130MHz帯用2回路2接点同軸リレーの製作とテスト(Dec 13, 2007)

訳あって130MHz帯で使える2回路2接点の同軸リレーが必要になり製作してみた。
過去OMRONのLY-4シリーズで製作した同軸リレーは144MHz帯でも問題のない動作を示していた。
ここでは秋葉原の鈴商より購入した松下電工のリレーAR1021を使ってみた。
このAR1020はLY-4の様にリレー内にリード線を使用せず可動接点がシーソーの様に動く構造になっている。
したがってLY-4よりはハイフレまで安定に使えるだろうと考えたのだが、実は期待はあっさりと裏切られてしまった。
構造的な問題も考えられるが、手っ取り早く集中定数(コンデンサ)で補償を実施した。
最終的に130MHz帯で問題のないSWR値を得る事が出来た。
ちなみにこの同軸リレーの目的は、2系統のDUTをリモートで瞬時(30ms以下)に切替え比較するためである。
写真はSWR特性を取ってレタリングを施した2回路2接点の同軸リレーと内臓した松下のリレーAR1020/SP2-DC12V。
AR1020の側面に見えるリン青銅板がシーソー型の可動接点片で、中央がコモンで長手方向にMake接点とBreak接点がある。これが両側面に組み込まれている。
一見すると相当ハイフレまで使えそうな感じがするが、周辺の引き回しに注意しないと中々f特が伸びない。両面プリント基板で伝送路Zを考慮して作ると好結果が得られると思われる。


Case:TAKACHI TD884N
CN:N-BR
DC:Metal DC Jack
Relay:AR1020/Matsushita
C:5PF/3KV Ceramic
Wire=2mmΦ/Snメッキ

Analyzer:Kuranishi BR-510D
Dummy Load:50Ω/MECA/SUHNER
Coax:5D2W/40cm,RG-55U/160cm


Break側を2回路カスケードにしてアナライザとダミーをつなぎSWR特性を見る。なおMake側はこれより良好。 当初130MHzでSWR=1.4前後あったため、苦肉の策でリレーのコモン端子に補償用コンデンサを抱かせた。130MHzでトリマーコンデンサでSWR最小点を確認し、LCメーターで測定すると約5PFを示した。グラフは2回路のコモン接点と筐体間に5PFを取り付け測定したもの。約50MHzおきにSWRがバウンズしているが130MHz付近を補償の影響か・・・。ちなみにBreak系からMake系へ漏れは130MHzで-27dB。AR1020はLY-4より遥かにハイフレ向きと思っていたが、リード線折返し式のLY-4の方が特性良好だった。コネクター位置や配線長も異なるので一概には言えないが・・・。LY-4の同軸リレーも捨てたもんじゃないなぁとやや自己満足。


あとがき
2回路2接点の同軸リレーはリニアアンプの入出力切替に便利であるが、2つの違う系統を瞬時に切り替えて調査を行なう様な場合にも大変便利である
AR1020はデータシートによれば最大切替時間が30msとなっている。リレーの切替時間としても早い部類に入ると思われる。また騒音も少ない。
一つ製作して持っていると色々な使い道があって便利である。