Feb 11. 2002
1〜12時まで、11時間の通電を実施・・・異常なし。
入力トランスの最終版を製作。昨日の検討版をの巻き数を減らし4Tのペントファイラとした。2次側に150Ω負荷と15pFのキャパシタ(VC)を取り付けSWR特性を取った。グラフに測定データを追加した。水色の曲線が今回の特性で、HF全体でSWR=1.15以下に収まり、全く問題の無い特性を得ている。VCは20pFの物を目分量で15pFとしたが、若干抜くと更にSWRを落とす事が可能で、そのポイントはおよそ8pFで、SWR=1.1に収まる。実際の5T31の等価回路はキャパシタだけでなく、リードインダクタやフィラメントチョークもあるので、そう簡単には行かないはずである。
入力SWRを安定にするために、入力トランスと5T31の間に入れるπ型LPFの計算をする。計算といっても筆算だと骨が折れるので、PCソフトSVCFiltの力を借りることにした。線路のインピーダンス、カットオフ周波数、アッテネーション周波数を入力すれば、瞬時にLとCの値がはじき出される。図は線路インピーダンス150Ω、カットオフ30MHz、アッテネーション周波数50MHzとしたときの各定数が表示されている。但しこの場合の減衰量は5段での値なので注意。使用目的は減衰ではなく、Cの値を5T31の入力容量に置き換える事で整合させる事である。
L=1.08μH、C=33pFが示されている。このうち出力側のC=33pFを、5T31及びその配線ストレー容量で置き換えることになる。5T31の入力容量は8pFであり、ストレーを加味してもせいぜい15pF程度と思われるので、補助コンデンサが必要になる。
入力トランスと併せLPFの回路図を掲示しました(注意:左図の出力側が便宜上150Ωと記してありますが、計算上は139Ωです/=50Ωx5Tx5T/3Tx3T)。上記SFCFiltによる定数で、π型LPFを構成(1段)し5T31を駆動した特性を測定してみた。この場合5T31へはLPFの入力側を接続した。出力側の33pFはフィリップスのトリマーに置き換え、最後は150Ωの無誘導抵抗で終端する。5T31への接続は、当初LPFの出力側を予定していたが、入力側の方が安定していたので、こちらを採用した。トリマーは25〜30MHzのSWRが平坦になるように調整する。LPFのコイルは、アミドンのFT-82-61にECを3T巻いた。入力側容量は全て5T31側に負担させており、補助的なCは接続していない。
今までの実験結果を基板上にまとめた。左は入力側にNレセプタクルコネクタとケーブル(RG-58U)をつなぎ、実装できる状態に仕上がったところ。中央は5T31の向こう側の側面に取り付けて配線をしたところ。実装すると実験とは経路やストレーが変わるため、当初のSWRが得られない。機構上の理由で、ボードからのフィラメントまでの配線が希望通りではない。本当は仕切り版に取り付けたかったが、そこに付けるとボード上のトリマーを回せなくなるし、また仕切り板に取り付け穴を空けスペーサーを取り付ける作業が必要になる。しかしそれでもSWR=1.5程度で、実際に60W程度でドライブしてもエキサイター側はノンチューナーでOKだが・・・。右の5T31後ろ側面に基板を取り付けてある。
Feb 12. 2002
フロントパネルを中心とした機械工作を行う。フロントパネルのレイアウトを決めるが、部品の大きさや入れ物の関係で、自ずと配置が決まってしまう。右上はプレートチューンでその下がロードチューン。メーターの下はメーター切り替えSWでその下がバンドSW。フロントパネルは装置の顔であるから、位置決めは電気的な要素だけでなく、見た目の良さも考慮する必要がある。決まるまで色々な思いが頭の中を過ぎって行く・・・この時間も実に楽しい。
VC類は今は無き梅沢のボールドライブで駆動するが、シャフトカップリングを使いVCのグランドがパネルにタッチしないようにしている(パネルや筐体に電流を流さないように)。パネルはアルミパネル(1.5mm厚)と化粧パネル(3mm厚)のタキロン(商品名?)による2枚構成。穴あけ時はバイスで固定して同時にあけると良い。アルミ板のビス類は突起しないように全て皿ビスで処理している。メンテナンスを考えて、化粧パネル側のメーター穴は四角形にくり貫ている。ノブはサンプルでつけたが、実際には白色系の余り突起の無いものを使用する予定。
VC類は写真の様に取り付け、グランドはアルミ板で5T31のグランドポイントに返す。それにしてもVCがでかく、パネルが小さく見える。なおこのVCはTL-922の物で、昨年のハムフェアでTopGunのブースで格安にて購入したモノ(Tks JN1DNG/川村OM)。
PCケースのフロントカバーがRしていたり、パネルの下側にもRがあったりして、普通の工作に比べ時間を要した。またこれらの工作は、PCのフロントカバーの脱着も考慮しなければならず、かなりの精度を要求される。細心の注意をはらい採寸と加工を行う必要がある。・・・しかしこれで随分とアンプの製作らしくなってきた。
Feb 13. 2002
フロントパネル裏側の構造。化粧パネルの内側は、PCの5インチベイが元々あったところで、本体から25mm程突起させないとフロントカバーと面が合わない。そのため、写真の様にアルミアングルで前方に突起させる工夫をしている。固定は、上下に突き出したアルミアングルを取り付けて行うが、左右方向もアルミパネルにアングルを取り付け、RFの漏れ対策とパネルの補強をしている。この箱のような出っ張りが、フロントパネルのくり貫きに顔を出す事になる。よってある程度の精度が求められる。プレートVCの固定はパネルから4mmの皿ビス4本で行う。アルミパネルは1.5mm厚だが、4mmの皿ビスだと厚さがぎりぎりのため、取り付け部品側も若干皿を彫っておく必要がある。本来なら2mm厚程度のパネルを使いたい・・・。
Feb 14. 2002
秋葉原で部品購入。真鍮のカラー、ゴムペーサー他(ネジの西川電子)、ベージュのノブ(ラジオデパート2F鈴蘭堂)、Kyowaの耐熱電線(ラジオデパート2F鈴喜電機)を購入。
真鍮のカラーは長さ8mm(内径5mm、片側皿処理)、プレートVCとフロントパネルとの間に入れ、シャフトとボールドライブの間隔を調整する。ゴムワッシャは5mm穴で厚さ2mm、5T31ソケットの下に敷く。ノブは若干高級品を買い求めたが、レタリングとの関係で見栄えは幾らでも変わるから、これで決定ではない。耐熱電線はやや細めで、メーター関係の配線に使用する。
となりの写真は、焦る気持ちを抑えきれず、フロントパネルとプレートVCとロードVCを仮留めしてみたところ。プレートVCのみフロントパネルから3本の4mm皿ビスで締め付け、後部の1.5mm厚アルミ板に固定している。右の写真は、プレートVC取り付け穴を空けるために急遽製作したJig。丁度アルミのパンチ板の穴位置がぴったりだった。パンチ板が無い時は、透明のアクリル板を当て穴の位置を決めると良い。
Feb 15. 2002
プレートRFCを並べてみた。左から三協のHFL-5(3.5〜28MHz/0.5A)、自作110μH、三協14〜50MHz(電流不明)、自作50MHz。RFCは真空管にDCを給電しながら、RF成分は遮断するのが目的である。負荷される回路のインピーダンスの大小に応じ、インダクタンスも増減する必要がある。5T31は電極間の距離があり、高電圧小電流型の球である。よってプレート負荷抵抗はかなり高くなるため、ローバンドではそれなりのインダクタンスを確保しなければならない。2.5KVで600mAも流せるGU-74Bなどとは根本的に異なる作りである。データブックの動作例から推測すると、3.5KVでせいぜい300〜350mA程度なので、負荷抵抗は5KΩを越える値になる。左の2本のどれかを使うが、機構的な事も検討に入れる必要があり、まだ決めていない。ローバンドでのインダクタンス不足が予想されるが、その場合はフェライトバーに巻いた物の追加を考えている。左の三協のHFL-5が3.5〜28MHzと周波数を指定しているが、これは推奨管または負荷抵抗値がある筈だが、そこまでデータが無い。110μHでは3.5MHzで(2πfL=)2.4KΩしかなく、そのままではプレート負荷抵抗の半分以下の値となってしまう。さてどうするか。
Feb 16. 2002
プレートVCにカップリングコンデンサ(1000pF/5KV/HH-58)を取り付ける。プレートVCに20mmのLアングルを取り付け、このドアノブコンデンサを取り付けた。アングル側には皿を掘り、インチサイズの皿ビスで5mm厚の真鍮スペーサーを挿入して締め付けてある。RFCまでは真鍮のLアングル、更にプレートまではリン青銅板によるPS(パラスチックサプレッサ)でつなぐ予定。また忘れないうちに、接続のためのラグを取り付けておく。
中央の写真は、カップリングコンデンサを取り付けたプレートVCそれにロードVCをシャシ内にネジ留めしたところ。
右の写真は珍しく、右側から撮影したもの。PCケースの多くは、このように右側面は塞がれており、思うように手が入らないため、部品の取り付けには「段取り」が必要である。
Feb 17. 2002
バンドSWのバネ(コイルスプリング)を調整する(左)。FAL(ファインアンテナ研究所)から購入してあった、米GE製のタイトSWのバネ圧がやたらと強く、直径2cm程度のノブでは摘んだだけでは回せない。そこで、オリジナルのバネを伸ばしたりして調整を試みたが巧く行かないため、国産の別のSWの物と交換した。これで何とか摘んで回せるようになった。このスイッチは、ショートバー方式ではないが、接点容量や接点間隔は十分で、目的を果たせるものと思う。但しシャフトの直径が1/4インチなので、国産の6mmに合わせるためには、軸受け内径を広げたカップリングが必要である。
5T31ソケット底に敷くゴムワッシャー(2mm厚)を取り付けた(右)。絶縁用のエポキシ基板上にソニーボンドで貼り付けた。接着しなくても事は足りるのであるが、球の交換時(ソケットと一体に外す)、複数のビスが貫通するので、このワッシャーの位置併せにイライラする事が無くなる。
バンドSWをLアングルで取り付けた。タンクコイル(トヨムラエアダックス502042予定)の大きさも考慮して位置決めしたが、スペースとしてはぎりぎりである。
マルチメーターSWの配線も行った。このように実装する前に配線をやると、作業も楽だし綺麗に仕上がる。写真の白チューブを被せたのはIgメーターシャント抵抗、裸の抵抗はグリッドバイアス電圧計の倍率器。メーターはRFをもろに被るため、アルミのパンチ板で簡単なシールドを施した・・・気休めかも知れないが。
プレートRFCを取り付け、カップリングコンデンサ間を真鍮のLアングルで固定した。色々検討した結果、このような位置に取り付けた。ボトム側は底に1.6mm厚のゴムワッシャーを挟み4mmのビスで締め付けた。RF経路は自然に流れるし、DC給電は手前側から行うが、課題はバイパスコンデンサーのアース回路。このままRFCの根本では余りにも経路が長い。もう一本RFCを用意しフィードスルーコンデンサまで引き込むのも手か・・・色々思いが巡る。
早る気持ちを抑えきれず、プレートに電流を流してみた。プレートRFCの前後(プレート側と電源側)を電線で結び、送信状態にした。写真では分かり難いが、プレートがほんのりと赤くなっている。この時、プレート電圧約4000V、プレート電流約50mA、グリッドバイアス電圧約-95Vであった。ちなみに、50W/CWでドライブすると確かにプレート電流が増加し200mA近くになる。28MHzバンドまで確かめたが、一通り振れているので一安心。無負荷であり、無理は出来ないので早々に切り上げた。しかし、それにしてもμが低そう・・・オーディアンプで良く使った6080のμ=2に比べたら遥かにまともだけど・・・ひょっとしたら、入力のステップアップ比を上げないといけないかも知れない。
ところが問題発覚。グリッドのバイパスコンデンサ2個のうちの1個が、パッチンと音を立てて割れてしまった。あたりは黒化してカーボンが付着、そのままグリッドバイアスに負荷されてしまい、Ipメーターが振り切れ、電源トランスが唸ってACヒューズが飛んでしまった。内心やっぱりか!だった・・・あのコンデンサは、適当な物が無かったので、仮に0.01μF/500Vのセラミックを2個並列に入れておいた。実験的に0.04μ/3KVのスタンド型マイカを入れ、機能を回復させた。上の写真でプレートRFCに隙間があるのは、そのときの過電流でエナメル線が膨張してしまった結果。
右のグラフは、グリッドバイアスEgを可変できる範囲で動かしてみて、プレート電流Ipの変化を測定してみた。Ep=4KVでスタートしたが、150V程度の電圧降下がある。この状態でgm=僮p/僞gを見ると約2mモー程度である。こりゃ随分と低い数字だ。4mモーはあると思っていたのに半分とは、ひょっとしたらエミ減?・・・先は長くなりそうだ。
Feb 18. 2002
昨日NGになった部分を観察する。左は過電流でエナメル線が延びてしまい、ソレノイドの形が崩れたRFC。しかしプレート側にしかこの現象が無いから、これは単純な直流によるものではなく、RFが乗った事も考えられる。負荷はカップリングコンデンサ経由でプレートVC(容量は約80pFの角度だった)のみだった。
右は割れてしまったセラミックコンデンサー(TAIYO製)。買った店には0.01μ/500Vとあった(確か)。同じ物をパラレルにしておいたのに、片方は黒焦げなのにもう片方は全く異常が無い。電力用の物に交換する予定だったが、適当な物が手元に無かったので、気休めに2個パラにして取り付けておいた物だった。
この様な現象を目の当りにすると、RFって本当に奥が深いし面白いなぁと思う・・・電子・物理のノウハウ習得に最適だと言えないだろうか。
Ipを50mA程度流し、約4時間の連続運転を行った。この作業の目的は、電源や各部の温度上昇、それにファン動作の確認である。高電圧小電流の球らしく、50mAでプレートが赤くなってくる、たかだか200W程度なのに。Hi-μの球しか知らない方にはちょっと手ごわい相手かも知れない。
写真は、ダンボール紙で左サイドを被い隙間を塞いで実験中の5T31アンプ。プレートはほんのりと赤くなっているが、排出空気温度の上昇はそんなに大きくない。
秋葉原に立ち寄り、不足と思われる部品を購入。殆ど思いつきなので、まだ忘れ物があると思う。左から・・・もう完売かと思ったRFC(三協)、2200pF/1KVのJRC製マイカコンデンサ(ラジオデパート1F桜屋電機)、メーターSW用ノブ(ラジオデパート2F鈴蘭堂)、シャフトカップリング(西川電子)、真鍮シャフト延長(鈴蘭堂)、6mm真鍮棒・4mmΦ銅パイプ(西川電子)、1.6/2mmΦスズメッキ線(ラジオデパート2F鈴喜デンキ)。真鍮シャフトはバンドSWのシャフト延長に、銅パイプはハイバンドのタンクコイル、マイカコンデンサはグリッドのRF接地に、スズメッキ線はタンク回路の配線やパラスチックサプレッサのコイルに使う予定。
Feb 19. 2002
予備球の5T31の動作確認をして戻そうとしたところ、グリッドキャップとグリッドロッドの間が緩み(ネジ締め)、ヒートシンクにキャップがくっついたまま外れてしまった。隙間が全く無く、簡単に外れない。無闇に突っつくとキズを付けてしまい、余計外せなくなる。そこで登場したのが木槌。写真で見えるヒートシンクの周辺を叩くと、見事にキャップが浮き上がり顔を出してくれた。一時は「トホホ」ものだった。
中央はコイルを取り付け3.5MHz用でアンプの動作を確認しているところ。コイルはトヨムラのエアダックスコイル502042を32Tで使用した。この状態での電力利得は約2倍で、100Wでドライブして200Wを出力する。プレート入力は4KVx100mA=400Wだから、プレート効率は約50%。何と言う利得の低さだろうと驚かれる方も多いだろう・・・だから言ったじゃないのと、あるOM氏の顔が浮かんだりする。要はドライブ不足!。今まで最大値に主眼をおいていたので、大分計算が狂ってしまった。非同調でやるには入力トランスのステップアップ比を2〜3倍にとる必要がある。或いは狭帯域の同調&タップダウン方式にするか・・・でもバンドSW接点は無いし、取り敢えずトランス方式でもう一度トライしてみよう。この場合、トランス出力側のインピーダンスが上がるので、広帯域と低SWRがよりトレードオフになってくる。とにかく実効値で100Vものスイングレベルが必要なのであるから。
右は、フロントパネルに化粧パネルを合わせ、PCケースのフロントカバーを取り付けたところ。ノブはフロントカバーと同じ白色系を取り付けてみたが、黒のノブに比べてカバーとの馴染みが良い。黒のレタリングを施せば、更に雰囲気が出てくるはずだ。これは一体PCなのかアンプなのか?・・・中々のルックスだと思いませんかぁ?。SOTECの社長さんも驚いているかも知れない。
Feb 20. 2002
プレートヒートシンク(キャップ)とPS(パラスチックサプレッサ)付近の接続。とにかくケースの高さが低く、プレートとフレーム間のクリアランスを稼ぐために、プレートヒートシンク上部への配線は控えた。ビス山の分だけフレーム間が狭くなるからである。このため、ヒートシンクの締め付けビスから90度回った位置に3mmのタップを切り、こことプレートRFCの頂上にラグ端子を取り付けたPSを接続した。低背型のヒートシンクが手に入らないための苦渋の策であったが、やってみたら中々決まっている。PSは50Ω/5Wの不燃抵抗器の上に、1.6mmスズメッキ線を5T巻いてある。
Feb 21. 2002
Ep=4KV,Ip=50mA(Bias)で8時間連続運転するが動作正常。左は、ほんのりと赤色に焼けたプレートのアップ。右は、5T31のソケット周辺。取り付けは底から4mmのビスを貫通させ、化粧ナットで手締めしている。その間、絶縁用のエポキシ基板と保護用のゴムワッシャー(前述)を貫通している。5T31を交換する時は、(プレートとグリッド回路及び)ナットを外しソケットと一緒に取り外すが、フィラメントの配線は外す必要は無い。
参考:これらアンバー色の写真は、カメラの色温度設定を「デイライト(太陽光)」にして、ストロボを使わないで撮影している。良く見せる場合と、このように情緒的な場合とで明かりの当て方を考慮している。
Feb 22. 2002
朝まで約8時間(受信状態)の通電実施・・・異常なし。昨日レタリングに使うワープロ粘着フィルムを購入。今まではコクヨの物を使っていたが、切れてしまったので東急ハンズに行って来た。コクヨを探したが無かったので、PLUSの「メンディング{ツヤ消し)」を2袋買った。それぞれA4サイズの物が10枚入っている。プリンターは熱転写式、ワイヤードット式、レーザー式に対応する。当局は熱転写式ワープロ(リボン式)からプリントアウトしている。爪で擦った程度では剥がれない。このやり方で、オリジナルなレタリングに挑戦している。
右は、粘着フィルムにプリントアウトする前に、紙にプリントアウトし化粧パネルにレイアウトしたところ。全体のバランスやチューニングノブとの大きさも程よい。ボールドライブには赤色の指針を取り付ける予定。
新たに、入力トランス・整合回路を実験するための部品を購入。左上から#43材トロイダルコア(ラジオデパート2F斎藤電気)、Takasuユニバーサル基板(ラジオデパート1Fマルカ電機)、左下から13pFディップマイカ・2.7KΩ/5W不燃抵抗(ラジオデパート2F海神無線)、0.0022μF/1KVマイカ(ラジオデパート1F桜屋電機)。トランスの巻数比を1:3とした時のインピーダンス比はその2乗で、1:9となる。よって50Ωラインが9倍の450Ωに変換される。450ΩでHFのπ型LPFを構成したときに、SVCFilerがはじき出した数字が13pF。ちなみにLは約3μH。
Feb 23. 2002
左は、ワープロ粘着フィルムにプリントアウトしたシートを、化粧パネルに張り付けたところ。ホコリりやチリが紛れ込まないように、化粧パネルやカッター、それに手は綺麗にして作業する。気泡が出来ないように角から貼り付けていく。ここは全くの手作業なので、慎重に納得できるまで作業する。シートは半透明で透けてしまうため化粧パネルに鉛筆等による罫書きが出来ない・・・合せは目視でやる事になる。線や文字の水平感や垂直感、センターリングを確認しながら慎重に行う。穴の部分は貼り付けた後カッターでくり貫く。
右は、化粧パネルをフロントパネルに合わせたところ。ボールドライブの指針(赤色)とノブそれにパイロットランプ(LED)が付けば、フロントパネルは完成である。
バンドSW表示は「MHz」にするか「m」にするか迷ったが、デザイン上のスペースを考慮し「m」表示とした。メーターSWの表示はひとつづつ5枚貼り付けている。まぁまぁの出来具合か・・・年をとったせいか、細かな作業をすると手が震えてくる。
赤色のプラ板が無かったので、今まで好んで使ってきた青緑色のプラ板で指針を作って取り付けた。2mmの皿ビスで留めるので、ボールドライブ側に皿を彫ってある。またノブは背の低い物を使ったので、シャフトが長すぎるため約3mm切断した。
パイロットランプ(電源・スタンバイ)も取り付けと配線を済ませ、フロントパネルの作業はほぼ完了した。「ほぼ」としたのは、チューニング位置が決まったらバンド名を追加レタリングするから。なお、温度スイッチ(坂口電熱製)が電源トランス付近だと温度上昇が顕著でないため、5T31側面に移した。
右の写真2枚は、電源を投入し送信状態にしたところで、パイロットランプが点灯している。自然光で撮影したが、ルックスも中々良好である・・・自己満足!。さあ、これでRF回路に専念できる。
電源パイロットランプは+12Vで光らせている。スタンバイパイロットランプは、スタンバイ用バイアス抵抗(30KΩ/10W)を短絡するスタンバイリレーの接点と兼用し、ダイオード経由でOR(30KΩの短絡接地)をとっている。これは苦肉の策で、スタンバイリレーのコイルに抱かせればOKなのだが、リレーが背面のボックス内にあるため、新たに配線を考えなくてはいけないから。よくよく実物を見たら、バイアス抵抗は送信時にグランドに落とすだけなので、ここでダイオードORできる事に気付いた。
なお、バンドSWのノブを一回り大型の物に変更した。バンドSWは、スプリングを変更して回転トルクを減らしたのだが、未だちょっと力が要るために思い切って変更した。レタリングもこのノブに合わせている。
Feb 24. 2002
トリファイラで巻き数比1:3(Z比1:9)のトランスで実験。斎藤電気から買ってきた#43材トロイダルコア(アミドン製)にKyowaの耐熱電線を7Tトリファイラで巻く。出力側を450Ω(2.7KΩ/5W_6本パラ接続)で終端し、5T31のF-G間をドライブしてみた。3.5MHzでは低SWRだったため、直に接続している。明らかに利得が上がり、50Wドライブで200W近くを出力するようになった。しかし何か変!。それ以上がリニアに伸びない・・・Igが流れ出しエキサイターから見た負荷が重めになっているのか、或いはトランスが飽和しているのか?・・・コリャ毎日が楽しい!。
ここで試しにグリッドドライブに変更してみた。フィラメント端子を0.0022μFマイカでグランドに落し、グリッドをグランドに落としていたコンデンサを外し、450Ω終端抵抗から0.0022μF経由でドライブした。この状態で100Wでドライブ(入力SWR=1.5)すると、約400W(Ep=3.7KV、Ip=220mA、Ig=15mA)の出力を得る事が出来るが、3.5MHzなのにプレート効率が50%を割っておりちょっと可笑しい。ただ、フィラメントドライブ時出力はそこまで延びなかった・・・て事は無理してフィラメントを浮かせてフィラメントドライブするよりは、グリッドドライブの方が手っ取り早いか・・・。いずれにしてもこの球は、ある程度Igを流さないとIpが流れてくれない、やや複雑な心境である。μが低いからそんなに影響は無いのかもしれないが。そろそろIMDの測定準備もする必要がありそうだ。
写真は製作した1:3(450Ω)トランスと不燃抵抗によるダミー基板。ダミーは30Wしか容量がないのに、実験と言って100W(CW)を放り込んだが、さすがに不燃抵抗、臭いはしたが塗料は焦げなかった。グリッドドライブなら1:4(800Ω)でやれば、もっと楽にドライブできるだろう。また逆相の巻き線を設ければ、5T31の中和回路に使う事が出来る。・・・動揺を隠せない。
Feb 25. 2002
入力トランスを巻き数比1:4(50Ω:800Ω)にしてグリッドドライブの実験。終端抵抗に適当な物が無いため、昨日実験した450Ωの物を半分にして900Ωとした。エキサイター(IC-756)のANTチューナーで整合ずれを補償した。その結果50Wドライブで約500W出力を得る事が出来た。この時Ep=3.4KV、Ip=310mA、Ig=24mAだった。ちなみに100Wドライブで約700W出力が得られ、その時Ep=3.35KV、IP=360mA、Ig=31mAとなったが、直線性は崩れている。
グリッド回路は比較的低抵抗で終端されているため、5T31の動作は極めて安定である。試しにグリッドのカップリングをオープンにすると、μが低いと言っても流石に自己発振気味になる。
この動作時のIMD、そしてハイバンドでの動作維持が次なる課題となる・・・でもグリッド接地には未練が残る。低μ管のフィラメント(カソード)ドライブ→Igを流す程のドライブレベル必要→プレート電圧を上げる→Igはそんなに変わらない→グリッドドライブに変更→とりあえずパワーは出た・・・以上今日までのまとめ。
写真左は巻き線を追加して1:4とした入力トランス。右はアンプの上に置いたパワー計(DAIWA CN-101L)で、50Wでドライブした時のもので丁度500Wを示している。
Feb 26. 2002
無入力送信状態で9時間連続通電・・・異常なし。
オフディレイ用温度スイッチの取り付け位置を示す。左はPCフレームの横板の外側に取り付けた様子。素子は坂口電熱のバイメタルスイッチで、45℃以上がオンになる。右はそのアップ。取り付け位置は球を発熱させ、一番温度が上がる場所を手で触れて探した。電源オン時は、電源スイッチによりファンに電源が供給されるが、オフ後はこの温度スイッチによりファンのオン・オフが決まる。ガラス球なので、温度が下がるまでの時間は比較的短い。
素子の交換も予想されるので、取付金具(素子に付属)の2個の穴のひとつはブラインドリベット、もうひとつは3mmのビスをタップを立てて使用している
Feb 27. 2002
どうも効率が悪く、プレート損失も大きいと思い調査すると、中和がずれている
。中和をとっていないから当然だが、500Wで最大出力にチューニングした時のIpが300mAだとすると、Ipのディップ点は更にVCを入れる方向にあり、そこは220mAで出力は300Wに落ちる。明らかに中和が必要である。
現状でのIMDを測ってみた。測定方法はTest&Dataコーナーに掲載の様に、PC-FFTアナライザと自作ダイレクトコンバージョンRxを使用した。局部発振器はPC-VFOjrであるが、約4.5KHzオフセットを付けて表示している。エキサイターはIC-756で3.55MHz(USB)で測定した。サンプラーで取り出した被測定信号で受信機の入力段を歪ませないように、ATTで必要最小限のレベルに落とす(写真左)。実際に表示させるまでは如何程のものかと気をもんでいたが、IMDは500W(PEP)ラインより-35dB付近まで落ちている。Igが10mA以上も流れているのに、何とも不思議な球である。FFTアナライザは色々拾い上げているが、一番下方は電源Humとその高調波だが何処で混入しているかは?。上の方はRxのAFアンプの問題だと思う。最大の特徴は、5次歪み以降の、高次になっても歪みが余り変わらない(落ちてこない)事。まぁ何とかこれでSSBに使えそうで一安心だ。
Feb 28. 2002
電源トランスのタップを1500Vから1200Vに落とし入出力特性をとってみた。Epは約3KV、ドライブ電力は50Wで行った。
フロントカバーの小窓にあるSW群にレタリングを施したところ。ちょっと賑やか過ぎるので、1直線にまとめて作り直す予定。
Mar 1. 2002
レタリングに使っている「ワープロ粘着シート」にプリントアウトしたキャラクター。カッターで切り出して貼り付ける。バンドSWやメーターSWのような回転するものは、幾度か紙にプリントアウトして位置関係を確かめてから正式にプリントアウトする。レタリングは装置の顔の一部分、納得の行くまで検討してから作業を行いたい。写真は文豪ミニ7RXで、Kokuyoのワープロリボン(R2RC-TW-3)
を使いプリントアウトしたもの。部品ナンバーやパーソナルロゴを入れると格好良さが一層増す。お試しください。
Mar 2. 2002
入力トランスを変更。連続でRFドライブした時に発熱を感じていたため、#43材のままコアサイズを大きくした。これにより、コアでのロス分が軽減され、トータルのゲインが上昇した。25Wのドライブで400Wを出力する。ここでも駆動方法はフィラメント接地のグリッドドライブ(中和無しで効率悪し、整合はエキサイターIC-756のATUに依存)である。写真は新旧トランスの比較。巻き数は変わらず7Tのテトラファイラ。コアはフィラメントチョークに使用している物と同じもの。
中和回路の実験を行う。入力トランスに1系統コイルを追加し、ペンタファイラにする。これをグランド点に対して逆相になるように接続し、プレートのカップリングコンデンサの出力側(DCカット側)から中和コンデンサで帰還させる。以上、極めて簡単な回路だが、扱う電圧が高いので中和コンデンサは6KV耐圧のセラミックを使用した。手持ち部品の関係で、最初は5pFでスタートしたが余り変化が無い。続いてパラって10pFとしたら、プレートVCでIpのディップ点とパワー最大点がちょっと近づいたが、まだまだ不十分。最後に22pFを冗談半分(ダメ元)で取り付けたらこれが見事的中、Ipのディップ点とパワーの最大点が一致した。実験ではあるが、中和成立である。
表はその状態での動作状況。40Wドライブで500Wを出力し、プレート損失は規格最大の450Wとなったが、効率の53%はチト低い・・・利得は10倍以上ありまずまず。あくまで3.5MHzでの値なのでハイバンドでどうなるかは???。また中和回路に入力トランスに巻いたL(インダクタンス)分が含まれるの、これも要注意である。
僅かではあるが、中和により負帰還がかかっているのでIMDが改善されているだろうと思い測定したのがこのグラフ。低域のHumは測定系のオーディオ段で混入しているものなので無視して見ると、-40dB以下に落ちている。てことは中和による負帰還により改善されたものなのか?。・・・楽しみは中々終わらない。
Mar 3. 2002
タンクコイルのタップ出しを行うが、ハイバンドで自己発振発生。中和回路がハイバンドの同調周波数に影響するため、再びグリッド接地フィラメントドライブにした。3.5〜14MHzまでは順調だった。18〜21MHzは専用コイルとするために、ローバンドのコイルを撤去し単独でテストを行った。ところが自己発振&寄生発振が発生。PS(パラスチックサプレッサ)の抵抗は閃光を放ち、グリッドバイアス電源のツェナーダイオードは短絡、バイアスが無くなり保護リレーがオフになるまで(瞬間)Ipは暴走。自己発振により多量のIgがバイアス電源に流れ込みツェナーダイオードをNGにしたようだ。その結果バイアス電源内部の抵抗も火を吹いて炭化してしまった。ツェナーダイオード無しで何とか復旧させ電源を入れるが、バイアスを流していくと突然発振、またRFを入れると発振する現象が残ってしまった。おまけに、グリッドを接地しているマイカコンデンサが破裂しモールド部分が飛び散った。ローバンドコイルに戻しても現象は同じであった。今朝までの安定感が何処かへ行ってしまった。今日は時間切れ明日以降の課題とする。
写真左上は以前からあった(スタンバイ中で送信中ではない!)、パーン音時にソレノイドが縮んでしまったプレートRFC。この部品に影響があることは、更に下流のプレート側で放電したものと考えているが、その跡は何処にも無い・・・一番隙間の狭いプレートヒートシンクと天板の間とは想像しているが。それにしても一瞬にして線材をこのようにしてしまう電気の物理現象に驚きを隠せないでいる。
右下は自己発振・寄生発振で過電流が流れモールドパッケージが破裂したマイカコンデンサ(0.0022μF/1KV)。グリッドを接地していたもの。これも音を立てて飛び散った。マイカコンデンサはセラミックコンデンサ等に比べ電流容量が大きいが、一体どれ位の電流が流れたのだろうか。
その左はバイアス電源基板に乗っていた2.4KΩのソリッド(モールド)抵抗で、内側から閃光を放って炭化してしまい短絡状態となった。この抵抗はツェナーで安定化したあと、バイアス調整VRへシリーズに接続されていたもの。VRはマイナス側に回し切った位置だったので、グリッド側からの電力がこの抵抗を介してツェナーに流れ込んだものと推測。
Mar 4. 2002
昨日の調整段階でのトラブルの検証。3.5〜14MHzでタンクコイルのタップ出しを済ませ、次に実験的に巻いた18〜21MHzのコイル(2mmスズメッキ線12T/25Φ)に取替えテストを行った。写真のコイルはその時のもので、何の変哲も無い。計算値で予めインダクタンスを求めておくが、実装して実際に動作させ、最高の効率になる位置に調整しなおす。その段階でRF入力を上げていった時昨日の現象に至った。負荷抵抗は約6KΩと高いため、かなりハイL回路になる。
写真のダイオードは30V/1Wのツェナーダイオード(東芝IZ30A)を4本直列にしたものだが、よく見るとハンダ接合部が溶け出している。回路はグリッドチョークのコールド側をRFバイパスしたあと2.4KΩを経由してツェナーに接続されていた。電圧調整VR(5KΩ)が10KΩ(保護リレーコイル巻き線)と直列になっていたが、VRは一番マイナス側にあったので、単純に15KΩが負荷されていたことになる。バイアス電源側のインピーダンスははそんなに低くない。ドライブが増大すると負方向のドライブ電力が行き場を失い直流的に電源側に逆流してきたのだろうか・・・確かにグリッドバイアス電圧がドライブ入力で振られていたことは事実だ。グリッドRFCとバイアス電源との間に直列に抵抗を挿入してみようかと思う。
Mar 5. 2002
背面のリレーボックスと入出力コネクタを接続する。同軸ケーブル5D2Wに、ノーブルのL型Nコネクタ(NMC S-L043)を取り付けた。L型のため突起が少なくスマートにまとめる事が出来る。入力側は電力が少ないので3D2V等でもOK。HFではN型コネクタまで使う必要はないが、何時もの週間でついついN型を使ってしまう。
Mar 6. 2002
背面パネルのレタリングを行う。ワープロ粘着フィルムにプリントアウトした文字類をコネクタや端子の近傍で程よき位置に貼り付ける。ACヒューズは20Aと表示した。益々雰囲気が出てくる。自前のロゴには早くも「Mar 2002」と書いてある。
Mar 7. 2002
ようやく復元完了。3月3日に発生した発振によるトラブルでNGになっていたツェナーダイオードを新品に交換した。またグリッド回路は直流的にみるとRFCがダイレクトにバイアス電源に接続されているため、若干の制限をかけるために直列に抵抗をいれてみた。12KΩ/3KΩ等を入れてみたが、Igに制限がかかるためドライブレベルが変わる。負側のスイング電圧(電力)はグリッドで整流されたような形でバイアス電源側に逆流するため、程ほどの抵抗を挿入したほうが無難だ。もっともドライブレベルを上げなければ問題は無いのだが、それでは出力が伸びない。何しろ実効値で-100V以上スイングしているから、並みの電力ではない。今回のトラブルはもろにツェナーダイオードが負荷となったためと考えられ、少しでも負担を軽減し、かつ出力も伸びるあたりに設定する予定。
写真はグリッド及びフィラメントの貫通端子近傍。茶赤橙のカラーコード・ソリッド抵抗が、実験的にグリッドバイアス回路に挿入した12KΩ。これによりバイアス電源への流れ込みは軽減されるが、12KΩではドライブレベルが低過ぎた。1KΩ以下が実用的な値と思われる。
Mar 8. 2002
入力ドライブのマイナス方向のスイングは、途中から管をカットオフにするが、更にマイナス方向にスイングレベルが上がるとバイアス電源に重畳され自己的にバイアスを深くしてしまう。バイアス電源のインピーダンスが低ければこのような事は生じないと思うが、電源が外部からの流入で負荷になるのは気持ちの良いものではない。そこで、実験的にグリッドRFCのバイアス電源側に105Vの大型ツェナーダイオードを入れてみた。余計な部分(マイナススイング分)をシャントしてしまおうとする発想である。またプラススイング側と同等な負荷になるようにすれば、エキサイターから見た終端状態を安定にする意味もある。RFCから1KΩの抵抗を経由してバイアス電源に接続し、抵抗の電源側とグランド間に入れてみた。50W程でドライブするとEg表示が-150Vを越えたりしていたのが、90-100v程度に落ち着いた。また、利得が一気に上がり15倍近くになった・・・こりゃ凄い!。念のためIMDを測ってみたのが下のグラフだが、概ね良好である
ものの本にはこうした現象の記述が見当たらない。アマチュアの場合は、陰極接地グリッドドライブでIgをジャンジャン流すなんて使い方は余り無かったものと思う。Igを流す事が罪悪だとする考え方がどの球についてもあった。しかしこの球はそうした考え方が通用しない球である。最初はIgを流さない事を前提で入力回路を考えていたが、Igを流さないと使えない球だと言う事がようやく分かり出した。左は、実験に使った低電圧放電管VR-105相当のツェナーダイオードIS1542だが、現在は生産が完了している。
参考までにツェナーダイオードに流れ込んでいる電流は、無入力で0mA、40Wドライブで20mAであるから、約2Wの損失である。出力は500Wであるが、この時の入力トランスはペンタファイラで、RFはZ比1:16、中和用に1コイル使用している。なお1KΩを短絡するとツェナーダイオードは37mA程度に上昇し、出力は40Wドライブで620Wまで伸びる。この時Epは3KVで、トランスは低い方のタップを使った。
その後1S1542を取り付けた。取り付け位置は写真のようにフロントカバーを外したフレーム。ツェナーダイオードであるが、ここでの目的はマイナス方向の飛び出しを吸収するのがその役目。また、前述した抵抗については、この時点で省略している(検討課題)。
Mar 9. 2002
出力タンクコイルを正式に製作する。コイルは実験からの物で、トヨムラのエアダックスコイル#502042を使っている。2001年のハムフェアで購入したモノだが、既に生産中止になっている。3.5MHzコイルは約17μHで巻き数30T。元々目一杯で32Tなので、リード用に解せばこの程度になってしまう。これを写真のように3mmのアクリル板と黒ベーク製スペーサーで固定し、天板に逆さ吊りに取り付けてある。
3.5MHzでの実験データを元に各バンドでインダクタンスと巻き数を求める。プレート不可抵抗は4K〜4.5KΩ程度にしている。右は実装してタップを出しをして配線した様子。机上ではじき出した数字と異なって来るので、最後はカットアンドトライになる。配線はコイルと同じ2mmΦのスズメッキ線で行った。タップの取り出しには、コイルとリードを銅板で巻き込んだところにハンダを流して行う。最終的に各VCの抜け具合がバンド順に綺麗に並ぶようにする。ローバンドでは周波数が倍ならVC容量は1/2に減っていく。ハイバンドではストレー容量が効いてくるのでこの限りではない。また、ハイバンドでは1/4ターンの変化で随分とVC位置が変わってくるので、なるべき良き位置に持って行きたい。
タップ位置の決定は、プレート〜グランド間に4〜4.5KΩ程度のダミー対抗を抱かせ、アンテナ端子にSWRアナライザを接続し、各バンドで共振点を確認しながら行う。写真は3.5MHzを確認中のもの。後で気がついたのだが、中和回路を取り付けずにやったので、ハイフレでは共振点がずれてくるものと思われる。コイルは実験段階では立てていたが、ここでは横に寝かせる事にした。このためメーターやメーターSWのメンテナンスが面倒になってしまったが止むを得ない。
右のスプレー缶はCRCの2-26(左)とLECTRA M. CLEAN(右)。2-26はブラスチックを含んだ電子部品のメンテナンスに便利。これは長野五輪のときCBSのOBスタッフが残していったものを頂戴した。LECTRA・・・はハンダ上げした後のフラックスや、表面が汚れた金属部品の洗浄に有効で好んで使っている。ハンダ面が見違える程にピカピカになる。元々自動車部品の洗浄用で、カー用品店で取り扱っている。今回は、タップの取り出し部のハンダ面とバンドSWのハンダ面を洗浄している。
最終的にはこの位置に来ないかも知れないが、VCノブ周辺にバンド表示を貼り付けた。調整段階においてチューニングの目安となるので無駄になる事は無い。今回はMHz表示ではなくm表示としている。負荷抵抗が高いためπ回路定数がローCになるため、プレートVCの抜けた方向にバンドが集中してしまう。
Mar 10. 2002
フィラメント接地グリッドドライブでは中和回路が不可欠である。ところが、中和回路の帰還容量が出力タンク回路の共振周波数を下げてしまう。思った通りだった。10MHz辺りまでは何とかなるが、14MHz以上では同調点が見つからなくなる。22pFと大容量だから当然と言えば当然。それから、やはりバンド毎にニュートラル点が変わるので、このやり方はマルチバンドアンプ向きでないと判断。あっさりとグリッド接地フィラメントドライブ(GG)に方向転換する。
ところが再び問題発覚。5T31周辺をグリッド接地(RFバイパス)環境に変更し3.5MHzで送信テストをする。無入力なら問題ないが、一度RFドライブした瞬間にIp⇒振切れ、Ig⇒振切れ、AC15Aヒューズ⇒断の現象が発生。7MHzでも同様。メーターが一つしかないので、この現象を確認するために何本かの15Aヒューズを飛ばさざるを得なかった。それで、回路をフィラメント接地グリッドドライブに戻すと問題は解決する。一体これは何なんだ?!。
Igが振切れているから発振である事は間違いない。スペアナでスキャンしようと思っても一瞬の出来事で中々拾い上げられないが、TV画面への被りやPCのリセット、それにPCスピーカー(アンプ内臓)にバズ音等が発生する。RF入力がトリガーとなり、自己発振又は寄生発振を誘発している模様である。
PS(パラスチックサプレッサ)のLを半ターンのリードに変えてみたが変化は無い。ところがその作業中にPSの抵抗器(50Ω/5W不燃抵抗)が折れ、オープン状態を発見・・・これだ!。そう言えば先日閃光を放った時に同じような現象になった。その後フィラメント接地に変更していたから問題が発覚しなかったようだ。抵抗を交換(51Ω/5W酸化金属皮膜抵抗)してテストすると見事OKであった。現状で18-21MHzでチューニングをとると抵抗が発熱し塗料が焼けてくる。この部分はPSコイルの巻き数を減らす方向で検討したい。
しかし最大のメリットは、プレートVCの同調位置は正常な位置に戻り、グリッド接地フィラメントドライブで中和回路も不用になった事である。
入力トランスを巻き数比2:6(1:3)で、3.5MHz/100Wドライブ時、入力SWR=1.4で出力約700W(Ep=3.5KV/Ip=300mA/Eg=-100V/効率=67%)が得られる。また7/10MHzはエキサイターのATUに依存するがほぼ同じデータが得られ、14MHzは約560W出力(PS抵抗発熱あり)、18-21MHzはPS抵抗の発熱が大きいため調整中である。課題は入力整合とPS対策・・・この二つに絞られてきた。前者はトランスの出力側が450Ωなので、ここにLPF(25MHz程度)を入れてインピーダンスを安定化させてみる予定。後者は、初めての長身の球で内部インダクタンスが如何程のものか掴みきれないでいたが、PSのコイル調整で逃げる予定。
表の14MHz以上のハイバンドは、PSを作り直してから測定したもの。完全ではないが随分と改善されてきた。益々面白くなるぞ。
余りお目にかかれないトラブルの紹介。何も自慢できる事ではないが、事実として記述しておく事にする。実はプレートRFCのインダクタンス不足を見込んで写真のようにフェライトバーにECを巻いたコイルを補助RFCとして、メインRFC(上部)にシリーズに入れていた。それで、実験の結果ローバンドでも不要と分かり電源線の接続をメインRFCにつないだ。このとき補助RFCは取り外さずそのままだった。補助RFCの電源側の固定には、20mm長の黒ベークサポートで行っていた。14MHzで500WのCWキーイングを10分ほど続けたところでBomb!。5T31ソケットの周辺に、粉々に飛び散った破片が右の写真。補助RFCにはスペーサーに埋め込まれていたネジ部分だけが残っている。補助RFCとスペーサーのC成分に共振電流が流れ、スペーサーが耐え切れなくなって破裂したものと推測する。我々は誘導現象には敏感だが、誘電による物理現象にも少し敏感になった方が良いだろう。直流的に余裕があっても、高周波による誘電の世界は全く異なると言う事例である。
また、左の写真奥にはPSが写っている。この中の50Ω不燃抵抗が破断して折れている。不恰好に取り付けてあるのが、実験のために急遽用意した金属皮膜抵抗51Ωであるが、既に塗料が焼け焦げている。
続いて寄生発振について考察してみる。この5T31はプレートとフィラメントをループで結ぶとかなりのインダクタンスを示す。PSの抵抗がオープンになれば相当なインダクタンスるはず。球の電極間容量がこのインダクタンスにぶら下がるから、回路はコルピッツ発振回路になる。即ちCpk容量及びCpg&Cpkの直列容量の合成容量が、インダクタンスに並列につながり格好の発振回路を構成してしまう。Cpg/Cpkの比率は発振条件を満たす帰還量を決定する。球がカットオフに近い状態なら一見発振はしないが、一度RFドライブでトリガーを与えるとたちまち発振が始まってしまう。プレート側の条件が同じなのに、GGとGKで様子が異なったのは、入力回路の装荷による帰還量の違いからと考えている。
前面パネルのスイッチ2個とVRのレタリングをやり直す。一枚の粘着フィルムのまとめてプリントアウトしたものを貼り付けた。以前よりずっとスマートになった。
Mar 11. 2002
これまで5T31の実験をしてきて判明した事を表にした。独断と偏見であるから皆様ご注意を!。・・・中和回路の煩雑さにより、マルチバンドかモノバンドかの選択がそのままGGかGKかの選択に連動すると言えそうだ。ゲインを稼ぎたい時はGKにするが、中和が必要になるのでマルチバンダーではチト工夫がいる。入力回路の非同調方式は(現在実験中)Igを流す事が前提の球であるため、ハイミューの4極管のように簡単ではない。GGのInputImpを300〜450Ωと記したのは、ステップアップトランスのタップ選択で一番低SWRだった巻き数比2:6(Z比1:9)からのデータ。とハイバンドでの2:5(Z比1:6.25)からのデータ。
発振対策の実験のために秋葉原を往復した。写真は購入した部品で、入力トランス用の#43材トロイダルコア(ラジオデパート3F斎藤電気)、抵抗・ディップマイカ(ラジオデパート2F海神無線)、USA製L型ラグ(ラジオデパート3Fサンエー)、黒ベークスペーサー(ラジオデパート1F桜屋電機)ハンダ吸い取り(ラジオデパート入り口工具屋さん)。
Mar 12. 2002
昨晩は良好だったのに・・・どうも様子が可笑しい。無入力の送信状態で放置しておいたら、電源ヒューズが飛んでいたのだ。原因を掴みきれないまま、ヒューズを交換してテストすると、どのバンドでも送信に写った瞬間から発振し、IpとIgメーターが振切れる。またトランスが唸り、管内が薄紫色になる・・・危ない危ない。
ヒューズが飛ぶ前にオペレートSWを切る段取りのよさで、無駄にヒューズを飛ばさなくて済んだが喜んではいられない。それで、色々と調べた結果を以下にまとめた。
@入力(フィラメント)をオープンにしても現象は変わらない。
A入力(フィラメント)をカップリングコンデンサ(0.0022μFマイカx1)で接地すると発振は止まる。
Bグリッドの接地コンデンサ(0.0022μFマイカx2)を外すと発振は止まる。
Cプレートタンク回路を切り離すと発振は止まる(タンク回路の設定値で状況変化)。
D発振するとPSの抵抗が焼け切れる。
E発振周波数はVHF帯以上で、TVに障害あり(スペクトラム参照)。
FEpは3KVでも3.5KVでも状況は変わらない。
G球を交換しても状況は変わらない。
Hグリッドを接地回路に抵抗(150Ω)を直列に入れるとローバンドでは発振は無くなるがハイバンドでは抵抗を焼き切るほどの発振を起こす。
Iグリッドバイアスを深くすると発振し難くなるが、高周波ドライブするとで発振を開始する。
Jグリッド接地コンデンサを300pF程度の減らすと動作が安定してくるが利得は落ちる。
KGKでは発振しない。
LRFドライブによって発振を誘発する場合もあったが、殆ど送信状態にしただけで発振する(寄生発振と言うより自己発振に近い)。
M発振すると、送信を解除しても発振が継続する場合が多い。
・・・およそ以上が調査結果である。一体何処が原因なのか考えてみる・・・プレート側の条件が同じなのに、AとJのようにフィラメントを高周波的に接地したGKでは発振しないと言うことは、フィラメントのインピーダンスがグランドに対して高すぎるのか?、或いは回路のQが高すぎるのか?。フィラメントチョークは#43材のフェライトコアに巻いたが、こいつが悪さをしているのか?。
ついに捕らえた寄生発振の周波数スペクトラム(左)。ヒューズが飛ぶため瞬間しか送信できない。送信制御をスペアナの近くに持って行き、送信とスペアナのシングルスイープを同時に行い、何度か繰り返すうちに撮影できた。出力タンク回路は7MHzに同調させてある。入力は巻き数比2:6(1:3)のトランスで非同調。送信に移った時のトリガーで発振状態に陥る。100MHz付近が基本波と思われ、整数倍に高調波がGHz帯まで並んでいる。60MHzにも固有の発振が確認できる。それにしてもこれは凄い。殆どTVI発生器である。
右は寄生発振で燃え尽き折れてしまったPS用不燃抵抗51Ω。
Mar 13. 2002
ハイバンドコイルの発熱について。ここで言うハイバンドとは18-21MHzを意味します。最初からハイバンドはオマケ程度にしか考えていなかったが、14MHzと比べると急に出力が低下しているのを見て欲が出てきた。コイルを見ると、温度上昇によりエアダックスコイルの支持アクリルが変形している。内心「やっぱりか・・・」で、これじゃあまずい!。実は4mmの銅パイプを用意してあるのだが、ついモノグサニなって何もしていなかった。ここでかなりのパワーが食われているようだ。コイルを銅パイプ製に変更する予定。但し18-21MHzにするか、14-21MHzにするかは14MHzの温度上昇を再調査して決定する。写真は18MHz/約500Wで10分程キーイングした状態。
もう一つトラブル発覚。昨日、意図的に発振させスペアナでスペクトラムを拾い上げている時に、どうやらメーターをやられてしまったらしい。メーターそのものは生きているのだが、保護ダイオードが短絡してメーターをシャントしているようで、振れが極小になってしまった。取り出して確認しないといけないが、タンクコイルを取り外さないとメーターに手が出せない・・・ハイバンドコイルの交換に併せて作業する事にする。
Mar 14. 2002
タンクコイルを取り外し、メーター保護ダイオードを交換した。タンクコイルやバンドSW等の部品を、不測の事態に備え交換できるように作っておくと、後処理が大変楽である。メーカー製品でも、部品交換を「どうやってやるの?」と考えてしまう物が結構あります。絶対にトラブルが無いとは言い切れないですから、アマチュアでも多少は考慮したいものです。写真左は取り外したタンクコイルのクローズアップ。これを外さないとメーターの背面にボックスドライバーが入らない。タンクコイルはハイバンド部分を切り取り、新たに4mmΦの銅パイプで作り直す予定。メーターは保護ダイオードが短絡して、見事にメーターを保護していた・・・ひとまずラッキィ!。写真右はダイオードを交換したメーターの裏側。メーターの丸穴の奥にプレートVCが見える。
また、メーターセレクトの1項目、RF(出力)表示用の引き出しをメーターSWから行った。
Mar 15. 2002
ハイバンド用タンクコイルを巻く。4mmΦの銅パイプを焼きなまして、25mmΦの鉄パイプに15T巻き込んだ。巻き終わったら鉄パイプを抜き一度焼入れを行う。両端にラグ端子をはんだ付けして完成。一方14MHz以下は今までのコイルから18-21MHz用を切断した。また、スペーサーはタイト製を使用した。実はこのスペーサー、今までは35mm高の黒ベークを使っていたが、プレート側は既に高周波による劣化が確認されていた・・・危ない危ない。
コイルが全体にパネルから遠のくのでバンドスイッチも後方に約18mmずらした。暫定的にタップ出ししてバンドスイッチに接続してみた。
ハイバンドコイルのインダクタンスが素材長(1mしかない)の関係で小さく、全体にプレートVCが入る方向になってしまった。要検討である。今思うと最初からハイバンドは別コイルでやるべきだった・・・。
左の写真は焼きなましの跡が残るハイバンドコイル。銅パイプ素材長が1mしかなく、目的のインダクタンスに足らないため後日作り直す予定。焼きなまさないと銅パイプがつぶれてしまう・・・生活の知恵だ。右の写真は左奥にハイバンドコイルが見える。バンドSWを後方にずらした様子が分かる。これでメーターやメーターSWのメンテナンスがやり易くなった。
Mar 16. 2002
ハイバンドコイルを作り直した。昨日製作したばかりなのに、作り直した理由はインダクタンス不足。写真左は新旧のハイバンドコイル。右は昨日製作したもので4mmΦの銅パイプを11T巻いている。
写真中央は作り直したもので、3mmΦの銅パイプを13T巻いた。素材は1mの物しか入手出来なかった。これだと11Tしか巻けないため不足分を継ぎ足して巻いた。タップはプレートから8.5Tのところに出している。各バンドがプレートVCの抜け具合(半分で周波数倍)に揃うようにタップを決める。
写真右は東急ハンズから買ってきた3mmΦと2mmΦの銅パイプ。細い方は継ぎ手として使いハンダを流し込んで固定する。店には1mの物しか置いてなかった・・・。
いずれにしても、このように両端をラグ端子で処理しておくと、コイルの交換や実験、それにメンテナンスが容易にできる。
Mar 17. 2002
出力タンクコイルのデータを記した。計算から求めたものがベースとなっているが、狭いところに実装すると、ストレー容量やインダクタンス低下の影響を受けて、自由空間で製作した通り(タップ位置等)にならない。そこで実装した段階で、出力側にSWRアナライザ、プレート側に希望の抵抗器を取り付けて確認する。表はこのやり方で決めたコイルデータである。ローバンド用L1とハイバンド用L2は互いに直角に取り付けられている。プレートVCの抜け具合は周波数が倍になると半分になるようにタップ出ししてある。但し、ハイバンドでは最適値が1ターンの中にある場合が多く、必ずしも希望通りになるとは限らない。150PFのプレートVC全体に3.5〜21MHzが展開するようにしてある。
休日で時間がとれた。寄生発振(自己発振)を考えてみた。状況から見て、寄生発振と言うより自己発振である。何とかしてVHF帯の利得を鈍らせなければ発振を止める事が出来ない。LRによるPSを取りやめ、試しに50Ωのメタルクラッド抵抗を入れてみた。恐る恐る電源を入れ、固唾を飲んで送信に移る・・・オッ発振しない、ラッキィ!・・・全バンドOKだ。RFでドライブするが思った通り目的周波数も利得が低下している・・・あたりまえだけど。100W入れても350W(3.5MHz)程度しか出てこない。次に15Ω(10W)のセメント抵抗をパラッた。この抵抗はL分も含まれるし、VHF帯での利得低下を狙った。出力は伸び、全バンドで発振は無い。更にもう一本15Ωをパラッた。これで18MHz以下のバンドで500Wを出力するようになった(21MHzは400W程度)。当然発振もOKである。
ここまでの結論は、特定の周波数でかなりの利得があり、自己発振を誘発する。そのレベルは30KΩのカソード(フィラメント)抵抗によるセルフバイアスではカットオフできない程高い。Ip/Igはメーターを振切らせ、15Aの電源ヒューズは即断するほどの電力である。
対策として・・・
@プレート回路に目的周波数に見合ったPS回路を設ける
Aグリッド接地回路に目的周波数に見合ったPS回路を設ける
・・・以上の対策が、安定動作には不可欠である事が分かった。
写真左は、プレートPSを上記状態にて一定の動作確認後、初めてケースを被せてみたところ。中々カッコイイ!。当然だが、電源以外の側面はシールド板をあてがう予定。写真中央は休日の単身アパートでの作業風景・・・それにしても散らかっている。アンプはスタンバイリレーを経由しているので、ダミーロードをアンテナに替えれば直ぐにでもオンエアできる。念のため高調波をスペアナで確認したが、2次で-40〜45dBに収まっていた。また寄生発振や自己発振は確認できなかった。更にCWブレークイン時のパルス(V/UHF帯)も発生していない事を確認した。高周波的には問題は無いと言えそう・・・。写真右は、発振で即断した15Aのヒューズ群。全て瞬時に飛び散り、ガラス管内に溶けたヒューズで蒸着している。「闘いの痕!」と言えよう。20Aにしたいが、20Aにすると家のNFBが飛び、他の電化製品(主にPC関係)に影響があるからNG。
今後はPSの更なる検討(プレート&グリッド)と、21MHzの出力アップ、それに入力整合(現在一部でエキサイターのATUに依存中)が作業の中心となる。
参考:3-500Z(TL-922)などは、連続キーダウンでなくキーイングでも、10分もやれば出力の低下や同調点(電極の熱膨張により)がずれてくるが、この球は中々ずれて来ないし、出力の低下も無い。
Mar 18. 2002
グリッド接地回路にPSを挿入した。1.6mmスズメッキ線を2T巻き、その中に51Ω/5Wの不燃抵抗を取り付けたPSを、グリッド接地コンデンサとグランド間に取り付けた。プレート側も仮だがPS処理してあるので安全度は更に増したものと考えられる。
写真左は入力周りのスナップ。入力トランスは巻数比1:3(線材藤倉ビーメックス5Tトリファイラ/Z比1:9)で新たに製作したもの。スプリアスも気になっていたので、14MHz/CWで500W出力時のものを測定したのが右の写真。第2次と第5次高調波が-55dB付近で、他は-70dB以下に落ちていおり、π型としてはまずまずの特性。
最初から何故グリッド側にもPSを入れなかったのか・・・先入観ってのは恐ろしい。40MHzが限界の球だから、100MHz以上で発振するなんて思いもよらなかった訳だが・・・。
写真左は、前述したグリッドPSのクローズアップ。グリッド側に入れるPSの効果は絶大だった。プレートPSとの併用が好ましいだろう。写真右は、その後製作したプレートPS。10mm幅0.5mm厚の銅版を20mmΦに1.5T巻、51Ω/5Wの不燃抵抗を取り付けた。銅版はそのままリードとなり、プレートフィンとRFCにネジ留めされる。
これらのPSにより、全バンドで安定な動作が可能になった。入力回路は非同調にこだわり続けている。現在、3.5〜10MHzバンドまではエキサイタのATU無しでフルドライブが可能であるが、14〜21MHzバンドではエキサイタのATUに依存している。フィラメントドライブZが見込みであるが450Ω程度あるため、ハイバンドで5T31の管内ストレー容量やインダクタンスが効いてくる。色々工夫をしているが、劇的な改善は見られない・・・バンド毎にマッチング回路を切替えるのは楽だが技術的に興味が薄い・・・ATU依存型にしても構わないか。
参考:入力回路は同調形にするべきと言う考え方がありますが、ハーモニックスやIMDを測定すると非同調に対しメリットと断言できるデータになりません。むしろエキサイターの負荷として適正な値を与えてあげる方が重要だと考えます。
Mar 19. 2002
左は、自己発振(寄生発振)対策途中に使用した、抵抗器のみによるPS。全てインダクタンスを持つ抵抗器だが、回路のQを落とすにはこれが一番手っ取り早い。但し目的周波数も影響を受けるが・・・。メタルクラッドは50Ω/50W、セメント抵抗はそれぞれ15Ω/10W。右は、リニューアルしたハイバンド(18-21MHz)タンクコイル。21MHzでも500W以上を出力するようになったが。熱によりコイルが変色した様子が分かる。但しハンダが流れ出すところまでは温度上昇していない。
Mar 20. 2002
7MHzと21MHzバンドの入出力特性をとってみた。グリッドバイアスを-100VもかけたGGで、どれほどの直線性がとれているか心配で、恐る恐る測定したデータがこのグラフ。ところが利得は低いものの、GGアンプとしてはまずまずの直線性である。エキサイタ出力100Wで最大出力になるようにチューニングをとり、入力を落としながら出力をプロットした。メーターの読み取り誤差もあるので、実際にはほぼリニアと想像する。正直なところ、ゼロバイアス管の3-500ZのGGアンプに比べて「遥かにリニア」と言う印象である。また100W入力時点でも出力カーブは伸びているのが素晴らしい・・・自己満足か。おかげ様で21MHzも600W出力をクリアしている。左の写真は測定中の本5T31アンプと、DAIWAのパワーメーターCN-101Lと自作オイルダミーロード。
筐体輻射によるTVIの確認:カバーを取り付けた状態でダミー運転し、TVやオーディオ機器、PC関係にインターフェアの無い事を確認しておきます。このときスペアナでスプリアスの様子を見ながら作業すると、およその感じがつかめます。
自己発振の考察:散々ヒューズを飛ばし楽しませて(悩ませて)くれた「事故発振」について考えてみた。過去の経験では、このように送信に移った瞬間から発振する事は殆ど無かった。大半は、RF入力を上げていった時か、バイアスを浅くしてIpを流し込んでいった時に発生するものだった。
実は、プレートフィンと天板間が7〜8mmと狭く静電容量が一定量ある事が板金段階から気になっていた。144MHz以上のアンプを作った方ならこの状況を見たらピンとくるはず。その間の静電容量を通してプレートが筐体と結合し、共振回路が構成される事が分かる。即ちキャビティである。グリッドはキャビティのコールドエンド付近に接地されているが、フィラメントはRFCによりRF電位を持つ。これにより、ハートレー型(カソードタップ)の自励発振回路が構成されてしまう事が分かる。プレートPSやπ型タンク回路はキャビティに比べたらインピーダンスが高いため、キャビティが共振回路を支配してしまう。無入力時に、グリッドとフィラメントのRF電位が同じであるGKでは、発振する由も無い話であるが、GGでは前述の用にフィラメントがRF電位を持つ事が原理上避けられない。GGで、フィラメントをバイパスさせると発振しなかった事でその理屈が分かる。試みにディップメーターをプレート回路に突っ込むと、100MHz付近に強烈なディップを確認する事ができる。こうなると構造的にグリッド回路にPSを挿入する方法が一番確実と言える。
Mar 21. 2002
写真左は、出力検波回路を組み込んだところ。出力(ロードVC)を30KΩと1KΩで分割し、ゲルマニウムダイオード1N60で整流後0.01μFのセラミックコンデンサ(TAIYO)で平滑し、100KΩ/BのVR(コスモス)を介しメータースイッチへ配線した。抵抗はソリッド抵抗とP型抵抗であるが、ゲルマニュームダイオードを含めて周波数特性を持っている模様で、各バンドで表示が綺麗に揃わずハイバンドが大きく表示さてしまう。チューニングをとるときの「目安」なので余り気にはしていないが、真面目に取り組むと結構難しい課題である。
写真中央と右は、プレート回路の補助RFCを追加した様子。垂直に取り付けてあるRFCがそれで、0.8mmΦUEW(Kyowa)を10mmΦタイトボビンに50T巻いてある。50MHz用に巻いてあったものを流用した。青色に見えるのは、メインRFCとの間に入れた0.001μF/10KV(タムラ)のバイパスコンデンサ。このボビンは元々500μH/500mAのRFC(秋葉原ラジオストア東邦無線)の物。RFの電源側への回り込み(デカップリング)防止に大変有効である。
入力トランスのタップを変更する。ハイバンドでの入力SWRが高く、100%ATU依存型が気になっていた。それで、コンベンショナルトランス(1mmΦスズメッキ線17T)を巻き、入力側のタップ位置を変えSWRの低下する位置を探った。その結果18-21MHzは、巻き数比がおよそ1:2付近が適当である事が分かった。この状態で3.5MHzを確認するとSWRが若干上昇してしまうが、ATU無しでフルパワーが放り込める。総合すると、SWR最小バンドが高い方に移動(14〜18MHz)し、全体に入力SWRの平均値が低下する。こため、思い切って入力トランスの巻き数比を1:2に変更した。これにより、3.5〜14MHzはATU無しで100%、18〜21MHzは80%程度まで駆動できるようになった。ATUは補助的な役割を担う事になるが、挿入すれば全バンドで100%駆動が可能である。
写真は、入力トランスを1:2にタップダウン後の側面フルショットとタップダウンする前の入力トランス。この時は捲き数比1:3で、ローバンドはこの方が良好だった。
Mar 22. 2002
部屋の中の掃除を行う。アンプを机の端に乗せて各バンドの動作チェックを実施。写真と表はその時の模様とデータ。入力トランスを1:2に変更したため、ローバンド出力が伸びなくなった。またプレート負荷抵抗が高めなので、RFCのインダクタンス不足も影響していると思われる。しかし、全バンドに渡って平準化してきたと言える。ダミー運転では非常に安定に動作している。なお全体にゲインが低いのでALCは設けない方向でいる。
なお過去のデータから、100Wドライブ時点でも出力はリニアに伸びているので、150W程度で押せば1KW出力も許容プレート損失(450W)以内で可能と思われる。但しタンクコイルの増強が必須になる。
Mar 23. 2002
余りお目にかかれないスナップを2枚。両者共フレームの底を含んだフロントビューとリアビュー。フロントカバーの直ぐ後ろには大きなエア吸入口がある。外気はここを通ってトランスを冷やしタンクコイルを冷やしてプレートヒートシンクを冷やす。底にはトランス取り付け用のビス(4mmΦx4本)と5T31ソケット固定用ビス(4mmΦx4本)が見える。背面にはパンチ板による吸入口があり、ここに吸い込まれた外気は直に5T31に当り上部ファンに抜ける。カバーは後部からビス3本で留められているが、フレームのガイドにカバーに付いたツメがかかり遊ばない構造になっている。ファン(Tobish U8500)は騒音を考慮して2個直列に接続してある。これはファン電源コネクタの中で行っている。
これは5T31アンプとは直接関係無い話で、参考です。エキサイターに使っているIC-756が不調で修理に出した。エキサイタなので5T31アンプのテストが出来なくなってしまった。不調の内容は以下の3項目。
@LCDのバックライトが点かない・・・以前は時々点いたが、最近は全く点かない、PCで周波数とモードは読めるが他が全く分からない。
A受信感度大幅低下・・・3月7日のQSO中に発生、S9+20dB以上の信号が辛うじて了解できる程度。5T31アンプの発振で、IC-756側にRFが逆流して壊したか?と思ったが、それ以前からなのでアリバイがあり犯人ではない。
Bリレー接点出力が粘る・・・今はTx情報をACCから得てDCアンプ経由で使用しているが、過去に幾度か発生し張り付いた。同じような悩みの方はTest & Dataコーナーの「スタンバイリレー接点の溶解対策」をご覧下さい。ドライブ回路を紹介しております。
写真は、解体して調査中のIC-756。@はバックライト点灯用の電源回路が発振していない、AはIFアンプ以降は正常動作している。3は現在のところ回復していた。
この写真だけでIC-756と分かる方は相当のツウと言えるでしょう。フロントパネルと本体とは2本のフラットケーブルでしかつながっていないので、パネルと本体を切り離したリモートトランシーバーも簡単にできる。
夕刻、名古屋市東区の平丸ムセンに発送した。修理上がりが待ち遠しい。
Mar 24. 2002
朝6時半、今日の目標を設定、フロントパネルに覗き窓を取り付ける。目標を設定する事で他に浮気しないようにする。懐かしい覗き窓・・・3-500Zのアンプでは必ず付けてプレートの状態を確認していた。さてどうなるか・・・朝見た方はまた夜にお越しください!。
覗き窓が出来たら完成宣言をしようと思います。細かいのは未だありますが、それは「残工事」とする予定です。
予定通りフロントパネルに「覗き窓」を取り付けた。位置とサイズを決め、パネルに水性ペンで罫書いたあと、2mmΦのドリルで穴をあけ金ノコで切り出した。化粧板とアルミパネルを同時に切り出している。上下は金ノコが入らないので、穴をつなげて切り出す事になる。角穴が空いたらヤスリで慎重に仕上げる。フロントパネルにキズをつけないように紙やガムテープで覆うと良い。内側からはステンレスネットを当て、2mmの皿ビスとナットで固定した。このとき、構造の関係で内側に出っ張りがあり、ネットに細工を施し対策している(元々「覗き窓」は付ける予定が無かったため)。このような作業が発生しても容易に対応の取れるパネル構造にしてある。
フィラメントを灯して、周辺を若干暗くすると5T31の周辺がフィラメントの明かりが浮き上り楽しくなる。運用時はフィラメントはもとより、プレートの赤化状況をここから見る事が出来る。これで機械工作の殆どは終了した。自己満足の世界だが、中々のルックスだし、DOS/Vパソコンのケースとは思えない!、いや、リニアアンプとはとても思えない!・・・と思いませんか?。
ところで、今まで回路図なんてものを一度も書いていなかった。ノートや一部はPCの中に書き込んであるので、今後残工事として電子化して掲示する予定です。また最終的な試験成績、100W以上でドライブ時の出力曲線やその他特性の測定と掲示も予定しています。
以上、ここでひとまず完成宣言します。
Mar 25. 2002
24時間の連続通電実施。昨日昼からスタンバイ状態で24時間の通電を行った。動作正常である。エキサイタが修理中のため、送信関係のテストをする事が出来ない。
秋葉原を往復する。目的はIpメーター用のシャント抵抗の0.22Ω/20W/10Wを買うため。千石電商のB1で購入。目的は、現在Ipメーターが実はIc(カソード/フィラメント)メーターで、IpとIgの合成が表示されている。プレート入力を計算するのに不便なため、回路を変更する事にした。陰極に入れたシャント抵抗0.22Ωの両端にメーターを接続している。このシャント抵抗を高圧電源のマイナス側に入れるか、グリッドバイアス電源の接地(+側)を、Icシャント抵抗のホット側(トランスのCT側)から取るかで解決できる。今回は前者の方法で対策した。その理由は、後者はバイアス電源の接地回路が、リレー電源である12V電源のマイナス側と基板上でコモンになっており、切り離しが難しいから。シャント抵抗は余裕度を見て0.22Ω/20Wの物を使用した。それは、プレート側で一瞬でもスパークがあると、シャント抵抗にかなりの電圧がかかり、場合によっては破断するからである。
写真左の左上に見える白のセメント抵抗が新らしく取り付けたIp用シャント抵抗0.22Ω/20W。プレート側で不測のスパークがあっても破断しないように大き目の物を取り付けた。通常の消費電力は0.1W以下だが、この程度の抵抗器ではスパーク時に瞬断してしまい高圧が露出する事になり大変危険。下方に見えるちょっと小さいセメント抵抗は、スタンバイ用のセルフバイアス抵抗30K/10Wだが、大分小さく見える。
夜になって実家からIC-750Aが届いた。無線機が無いと余りにも寂しいので、実家に帰ったカミサンに昨日送ってもらった。写真は、そのIC-750Aとのツーショット。深夜に瀬戸市と鹿屋市の局と3.5MHz/SSBで交信した・・・もちろんパワーは絞っている。
Mar 26. 2002
タンクコイルのL1(ローバンド)とL2(ハイバンド)間のネジ留めを今までタイトスペーサーにネジ留めしていたが、圧力がかけられないため一度金属スペーサーで締めてからタイトスペーサーをねじ込んだ。これにより出力改善が見られた。但しこのデータはケースを被せない裸で14MHzでのもの。但し、ケースを被せると100W程度出力が落ちる・・・果たして何処へ行ってしまうのか。
Mar 27. 2002
完成したはずなのに、まだまだ続きます。ここではNG部品を紹介します。写真左は40mm長のプラスチック製のスペーサー。両端には真鍮製の3mmのネジが埋め込まれている。L1(ローバンド)コイルのプレート側を支えていた物だが、やはり誘電による障害が発生した。以前黒ベークスペーサーが粉々に飛び散った写真を紹介したが、ここでは飛び散らないものの、誘電による温度上昇で変形し表面に模様が入り、ネジ部分も飛び出しているのが分かる。左がNG品で、右が正常なもの。一般に売られているものは、プラスチック製とベーク製の2種類があるので購入する時は注意したいが、高電圧の高周波回路ではステアタイト製を使うのが必須である。
写真右は変形断線したプレートRFCコイルを捲きなおしたもの。線材が不足したため、別のUEW線をハンダでつなぎ巻き足した。分割巻きと言えば聞こえは言いが、たまたまそうなっただけ。こんなもんでも十分な動作をしてくれる。その後スパークは無いが、寄生発振によるものだったのか・・・いやスタンバイ時にもあったからそうとも言い切れない・・・高周波と高電圧回路ってのは本当に不思議だ。
Mar 28. 2002
IC-750Aの出力を調整し3.5MHz/600Wでの連続キーダウンを試みた。Ep=3400V、Ip=250mA、Ig=24mAで入力は816Wだからプレート損失は216Wで許容値の半分にも満たない。しかしプレートは赤くなってくる。ところが5分程続けたところでエキサイタであるIC-750Aの出力制限がかかってしまい実験中止となった。アンプにエキサイタが負けた格好になってしまった。リターンマッチ戦は後日行うことにする。
Mar 29. 2002
昨日(28日)朝、出勤前に修理だししていたIC-756が届いた。23日夕刻に出したばかりなので、その速さに驚いた。しかし交換部品の明細リストはあるものの、障害の原因については全く記述が無かった・・・寂しい。
早速IC-750Aと入替えたが、IC-750Aは三日天下だった。写真は窓から入る自然光による撮影であるが、後ろのIC-756のレベルが落ちるので、トップからスタンド明かりを漏らし、下手のPCに当たる外光をカーテンで調整している。また、最終的にPaintShopでγカーブを持ち上げている。これにより、影が強調されないソフトな映像に仕上がっている。ストロボをたいたらこの雰囲気は出ない。
Mar 30. 2002
3月28日にならって、IC-756で連続キーダウンのテストを行った。ところがやはり5分程経過するとエキサイターが出力低下を起こす。こりゃ変だと考えた・・・分かった、入力トランスがAL値を超えている模様。数分間冷やせば回復するし、通常のキーイングでは連続30分でもこのようにはならない。対策を検討することにする。コアを重ねるか・・・コアから縁を切りパイ型のステップアップか空芯コイルのステップアップか・・・いずれにしてもコア以外では共振の力を借りる事になるので、マルチバンド用として新たな切替機構が必要になる。一番やりたくなかった事であるが、また楽しみが増えた。
写真は入力回路に入れた伝送線路型の入力トランス。現象が発生するまで励振すると、触れないほどに熱くなる・・・これではまずい。
Mar 31. 2002
重要なトラブル再発。深夜1時頃急にトランスが唸りだした。最初は時々唸る程度だったが、そのうち連続となった。可笑しいと思い、SSBを出して音を聞くと聞けた音ではない・・・リップルだらけだ。ドライブレベルを落としても同じだった。その後怪しい匂いがして来て、無負荷時のEpが通常は4KV程度あるはずが、3.8KV付近まで落ち更に下降の勢いだった。これは1月29日に発生したトラブルと同じだ!。今まで約2ヶ月間問題なかったのに・・・ややトホホであった。
高圧平滑コンデンサで、ホット側のケミコン5個が膨張し一部で液漏れし、触れない位に熱くなっている。コールド側のケミコンは全く問題ない。整流器の逆方向特性が劣化しケミコンにACが加わったものと推測しダイオードを交換したが、ケミコンが通電で温まると同じ現象が再現した。・・・て事はダイオードは問題ない?・・・いや違う、ケミコンが既にNGになっているからだと判断し、ケミコン5個を交換した。ちなみに整流器の逆方向抵抗は、EM-3000(テスター)の1000MΩレンジで確認すると、僅かにメーターが振れるが、投入したダイオードは全く振れない。しかしコールド側のダイオードはその中間ぐらいに振れた。テスターでは印加電圧が低いから余り参考にならないとは思うが・・・。
写真は基板からNGケミコンを取り外した状態が左で、右は新しいケミコンを実装した状態。ガラエポ基板に焦げた痕が見える・・・かなりの温度になった模様。但しケミコンは、前回のようにチューブが外れるまでには至っていない。