FL-2100ZにGU-74B/4CX800Aを組み込む@(Nov 21〜. 2010)
 関連情報・・・Yaesu FL-2100Z/Bのテストと改修
はじめに
2010年11月八重洲無線のFL-2100Z(No.OI040306)が転がり込んで来た。2003年にロシア球を組み込もうと購入した同型機が、実はピカピカ状態でとても改修する気にならずそのまま友人へQSY。そのときの思いもあり、このチャンスを活かしロシア球GU-74B/4CX800Aを組み込む検討を始めた。
狙いは・・・。
@現状の回路や部品を活かす(オリジナリティ尊重)
Aグリッド接地(GG)・カソードドライブ方式とする。
Bローコストで手間を掛けない
C欲は出さず多少の事には目を瞑る
Dそれでも「へー!」と言われる実力
E50MHzを含めたマルチバンダー化
Fその他(今思いつかない)
・・・等など。

左は上下カバーを外したFL-2100Z。それなりの経年変化や汚れがあるが程度は悪くない。
末尾に検討中の回路図(随時修正)を示す。

FL-2100Zを学ぶ
手を入れる前に相手を知る必要がある。回路図(PDF)をネット上からDLしてPrintScrn。これを作画ソフトPaintShopに取り込んでGIFファイル化。スキャナーコピーのPDF作成と思われ回路はボケボケ。これを一つづ手作業で修正し回路図を書き上げる。そして改修のための追記や削除を行う。この過程でFL-2100Zの開発コンセプトや設計者の考えがおぼろげながら見えてくる。
@572B/TL160の選択と横置き…これは時代背景(500W時代)とコストの関係か、そしてFT-101との整合性で高さ制限。
A遠い出力タンク回路…RFリターンはシールド鉄箱側面に接地(PLATE-VCは側面ボンディング、LOAD-VC・補助Cは側面ビス締め)、信号源は遠い。
Bフィラメントトランス(6.3V)CTを直接接地、グリッド負バイアス電源を用意。
Cリレー電源・グリッドバイアス・カットオフバイアス電源を一つのAC巻き線から生成。
 *グリッド負バイアス電源はAC13V半波整流…13Vx√2=-17.2V
 *カットオフ負バイアス電源はAC13Vを3倍圧整流…13Vx3x√2=-54.6V
 *リレー電源はAC13Vを半波整流…13Vx√2=17.2V
D出力リレーRL1(12V)・入力リレーRL2(12V)・バイアスリレーRL301(5V)と3個のリレー…目的電力に合わせ大・中・小のリレーを配置。

 *出力リレーRL1・・・松下のAW5221/HP2-DC12Vで2回路2接点。何故か1回路しか使用せず勿体無い。入力切替にも使えば省力化やタイミング合わせが楽なのに・・・入出力結合による発振を懸念したのだろうか。このリレーと配線によるループ長は約10cmにも及びノーマル輻射が懸念される。ソケットは使用せず端子に直半田付け。
 *入力リレーRL2・・・OMRONのDC12Vで2回路2接点。回路図上ではRF入力の切替をしているが、実配線を見ると片方の回路を配線ポストとして使用しており紛らわしい・・・いかにもアマチュア的な感覚。
 *バイアスリレーRL301・・・富士通の211A/DO12-Mで5V1回路2接点。PB-1903基板に搭載されON接点のみ使用。
E入力リレー・バイアスリレー遅延動作…出力リレーの動作タイミングに、入力リレーとバイアスリレー動作をCRで遅延。
Fメータ・・・マルチメータはIp/FWD/REF切替。Epは専用。Ipメータは高圧電源の負(リターン)側…シャント抵抗を挿入、アース側は鉄シャシにボンディング・・・DCとは言えもう少し明確なリターンポイントがありそう。
Gリレー周りのRF配線…せっかくの同軸配線がリレーで芯線とシールドが泣き別れる、シャシ内はノーマル輻射の嵐に。
H入出力コネクタ・CMカプラ周りのRF配線…同上(人体にも優しくない)。

I送風ファン・・・シャシ下に2個の小型隈取モーターファン。プロペラは直径60mmの6枚羽根で上向きに送風。ガラス管だから風が通れば良い程度の考えか。
Jシールド箱貫通のバンドSWシャフト・・・フロントパネル側の出力π回路とリアパネル側の入力π回路を連結するシャフトがシールド箱中央を貫通。シャフトは誘電を嫌ったのか金属のアルミ材。改修への制約になりそう。
KALCレベル・・・ドライブ電力の一部を検波しBIAS電圧との比較で敷居値を決めるが、ドライブ本線との結合度はTCの容量で決めBIAS電圧は固定。











その他・・・覗いていると色々と思いが巡るが、きりがないのでとりあえずここまでにする。
どうしてもRF回路やスタンバイ関係の回路に目が行き勝ちになるが、それ以外の部分についても目を配り総合的に検討した上でイメージを描き、改修作業に入る必要があると考えている。
十分では無いかもしれないが、写真は現状の様子を角度を変えて撮影してみた。FL-2100Z内部の写真は、ネット上を探しても意外と少ないので参考になるのではないかと思う。



現状の電圧・電流値を把握
現状の電圧・電流値を測定したのが左表。商用AC電源の到着はトランスの1次側でAC201V。STBY(無負荷)時はEcg=-52.7VでEp=2400V/Ip=0mAで572Bはカットオフ。OPRE(送信)で無入力時には、Ecg=-2.7VでEp=2300V/Ip=90mAとなった。Ep/IpはFL-2100Zのメーター指示を読み、他はテスターで測定。

572Bのバイアス(Ecg)には興味を持っていたが-2.7Vだった。そしてこの時、電源側ではバイアス調整R4(30ΩVR)により約7Ωのブリーディングがリレー(RL2)で行なわれている。専用電源を設けなくても、陰極側(フィラメントトランスCT)にツェナーダイオードを挿入し、陰極リターン抵抗による自己バイアスで球をカットオフしても良いと思ったりするが早合点だろうか。こkれは八重洲無線さんのポリシーなのか・・・。


機構系の改修
不要部品の撤去、GU-74B実装のための環境作り(球方向の決定・ソケットの実装・冷却ファンの実装・流用部品の移動)。
追加回路(Esg・Ecg・ヒーター電源等)のスペース確保。

GU-74Bの配置は色々と悩む。大きくオードソックスに縦置きか、或いは意表をついた横置きか・・・。どちらにせよRF(電気)的な問題に併せ、冷却(機構)を考慮して総合的に決めなければいけない。入れ物が既にFL-2100Zと決まっているから制限が多い。またなるべく簡単に済ませようとする目論見もある。
@縦置き方式a
シャシ底から直に吹き上げる方法。高さ制限があるのでファン高・穴・ソケット台・チムニィ等の吟味が必須。ちなみに110CFMのDCファンSanAce92"9G0912G102"(92x92x38)が手元にある。この高さだとシャシ下にぎりぎり組み込める。シャシ上にソケット台(配線スペース)を持ってくるとプレートとシールド蓋とのクリアランスが保てなくなる。ファン高を25mmにすればシャシにソケット直付けでもシャシ内に配線スペースを確保出来る。

A縦置き方式b 内側のファン穴にGU-74Bを取り付ける。外側のファン穴下から上方向に送風し、特製ダクトでGU-74Bのプレートを底からあおる。シャシ底のスペースを有効利用できる。ソケットの取り付けは容易だが周辺のエア漏れ対策、RFCや補助C等の移動が必要。

B縦置き方式c
内側ファン穴にソケットをシャシ内に下ろしてGU-74Bを縦置き。外側ファン穴上から下方へ風を送り込む。シャシ内は特製ダクトでGU-74Bをソケットから噴き上げる。ファンは60mm角x76mm高の筒型SunAce60"9CR0612S00"を使うと、穴サイズは65mmなので取り付けも容易だ。ソケットがシャシ下にあると配線も飛躍的にやり易い。ファンの容積があるので問題はRFCと補助Cとの輻輳。

C横置き方式
入力バンドSW内側の572Bソケット穴(30mmΦ)を拡大(70〜80mm)しGU-74Bのソケットを取り付ける。これは相当な作業になり入力タンク回路などへの影響などリスクを伴う。送風は背面パネル外のファンでGU-74Bのソケット側からプレート方向へ横方向に排出する。プレート側で排気を上方向にガイドする必要があるが困難に近い。入力シールド箱のエア漏れ対策はかなりの面積になる。入力回路は最短で配線が行えるがプレートタンク回路への経路が延びると共にRFリターンルートも現状の機構は怪しい。プレートRFCの移動は伴うが補助C類の移動は不要。

・・・という事で、今現在は前者の「縦置き方式a」になる方向で作業が進んでいる。写真上は内側のファンを外し、プレートチョークを外側へ移動し、GU-74Bをソケット付きで外したファン位置に置いた状態。外側のPS&プレートキャップや572B固定金具も外している。プレートキャップは残念ながらGU-74Bにはやや小さく挿入困難、ホースクランプ等を流用する予定。(2010.12.01)

写真下は外側のファンとバイアス可変抵抗を取り外し、前述のDCファンSunAce92(38mm高・110CFM)とEsg用トランス(100V:250V)を置いてみた様子。
トランス高(44mm)はほぼシャシ高を満たしている。ファン高は38mmでも約3mmのクリアランスがある。
ソケットはシャシ上に配し、配線用スペースもシャシ上で確保する必要がありそうだ。ソケットフランジ〜端子間は約12mmあり、配線クリアランスを前述の3mmとシャシ厚1.5mmで考慮すると、プレート側のクリアランスは3mm程度しか確保できない。ウーンこりゃ辛い、少なくとも10mmは欲しい。あとは風量を50CFM程度で我慢して25mm高ファンを使い、ソケットはシャシ直付け、そしてファン位置を下げれば問題は解決するが・・・悩ましい。(2010.12.02)
・・・色々と検討したがFL-2100Zの高さ制限(シャシ上=102mm、シャシ下=42.5mm)が、改修の自由度を奪っている。その中で過去の経験を元に以下の形でGU-74Bを組み込む事とした。

@GU-74Bは「縦置き方式a」とする。
Aソケットはシャシ上へ直付けとする。
Bファンは25mm高で75CFM級(SunAce92/80)を使う。
Cファンはケースギリギリまで下げ、配線スペースを確保する。
D穴は90mmΦで開けソケット支持部を4角に残す。









写真左はメインイベント、GU-74B用ソケットの穴開け(90mmΦ)。ソケット支持部分は残し、小穴(3mm)を数多く開けて打ち抜く。
鉄1.5mm厚はさすがにハンドドリルでは辛く電気ドリルを使った。周辺には電子回路が存在するので作業には細心の注意を払う。
ドリル歯は焼け易く金属屑も飛ぶので、CRC等を塗布しながらそれを抑える。仕上げはヤスリだ。これも鉄だとホトホト疲れる。まるで鋸の目立屋だ。
写真右は前述の用件にて作業を行ったFL-2100Z。もうオリジナルへ復旧させることはできない。
GU-74Bにネオプレンゴムのチムニーを被せてみた。RFCを1本分右へ、シャシ上面のロード補助Cは右側面へ移動。プレート回路に保護用R(セメント)とパスコン(青)を追加。バンドSWシャフトはポリロッドに変更。

写真左はGU-74Bとその周辺のクローズアップ。
RFCがオフセンターとなりプレートVCからの銅板が届かなくなるため、金属板をRFCとブロッキングC間にあてがった。
側面の右上のCはシャシ上から移動したもの。その左下2個とパラレルなのに、これだけどうしてシャシ上に取り付けたのか理解できない。
プレートキャップは572Bのモノを無理やり押し込んだが、友人のJA1IIV窪寺氏がこの騒ぎを嗅ぎつけ、お手持ちのキャップを送ってくれる事になった。
PSはオリジナルの一つをそのまま流用。GU-74Bの寄生発振は経験的にUHF帯に及ぶ事が多いので、L値の修正が必要かも知れない。発振が継続すると間違いなくバンドSWの接点を溶かす。Cg側にもPSを入れておくのが無難かも知れない。
GU-74Bをシャシ中央に配置したので、出力タンク回路からのリターンルートは自然になりイメージし易くなったと思う。
写真下は一部配線処理を行ったシャシ内部。高圧線のブッシングがファンと輻輳するので外側に穴を開け移動している。(2010.12.04)



JA1IIV窪寺氏からGU-74Bのプレートキャップが届いた。
Svetlanaの純正で型名AC-2。 写真左はそれを実装した様子。
オリジナルでは572Bのプレートキャップを銅製のリベット(3mm)で平編み導線(末端処理)を固定している。リベットを3mmのハンドドリルでえぐり取る。この様な細工をする場合ハンドドリルは本当に有効だ。
そして3mmのビスとナット(及びワッシャ&スプリングワッシャ)で締め付ける。
これで出力側の細工は取り合えず完了と思われる・・・多分、最近忘れ物が多いので。
ただ未だファンの固定穴を開けていないので、鉄のパンチ板の取り付けはそれ以降になる。(2010.12.06)

窪寺氏から引き続き皿ビスが届く。4mmで頭の小さなタイプで1.5mm厚でも皿部が突起しないとコメント。もとよりシャシ内高の関係1mmでも惜しくSK-1はシャシ上に乗せていたがドキッ!。実はチムニィと競合するから余りやりたく無かったが、チムニィに軟材を使えばまぁ良いか程度に考えていた。
そこで皿ビス好きに火が着く。SK-1のビスを外し知恵の輪の如く、配線したままシャシ上からシャシ下へ移す。高さが微妙に不足したが、ファンを乗せる金属スペーサー(後述)のスプリングワッシャー厚で解決。
これで綺麗に収まるかと思ったらファンサイズの問題が発覚。80mm角だとSK-1の金具にぶつかる。ここであっさりと92mm角と決まり、早々にSK-1の外側4ヵ所に3mmタップを立てた。写真は15mm金属スペーサーをねじ込み、そこへ92mm角ファン(PAPST3412)を仮止めした様子。
ファン右下にある入力リレー(2回路2接点)の1回路は配線ポストに使われていたが、これを開放し1回路を使えるようにした。この1回路はスタンバイ用に使う事になる。ファン左は入力π回路箱から移動したグリッド回路のRFC/R/Cとラグ板。
黒同軸はカソード駆動するが、π回路側はRCA処理し回路を分断出来る様にした。EsgトランスとバイアスVRは入力π回路箱、Esg基板・ファン電源はファン上…オンディレイRyは?…色々イメージしている。(2010.10.08)

浜松のバネ専門会社サミニ(株)から取り寄せたガーター・スプリングTG0602(詳細はCOFFEE BREAK6)をGU-74Bにかけチムニィを抑えた。この目的に過去ホースクランプを多用していたが、この方法は最も適した手法だと思っている。
TG0602はスプリング径が3mmありチムニィを押さえ込むのに好都合。写真は取り付けた様子。
なおSUNON社のACファンMA1092-HVLも届き実装。オフディレイ動作には200Vラインを使うので、直列に1.8μF/250V程度のノンポラコンデンサを入れ動作電圧を115V前後に調整する。下は実装したMA1902-HVL。(2011.01.10)



電気系の改修
GU-74Bの動作点決定(Ep≒2200V〜300V間スイング)。
入出力Z変換比の適正確認…とりあえず入力π回路をそのまま使用。π回路のC比率から見て1:2程度、出力π回路もそのまま使用。
不用部品の撤去、Ecg電源・Esg電源・ヒーター電源・スタンバイ回路の追加。

Esg(スクリーングリッド)電源・Reg・・・100V:240Vトランス(PT2/ノグチトランス2PMAT-15K)出力をブリッジ整流後、左図の様にPower-MOS-FETとツェナーダイオードによる安定化と過負荷(短絡)制御を行う。
そして出力にPhoto-SSRを挿入しスタンバイコントロール(出力ON/OFF)する。
Ecg≒-50VでGU-74Bをカットオフ出来るEcg値は要調査だが、0Vまで落とす必要は無いと思われる。R4を挿入しSSRに掛る電圧を調整することにする。(2010.11.19)

ヒーター電源・・・PT1の巻き線電圧は572B用の6.5Vしかない(電流容量は4Ax2=8A・・・50.4W以上思われる)。これからGU-74B用の12.6Vを生成する必要がある。
インバータ等が考えられるが、最も簡単に両波倍電圧整流でこれを問題をしのぐことにする。傍熱管なのにバイファイラ巻きのフィラメントチョークをそのまま流用するが、プレート電流分が片側に多めに流れる。このためフィラメントチョークのコア材がDC的に磁化され美しくないが無視する。 なお整流出力は12.6Vを超えると思われ、直列抵抗の挿入による電圧調整が必要になると思われる。(2010.11.19)

ところがここで方針変更。基本に返ると余り余計な回路は追加したくない。試しにリレー&バイアス電源用13V巻き線から40cm長のワニ口リードでGU-74Bのヒーターを灯してみた。
この系統の主な負荷は、電源パイロットランプ(常時)、OPERパイロットランプ(送信時)、リレー3個(送信時)、バイアスVR(送信時)である。
送信時にどれ位にヒーター到着電圧が低下するのか測定すると、12.74V→12.61Vであった。
ちなみに13V巻き線のDC抵抗は0.4Ω。ヒーターを灯した事による銅損は12.61Vx3.6A(定格値)=3.5W。まぁこれならヒーター巻き線とし使用しても問題はなさそうと判断。
空いた6.5V巻き線を13V巻き線に加算させ、Ecg電源の電圧を上げカットオフ電圧を稼ぐ手もある。しかしそうするとリレー用電源電圧も連動して上昇するのでここでは控える(後で気が変わるかも知れないが・・・)。回路図を修正。(2010.12.05)
Ecg(コントロールグリッド)電源・・・PT1の13V巻き線の負3倍圧整流をLM317HVでRegして≒50Vを得る。これはPB1903基板上で行う。
本来なら-100V以上あって、球のカットオフバイアスも兼ねられるのがベストなのだが、現状のバイアス電源環境環境を流用するには電圧が乏しい。
ちなみにEp=2.5KVでEsg=300Vの条件でカットオフのためのEcgを探ると、-90V以下までダラダラ伸びている事が分かる。
ま、待てよ。使い慣れたLM317HVはプラス電源専用で、出力のプラス側を接地してマイナス電源を得るには、入力ソース側の接地から浮いている必要があるがそうならない。マイナス電源RegのLM337HV使う必要が出てきた。(2010.11.19)
572B用バイアス電源整流平滑用の56Ω2本(R301/R302)と330μF/10WV(C305)をPB-1903ボードから撤去。この状態でバイアス電源出力は無負荷で-54V程度を示し、送信状態で-45Vを得ようとするとBIAS-VRを含む負荷は2.5K程度となった。これは一定量の負荷なのに中々良い数字。ひょっとしたら手を抜いてReg無しでも行けるかも知れないと、危ない期待を持ちだしている。
事のついでに、6.5Vの巻き線を遊ばせておくのは勿体ないので13V巻き線に加算したらと、試しにワニ口リード線でつなぎボードに13+6.5=19.5Vを放り込んでみた。すると負荷オープンで-83Vが出てきた。ひょっとしたらGU-74Bをカットオフに出来るかも知れない。それが可能ならEsgのスタンバイ回路は不要になる。ただ12Vリレー(RL1/RL2)には実測すると17〜18Vが印加、長時間使用はちと辛い。5Vリレー(RL301)もこの数字から換算すると7.5V程度が印加されている模様。電源ケミコンもWVオーバーだ。ただリレー電源は直列抵抗値の増加で解決する。ケミコンは63WVなので要交換だ。パイロットランプは13V巻き線そのままなので問題ない。さてどうなるか…。
なおGNDネジをシャシ背面右端へ移動(5mm穴開け)。GNDネジ穴を拡大(9mm)しVR(10K/B)を設置し一部配線を実施。(2010.12.12)

後述の10.12.19に記した通り、非安定Egc電源でも一定の動作を示している。ただドライブ電力によりEcg-Bias電圧が微妙に変動し、50Wまで増加するとその途中に最低となるポイントがある。もとよりEcg電源にはZがあるので当然と言えば当然だが、これはIcgの流れ方に起因していると思われる。
さて非安定でも問題はないし、能動素子が無い分むしろ信頼性は高いかもしれない。しかし余り芸がないので負電圧の3端子Regを組み込むと共に、外部から出力電圧制御を行い安定化と新しい形のスタンバイ制御に挑戦してみる。
左図は書きなおしたEcg電源。LM337HVを使いたいところだが手持ちにはLM337Tしかなかった。この違いで入出力間の許容電圧が47Vから37Vになってしまうが、80V程度の入力を50V程度で使うので「まぁ良いか」としている。出力電圧はR1とR2の比率と係数で決まる…Vo≒-1.25(1+R2/R1)。R2は入力を最大限出力する値にしておき、送信時はR2にR3+VRを並列にしBiasを決定する。Rはアブソーバとして数10Ωを入れておくと良い。RL301(RL3)はPB-1903ボード上に乗っている。LM337とR1/R2も同ボード上の空きスペースに組み込む。ダイオードはLM337の保護用。このやり方は中々気が利いていると思うがどうだろう…自己満足か?。総合回路図は変更済み。(2010.12.21)

実際の作業はPB-1903基板のパターンカットが3ヶ所必要。R1は120ΩをLM337Tに巻きつけ、R2は取り外した220kを流用する。それらを撤去した1倍負電圧関係部品(C/R/D)跡を利用して取り付け、プリント面に配線を追加する。
写真はLM337を実装したPB1093基板。120Ωを巻きつけたLM337が左下に見える。(2010.12.26)

オフディレイ電源・・・ファンを電源SWを切った後もGU-74B周辺が一定の温度に下がるまで回し続けるための回路が要る。
当初はACラインからサーモSW(GU-74B上部箱天板取り付け)経由でファンを回そうと思っていたが、良く考えたら球が温まってもファンで吹き上げてあげないと熱が伝わらない。自然の上昇気流だけでは動き出すまで時間が掛かり過ぎダメなのだ。
電源SWは2回路は並列にしているので、分離して1回路をファン用にしてサーモSWと並列にしてやれば良い。
電源が200Vなら電流が100Vの半分だからそれが可能。しかしオリジナルを突きたくない気持ちがあり、その電源SWの代わりを考える。
商用AC回路を開閉するので片側接地のDC回路とは電気的に絶縁されている必要がある。そこで登場するのがフォトトライアックを使ったSSR(SolidStateRelay)。
ここでは過去に使用実績のある秋月電子のSSR-Kit(100V用)を利用した。そして制御のための電源はRL1に印加されているリレー電源を使う。
写真は終段ボックスのパンチ鉄天板内側に取り付けたサーモスイッチ。40℃以上オン型だが、制御温度を表す数字の4がパンチ穴から顔を出している。鉄パンチ板もGU-74BもサーモSWも良い金属色をしている。(2010.12.23)

秋月のSSRを実装した。場所は撤去したRL2の跡地。固定用のセルフタップに3mmのタップを立てる。そして5mm高の金属スペーサーをねじ込み、そこへSSR基板をビス留めする。
上述の様にSSRを使わないで電源SWの1回路を分離して使う方法もある。ただSWの電流容量が半分になるので200V受電専用となる。100V受電へ変更する場合は配線変更が必要になり面倒。冗長系の残るSSRよりシンプルな電源SWの1回路を使用する方法をお勧めしたいが、運用性を考慮するとSSRに分がありそうだ。
SSRなど面倒だとする向きには電源ONを検知するリレーでOKで、AC検知でもDC検知でもかまわない。てことは何もSSRなど使わずに最初からリレーでイイジャンとなり苦笑する。結論はお好きな様に!となる。 実はこの行を書いていると、最初からあったRL2をファン制御に使っても良かったかなぁと弱気になってきた。
写真は追加したSSR・Esg電源基板・ACファン(暫定)・Bias調整VR、そしてオリジナルのRL1との位置関係を示している。
オリジナルの配線に比べ非常にすっきりしている・・・とは自己満足か?。(2010.12.26)




リレーの使途を今後の改修方向も含めて整理してみた。ミソはRL2の廃止。元々RF入力切替えに1回路使い、もう1回路は配線ポストになっていた。前者は1回路開いているRL1へ移し、後者は別途配線処理する。入出力を同じリレーで行う事への議論(発振など)がありそうだが、利得10数dBの低Z回路であり、50MHzでの経験もあり問題ないと見ている。RL3はGU-74Bのカットオフ制御(Ecg又はEsg制御)。(2010.12.14)



13V巻き線に6.5V巻き線を加算して整流平滑すると、Ecg電源として-83Vを得られたことを上述した。 この電圧で、Ep=2.4KVかつEsg=300Vの時、果たしてGU-74Bをカットオフ出来るかどうか調べた。
ロシアのWebサイトTubes.ruの資料にはEp(Va)=2KVでEsg=300V/250Vのグラフデータがある。Esg=250Vでは-55V、300Vの場合は-60V程度でカットオフに至っている様に読み取れる。Esg=300VでFL-2100Zの無負荷Ep=2.4KVに上昇した場合、Esgに変動がなければ-83Vあれば十分カットオフ出来るだろうと考えている。
スタンバイ方法については紆余曲折の感があるが、このデータを眺めているとその方向(C案)へ進みそうな雰囲気だ。(2010.12.15)
2010年12月16日朝のシャシ内スナップ。上述のC案で作業が進行中。
PT1をまたぐ水色線は6.5V巻き線を13V巻き線に加算するルート。パイロットランプは13Vから取るので整流平滑基板の入口で加算。
整流平滑基板上のケミコンの一部WVが不足するが、目をつむって破裂するまで我慢する・・・冗談、多分大丈夫だと思う。
右の黄色線はT2のEsg巻き線出力で整流平滑基板の完成待ち。中央下に取り付けた10KB-VRが見える。ファンは電源不要のAC200Vファン(IKURA製N3951)を暫定的に取り付けたが、オフディレイ用サーモSWは未実装。
RL2の配線は、この段階でRFin切り替えのみ。配線ポストに使っていたもう1回路の配線は外して別処理したが、Ecg不足時に備えEsg用にスタンバイ。
EcgとEsgはとりあえず非安定回路で試してみる事にする。
オリジナリティを尊重して作業量を減らす努力をしてきたが随分と雰囲気が出てきた。これでEsg回路を組み込めば恐らく動作する…はず。
信号源(GU-74B)のアース点が明確になり安定な動作が望めるかも。ただプレートVCの接地が2ルート(フロントパネルシャシ、箱側面)で行われているので、統合して球近傍に接地する方が好ましい。ロード補助Cは同軸でロードVCから伸ばして箱側面接地のため同様。シャシ上に多くの異種電位を生んでいる様で気になって仕方ない。(2010.12.16)

簡易Esg電源を、AC250Vのブリッジ整流にC(22μx2)R(820)の平滑回路とブリーダーR(20K)で製作し、RL2経由でEsgを供給。これで電源投入しBIAS-VR(10KB)で適正な調整が出来るか様子確認した。VR-GND間のRは2.5Kだと最大で100mA程度だったので1Kに変更した。これでEsg=280VでIp=0〜200mAの調整が可能であることを確認した。またBIAS=100mA時はEcg=-48V程度となった。これはほぼ予想通りの数字だ。
またこの夜のEcg電源は無負荷で-78Vあったが、これでEsg印加状態でGU-74Bをカットオフできるか確認する。スタンバイ(受信)状態で恐る恐るEsg制御のRL2をワニ口でパスするとIp=0mAの状態には変化なし。カットオフしていると見て良さそうだ。
これらに気を良くしているとRFで駆動してみたくなった。信号源やダミーロードを用意し、7MHz/CWで15W程度放り込むと400Wを出力。全て予定通りと言ってしまえばそれまでだが、極めて良好に動作している。
写真は真夜中のテスト風景。仰向けで通電しているのが気になるが、短時間と言うことでご容赦願いたい。未だオンディレイやオフディレイ回路は実装していない。Birdパワー計の上に見えるのは平ラグに組んだEsg電源仮整流平滑、PT2(ノグチトランス2PMAT-15K)は入力箱に押し込んであるのが入力コネクタの後ろに見える。テスターEcgとEsgは常時監視。(2010.12.17)

Esg(300V)電源ボードを製作・実装した。手持ち部品に合わせて前述を定数変更している。パワーMOS-FET/2SK2847と300Vツェナー(1ZB300)、そして5Vツェナー(型名不明)で構成し、300V安定化出力と出力短絡時のカットオフを行う。この回路は良く出来ていて恐る恐る出力を短絡すると瞬時にカットオフしてFETを守る。
写真はファンの横に実装した様子。下は最終的な回路図。なおRsg(アブソーバ)=33Ωもこのボードに乗せている。


なお、これら作業に併せてRL2を撤去しRFin系統をRL1へ移設した。これによりファン周辺が随分とすっきりした。 この後の作業・・・高圧投入とEXTスタンバイ制御をタイマーリレーでオンディレイさせる。Ecg電源でタイマーリレーを駆動することにした。すなわちEcg電圧が確立しない限り高圧投入や外部スタンバイ制御が出来ない様にする。(2010.12.18)


動作確認から動作試験へ・・・はやる気持ちを抑えながら取り敢えず試運転

はやる気持ちを抑えながらも、7MHzと14MHzバンドでCW/50Wを放り込んだ時の状態を確認した。Esg=300V(Reg)、EcgはUnRegのままである。
両バンド共に同等の動作を示し850〜900Wの出力を確認した。
以下7MHzでの状態を記す・・・無入力の送信状態はBias=100mA(Ecg=-53.1V)でEp=2300V。 50Wドライブで、Ep=2000V、Ip=580mA、Esg=300Vで出力850W、利得17〜20倍。 この時のPin=1160W、Pd=310W、効率=73%(但し出力にドライブ電力含む)。
グリッド接地カソードドライブのためと思われるが、15W程度では入力SWRが良好であるが、この電力になると球側のZ変動がありSWRが悪化してくる。或いはメーターが無いので分らないがIcgが流れ出しているのかも知れない。50Wだと50Ωラインでも50Vrmsあり、最大値は更に√2倍とすれば、Bias=-53V程度だとしたら絶対に流れているぞこりゃ。

上記データはエキサイタ(IC-756)内臓TUNERを使い整合させたもの。入力π回路定数の修正が必要かも知れない。
負荷時Ep=2500Vあればもっとドライブが楽になるはずだが現状ではこんなものか。裏技でEcgやHを電源をRegし、AC入力をスライダック等で10%程ステップアップすると高圧の上昇も期待できる。多少は改善されると思われるが余りスマートじゃないか・・・。
写真上左はBird43(2500H)で出力を監視している様子。上の動画は14MHz(CW/50W)で駆動中の状況。何れもGU-74Bのプレートフィンから熱風が吹き上げてくる。
写真左は7MHzで800Wpep時のツートーン波形。後述のリップルか測定系で誘導が乗っている模様で先端がやや波打っている。クロスは綺麗だ。先端(3div)がシングルトーン(CW)で800Wのライン。写真下はCW/800W出力時のリップル。ちょっと大きく気になる。高圧電源のケミコンの容量不足か、Ecg電源にリップルがあるのか・・・。(2010.12.18)






昨日晩から連続半日の通電(STBY)し特段の異常が無いことを確認する。
さらに1.8〜28MHz各バンドの動作状況を確認した。エキサイタ(IC-756)出力40Wでドライブして、概ね750W〜800W程度の出力を取り出せることが分った。
エキサイタ:IC-756、入力ワットメータ:Bird4410(4410-4)、出力ワットメータ:Bird43(2500H)、ダミーロード:Bird8404、オシロスコープ:Tektronix457。なおEcgBiasは非安定電源である。無入力送信時Bias=100mAのとき-52.2V。50Wドライブ時-51.9V、35Wドライブ時が-49.1Vで最も低くなる。変化幅が3.1Vあるが、その理由に興味がある。ドライブレベルに連動している様子も無く面白い。 (2010.12.19)

前述(Ecg電源)の通りEcg回路にLM337Tを実装しBiasの安定化を図った。無入力送信時Bias=100mAのとき-53.4V。50Wドライブ時-53.0V、やはり35Wドライブ時が最低で-50.4V。変化幅が3Vある。ちなみにSTBY時は-76.4V。当初より大分下がっているが、これでもGU-74Bのカットオフは問題なく行われている。
今のシステムではIcgやIsgの測定が出来ないが、恐らく低レベルドライブでIcgが負方向に流れ、レベルを上げるとゼロ方向に戻り、更にレベルを上げると正方向に転じていると思われる。
これらの数字からすると、Ecg電源は無理して安定化する必要は無い様にも思える。ただ受電電圧の変動が大きい場所ではやはり安心感がある。(2010.12.22)

上述のリップルの要因は高圧ケミコンの容量不足でも、電源トランスの漏洩磁束でもなかった。末尾のCOFFEE BREAK8で紆余曲折を記述している。
灯台下暗しとはこの事かもしれない。Ecg電源のスタンバイ(受信)時の出力波形は問題なかったためそれでOKとしていたが、実は送信時の出力にリップルが乗っていた。このリップルがGU-74Bをグリッド変調していたのだ。
したがって出力電力を可変してもプレート出力のリップル量に変化が無く常に一定の「リップル変調出力」があった。
お恥ずかしい限りだが原因はLM337Tに誤配線が見つかり修正した。整流平滑出力をLM337Tの出力Pinへ配線していたため、LM337Tはほぼスルー状態だった"苦笑”。
左は、800W/CWでのキーイング(約1.5msDiv))波形。800W連続キーダウン時の表示を3Divに校正した後キーイングを行ったもの。
立ち上がり時は800Wを越え、立下り時の800W付近に向かって傾斜している。
エンベロープに若干のギザが見えるが、これは剥き出しのRF出力(リレー・同軸)からのカブリ。LM337Tの出力Pinにパスコンを取り付けると見事に改善される。(2011.02.16)

写真はEsg電源基板を設置、RL2を撤去しRL1へ統合、ケーブル整理などを行ったシャシ内部。RL2の撤去とRL1への統合効果は大きく、随分とすっきりした。入力π回路のコアが角穴の向こうに見えるが、パンチ板で隠したくなる。ファンは暫定的にACファンだが、この後DCファンに変更する予定。
写真下はファンを外したソケットの周辺の様子。ファンとシャシ間の気密は、スポンジゴム(18mmx9mm)を丸めノリ付けして作成した○型パッドを挟み込む。金属スペーサーは15mm高。カソードチョークは約10μH。
金属で囲むより容易だがRF的には剥き出しだ。シールドを重視し配線は貫通コン経由でなきゃとする向きにはお勧めできない。本来ならそうしたいが、周辺を見回すとこの程度で納得する。最後は底蓋のシールドに依存する。



オンディレイ用タイマーリレー(OMRON-HY2/DC24V/180秒)を設置。写真はその様子。
高圧巻き線のコールド側と外部スタンバイ回路の開閉を行う。高圧についてはリレーの補償耐圧を超え忍びないが、ここは目をつむる。
高圧回路の配線を延長しないで組み込めるスペースはここしかない。しかもリレーは横置きにして高さを減らす。
側面へ固定する特殊金具は硬質のアルミアングルを削り出す、まさに金属細工だ。
リレー電源はEcg電源(負)の3倍圧整流の最初の1倍整流平滑出力からと取り出している(基板から出る緑色線)。RL1用のリレーの正電源から取らない理由は、高圧の投入条件に「Ecg電圧の確立」を入れたいから。「ではEsgは?」と問われたら小電力なので忘れるとする。
1倍圧がOKで3倍圧もOKと言えるかとの議論が有りそうだが、ここは確立の問題として片付ける。
負電源なのでタイマーリレーの配線には十分注意する。またOMRON社には似た様な形の製品が複数存在するが、機種により配線が異なるので、ケースに標記された配線図を必ず確認する。(2010.12.19)

ソケット周り再び…1.5mm厚の鉄板をぶち抜いた後をヤスリがけしているが、余りにも不細工なので一部分にナイロン製のフレキシブルブッシングをはめ込んだ。
円状ではないので、薄くG17等のボンドを塗ると食い付きも良くまた鉄面の酸化防止にもなる。
作業中に指先に傷を負ったりしない様にするのが目的であるが、見た目にも美しく安心感がある。(2010.12.26)


前夜から約12時間の通電をSTBY状態で実施。異常は認められない。
連続キーダウンは余りにも酷なので、その後1時間の連続キーイング(VVV VVV VVV DE JH2CLV…)を行い出力電力の低下状況を確認した。
周波数7MHz、出力750W(ドライブ電力=37W、Ep=2000V/Ip=470mA)でIC-756の自動キーイングにより1時間の連続キーイングを続けた。
その結果、出力の低下はBird43の目盛り印刷の線2〜3本程度であった。但しIC-756の出力表示に極僅かな低下が見られるので、アンプ側では殆ど出力低下が無いものと思われる。これは出力電力も含め、オリジナルFL-2100Zでは味わえない快感である。
左図はこの作業に併せてプレート上部のパンチ板に温度センサ(おんどとりRH)を置き測定した排出空気温度。センサはプレート中心で、連続キーイングを開始してから5分おきに温度を測定したもの。
ファンは暫定品で風量が不足するため全体に温度が高目に出ている。比較的早い時間に80℃を超え85℃前後に落ち着くが、希望的には60℃前後に押えたい。
1時間続けるとさすがにトランスが熱を上げ、コイル部のワニスが匂い出してくる。(2010.12.21)
上記データは上下カバーを外した状態で測定したデータである。またスポンジゴムのパッドは当初試していた15mm高(金属スペーサーと同じ)だった。その後機密性を高めるために18mm高にに変更した。その状態での温度上昇を見ていなかったので、本日約750W出力で連続30分のKeyingを行い様子を見た。ざっくりだが同じファン環境(IKURA製N3951)で上下カバーを施した。30分後の温度は約75℃を示した。上下カバーやスポンジゴムの機密性の影響なのか数字に改善が見られた。ちなみに室温8℃、開始温度22℃。現在SUNON社のファンMA1092-HVLの到着を待っているが、かなりの期待ができると思われる。(2011.01.05)
7MHz/CWで入出力特性をみた。
1000W出力に必要な入力を、ドライブレベル調整とチューニング(プレートVC&ロードVC)により探ると70Wだった。
この状態から10Wステップで入力を落とし、各段階の出力とIpを測定したのが左のグラフ。
この場合Epは無入力時(Ip=100mA)は約2300Vであるが、1000W出力時(Ip=650mA)には約1925Vまで300V以上も低下する。Epの低下が総合的に湾曲する出力カーブの要因と考えられる。
Epが確保できるか、最低でも2300〜2400V維持できれば安定に1000W出力を得られる。この間EsgやEcgの安定化が効力を発揮しEpの安定確保を期待しているかのようだ。
ちなみに1000W出力時の受電電圧は205V、STBY時は207Vなので商用電源としては良好な部類と思われる。なお室温は13℃。
エキサイタ:IC-756、入力ワットメータ:Bird4410/4410-4、出力ワットメータ:Bird43/2500H、ダミーロード:Bird8404。 (2010.12.23)

マルチメーター・・・本来ならIg/Isgを監視したいところだがオリジナル通りIp/Fwd/Refの切替とする。(2010.11.19)

通電や動作テストの最中、メーター切り替えSWの接触不良を発見。これはスイッチを替える前に接点復活材を塗布して様子を見ることにする。(2010.12.19)


ALC回路・・・1S1007で負検波したDCをリレー電源で逆バイアスし敷居値を与える。検波出力が敷居値を超えるとALC電圧を出力しエキサイタへ出力制限を掛ける。レベル設定は結合C11/2PFとTC1/50PFの比で行う。TC1はラグ板にハンダ付された小型トリマで調整がやり難い。そこで近傍で不要になった中和用TC301/30PFタイトトリマをTC1へ並列につなぐ。このTC301はドライバで容易に回せるので操作性が格段に改善される。
リレー電源のAC側は、13Vから更に6.3V加算する改修を行う。このためリレー電源電圧は5割程度高くなり何らかの調整が必要になる。基本的にはオリジナルのALC回路をそのまま流用している。(2010.12.16)

主要部分の作業に目処がついたため、現状で如何ほどのALC出力があるか確認する。35Wを放り込んでもALC電圧は出力されず、更に50Wまで上げても状況は変らなかった。やはりリレー電源のAC側が6.5V上昇している影響は大きい・・・当たり前だけど。VRやRにより電圧の再設定が必要になった。<2010.12.22)

ALC最終回路・・・ALC回路は最終的に写真の如くVR調整を基本とした。
左のVR(10KB)にリレー電源24V(実測では25V)を供給し、スレッショルド電圧をALC検波回路へ供給している。
ちなみにRFの検出は入力ドライブラインからC11(2PF)で行い、トリマTC1(50PF)とのC比による分圧(分割)出力をD1(1S1007)で検波している。
ここはオリジナル回路をそのまま流用。C分割なので当然f特があると思われる。
TC1とVRを同じ位置に固定しIC-756(約50W)で各バンド駆動すると、ALC電圧は3.5〜50MHzは-3〜-3.5V程度に概ね揃うが、1.9MHzは結合度の問題か-0.2V程度と極端に低い。
元々そうした設計なのだろうか・・・疑問だ。
写真は併せて後部箱内を示している。右上にEsg電源トランスPT2、その下方シャシ上にRCA-JACK、そこから2200PFx2が同軸でシャシ内のRL1へ、C11はALC回路へ接着方式のスタンドオフポスト経由で導かれている。
当初は入力バンドSWやπ回路基板がひしめいていたが、撤去され現在はモヌケノカラ状態。(2010.01.30)

どう見るかGGアンプの入力Z(入力SWR)・・・ドライブと同時にIcgが流れ出す3-500Zの様なゼロバイアス管。一方-50V程度にバイアスされIcgの様子がまるで違うGU-74B。ドライブレベルが一定値を取るならまだしも、様々に変わるアマチュア運用。GKで50Ω終端してCgをドライブする方法が、整合の視点に立つと如何に容易であるかと悩ましい。
現状を考察すると、入力π回路はCの比率からみて変換比1:2前後。低レベルのドライブではSWR=1であるが、ドライブレベルを上げるとSWRの上昇を招く。左図はSWRの変化状況をドライブレベルを5Wステップで上昇させて記録したもの。
エキサイタのATUに依存すると、最大入力で一度チューンすればその後はどのレベルでもリニアにRF供給できる。エキサイタの動作が電力制限されない様にアンプ側のZを一定範囲に管理する必要があるが・・・これを真面目にπ回路の変換比でやるか、利得があるのでR負荷をアブソーバ代わりにするか・・・中々楽しい。(2011.01.09)

ちなみに配線を変え、入力π回路をスルーすると、エキサイタのATU無しで7MHzで15W程度のドライブで500Wを出力し驚く。しかしSWRの上昇によるエキサイタの出力制限は相変わらず。むしろアンプ側Zの変化がモロに返って来るので逆にATUの動作がクリチカルになる。オリジナルのπ回路は整合はもとよりバッファ的な役割を果たしているのかと呟く・・・。
この状況はバンド毎に傾向が異なるので一言では書き切れない。やはりピンポイントは難しいので動作範囲を想定したブロードな対応が必要に思える。或いは最初からエキサイタのATUに依存するとか・・・。 今後の方向性としては・・・。
@共振依存の場合・・・各バンド入力π回路定数の修正
A非共振の場合・・・入力回路をCgk+ストレーを含む広帯域LPF(π回路)化
B現状のままエキサイタのATU依存

(2011.01.15)

上記Aを試す…カソード側Z値は未把握だが、Z比1:1/60MHzで設計したLPFを実装する。図は10年前、GU-74B/HF+50MHzアンプSVCfilter(旧Ver)により求めた数値。
CgK+ストレーを56PFに見込みLPFのC2に置き換える。同軸側C1は手持ちの都合で30P+30P=60PF(実測59PF)とした。周波数60MHz、56PFの場合Lは0.183μH。50MHzは特性曲線の肩に位置し若干ロスるので75MHz辺りで設計した方が良いかも知れない。
入力SWRは改善され全バンドでエキサイタATUは不要になる。CW/35W程度の駆動で最大出力同調(700〜800W)した時の入力SWRをIC-756で読むと…1.9MHz:1、3.5MHz:3、7MHz:1.4、10MHz:1.5、14MHz:1.2、18MHz:1、21MHz:2.5、24MHz:1、28MHz:1.3、50MHz:1(出力非同調・Ip=スケールアウト)・・・下表にまとめた。
ちなみに入力電力を下げるとSWRは改善する・・・Igが原因?いやそんな量じゃない!等、好奇心が巡る。Top-BANDやHi-BANDが良好で3.5MHz高いのは、カソードRFC:10μHとC2及びL経由で装荷されるC1や同軸容量で構成される共振周波数が、数MHz辺りに落ちていると想像できる。L値の変更(増加)でバンド外(2.5〜3MHz付近)へ追い出しが必要と思われる。また21MHzがやや高いのはRFCの自己共振によるものと思われる。こちらもL値の微調整で対策できる。 写真はGU-74Bソケット配線の様子。LPF用コイル(1.8μH:6mm丸棒に1mmEC/6T)とC(セラミック30PFx2)に同軸配線(1.7D-2V)の様子が分かる。さてこうなると各バンドの入力π回路の必要性は…動揺する。(2011.01.18)


カソードRFCは元々ヒータ電流を考慮していた事もあって1mmのEC線を巻いている。オリジナルのフィラメントRFCを測定すると9.3μHあった。これを参考にして10μHで巻き組み込んでいた。
しかし前述の如く、どうしてもf特を持つため、巻き数の増減や違うタイプの物との比較したくなった。
表はその様子で条件を変え5種のRFCを試してみた。@が当初からのものでフェライトバーに13T巻いている。これをベースにA20TとB25T試し、さらに手元にあったC規格不明のトロイダルRFCとDフェライトビーズを試してみた。
結果は3.5MHzの暴れはバンド外に追い出しが出来たが、21MHzは未だバンド内にかかっている。測定はバンド中央で実施しているが、バンドの下端でテストすると改善される方向である。
本日までの段階では、機構的にも安定なAに落ち着いている。SWR改善の手法は色々とあるが、Rによる補償は最後の手段に取っておく。ここまで来るともう一度入力π回路の定数をバンドごとに設定したくなってくる。(2011.01.22)

なお余りやりたくはなかったカソード〜GND間にRを装荷して、Zの暴れを抑えよう(誤魔化そ)と試したのが表のEとF。50Ωの6倍(300Ω)と4倍(200Ω)でテストした。
予想通りと言うかまずまずの結果で、一番暴れていた21MHzが大人しくなっているのが印象的である。
元々利得もあり、Rで消費される電力は50Ω終端に比べたら遥かに小さいのでこの手法も有りかと、ちと浮気心になってきた。(2011.01.23)

実際の入力π回路の変換比・・・入力π回路の定数をFL-2100Zオリジナル(572Bx2)とGU-74Bx1とを下表にまとめた。
Coはカソード(フィラメント)側の実装容量、Cgkはカソード(フィラメント)・グリッド間容量。
右端のNote欄に記したように、オリジナルの変換比は理解に苦しむ値が記されている。これは回路図だけの話なのかどうか・・・。
この様子を見ていると何も入力にπ回路など無くてもドライブ出来そうな雰囲気になってきた。
それでカソード(RCA-Plug)へ直にエキサイタをつないでドライブしたところ、HF全域にわたりπ回路経由より低SWRを示した。
何しろGGアンプのためプレート側の同調状態がモロ入力側SWRに影響してくる。どの辺りを動作亜ポイント(スペック)にするかで入力側のSWRがコロコロ変わる。
ただ出力を求めるだけなら考えることも無いが、負荷状態による歪の発生を考えると、この動作ポイントの設定は重要に思う。
これはGKアンプでは味わえない面白さでもあるが・・・。
末尾の回路図には入力π回路(各バンド同調型)を入れたものと、π回路スルーのものの2種類をアップした。ちなみに後者の入力回路は60MHz程度のπ型LPFを組み込み、50MHz運用を意識している。(2011.01.12)



入力π回と入力バンドSW…上記の如くこの入力π回と入力バンドSW部分はFL-2100Zの特徴であり、バンド毎の調整が可能な環境だ。
しかしLPFによるカソードドライブとカソード装荷Rにより、50MHzを含む全バンドでまずまずSWRに収まりエキサイタのATUを必要としない環境になった。そこで思い切って取り外す事にした…手抜きも良いとこだと笑われそうだが。
この入力π回路と入力バンドSWは、予め製作した物を取り付けていると思われ、ビスやナットを緩めると簡単に取り外す事が出来る。
これに際し、カソードへのドライブは、シャシ下の入力切替えリレーから一度シャシ上の入力切替え箱に入り、ALCのピックアップと共にRCA-JACKに出力され、カソードLPFへ導かれる。(2011.01.27)


50MHzを含むマルチバンド化の可能性
ここでのテーマ・・・はFL-2100Zで50MHzを含むマルチバンド化で50MHzのシングルバンド化ではない。50MHzシングルバンドはHFタンク回路を撤去し50MHz用を組み込めば容易で、入力側もGK・GGいずれも容易。
HFタンク回路を活かしながら50MHzを組み込むとなると回路より実装状況により難易度が変わってくる。
@プレートVCとロードVCを共用しながら、其々を2接点のVRL(真空リレー)でHF/50MHzコイルを切り替える
プレート側だけでも可能性があり。50MHzバンドへの切替はVRLをリモートBOX制御するか・・・パネルに穴を開けたくないので何らかの措置が必要。VRL用電源はリレー用電圧を24Vに上げているのでこれが利用可能。
AVRLでHFタンクコイルに50MHzタンクコイルを並列接続する方法。
但し後述するストレーが気がかり。
B1接点多いバンドSWへ交換する方法

SW・コイル・補助C等が複雑に絡み合ったストレー(C及びL)が馬鹿にならない。バンドSWの交換は厄介。
・・・とまぁ色々と思いが馳せます。そこでプレートには2.2KΩのソリッド抵抗を負荷し、タンク回路出力にSWRアナライザをつなぎ同調状況を確認した。28MHzバンドでロードVCとアナライザ周波数を可変しながらSWR=1が可能な最大周波数を求めると約34MHzとなった。
さらに太めワニ口リード(40cm・3T巻き込み)をプレートVC〜ロードVC間をつなぎ周波数の高い方向のSWR=1点を探り。HF的にはタンクコイルをワニ口リードがショートした形だが、SWの配線材料のストレーが見るからに影響しそうな雰囲気。
その結果50MHzで何とか共振を確認出来る。ところがVCを入れたら同調周波数が上がったりする様な事があり安心は出来ない。並列共振回路の中に直列共振要素が混在しているからだ。共振要件の複雑さを体験する。
と言う事で、過去の経験からVRLなどでタンク回路をあっさり切り替える方法がベターと考えている。
なお入力側は同調形π回路・非同調回路(直結・広帯域T)・非同調型π回路(Cgkを利用したLPF)など選択肢は一杯ある。
写真はKuranishiのSWRアナライザBR-510でのテスト風景。プレート〜側板に2.2KΩのソリッド抵抗が見える。アナライザは50.8MHzでSWR=1を示している。(2011.01.15)

ワニ口タンクコイルで50MHzテスト・・・約25cmの耐熱電線の両端にワニ口を取り付け、プレートVCとロードVC間を短絡。
耐熱電線は2T程に巻き込む。終段箱へシールド蓋をビス止めし、28MHzバンド位置で強引に50MHz駆動する。すると10数Wのドライブで200W程度が出力される。VCも程良き位置(28MHz同調点より外側)に来る。思ったよりグッドだ。
すると、出力が低下するので変だと思う間もなく、あっという間にロードVC側に噛ませたワニ口が発熱。ワニ口の絶縁ビニールが溶け出し匂いを放った。テストは打ち切りになった。それだけのパワーが50MHzのドライブにより出ているのだ。
正規コイルを用意し真空リレーで開閉すれば50MHzでも一定の出力が得られるものと思われる。HF+50MHzを切望するファンには吉報に違いない。(2011.01.19)

それで実際はどうする50MHz・・・回路は色々と考えられるが、ストレーの影響が50MHzになるべく出ない様に考えると、2個のVRLでコイルを切り替えてしまうのがベスト。しかしVRLスペースやコイルスペースに実装状況を検討すると、そう簡単ではない。一つの割り切として…VRLは1個で。 @28MHzバンド位置で28MHzコイルの一部をVRLでショート…HFタンクコイルとSWまでのストレーLを懸念
A28MHzバンド位置でタンクコイル全体へ50MHzコイルをVRLで並列接続(プレート側)…HFタンクコイルのストレーCを懸念

ここで注意したいのはストレーインダクタンスの影響。ストレーインダクタンスが効き、タンクコイルによるインダクタンスの支配率が低下してくる。
下手をすると配線リードとストレーCのみで50MHzに共振してしまうかもしれないし、VCを入れたら共振周波数が上がる等の珍現象に遭遇する。(2011.01.27)

懸念のストレーの影響は・・・上述の如くやや懸念があるが、如何ほどのモノかと好奇心が涌いた。 既に28MHzバンドでワニ口コイルをプレートVC〜ロードVC間をつないで感じは掴んでいたが、今回は28MHzコイルを極短ワニ口で1Tを残してショート。
この状態でようやくプレートVCによるチューニングが50MHzまで上がる。ところがロードVCを最大出力にしようとするとプレートVCを抜き切ってしまう。しかしそれでも30W程度のドライブで600W程度を出力する。ただワニ口の接触抵抗が高く直ぐ発熱するため出力低下が著しい。
ということで28MHzコイルへ相応のコイルを並列にするか、新規に28/50MHzコイルを作りVRLで切替えるなどの工夫で、50MHzでHF相当の動作が期待できる雰囲気である。(2011.01.28)

28MHzタンクコイルをジャンパーでスルー・・・幾ら極短と言ってもワニ口では制限が多いので、写真の様に太目のヨリ電線(80mm長/3.2mmSQ?)で28MHzコイルを短絡して様子を見た。コイルのほぼ両端を短絡したが、CWで出力が最大になる様にチューニングを始めると、やはりプレートVCは抜き切った位置に来る。それでも40W程度のドライブで出力は650〜700Wに達する。安定度も格段に改善され電力低下も無い。
ただしプレート効率は50%を割り込む。それもそのはずだ、タンクコイルは殆ど線路(ストレーインダクタンス)に依存しているような状況だから。しかもバンドSW配線の殆どは1.2mm程度のスズメッキ線だ。
なおこの周波数になるとロードVCの振舞いがHFの逆方向になった。すなわちロードVCを抜くとIpが減る。ストレーインダクタンスがロードVCとの合成リアクタンスに影響を与えていると思われ、単純なπ回路ではなくなっている。
念のため出力600W程度で15分間の連続キーイングを行い周辺部品の状況を確認したが特に問題はない。ちなみに600W出力時、Ip=650mA/Ep=1.9KVとなったが効率が悪い。
しかしこの数字をオリジナルの572Bx2横置き環境で達成できるかどうかは疑問だ・・・何方か追試して貰えないだろうか!。GU-74Bとシャシへの縦置き環境が現在の数字を作り出していると思っている。もし横置きだと、RF信号からタンク回路を経由して信号源へリターンする経路が、複雑かつ長距離化して50MHzに及ぼす影響が少なくないと推測されるからである。
以上の実験からプレートVCとそこへつながる28MHzコイルとの間にVRLを挿入し50MHzコイルと切り替え、50MHzコイルはロードVCに直結させれば大幅な効率改善と運用性の改善が期待できる。そしてVRLを外部SW箱からON/RFF制御すれば快適なHF+50MHz環境が実現する。なお箱は10mm程度の薄型としフロントパネル下の底カバー固定ビスに共締めする等が考えられる。
なお参考のためにFL-2100Zの出力タンク回路を写真から考察する。タイトボビンは3.5〜21MHz用でフレーム外だがその右に1.9MHz用がある。そして左の銀メッキが28MHz用で左端は奥に見えるプレートVCのステータへつながっている。プレートVCローター端子からの白ワイヤーは右上に一部見えるプレート補助コンデンサとシャシへ共締めされたラグ端子で接地。また写真では分り難いがもう一系統あってプレートVC真横のシールドボックスへボンディング接地。ボビン左端からバンドSWへ28MHz用リードが導かれているが、これが1.6mmのスズメッキ線で長さが45mm程度ある。
ジャンパー線を含め何処がコイル?とする質問が出てきそうだ。もう少し28MHzを前提にした造りなら50MHzの追加も容易なのだが・・・。28MHzバンド以上は上限50Wの時代の名残でなんともし難く、50MHzでの安定動作と運用にはオリジナルを崩した改修が必須となる。(2011.01.29)

50MHz用ショートコイルで追試・・・プレートVC・コイル&バンドSW・ロードVC周りを眺めていると、どう見てもHF中心の部品配置と配線だと思えてくる。
期待の28MHzはコイル線材に配慮があるものの、バンドSWへの配線や総合的な経路はHFローバンドの延長線だ。
ブロッキングC→プレートVC→コイル&バンドSW→ロードVCまでの経路を観察すると、大きなループが構成されストレーインダクタ・キャパシタの影響も少なくないと推測できる。
そこで50MHzタンク回路を最短距離で検討してみる。FL-2100ZオリジナルのブロッキングCとロードVC間をコイルでつなぐと最短で50MHzタンク回路が構成できる。バンドSWは28MHz位置でオリジナルタンクコイルに追加コイルが並列接続する形になる。これは現在考えられる最短ルートである。
写真は2mmスズメッキ線を2回半巻いたコイル(0.28μH)をブロッキングCとバンドSW(ロードVC側)間に接続した様子。動作状況は上述のテストとほぼ同様だった。ここまで来るとホット側の経路もさることながら、曖昧な鉄シャシをはじめとするリターン経路が気になってくる。またバンドSW周りの1.2mmスズメッキ線(ストレー)は何とかならないものかと呟いている。
HFに50MHzを追加するにはVRLによるコイル追加か切替が必要だが、スペースの問題もあり苦慮している。(2011.02.02)

50MHzを考慮したタンク回路・・・これまでのテストとオリジナルFL-2100Zの実装状況を踏まえて考えたのが左の図。タンクコイルルートを示しており、補助C関係については描いていないので注意。大きな作業は・・・。
@ハイバンド(28/24MHz)コイル線材の太線化で50MHz流用
AロードVCから50MHzタップまでを低インダクタンスの銅板でショート
B真空リレーVRL(HC-1/Kilovac)をシールドボックス横に設置
・・・ミソはオリジナルの配線やバンドSWによるリードインダクタを銅板で最単でパスする。果たしてこれで50MHzの効率が上がるだろうか・・・。
なおFL-2100Zの28MHzバンドは、24MHzとタンクコイルが同じである(入力π回路は独立)。 50MHz動作中にバンドを24MHzに変えるとチューニングが大幅にずれ興味を引く。並列接続してあるロータリーSW接点をショートバーが短絡しただけなのに・・・やはり50MHz。
そこで、VRLの制御に28MHz情報を入れると間違いのない運用が可能になる。すなわち「50MHz operetion is only 28MHz band-sw position」。それは何らかの方法で28MHzバンド接点を取り出し、VRL制御回路へシリーズに挿入すれば良い。
一番容易な方法は入力バンドSWを利用する方法がある。また、出力バンドSWにマイクロSWを取り付ける方法もある。(2011.02.04)

50MHzを考慮したタンク回路修正・・・前項の図に従い改修とテストを実施。CuRodは4mm銅パイプ137mmを使い最短でVRLへつなぎ、タップ側も5mm幅薄銅板を使用。プレートに2KΩ程度のダミーRを負荷し、出力側からSWRアナライザで整合点を確認してから通電を始める。
低レベルドライブでチューニングを始め徐々にレベルを上げていく。ところが出力300〜400W程度の段階でバンドSWに閃光。幸い溶解には至らずホッ。調べるとバンドSWの接点間(24MHz-21MHz)でフラッシュし付着していたゴミ(埃)が燃えたようだ。いずれにしてもショートバーで短絡している筈のSWでこうした状況に陥るのはマズイ。
50MHzコイルに大電流を流せるようになりHFコイルへのRF誘起が無視できないか、或いは別の共振用件が発生しているものと推測している。
左図は前項の配置図を基に書き直したもの。結局28MHzコイル+ショートリードで効率は悪くも安定していた実績を尊重する事にした。VRLで28(24)MHzコイルのプレート側を短絡している。VRLへの配線材料は2mmスズメッキ線を使用。これで50W程度のドライブで600W超を期待できる。
・・・HFコイルの真横に当該コイルが配置され、24/28/50MHz動作時のHFコイルへの結合が気になる。90度回したいところだが、ハイバンドの同調インダクタンスの低下を招きそうで未だその気になっていない。(2011.02.05)

50MHzタンク回路最終・・・写真は現在の50MHzタンクコイルとVRL周辺の状況。シールド箱側面に真空リレーHC-1/Kilovacが見える。コイル位置を変更しない限りHC-1の取り付け位置はここしかない。シールド箱側面板を取り出し16mm穴をパンチ。シールド蓋を固定する鉄ナット(L型)が取り付けスペースと輻輳するので、鉄ナットの一部を切り落とす。コイルのショートはHFコイルとの接続部分とタンクコイル0.5T付近間を2mmスズメッキ線で行う。HFと28MHzコイルの接続点からバンドSW間が1.6mmスズメッキ線なので2mmに変更する。
能率を無視すれば700W程度の出力が望める。RFのリターンルートには改善の余地がある。真空リレー2個で丸ごとタンクコイルを切替えれば効率は改善されると思われる。
下は50MHz切替箱を取り付けたFL-2100Z。バンドSWは28MHzでトグルスイッチを50MHzへ倒すとLED点灯と同時に切替わる。 (2011.02.06)



もっと間単な方法を検討するもNG・・・VRLを組み込んだりが面倒とする向きのために検討した。
バンドSWの10mポジションを6m専用とし、10-12mを12mポジションで兼用する方法である。
オリジナルでは10-12mコイルをそのまま両バンドで兼用しているからそれが実現するのではと・・・。
@回路図上S7-bは12mと10mの接点はパラ接続されタンクコイルへ配線。
Aしかし現物は10m側は接点が無く12m側しか配線されていない。
B10m側はバンドSWのショートバーに依存している。
・・・もし10m側接点が存在すれば、タンクコイルの6mタップをそこにつなぐだけで6m機能が備わるのに・・・しかしそうは問屋が卸さなかった。
図の赤部分は6mを目論んだ幻の10mバンド接点ルート。(2011.02.08)

取り外した部品
未だ早いかも知れないが、紛失してしまうといけないので取り外した部品の集合写真を撮った。
572Bや隈取コイルの剥き出しACファンモーターひときわ目を引く。入力π回路とバンドSWは本機の特徴であったた、取り敢えず非同調で簡易さを優先させ取り外した。
ずっと見ていると、572Bとソケットはオーディオアンプに流用したくなってくる・・・当然A級シングルで。
プレートキャップやPSはGU-74B用として使える。
DC12VリレーはファンのオフディレイにSSRを使わなくてもこれでも良かった。
572BのBIAS調整に巻き線抵抗の可変抵抗器を使っているのには驚いたが、これってオーディオアンプのハムバランサに使えそうだ。
可能な限りの部品を流用したつもりだが、これだけ不用品が出てくるのには驚く。
その他もろもろ、短時間だったが手を煩わすと、それぞれの部品に思い出が残るから面白い。
自作品であっても改修品であっても、作業した人の気持ちが込められると出来上がりが美しい・・・と自己満足。(2010.01.27)

終了宣言
・・・昨年(2010)11月に友人のJG2CMJから転がり込んできたFL- 2100Z。受け取る直前まで、それが何か明かして貰えなかった。FL-2100Zと分かった瞬間、彼の思惑が読めた。GI-7Bの規格表をオマケに渡されたが、自分はそれを2本並べるより絶対GU-74Bだとその瞬間思った。・・・と、こちらの動向は既に彼に読まれていたようだ。
本プロジェクトでは、FL-2100Z特有の問題も見え隠れし、その対応に追われる事になったが、GU-74Bは予定通りの動作を示してくれた。当初の狙いはほぼ果たせたものと判断し、ここで一旦このサイトは幕にしたい。「へー」と思って頂いた方が少なからずいらっしゃるのではと思うのだが如何だろうか。また時代背景やメーカーさんの苦闘も感じられ参考になったものと思う。
オリジナル機からの特徴で出力にリップル重畳問題があるが、これはGU-74B組み込みとは無関係なので別途対策して行く。それを含め、今後新たな改修が行われた場合は随時サイトへ追加していくことにしたい。
またCOFFEE BREAKコーナーは切り出してTest&Dataコーナーへ単独掲示する場合もあるので併せてご利用頂きたい。凡そ3ヵ月に及ぶ皆様の御静聴に感謝したい。 以下御礼申し上げます・・・FL-2100Z提供:JG2CMJ、GU-74B提供:JA8FDT、SK-1/AC-2提供:JA1IIV、FANトレード:N6WK・・・de JH2CLV/T.Mochizuki (2011.02.09)

ご案内
CQ誌より依頼がありましたので、写真ページ用に写真とコメントを編集部へ送りました。掲載号が決まりましたらBBS等でお知らせします。
試験成績・・・後日掲示
@各バンド50Wドライブ時の最大出力・入力SWR他
A各バンド飽和出力
BサンプルバンドのTHDとIMD
Cサンプルバンドのキーイング波形
Dサンプルバンドの連続キーダウン30分
Eその他

その後
円錐筒テフロンチムニーを製作し交換。
左はGU-74Bに実装した様子。固定はガータースプリングで行っている。
この作業は改修2号機も同時に行った。
下はチムニー作成ベンチの様子。円カッターがその主役だ。(2011.03.26)



吸入効率改善のために底蓋に98mmの穴を開けファンガードを取り付けた。
左は手前にFL-2100B、奥にFL-2100Zが2台。全てGU-74Bを組み込んである。ファンが底蓋まで迫りパンチ処理は必須だった。
FL-2100Bは1.2mm厚鉄板だが、FL-2100Zは1mmと軽量化され、スリットの作りも異なる。オリジナルはクリアランスがありスリットだけで良かった。
スリットの違いで固定ビスの位置や方式が変わってくる。FL-2100Zの場合はスリットが細く、また良い位置に来ないため、3mmビス2本のみでタップを立てビスで締めている。FL-2100Bは1ヶ所をタップ立てとし残りはビス&ナット締めとしている。
パンチ時、年代の新しいFL-2100Zは塗料の食い付きが悪く塗料が割れた。古い方とFL-2100Bの塗装は完璧であった。細かい話だが、こうした処にも物作りのスタンスを感じる。
吸入側をやると排出側もやりたくなるが・・・さてどうしよう。下はFL-2100Zのファンガード。(2011.03.26)



FL-2100B改修作業にウェイトを置いているうちに時間が経過してしまった。
そのFL-2100Bの改修の経験から終段箱天板パンチ板に排気用の穴(76mm)を開け、ダイアプレスのネットを張った。
固定は4本のブラインドリベットで行い簡素化している。RFC固定用ネジ穴鉄板がスポット溶接されていて、程よき位置の固定用穴が塞がっている。このため1ヶ所のみRFC固定用ネジ穴を流用し固定している。
なお上部カバーへの穴開けについてはスリットの目がFL-2100Bより細かいため今回は見送った。(2011.06.03)

50MHz切替に一考・・・FL-2100ZオリジナルのプレートVCは120PFの容量がある。リニアアンプとしては少ない容量で、バンドSWで積極的に補助C(ドアノブコン)を切り替えている。このた周波数レンジが比較的狭く押させらプレート同調が取り易い。しかしそのまま50MHzに使うと狭い所への実装も相まってストレー容量が落ちない。そしてプレート負荷抵抗の低下を招く。そこで直列CをVCに挿入し合成容量を同調容量にして負荷抵抗向上の一助にする。この操作はVRLにより行うが、タンクコイルのタップ切替も同一のVRLで実施する。
左の回路はそれを示したもの。総合回路図は修正済み。(2011.06.04)

カソードRFCについて・・・当初バーアンテナに使うと思われるフェライトバーに1mmフォルマル線を密着巻きして17μHを得ていた。
その後別機のFL-2100Z改修2号機で#43材フェライトトロイダルコアに同じフォルマル線を6Tして17μHを得て使ったところフェライトバーよりバンド毎の入力SWRが大幅に改善されていた。
これは恐らくストレーCが激減するためと考えられる。
なおフェライトバーは機構的に大きくスペースを奪うことと、冷却封の流れを阻む可能性があるため本機も改修2号機と同じRFCとした。
改修2号機の入力SWR特性が良好な理由を考えていた。当初、G1設置CにFBの挿入が有るからと思っていたが、結局このRFCの影響の方が大だった。(2011.06.08)

総合回路図(クリックすると全画面表示、予告無しに修正し履歴は残しません)



COFFEE BREAK

COFFEE BREAK1・・・意外と面倒な部品がチムニィ。
GU-74Bは直径が70mmΦ程度なので、テフロンを円筒状に丸めてホッチキス等で止めてしまえば簡単に出来そうだ。
しかし、その場合はソケット側の面積が狭くなるのでもっと面積を欲しくなる。せめてファン開口面位は…。
そして高さはシャシ面からプレート中段までのコーン・スタイル。
本来なら更にプレートから円筒の状態でパンチング天板を吹き抜けたいが、とりあえずコーン部分だけを考える。
世の中には便利なツール、コーン(円錐)設計プログラムConeFormer1がある。最初は学生時代を思い出し筆算していたが微調整を試みると何度も計算が必要になるためこれを使った。
左がConeFormer1を起動して計算した様子。下部直径=92mm、上部直径71mm、高さ50mmを入力して実行させると、欲しいサイズや角度が出てくる。
材料は1mm厚程度のテフロンシートを使う。 のりしろ分を10mm程度見て切り出して丸め、固定はステンレス製のホッチキスがベスト。
これをGU-74Bの上から伏せ、固定は大型のホースクランプかスプリングをプレートにハチマキして行う。
ここではテフロンの代りにネオプレンゴムを暫定的に使った。
(2010.12.14)

COFFEE BREAK2・・・ファンについての議論。セラミック管に限らずガラス管でもいつも議論になるのが冷却。
ガラス管、たとえば5T-31/450THの様なシリーズは、プレートを赤くして使う真空管だ。赤くなったガラス管へ強力な風を送ってもプレートの状態は殆ど変らない。むしろプレートやグリッドの封入部を冷却する事が求められている。
セラミック管はプレートがもろに露出しているので、そのまま放置すると真っ赤な焼玉になる。電極の膨張を招きセラミックとの封入部の状態が悪化してくる。それを防ぐためにプレートは表面積を稼ぐフィン構造とし、そこへ圧力を掛けた空気を送り放熱させる。
しかしどの程度の風が必要なのかと言う疑問が何時も付きまとう。左表はSvetlana社のデータシートから書き取った4CX800A(GU-74B)のAirlFlowRequirements。地上で800Wのプレート損失時29CFMと読み取れるが…こんな数字で大丈夫なのだろうかと思う。セラミック管のプレートフィン構造も良く見ると千差万別で興味深い。
(2010.12.15)




写真右は手持ちファンの幾つか並べた様子。大きくシロッコファンとスケールファンに筒型のダブルスケールファン。
後方のシロッコファンは両者ともAC100V。左は1997年、名古屋カトー無線から購入の松下製、羽の中央にモーターが収められている。右はJA1HOU渡邊氏からのQSYで、背面にある剥き出し隈取りモーターが羽を回す。両者とも電源電圧以外の詳細は不明。見るからに低回転高トルク。
中央はSunAce80、80mm角x25mm高のDC12Vファンで75CFMが得られる。その左はSunAce92、92mm角x38mm高のDC12Vファンで110CFMと強力。右の仰向けはPAPST3412、92mm角x25mm高のDC12Vファンで49CFM。左手前はSunAce60、60mm角x76mm高のDC12V筒型ダブルファンで80CFM。
近年のDCスケールファンは研究・開発が進みひと頃では考えられない強風が発生出来る。ただDCファンは回転数が高く騒音との闘いになるので実装や供給電圧には工夫が必要だ。伝統的にスケールファン軽視の声がある。ファンは、プレート損失、フィン構造とチムニィ等の条件から、必要なAirForceを考え総合的に決める必要がある。
(2010.12.16)

COFFEE BREAK3・・・FL-2100Z(Yaesu)とTL-922(Kenwood)とのRFスタンバイリレー回路の違い。
ボケっと見ていると見逃してしまう回路図の中の違い。左図はFL-2100ZとTL-922のRF入出力リレーの系統を書き出したもの。
多くのOMが右側のTL-922をイメージされると思うがどうだろう。
かく言う私も当初はそうであったが、FL-2100Zの回路をよくよく眺めるとブレーク接点に接地記号!。
何じゃこれと見つめ直すとスタンバイ(受信)時にPA(パワーアンプ)の入力回路、すなわちπ整合回路を接地している。
これは低Z回路とは言え入力オープンにする事で招く不具合を懸念しての心温まる予防策と考えられる。
しかし真空管はグリッドバイアスでカットオフになっている筈だけど…いったい設計者の本当の狙いは何なんだろうか。
世の中の多くのアンプは、TL-922の様に入出力ともオープンになるのが一般的だ…当然ながら真空管はカットオフ状態だが。
アンプファンのあなたならどちらを選択するだろうか?・・・と思ってリレーを覗いたらとんでもない事実を発見、配線は右のTL-922と同じだった
本改修ではRL2の入力切替えをRL1の空き接点へ移す予定だが、オリジナル回路より配線の現状を尊重する(下回路図は修正)。
(2010.12.17)

COFFEE BREAK4・・・高圧電源は予熱中かつカットオフの球へ印加しても良いかの議論。
Ep(高圧)電源やEsg電源の巻き線とヒーター電源用巻き線が同じトランスに巻いてあると、このような議論をしたくなる。
通常は何も考えずにヒーター電源を投入し予熱する。ヒートアップしてからEpやEsgを印加するのだが、トランスが別々なら商用ACライン側で行えば良い。
ところがACライン側が共通の巻き線だとこのような訳にはいかず、EpやEsg電源のオンディレイ動作には苦慮する。ディレイ動作はタイマーリレーで行うにしても、高圧巻き線か整流回路近くで、十分に絶縁された環境でこの動作を行おうとするとFL-2100Zでは狭くやや辛い。 やって出来ない事も無いが後々の保守性を考えると余り気が乗らない。
そこで今までも疑問に思っていたのだが、真空管が完全にカットオフ状態にある場合、EpやEsgを印加する事の是非を議論したい。
予熱不十分な状態から増幅動作へいきなり入るのは確かに疑問があるが、カットオフ状態で絶対に送信に移らない条件が整っていいる場合はどうなんだろう。
カットオフを免れた変わり者の電子がビックリしてプレートに飛び付くかも知れないが、大した影響はないと思うのだがどうだろう。
空間電荷の状態が変わるだろうか。電荷レベルの動きが確かにあるかも知れないがそれは極わずかに思うのだが…。
という疑問を抱きながら、今回の改修ではEpやEsgのオンディレイは球がカットオフしている事をよい事に行わない。ただしヒーターの予熱中は絶対に送信へ移れない作りにする。
・・・と言いつつも回路図とにらめっこするとEcgが確立していないのに高圧が掛かるのは余り綺麗ではない。ということでDCタイマーリレーをEcgの一部を利用して動作させる事を検討中。
すなわちEcgの確立を待って高圧投入する。そのタイミングはPLATE VOLTAGEメータで確認出来る。タイマーリレーはOMRONの小型DC24V/MY2Vを使い高圧整流・平滑部付近のシャシ側面に取り付け、PT1の高圧巻き線コールド側と外部スタンバイ回路を開閉する。
(2010.12.18)

COFFEE BREAK5・・・FL-2100Z(八重洲無線)の実力。
2005年に入手した八重洲無線のオリジナルのFL-2100Zをテストしたサイトです。小型で良くまとまったアンプだと思いますが、572Bx2本の限界をいきなり見せ付けられます。
もっとも出力500W制限時代のアンプですから、その評価を1KWの時代の今するのは酷かと思います。なにしろ当時はエキサイターも真空管で、フルパワーでの連続送信は御法度の時代、今の連続送信可能とは比較になりません。
(2010.12.22)

COFFEE BREAK6・・・チムニィの固定方法。
セラミックでも耐熱ガラスでも、ネオプレンゴムでもテフロンシートでもチムニィはGU-74Bの上から被せるのが一般的。
重力に依存してそっとして置くのも手かもしれないが、飛び出さない様に何らかの方法で固定するのベター。
プレート径の大型ホースクランプを用意するのも良いが、ネジで締め付けるタイプはドライバーが届かず苦慮する場合がある。
スプリング式のモノが手に入れば良いが、線径が細かったりツマミ部が大きかったり、また70mm径となると意外と無い。
そこでお勧めはガーター・スプリング(GarterSpring)でプレートにスプリング式の鉢巻を巻く。
写真は浜松のサミニ(株)が販売するガーター・スプリングTG0602(環内径:60mm/コイル径:3mm/線径:0.5mm/適用径:66〜76mm/最大径:81mm)。
程よきサイズに材質はステンレス鋼線で、価格は何と1個\100と大変リーズナブル。
GU-74Bの鉢巻に最適で、これでチムニィの飛び出しを抑えることができる。
また何よりプレートに妙な突起を作らないのが嬉しい。
(2011.01.08)

COFFEE BREAK7・・・ドイツの友人の改修サイト。
2010年12月、FL-2100ZにGU-74Bを組み込み好結果を得ている旨を友人のDL2MDU/Chrisへ伝えた。
その理由は、彼がロシア球ファンでGU-74Bアンプの自作経験があり、八重洲無線のFL-2277Bを所有していたからである。FL-2277Bはその外観からFL-2100B相当品と思われる。
数回に及ぶメールのやり取りがあった。当初は、めまぐるしく回路図の変更や修正があり、逆に彼から指摘を受けることもあった。
その後暫くして彼のWeb-Siteを訪ねるとビックリ、FL-2277Bの鉄シャシにしっかりと穴が開き、ソケットSK-1Aが取り付けられていた。
写真は彼のサイトへリンクさせて頂いたもの。彼は昔から球の横置きが好きで、今回も背面側に横置きしている。
個人的にはネジ締めした鉄シャシではアース回路のRF電位が安定しないので余りやりたくないし、SK-1A側からプレート方向へ吹き上げた熱風の吸出しに一考を要すると思われる。
とは言え結果が楽しみだ。
(2011.01.23)

COFFEE BREAK8・・・気になる出力のリップル・・・高圧電源リップルの影響?。
先に測定したCW時のリップル。スペアナで周波数軸で見たらどうかと測定したのが左の写真。周波数は7.096MHz/CWで先端が800W。分解能は10Hzでスパン5KHz。予想通り近傍に高圧電源のリップルによる不要成分が確認できる。下はエキサイタIC-756をSSBモードにしてツートンを放り込んだもの。当然だがこちらも同様である。
FL-2100Zやそのシリーズの殆どがこの状況かと思うとややゾッとする。電源平滑コンデンサの強化が必要だ。
ちなみにエキサイタ出力は-70dB程度で全く問題ない。またツートンの3rdIMDはエキサイタ出力(約40Wpep)では-35dB程度だが、FL-2100Z出力(約800Wpep)では-30dB程度。
(2011.01.27)



写真は、上記リップルは絶対に高圧電源の平滑用ケミコンだと信じて交換した様子。100μF/500Vx6シリーズを470μ/450Vx6シリーズへ増量した。
と、ところが出力波形に乗るリップルの状況は全く変わらない。変わったのは電源を切ってからの高圧電源の放電時間が圧倒的に伸びた事・・・うっかり作業を始めると危ない位だ。
とんだ浪費に思えるが電源の瞬発力は増したと思われるのでPEPの伸びは改善されると思われる。
続いて高圧電源のマイナス側へのリターンに挿入されているIpメーターシャント抵抗の接地点をGU-74Bのソケット接地点(カソードRFC接地点)へ移したが、これも全く状況に変化無し。
リップルを観察すると、出力RF電力を可変させてもリップルの振幅レベルには殆ど変化が見られない。但しGU-74Bが飽和領域に近くなるとリップルの振幅レベルは低下してくる・・・当然だが。
ここまで来ると、いよいよ電源トランスからの漏えい磁束の影響が考えられる。Keyingするとトランスと言うよりシャシが唸るので、感覚的・経験的にそれを予感させる。対策は電源トランスに銅シールでショートリングを巻き付けるしかないか・・・随分と面倒な話になってきた。
(2011.01.30)

それではと高周波加熱気で使用していたトランス(200V:2000V)を取り出した。これを100V駆動して1000Vを得て、FL-2100Zの両波倍電圧整流回路へつなぐ。当然オンディレイリレー経由だ。恐る恐る電源を入れ余熱時間が過ぎるのを待つとポーンと高圧が投入された。電圧メータはスタンバイ状態で2.8KVを示している。これでCW送信を試みるとやはりリーケージトランス、電圧降下著しく2KVを割り込み1.5KV程度まで落ちる。まぁ目的は電源トランスからの漏えい磁束調査だからと安直。左は作業風景、そして下は期待の出力波形。いい加減な電源で出力は約500W程度だが、平滑は十分で綺麗な直流トーンである。やっぱり漏えい磁束の影響か・・・対策はトランスにショートリングを巻くしか無いなと呟いた。(2011.02.05)



意を決して電源トランスを外す。そしてサンハヤトの銅シールをトランス周辺に巻き込んだ。接着剤がコア材との間に介在するので、積層構造のコア材の短絡は避けられる。銅シールの両端は半田付けして電気的なループを作る。これで劇的な効果が得られる筈と本体へ戻した。と、ところが全く効果がない。うーんこれは難儀だぞ。左はトランスを取り外した作業風景。ナットが以外と固いためCRCを塗布した。下は銅シールのショートリングを巻き実装した電源トランス底面。(2011.02.08)



リップルの原因が判明した電源トランスの漏洩磁束でもシャシ上の共通Zでもなかった・・・お恥ずかしい。Ecg電源にリップルがあった。LM337出力の受信時は綺麗な波形だった(これが発見を遅らせた)が、送信時になるとリップルが重畳。LM337の入力側、すなわち負3倍圧整流出力のリップル状況も受信時は良好だが送信時に重畳する。受信時は-80V前後、送信時は-50V前後にRegするので、整流・平滑回路から見たら送信時の方が負荷が重くなるのは事実だが-70dBものリップル排除能力があるLM337なのに可笑しい。
前述の外部トランスから高圧を供給した時に改善が見られた一件は、推測だがトランスの負荷が軽くなったためEcg電源用巻線電圧が上昇したものと思われる。 しかしちょっと解せない。LM337に信頼をおき今まで気にしていなかった負3倍圧整流・平滑関係部品とLM337及びその周辺を調査したい。それにしてもトランスを取り外しショートリングを巻いたり、Ipリターンルートを変えたりと、とんだ回り道をしたものだ。
オリジナルのFL-2100Zは、バイアス用負1倍圧、カットオフ用負3倍圧をリレーで切替えているので同様な現象が考えられる。出力レベルに関係なく一定のリップルレベルがある場合は間違いなくバイアス電源が可笑しい。高圧にリップルがある場合はIp量に応じてリップルレベルが変動するので違いが分る。写真にはもう1台のFL-2100Zが後方に見える。
(2011.02.14)

余りにも解せないのでLM337周りを調査するとLM337入力Pinに配線が無い。出力整流出力は出力Pinへ配線されていた。すなわち誤配線でLM337はスルー状態だった。 これじゃレギュレータにならない。それでもBIAS電圧が調整できたのは、電圧設定R(120Ω+LM337の片割れ)と外部VR等(10KΩB+1KΩ)の分圧による結果である。また高圧を外部トランスから供給して改善されたのは、トランスの負荷が軽くなり電圧が上昇したものと推測する。
送信時にはそられ抵抗類が負荷され電圧が降下しリップルが発生する。受信時は負荷が無くなり電圧が上昇しリップルが無くなる状況だった。
LM337の配線を修正してほぼ完璧になった。なおシャシ内は出力リレーやコネクタなど一部剥き出しになっていて相当な強電界。LM337等の電子デバイスは一発で影響を受けるので、侵入を抑えるためにバスコンは必須である。本来ならRF出力部の剥き出しは構造上避けたい・・・。
写真はCW連続キーダウンで3Divで800Wにオシロスコープを校正し、続いて短点の連続キーイングを捉えたもの。高圧電源の電圧降下があるため、短点の開始と終了でレベル(出力)に傾斜がある。傾斜に軽いリップルが確認できるが、これはLM337周辺のバスコン挿入で解決する。立ち上がりも発ち下がりも大変良好である。ちなみにブレークインしたときの立ち上がりは若干の「なまり」を伴うが運用上は問題ない。
(2011.02.16)