目指せ1E-12・・・GPSロック高安定発振器(Feb 18〜Nov 21. 2010)
最近GPS関係の部品が低価格でパーツショップに並んだりオークションに出展されている。しかも10年前では考えられない低価格だ。aitendo@shoppingではアンテナ受信モジュールセットで\3980で入手できる。目的は10MHzだがモジュールには1PPS(50%Duty1秒パルス)出力があり、これと10MHzXCO-VCOを1/10000000分周した信号と比較してPLLを構成すれば高安定な10MHzリファレンスが得られるような気がする。
それが可能なら容易に自作可能で、SGをはじめ周波数カウンタやスペアナのリファレンスとして応用範囲が広がる。最近はアマチュア用無線機でも10MHzリファレンス入力がある機械があると聞く。
ところが今はそんな面倒なことをしなくても、いきなり箱から10MHzが出てくる受信機がオークションで出回っている。実験要素を含んだ物作りも楽しいが、手っ取り早く高安定度を手にするにはその様なキカイを入手するのも悪くはない。というより確実かも知れない。
左はオークションでゲットしたTrimbleThunderbolt GPS Disciplined Clock。GPSにロックする10MHz(OCXO)発振器。出展者のコメントによれば1E-12(day)の周波数安定度があるらしい。ルビジウム発振器並みであるが家の中では調べる方法が見つからない。ちょっと前では考えられない精度が家庭でも容易に得られる時代になった。本当にGPS様様だと感謝している。

何も衛星を捕捉していない状態でも10MHzが出力されている。それがどの程度の周波数なのかカウンタにつないで表示させてみたのが右。
カウンタのオーブンを十分に温めて測定すると、何とフルに桁表示してもしっかりと10MHzを表示している。カウンタの内臓リファレンスもOCXOと思われるが、それでもジャスト10MHzを表示しているのが面白い。
しかし1E-12から見たら滑稽で、段々と何が何を測定しているのか分からなくなってくる。このカウンターではこれ以上の事は判別出来ない。
さてそのTrimbleのThunderbolt、動作状況を確認したり設定を行ったりするモニタープログラムが付属している。下はWindows上でそれを起動したもの。PCと9Pin(D-sub)ケーブルでつなぎ、シリアルポートを設定(ComPort=1/9600bps/8-N-1)すると装置の状態をこのようにモニターする事が出来る。衛星が捕捉されると時刻やカレンダーが表示され、さらに緯度経度情報や複数衛星の受信状況や使用の可否などが確認できる。
一番興味のある発振精度は左下に表示され、最終的な動作状態(偏差等)が分かる。10MHzの欄が0.00bbpなら1E-12らしいが本当だろうか。
アンテナはSONYのVCA-31が付属していた。鉄筋コンクリートビルの南側窓外に出した状態で最大5個の衛星を捕捉出来た。ただ時間が経過するとその限りではなくなるのでやはり上空が見渡せる場所に置くべきだろう。


*1ppb=1E-9=1ppm/1000、1ppm=1E-6=1ppb x 1000


タカチのMS88-26-23Gに組み込んだ様子。中々のルックスだ(自己満足!)。
ケース高はワンサイズ下のMS66シリーズを使い、奥行きを取り電源とTunderboltを平置きするのも良い。
レタリングはPCで作画し粘着シートにプリントアウトして行った。
背面はThunderboltのコネクタ面をそのまま出す楕円穴を開けた(シャシパンチ+金ノコ)。
24時間連続通電を想定し電源SWは設けていない。


その後PCに依存しないGPSデータ表示が欲しくなり、ネットオークションでLCDディスプレイを入手、フロントパネルを加工して設置。設計製作は出展者のY氏で大変優れもの。氏はなんでも工作室を主宰されている。
これに合わせ、ThunderboltのRS-232C出力を背面に追加した9Pin-Dsubコネクタ2個でブリッジさせ、TxDデータをLCDディスプレイ用に取り出した。
写真にこれらの様子を示す。動画は10秒間の表示状態。これによりPCを接続しなくても状態を確認できる。



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