(1) The eyes of the world will be on Russia through July 15 for the World
Cup. But it is in another altogether completely different location where
the sport's beating heart can be felt most strongly: on the war-ravaged
streets and in poverty-stricken slums where the simple act of scoring a
goal transcends the grind of everyday life.
The eyes of the world will be on Russia through July 15 for the World Cup.
「7月15日まで、世界中の目が、ワールドカップの開催地であるロシアに注がれることだろう」。
through〜は「〜までずっと」という意味の前置詞です。
But it is in another altogether completely different location where the
sport's beating heart can be felt more strongly 「しかし、そこは、全く違った場所でありながら、このスポーツの興奮がどこよりも強烈に伝わってくる」が直訳。
beating heart は直訳すると「鼓動する心臓」、つまり「心臓の鼓動」のことですが、ここでは「興奮」「胸のときめき」という意味でしょう。
: on the war-ravaged streets and in poverty-stricken slums where the simple
act of scoring a goal transcends the grind of everyday life. 「紛争地や貧民街では、ゴールを決めるという単純な行為が日々の生活の苦労を超越する」。
「ゴールを決めるという単純な行為が日々の生活の苦労を超越する」は「ただゴールを決めるだけで、日々の生活の苦労が吹っ飛ぶ」の方がわかりやすいかも。
全部まとめて、「そことはかけ離れていながら、このスポーツの興奮がどこよりも強烈に伝わってくる場所がある。それは紛争地や貧民街だ。そこでは、ただゴールを決めるだけで、日々の生活の苦労が吹っ飛ぶ」として、読みやすくしました。
(2) For every goal celebrated by the 32 teams at the quadrennial gathering of soccer's superstars, thousands more will be scored on makeshift pitches in Yemen, Somalia, Gaza and beyond.
For every goal celebrated by the 32 teams at the quadrennial gathering
of soccer's supersters, 「サッカーのスーパースターたちが4年に1度集う祭典で、32のチームに祝福されたそれぞれのゴールに対して」が直訳。
「サッカーのスーパースターたちが4年に一度集う祭典では」は「4年に1度開催されるサッカーのスーパースターたちの祭典では」に変えました。「4年に1度」を文頭に持ってきた方がわかりやすい気がしました。
For every goal celebrated by the 32 teams 「32のチームに祝福されたそれぞれのゴールに対して」の celebrate
の訳を考えました。辞書には「祝福する」という意味が載っていますが、日本語として不自然です。もっと他に表現はないものか。よって、ゴールが決まって大歓声が沸き上がっているのだろうと想像し、「32のチームがそれぞれゴールを決めて大歓声が沸き上がるたびに」としました。
thousands more will be scored on makeshift pitches in Yemen, Somalia, Gaza
and beyond. 「イエメン、ソマリア、ガザなどにある間に合わせのグランドでも、さらに数千本のゴールが決められている」。
ここは難しかったです。「ワールドカップで決められたそれぞれのゴールにつき、さらに数千ものゴールが決められている」とは、ワールドカップでゴールが決まっている時、別の場所でも、数千カ所でサッカーが行われ、数千本のゴールが決められているということだろうと解釈しました。
よって、「32のチームがそれぞれゴールを決めて嵐のような歓声が沸き上がっている間、イエメン、ソマリア、ガザなどにある間に合わせのグランドでも、ワールドカップのゴールが1本決まるごとに、さらに数千本のゴールが決まっている」としました。
千田さんは、ここの箇所を、すっきりとまとめられています。
それにしても「数千本」とは、ものすごい数です。最初、読んだ時は、地球上の数千の紛争地や貧民街でサッカーをしているのか、そんなにたくさん?と疑問に思いましたが、thousands
には「非常に多くの数」という意味もあります。多分、そっちの意味、つまり「非常に多くの数」という意味だろうと解釈しました。よって、「数千本の」を「途方もない数の」に変えました。
(3) They will not be recorded for posterity and replayed thousands of times
over. But they will not be forgotten, and the scorer, for a few minutes
at least, can dream of being a hero.
文頭の They は goals のこと。They will not be recorded for posterity and replayed
thousands of times over. 「ここでゴールを決めても、後世のために記録されるわけでもないし、何度も繰り返し再放送されるわけでもない」。
「後世のために記録される」は、聞き慣れた表現の「後世にまで語り継がれる」としました。
But they will not be forgotten, 直訳すると「(決められた)ゴールは忘れられないだろう」ですが、「ゴールを決めたことは忘れられない体験になるだろう」としました。
and the scorer, for a few minutes at least, can dream of being a hero.「そして、ゴールを決めた選手は、数分間だけでも、自分がヒーローになった夢を見ることができる」。
(4) "My favorite player is (Argentina's Lionel) Messi. When I score
a goal I feel happy and successful, and I'm pleased that my teammates are
also happy with me," 14-year-old Mohammed Ali Kargbo said after scoring
a goal in Freetown, Sierra Leone.
My favorite player is (Argentina's Lionel) Messi. 「(アルゼンチンのリオネル)メッシが大好きな選手なんだ」。
When I score a goal I feel happy and successful 「ゴールを決めた時は、嬉しくて、やったぜという気分になる」。
and I'm pleased that my teammates are also happy with me,「それにチームのみんなも喜んでくれるから、よけいぼくも嬉しくなる」。
14-year-old Mohammed Ali Kargbo said after scoring a goal in Freetown,
Sierra Leone. 「14歳のモハメド・アリ・カーボ君は、シエラレオネのフリータウンでゴールを決めた後、こう語った」。
■ 千田良一さんの訳
7月15日まで、世界の目は、ワールドカップが行われるロシアに注がれるだろう。しかし、サッカーというスポーツの鼓動を最も強く感じられるのは、それとはまったく違う対極にある場所・・・戦争で荒らされた通り、貧困に打ちひしがれたスラム街の片隅で、ゴールするという単純な行為が日々の苦悩に勝るのだ。
サッカー界のスーパースターたちが四年に一度、相集い、その32チームによる祝福される一つ一つのゴールに対して、数千本以上のゴールがイエメンやソマリア、ガザやその他、諸々の場所で、間に合わせのピッチ上で生まれている。
それらのゴールは、後世の人々の記憶に残らないだろうし、何千回も繰り返し再生されもしないだろう。だが、忘れられることはない。そのゴールを奪った者は、少なくても数分間ヒーローであることを夢見ることができる。
「僕の好きな選手は(アルゼンチンのリオネル)メッシ。僕は、ゴールするとうれしくてやったーという気持ちになるし、チームメートも一緒に喜んでくれるんだ」と、14歳のモハメド・アリ・カーボ少年が、シエラ・レオネのフリータウンで、ゴールを決めた後、話をしてくれた。
[千田さんのコメント]
上記掲載。 |