BIRD 4410Aの実力

筑豊ハムセンター・大熊氏のサイトに標記のBIRD 4410Aの実力を讃える実験報告が記されていた。
BIRD 43で多数のエレメントを操りながら電力測定をする場合(レンジ切替のためにエレメントを交換した時)に、同じ電力なのに表示が同じにならない事は良く経験する。まぁダイオードの検波特性なんかこんなもんだし誤差はスペックの範囲だと言い、怪しいメーカーの電力計に比べたら遥かに高精度だと自分を納得させたりしていた。
ところがこの4410Aの場合はちょっと様子が違った。エレメントは同一で内臓アンプの利得を可変してレンジを切り替える仕掛けになっている。そしてその表示たるや、レンジを変えてもドンピシャなのである。
と言うことで私もこの4410Aへの興味がにわかにわき、友人Tim/NM3Eのサイトに4410Aと4410-6(50-200MHz/1KWエレメント)を発注してしまった。
左の写真はBIRD 4410AとBIRD 43のスリーショット。以下の写真は50MHz/CWにて"10%"(100W)レンジでフルスケール振らせ、"30%"(300W)レンジ、"100%"(1KW)レンジと切替えた様子である。
殆どの方がその精度に驚かれるに違いない。006P電池が必要で面倒だと言われるOM氏もいらっしゃるようであるが、「そんなことはこの精度の前ではゴミ同然!」とは言い過ぎだろうか。


各レンジの100W表示

エキサイタ:IC-756
*"10%"(100Wレンジ)でフルスケールに出力校正
周波数:50.135MHz
電波形式:CW
エレメント:4410-6(50-200MHz/1KW)
ダミーロード:BIRD 8404

左:"10%"(100Wレンジ)
中:"30%"(300Wレンジ)
右:"100%"(1KWレンジ)

BIRD 4110A:Serial 1369

参 考
BIRD 4410Aにはこの他に、"3%"・"1%"・"0.3%"・"0.1%"のレンジがある。4410-6エレメントなら、30W・10W・3W・1Wフルスケールでの測定がさらに可能となる。BIRD 43のようにエレメントを集めるとなると大変な投資となるが、4410Aなら1個のエレメントで7レンジ分の働きを高精度で実現してくれる。非常にコストパフォーマンスの高いワットメーターである。
なお上記は、同一エレメント上でレンジ切り替えしたときの表示を相対的に議論している。したがって、絶対的な表示までを保証しているものではないのでご注意願いたい。
前述の大熊氏によれば、BIRD 43で同様な事が出来ないかとOP-AMPを組んで実験されたそうだが、好結果は得られなかったそうである。また4410Aと43のエレメントは残念ながらお互いに互換性が無い。

なお電源として006P電池が必要で、背面のプラスチック製ポケットに実装する(4410はビス留めの裏蓋を外す)。しかし長時間運用には向かないので、9V/AC-DCアダプに006P電池スナップを取り付けたAC電源の用意をお勧めする。

別項で4410A/4410用エレメントが歪みスロットへの挿入が固くなった場合の修正方法について記述している。