奏曲の最初のコンバスのPizzがインパクトがなくて残念。あと1幕の終結部分のバンダが

軽くdimするのが趣味に合いませんでした。ここはスコアでは特に指示なしですね。

カタリーナ女史は単なる親の七光りなのか、大変な才能の持ち主なのか全くわかりません。私も金融機関で

何ヵ店も支店長をやった経験からわかりますが、直系にこだわって事業継承するとろくな結果になりませんね。

いくつかの経営的なチャレンジは面白いと思いますが、舞台づくりは根幹に関わる事項なので伝統を軽視せず

に多くの人から支持されるバイロイトにしてほしいですね。若くして組織のトップに立つというリスクは相当

なものだということを本人も周囲も認識すべきですね。8年待ちが5年でチケットが取れるようになったとい

うのも、経営上の重要なサインと考えるべきでしょう。

 

(左からマルケ、水夫、牧人、メロート、ブランゲーネ、トリスタン、イゾルデ、ティーレマン)

帰ってきてから気づいたのですがクルヴェナールがいませんね。体調不良でしょうか?

 

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