単身赴任先(福井市)のアンテナシステム(Jul 21-22, 2007)

福井市に単身赴任し早々にHFにQRV開始。住いは4階建てマンション4階で一番東寄りの部屋。ベランダが南側で周辺には高い建物は無く、まずまずのロケーション。先ずは手っ取り早くとATUをベランダ手すり(鉄筋に接続)に取り付け、20mのステンレスワイヤーを引き降ろし@上部給電の接地型スローパーを張る。
これはまずまずの飛び(3.5MHz・10MHz_DX)を見せたが、建物の影響が大きく反対側への飛びが良くない。そこで、ATUを屋上に上げ、さらに20mステンレスワイヤーを屋上に展開。ワイヤーは、TVアンテナポール上部に取り付けた「のぼりポール」で中央を5m程持ち上げ、弛んだ分を反対側の排水口へ引き下ろした。形はA傾斜型変形への字ダイポールと呼べる。これで、今まで反応の悪かった長野や愛知方面と安定に交信できるようになった。ところが岡山方面は逆の結果となった。
そこで、10mグラスファイバーロッド(写真)上部よりステンレスワイヤーを添え巻きしTVアンテナポールに固定、余ったワイヤーはATUへ引き下ろしB逆への字型ロングワイヤーとした。エレメントトップは屋上から約13m、トップから8m付近からATUへ傾斜させた。またスロープエレメントは屋上に引き上げATUから東西方向にカウンターポイズとして張った。A→Bの変更で、アンテナ南方にあるローカルAM局JOFG(927KHz)の受信強度は、8dB程度の改善が見られた。
ところが3.5MHzの運用テストでは逆効果であることが分かり、最終的にCトップベンド傾斜型ダイポールに変更し落ち着く事になった。上部エレメントはグラスファイバーロッドトップまで引き上げられ、余った部分約3mはベンドさせロッドに添わせて引き下ろしている。この場合JOFGの受信強度はA→Cで12dB程度の改善が見られた。

(1)ATUの設置状況
4階建てマンションの屋上南東角に設置。ATUはSGC-230。背面の取り付け金具にダブルナットでボルトを出してコンクリートに引っ掛け、反対側をバインド線で引っ張り込み脱落防止としている。バインド線は排水口のアンカーボルトに固定している。
右下に伸びるステンレスワイヤーが20m長のカウンターポイズ。
雨でコンクリートとの絶縁関係が乱れないように所々に樹脂製のインシュレーターをかます。
3.5MHzをメインバンドとするため20m長としているが、各バンドごとに、また南東方向にも張りたい。
下に伸びるステンレスワイヤーはグラスファイバーロッドに伸びるエレメント。
太さの違いは購入時期や場所が違うためだが、ロッド側を作業がし易い様に細めにしている。このワイヤーは東京単身赴任時代から使用しているもの。
ATUからの引き出しは、本来なら一度インシュレーターで受け最寄に固定してから配線するべきだろうが、固定環境が作れないのでこの状況で我慢している。

(2)カウンターポイズ先端処理状況
マンション屋上の南西角。カウンターポイズを自作のポリカーボネイト製インシュレーターを介して引っ張る。
コンクリートから浮かすために写真ではブルガリアヨーグルトのカップを利用し、両面テープの付いたフックを貼り付けている。
後方に福井県庁やワシントンホテル、それにJOFG会館鉄塔が見える。
この日の福井市内は、朝から小雨模様で、やや暗く見通しが全体に悪い一日となった。
写真はアイリスが空き加減で、手前にフォーカスが合うと背景が程よくボケて美しい。

(3)グラスファイバーロッドの状況
左はATUの方向からTVアンテナポールに取り付けたグラスファイバーロッドとエレメント見た様子。
このロッドは横浜港北区のハムランドが販売するPG ANT 100で、先端が直径2.5mm、根本は46mm、9段つなぎとなっている。写真のサイズではロッドトップまで入りきらない。
ステンレスワイヤーは細めの撚り線で、グラスファイバーにはつなぎ目毎に1回巻きつけている。 写真右はグラスファイバーロッドとV/UHF_GPアンテナをあおって撮影したもの。
TVアンテナは色々と歴史がある様で大変ゴチャゴチャしている。アンテナ出力はブースト&混合された後ケーブルTV信号とも混合され各戸へ分配されている。しかしケーブルTV会社の話では現在アンテナは使用していないらしい。
足羽放送所から3Kmの強電界地域であり、また殆どがケーブルTV受信でTVIの心配はないが、念のため全てのバンド及びTVチャンネルで状況を確認する。

(4)現段階の最終形態・・・トップベンド傾斜型ダイポール
上記Bの処理後、夕方から深夜にかけて交信テストを行なった。伝搬状態に微妙な違いがあるので定量的なデータは無いが、お馴染局を見つけリポートを仰いだ。その結果、前日Aの状態で交信できていた長野県上伊那郡と愛知県岡崎市の局は「かなり悪くなった」とし、更に話が通じないので「Skype」で詳細リポート」を貰った。また期待した岡山県笹岡市の局からも改善は見られないとリポートを貰った。期待外れの結果に唖然としたが、DXには可能性があるのではと早朝の10MHzで4X(イスラエル)をコールしたが呼べど答えずCQ連呼状態だった。
それで意を決し明るくなるのを待ってCトップベンド傾斜型ダイポールに変更した。カウンターポイズはスロープ状に引き降ろし、グラスファイバーロッドのトップまでエレメントを張り、残った分約3mはロッドに沿わせてベンドさせ引き降ろした。 これはAの状態に近いが、ロッドの高さが効いておりJOFGの受信状況はAの状態に比べ約12dBも改善で今までの最高を示した。ただAM局は電波は水平方向からの地表波なので、電離層反射を基本とするHF帯ではこの数字の取り扱いは難しい。写真は屋上より13m高のグラスファイバーロッドとATU(左端凸部)の位置関係。エレメントはその間と、スロープ側はほぼ45度で駐車場コンクリートフェンス(3m高)に張られている。

(5)トップベンド傾斜型ダイポールのスケッチ
写真だけでは全体像が掴みにくいと思われるので平面と立面を図に書き出してみた。図の左⇔右が南⇔北方向です。
当局の運用は、3.5MHz/SSBの国内ラグチュウ、10MHz/CWのDXに主眼を置いています。

6月10日以降の10MHz-DXログ・・・気まぐれ運用ですが、真夏の10MHzでアパマンにしては上出来ではと思います。
 FO/N6JA, UA0SR, VK6XE, VR2MY, VK2DX
 KK2H/KH6, ZL1BYZ, 6K2ABX, RK6YYA/0
 K0BLT, DS4DRE/4, 9V1VV, DT0HF
 VQ9LA, SO1EKO, EX2F, 9A950JB, DU1LFP
 HF15SZL, BA1RB, BG7JSQ, OT4A




(6)その後
写真は福井市宝永3丁目の国際交流会館越しに見たアンテナ。
2007年8月3〜4日にかけ台風5号が日本海を北上して行った。これに伴いかなり強い風が2日間に渡って吹いた。通過後の4日朝グラスファイバーロッドを確認するために屋上へ上がると、3段程萎んでいたが折れるような事は無かった。一旦ロッドを倒して修復し、つなぎ目は自己融着テープを巻いた。

(7)その後「Windomもどき」に変更する
傾斜型Dipoleアンテナはそれなりの成果があったが、どうも均等なパターンを示していない感じがした。給電点がアパートのコンクリート間近であり、見るからに影響を与えている風に感じられた。
またバンド切替え時に給電点の状態が電流のピークと電圧のピークを繰り返す。これだとATUの端子電圧が異常に高くなりATUとしては辛い状態になる。また降水時には給電点Zが大きく変わるためATUの負担はさらに大きくなる。
これらを回避するために電流給電と電圧給電の間をとるWindom方式に挑戦し、好結果を得ている。