岩瀬順一の「半切断を用いた,実数体のすばやい構成法」

実数体の構成,または実数体の定義を, Dedekind の切断に基きながらすばやく行なう方法を考えた。

Rapid Construction of Real Numbers by Half-Cuts (トップページから行けますが,ここからも行けます。 英文の pdf ファイルで,A4判2ページです。 2017 年三月に,前の版から少々変更しました。)

Dedekind の切断にならうが, 有理数全体ではなく,正の有理数の切断を考える。 さらに,上組は忘れて,下組だけを考える。 それを「半切断」と呼ぶ。

正の有理数の部分集合 A が半切断であることの定義は次の通りである。

  1. A は空ではない。
  2. A は上界をもつ。
  3. a が A の元であり,かつ,a' が a' < a なる正の有理数であるならば,a' は A の元である。
  4. A は最大数をもたない。

これらの全体が,正の実数の集合になる。 大小関係は包含関係にほかならない。 正の有理数 r は,「r 未満の正の有理数からなる集合」として, この集合に埋め込める。

和・積は, 二つの半切断の要素すべてにわたった和・積のなす集合と定義できる。。

完備性,すなわち,空でなく上に有界な実数の部分集合には上限がある, の証明は,それらの半切断の和集合をとればよい。

付録として,差・商が自然に定義できることを述べた。 そのことから,実数体全体の構成が導かれるが, 実際上は,正の実数が構成されたところまでで十分であろう。


岩瀬順一 (IWASE Zjuñici)