5T31/450THとソケット
5T31/450THの雄姿。
プレートとグリッドにアルミの放熱フィンを取り付けてある、リードが長くなるのでハイフレではそのインダクタンスの悪戯によるトラブル対策に追われるだろう・・・それもまた楽しいが。
写真は横に寝かせてあるが、フィラメントが弛むので設置は垂直で行う。


ソケットは多くのものが出回っているが、バネ圧が弱い物もあるので注意したい。左はUSA製の薄型で底から押上げるタイプだがバネ圧が強力、右はバイヨネット型のCHINA製で見た目は良いがバ
ネ圧がやや弱くサイズが大きい。
前者はPinが短い5T31用だが、後者はPinの長い7T40等にも併用できる。Pinは全てフィラメントにつながっている。

5T31/450THの諸特性(東芝データブックより抜粋及び試作データ)
プレート損失が450Wになると、温度上昇によりプレートは赤澄色(約800℃)になるが、真空度劣化などの支障を起こすことなく安定に使用できる。
但し、プレート・グリッド・フィラメントの各封入部温度は高くなるので、封入温度が定格の最高温度以下になるよう、強制空冷する必要がある。
これは東芝製VT-29061をプレート及びグリッド端子に取り付け、管全体を30cm位の距離から10〜15cm程度のファンで風を当てれば十分(風は筐体外低温部から取り入れる)。
なお、使用周波数が30MHz以下でプレート損失が約300W以下(プレートが赤化しない状態)で通風が良好なら強制空冷しなくても構わない。

コメント:データブックには「B級AF増幅」の動作例しか見当たらなかったが、HFならテストデータの様に大変良好に使える。
なお5T31/450THの上位に、同じ大きさでプレート損失1KWの7T40/1000Tがあります。また7T31や7T40Aもプレート損失1KWですが、電極構造の他に直径や高さが異なります。7T31は350mm高・140mm径、7T40Aは310mm高・130mm径です。更に上位にプレート損失1.5KWの7T45/1500Tがありますが、こちらは420mm高・180mm径と巨大です。大きさは、同じメーカーでもロットにより若干の違いがあります。
なお「5T31動作例(単管GG)」は製作した5T31/450THマルチバンドアンプから得たデータです。


5T31/450THと7T40/1000Tの比較
5T31と7T40を比較する。写真は7T40(左)と5T31(右)のツーショット。外観は一件同じサイズに見えるが以下に記す2箇所が大きく異なるので、交換実装する場合には注意が必要になる。なお7T40はプレート損失1KWであるので、プレートをはじめとする内部構造が頑強になっている。またフィラメント電圧は両者共7.5Vであるが電流は12Aから16Aに増強されている。ソケットはバイヨネット型なら両者に共用出来るが、底から圧力を加えるタイプの物はPin長の違いによる差込ストロークが異なるため併用は難しい。

@電極Pinの長さ
5T31は7T40の約半分の長さである。ソケットの形式によっては両者に対応しない物もあるので注意。
Aグリッド封入部の大きさ
封入部のガラス構造が7T40の方が大きく出っ張っている。プレート周辺のガラスより出ているので注意。
Bグリッド端子の大きさ
7T40のグリッド端子はプレーと端子と同じ大型になっている。

まとめ
これらの真空管は元々放送局Txや工業用高周波発生器に使われていたものが殆どで、アマチュア無線家が実用品として使うケースは殆ど無かった。
現在は放出品が観賞用や骨とう品として流通しているのが殆どではないかと思われる。しかし、今流の球ではないにしろれっきとした送信管で、それなりの作りを施せば安定なリニアアンプを作る事が出来る。
なお放送局からの放出品は定期交換によるものが多く、この場合は殆ど問題無く実用に供する事が出来る。