(1) Best-selling Japanese author Haruki Murakami, hosting a special radio
show featuring some of his favorite songs that he runs to, says writing
novels is about rhythm, as in music and running.
Best-selling Japanese author Haruki Murakami, 「日本人のベストセラー作家、村上春樹氏は」。
hosting a special radio show featuring some of his favorite songs that he runs to, 走っている時に好んで聴く音楽数曲を紹介するラジオの特別番組の司会をし」。
run は「走る」ですが、カタカナの「ランニングする」でも軽快さが出ていいと思います。村上氏自身が「走る」という言い方をされているので、ここでは「走る」で統一しました。
host は「ラジオやテレビ番組の司会をする」という意味ですが、ここでは「ディスクジョッキーを務める」「DJを務める」でもいいと思います。音楽をかけながら番組を進行しているので。
語順を変え、「自らがディスクジョッキーを務めるラジオの特別番組の中で、走っている時に好んで聴く音楽数曲を紹介し」と、読みやすくしました。
says writing novels is about rhythm, as in music and running. 「小説を書くことはリズムのようなもので、音楽と走ることに似ていると言う」。
もう少し、ことばを足してわかりやすく、「小説を書くことはリズムに乗ることで、音楽を聴きつつ走ることに似ていると言う」、または、「小説を書く時はリズムに乗っていて、音楽を聴きつつ走っている感じだそう」。
(2) "Murakami Radio", a pre-recorded show broadcast on the night of Aug. 5, featured as its themes two crucial elements of his life as a novelist : running and music. During the 55-minute show, Murakami played nine numbers he enjoys running to -- rock and jazz -- selected from thousands of titles stored on several iPods, while sharing stories behind the songs and talking about running and writing.
Murakami Radio", a pre-recording show broadcast on the night of Aug.
5, 「番組のタイトルは『村上RADIO』といい、予め録音された番組が8月5日に放送された」。
"Murakami Radio"は、実際の番組名では『村上RADIO』になっているので、それを採用しました。テレビ・ラジオの番組表記は日本語の場合、二重カギカッコの『 』でくくるのが一般的です。
featured as its themes two crucial elements of his life as a novelist :
running and music. 「番組のテーマは、村上氏の小説家としての人生における二つの重要な要素、走ることと音楽で」。
「村上氏の小説家としての人生における」、「の」が二回続いて、ことばがもたついて聞こえるので、「小説家である村上氏の人生における」と、「の」をひとつ省きました。
During the 55-minute show, Murakami played nine numbers he enjoys running
to -- rock and jazz -- selected from thousands of titles stored in several
iPods, 「55分の番組中、村上氏は走りながら好んで聴く9曲 ―― 音楽プレーヤーのiPod 数台に入れてある数千曲の中から選曲したロックとジャズを流しつつ」。
while sharing stories behind the songs and talking about running and writing. 「曲の背景にある物語を披露し、走ることと書くことについて語った」。
「曲の背景にある物語」は「曲にまつわる話」の方がわかりやすいかも。
(3) A perennial contender for the Nobel literature prize, Murakami said
he initially had no intention of becoming a writer. After finishing university,
he was running a jazz bar in Tokyo and music was his thing, and that's
where his style comes from, he said.
A perennial contender for the Nobel literature prize, Murakami said he
initially had no intention of becoming a writer. 「毎年のようにノーベル文学賞候補者として名前が挙がりながら、村上氏はもともと作家になる気は全くなかったと言った」。
After finishing university, he was running a jazz bar in Tokyo and music
was his thing, 「大学卒業後、東京でジャズバーを経営していたことがあり、音楽が好きだった」。
and that's where his style comes from, he said. 「そして、それが自分の作風の原点になったと村上氏は言った」。
style はもともと「様式」という意味ですが、「表現方法」「作風」「文体」でもいいと思います。カタカナの「スタイル」にすると軽快な感じになります。
(4) "Rather than learning storytelling technique from someone, I've
taken a musical approach, while being very conscious about rhythms, harmony
and improvisation," the 69-year-old Murakami said on the radio. "It's
like writing as I dance, even though I don't actually dance. For me, writing
tends to be a very physical process, and that's my style. If you think
my books are easy to read, perhaps we have something common musically."
"Rather than learning storytelling technique from someone, I've taken
a musical approach, 「誰かに小説を書く手ほどきをしてもらったのではなく、音楽の手法を取った」。
「音楽の手法を取る」ではわかりにくいので、「音楽を通して書くことを学びました」としました。
while being very conscious about ryhthms, harmony and improvisation."「リズム、ハーモニー、アドリブ演奏を意識しながら」。
the 69-year-old Murakami said on the radio. 「69歳になる村上氏はラジオで語った」。これでもいいですが、「村上氏(69歳)」と年齢を( )に入れ、すっきりさせました。
"It's like writing as I dance, even though I don't actually dance.「実際にダンスをしてなくても、まるでダンスしながら書いている感じです」。
For me, writing tends to be a very physical process, and that's my style.「ぼくにとって、書くことは肉体的な過程になることが多く、それがぼくの作風なんです」。
「肉体的な過程」だと、わかりにくいので他の表現を考えました。前に「ダンスしながら書いている感じ」と言っているので、「肉体を使った作業」「体力勝負の仕事」「肉体労働」など。「身体を張った作業」だと命がけでやっている感じで、言い過ぎかも。
tend to〜は「〜の傾向がある」「〜しがちである」という意味が辞書に載っていますが、もう少しくだいて、「ほとんど〜のようなもの」としました。
If you think my books are easy to read, perhaps we have something common
musically. 「ぼくの本を読みやすいと思ってもらえるなら、たぶん、音楽的に共通するものがあるんでしょう」。
「音楽的に共通するものがある」ではわかりにくいので、もっとわかりやすい表現を考えました。「ぼくと音楽の趣味が同じ」「ぼくと音楽的に波長が合う」など。千田さんは「それは多分、私たちが音楽的に何か通い合うものがあるからでしょう」とうまく訳出されています。
■ 千田良一さんの訳
日本のベストセラー作家、村上春樹さんが司会を務めるラジオの特別番組で、彼がよく聴くお気に入りの曲を選んで特集した。小説を書くことは、音楽やランニングにあるようなリズムを必要とするのです、と語った。
「村上ラジオ」は、8月5日の夜にあらかじめ録画された番組で、小説家として、彼の人生の二つの重要な要素であるランニングと音楽をテーマとして取り上げていた。55分の番組で、村上は、iPod
数個に保存された何千もの曲名から選んだお気に入りのロックとジャズのナンバー、9曲をかけた。同時に、曲の背景や走ること、書くことについても話を聞かせてくれた。
ノーベル文学賞の長年にわたる候補者の村上さん曰く、当初は、作家になるつもりはなかった、とのこと。大学を卒業した後、東京でジャズバーを運営して、音楽も彼の得意分野だったので、そこから彼のスタイルが生まれている、と語った。
「人から物語を書く技術を学ぶのでなく、リズムやハーモニー、即興性をかなり意識しながら音楽的なアプローチを取って来ました。」と69歳の村上さんは、ラジオで語った。「実際に踊っていなくても、私が踊っているような文章です。私の場合、執筆というのは、どちらかと言えば、非常に肉体的な過程であって、それが私のスタイルなのです。もし、私の本が読みやすいと思っていただけるなら、それは多分、私たちが音楽的に何か通い合うものがあるからでしょう。」
[千田さんのコメント]
上記掲載。 |