species (種) species は単数、複数同形の名詞で、生物学上の「種」を表す。「ひとつの種」はa species、「多くの種」は many species。種とは、分類上最下位の単位で、お互いの交配が可能なグループのこと。 とは言え、わかりにくいので、homo species 「ヒトの種」を例に取りたい。「ヒト」とは人間の生物学上の標準和名である。生物学上の種として人類を言う時はカタカナで「ヒト」と表すことが多い。 「ヒト」とは、広義にはヒト亜族に属する動物の総称であり、狭義には「現生人類」(ラテン語で「ホモサピエンス、「賢い人」という意味)を指す。現生人類は、ヒト科、ヒト亜科、ヒト族、ヒト属(genus)、サピエンス種、サピエンスとなる。 ヒト科には、猿人(アウストラロピテクスなど、ルーシーが有名)、原人(ホモエレクトスともいう、北京原人、ジャワ原人など)、旧人(ネアンデルタール人など)、新人(ホモサピエンス、最初の現生人類はクロマニョン人)がいる。旧人と新人は亜種は違うが、種としては同じで、交配可能だった。 320万年前、アフリカの東部エチオピアで、人類の祖先と言われる、二足歩行していた猿人の骨が発掘され、ルーシーと名付けられた。今、世界中にいる人類は皆、この女性の猿人、ルーシーたちの子孫である。ルーシーたち猿人は、やがてホモサピエンスに進化した。 10万年前、地球上には、ホモサピエンスだけでなく、様々なヒトの種 (different human species) がいた。ホモサピエンスは東アフリカのタンザニア付近に住んでいたが、ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)はヨーロッパに、ホモ・エレクトスはアジアに、ホモ・ソロエンシスはジャバ島に住んでいた。 現代ヨーロッパ人が、祖先であるネアンデルタール人の遺伝子をほとんど含んでいないのは大きな謎で、他の人種との交配が進んでいたのかもしれない。 約7万年前、ホモサピエンスは認知革命を行って他の種を追いやり、東アフリカから地球全土に広がった(『サピエンス全史』ユバル・ノア・ハラリ著)。 ホモサピエンスはアフリカを出て、世界中に広がった。1万3,000年前には南アメリカに到達したと言われる。 霊長類(primate) とは、「動物の首長たるもの」、生き物の中で「超」(第一位の位置にいるもの)という意味。ヒトや類人猿(チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、ボノボ)、サルなどは霊長類に属する。サル以外では、ワオキツネザルも霊長類。 ヒト上科は、テナガザル科(小型類人猿)、オランウータン科(大型類人猿)、ヒト科に分かれる。 「類人猿」は一般的には人類以外のヒト上科に属する種を指す。 ヒトはサルから進化したのではなく、サルとヒトの共通の祖先から、現在のサルとヒトへ分化した。ドリオピテクス群の一派は現生の大型類人猿(ゴリラ、チンパンジー)への道を辿り、別の一派が人類への道を辿ったと言われる。 ゴリラ、チンパンジー、ヒトの共通祖先はアフリカに住んでいた。人類の祖先も類人猿の一種に過ぎなかったが、二足歩行→両手が使える→道具が作れるという進化を遂げた。霊長類進化の系統樹を見ると、3000万年以上前にサルから類人猿が分岐。700万年前にヒトがチンパンジーから分岐、300万年前にアウストラロピテクス(猿人)、170万年前にホモエレクトス(直立して歩く人)、100万年前にホモサピエンス、10万年前にネアンデルタール人(6万年前頃絶滅)、6万年前にクロマニョン人が出現。ホモサピエンスとホモエレクトスの共通祖先が分岐したのは、20万〜180万年前という説もある。 DNA構造では、サルと類人猿のDNAは7%の違いがある。類人猿の中でヒトと最も近い種、チンパンジー(コモンチンパンジーとボノボ)とヒトとのDNA差は1.6%しかない。このたった1.6%の差に、喉頭と舌の構造の突然変異があり、言語への道が拓かれた。 これこそがスピーシーズ <今日の単語> endangered species 絶滅危惧種 / human species 人類 |