PWM変調実験で変調トランス内部放電(Dec 7〜10. 2014)
オーディオPWMアンプを使い変調トランス(7F71R用フィラメントトランス、100V+100V:4V/80A/300W…巻き数比50、Z比2500)を介して、真空管RFアンプ(5T31/450TH)にプレート変調を掛ける
実験
を行っていた。その際スタンバイ中にも関わらず複数ヶ所で放電が発生し随所に不具合を誘発した。
変調トランスを介したPWMアンプも同様でサージを受け内部放電し機能を停止した。障害概要の詳細は実験サイト等で記しているが、ここでは変調トランスにの障害について記す。
当初は変調トランスの1次側と2次側の静電容量によるサージ侵入と思っていた。ところが本日、変調トランスに2つある100V巻線の片方をテスターで当たると導通が無い。外見では全く分からない。完全にオープンで明らかに断線していることが判明した。
早々に製造元の西崎電機へ送り分解修理を依頼すると、コイルの断線状況を撮影した写真が届いた。
放電は200V接続した2つの100V巻線の一番ホット側付近と、その外側にある4V巻線(PWMアンプ側)間で発生していた。放電による熱で0.8mmのエナメル線が溶解し完全に断線状態になっていた。
相応の絶縁紙が巻かれているのも関わらずこの状態だから、放電時は相当な電圧が印加したものと想像する。
写真左は本来のフィラメントトランスの1次側の100V(アウター)巻線。もう1つの100V巻線はこの内側に来る。また2次巻線の4V/80A巻線は一番外側にある。もし100V巻線の直列接続がインナーとアウターで逆だったら、この放電は発生しなかったのかも知れない…。
写真左下は断線部のクローズアップ。写真右下は4V巻線の様子。巻線は絶縁された銅板で質量があるため溶解には至っていない。
しかしながら、断線すればプレート回路がオープンになり5T31へ高圧電源が供給出来なくなる筈。しかし停止は電源(商用200V)を落とすことで行っている。断線になってもカーボンや放電で回路が出来、5T31を動作させるのに足りる電力が供給出来ていたのだろうか…ここは推測の粋を脱しえない。
参考までに、特に指示が無く巻いたトランスの耐圧は2KVを超える辺りまで補償しているが、4〜5KV以上は絶縁材の強化で対策しているとの事だった(西崎電機殿談)。
今回の修理では、西崎電機殿は自主的に1次〜2次間の絶縁材を強化して頂いた模様。もとより怪しいAM変調実験のためにご迷惑をお掛けして恐縮している。
トランスは発送から到着まで4日間で修理完了となった。
写真は修理が上がった7F71Rフィラメントトランスの全容。
1次:100Vx2、2次:4V/80A。