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懸案だった高圧電源のフィードスルーコンデンサを仕切り板に取り付けた。このコンデンサは680PF/6KVの物で米RF_PARTSで格安で入手できる。取り付け穴は仕切り板に11mmΦの穴をハンドドリルとリーマを使って空けた。穴の位置はプレートRFCや内側・外側の配置を良く検討して決める。RFCを仮り置きしてあるが、これは10mmΦのタイトボビンに0.8mmのフォルマル線をλ/4巻いたもので、インダクタンスは約15μHある。巻き過ぎず電気的にλ/4にするのが(電源側バイパス、プレート側高Z)ベストだろう。仕切り板は3mm厚あるためネジが十分顔を出すかどうか心配であったが、ナットの締まり具合は問題ない。フィードスルーコンデンサへの接続はファストン端子を使用する。メンテナンスで電源と負荷を切り離したり、またサブシャシを取り外す作業を簡単にするためだ。ちなみに680PFの50MHzにおける容量性リアクタンスは4.7Ω、15μHの50MHzにおける誘導性リアクタンスは4.7KΩである。 写真はGU-84B越しに見るフィードスルーコンデンサとプレートRFC(仮り置き)。フィードスルーコンデンサからRFCのコールド側までは、別途用意するRFCで給電され接続点は高圧コンデンサでサブシャシ(ソケット筐体)へRFバイパスされる。プレートへの給電はRFCのホット側から直に行う(PS対策はCg側で行う予定)。オンマウスカーソルすると電源側からの様子を見る事が出来る。 | |
ファン電源のフィードスルーに苦慮していた。最終的に、手持ちのハンダ付け型のフィードスルーコンデンサを2個プリント基板に取り付け目的を果した。ガラエポ基板を程良きサイズに切り出して穴を開け、コンデンサを差し込み銅箔側でハンダを薄く流す。銅箔側をシャシにあて、3mmビス2本で止める。このコンデンサは秋葉ラジオデパート1Fの桜屋電機に置いてあるTDK製(1000P/1KV)。ハンダの流れも良好でこういうやり方には最適である。5個位まとめて作ってしまう手もある。 写真はそのコンデンサ群を取り付けるために、仕切り板に穴を空けタップ処理をしている様子。タップは3mmを2ヶ所で内側から締め付ける。フィードスルーの間隔は16mmでそれぞれの穴は6.5mmである。前後するがオンマウスカーソルするとプリント基板にハンダ付けされたフィードスルーコンデンサを見ることが出来る。 ちょっとした細工だが、こうした作業も楽しい。この作業にあわせファンからの配線(ファストン端子経由)とTBへの配線を実施、またAC分圧コンデンサ2.2μFも取り付けている。 | |
作業が順調に進み、本日は予定外の高圧トランスを搭載した。26Kgもあると重く、その気でやらないと腰を痛めそうになる。取り付けはシャシ側に5mmビス4本、側面に4mm皿ビス2本で行うが、重いのでステンレス製を使う。ビス締めによりシャシや側板が変形しないように、トランスを筐体に馴染ませてからビスを締める。重量があるのでこうした注意が必要になる。これに併せ高圧整流基板を取り付け配線を行う。線材はBEAMEX電線がベースだが、高圧出力ラインは更にシリコン伸縮チューブを被せる。基板は透明アクリル板も一緒に締め付け感電対策を行う。平滑ブロック出力にヒューズホルダを取り付け2Aヒューズを仮実装した。 写真は本日のフロントビュー。リレーシーケンス確認後、約3時間の通電を行い異音・異臭・発熱・ヒーターなどの異常を確認する。電源投入前には十分な配線チェックが必要である。高圧電源の突入電流も良好にアブソーブされ問題は無い。ところが通電中に平滑ブロック出力でスパークが発生し2Aヒューズが飛んだ。原因は撤去を失念していた浮きランド(銅箔)がGND間を結んだ模様で、切り取って対策した。トランスが搭載され高圧配線が完了しヒーターが灯り随分「らしく」なった。この時点で総重量は40.5Kg(実測)であった。オンマウスカーソルするとファン電源と高圧のフィードスルー状況が分かる。ファン分圧用コンデンサ2.2μF(黄色)もフィードスルーコンとTB間に接続された。なおサーモスタット(温度SW)の実装は未だこれからだ。 |
写真は坂口電熱のサーモスタット(温度スイッチ)F-1A型(部品コードBF140L)。これにはBF1TKという取付金具(サドル)が容易されており、3mmのビス2本で固定する事ができる。BF140Lは摂氏40℃になるとONになる。それ以下ではOFFなので、直列にACファンをつないで電源を供給しておけば、温度上昇を検知して自動的にファンを起動出来る。また温度が下がるまでファンは回り続け、40℃以下になれば自動的にOFFになる。パワーアンプの終段管の近傍やヒートシンクに取り付けて、電源SWを切ってからもファンを継続して回し冷却を行う事が出来る。この方式は回路が簡単で、高周波を浴びせても問題ないためオーナーは好んで使用している。 なお坂口電熱はタイプの異なるサーモスタットも取り揃えているのでHPを参照されたい。また耐熱材料・絶縁材料・絶縁碍子等が所狭しと展示してあるので、秋葉原に行くときは覗いてみると面白い。見ているうちに具体的な製作イメージがわいて来るから不思議である。大通りを上野方向に数分歩くと右手に「坂口電熱」と書いた赤い看板が目に入ってくる。オーナーにとってアンプ作りで大変重宝している店のひとつである。 写真はリード線先をファストン端子で処理したもの。さてこれを何処に取り付けるか?・・・色々考えていると知らない内に時間ばかり経過していく。 |
電流計や電圧計の挿入位置には様々な考えがあって面白い。特にマルチメーターの場合、測定中もそうでない時もある程度レベルを揃えておく必要がある。例えば5KVの電圧計を500μAメーターでフルスケール表示するには10MΩの倍率器が必要だが、倍率器だけだと非測定時(オープン時)に高抵抗とは言え5KVの高圧が線路に印加されるため、測定時にスイッチを切り替えた時に接点でスパークを発生する。またそんなリード線を切替えスイッチまで引き回すのも気が引けると言うもの・・・。このような場合は測定値に影響を与えない範囲の抵抗(メーター内部抵抗の100倍程度)で電源部を終端することをお奨めする。 Ipメーターは高圧電源側に入れるのがオードソックスだが・・・@メーター自身に高圧が印加される Aプレート回路でフラッシュや地絡が発生すると吹っ飛ぶ BプレートDC供給経路が長くなる等の理由でオーナーはカソード電流Ikを読んでいる。高圧電源の接地側に入れる手もあるが、前記Aについては効果が無い。Ikを読む方式は管の内部抵抗がアブソーバになるので殆どの問題が解決する。ただIsgについてはSg電源のマイナス側はカソードに接続する必要があるので、電源側はグランドから浮かせて作る必要がある。当然だがIsgもリターン側(マイナス側)で測定する。したがってIkとしているが実際はIcgは殆どゼロのみなせ、IsgはIp表示に影響しないのでここではIk=Ipと読み替える事ができる。 なおIsgメーターについてはSgブリーダー抵抗を36KΩに設定し、常時10mA振らせておく。仮にIsgが逆流した場合はメーターでは10mAが減じる方向に振れる事になり状態を知ることが出来る。10mAとは読みやすい値として決めている。 |
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低圧電源ボードのCg-BIAS電源の定数を決定した。LM317HVの出力電圧決定用の抵抗を300Ω/36KΩの組み合わせとした。この定数で出力電圧は負荷Open=152.6V、負荷10KΩ=152.5V、負荷5KΩ=149.3Vであった。また本日から安全リレー回路約16KΩも負荷されているので、一昨日のデータより条件が変わっている(安全リレーはCg電源が生きない限り高圧電源が投入できない様にする機能)。 この状態で例えば2.5KΩ+5KΩVR+2.5KΩの直列回路を組むと76Vを中心に±38V程度の可変を得る事が出来る。したがって希望するCg-BIAS電圧の設定も容易である。 Sg電源は既にテスト済みであり、またリレー電源については単純な78系の3端子Regなので、この低圧電源ボードはほぼ完成の域である。Cg-BIAS電源部は、回路を生かしたまま朝まで通電したが動作は極めて安定であった。 写真は部品定数がほぼ決定した低圧電源ボードの俯瞰である。オンマウスカーソルすると底面の配線状況が確認できる。余り特殊な部品を使わず、また部品点数を増やさず、かつ共通の部品を多用することで製作を容易にしている。 |
低圧電源ボードの出入りを行うコネクタは16Pinのフラットコネクタである。ケーブル側を一部端子処理しCg電源のテストに流用している。端子は写真の様にケーブルの先端に電工ペンチで圧着方式にて取り付ける。ただ全体に弱い材質なので十分な圧力を掛けられないためハンダ付けを併用すると間違いが無い。特に何回も低圧ボードの取り外しを行うような場合は、痛み易いので始めからハンダを流した方がベターだろう。 ケーブルは束ねてハーネスとなるが、行き先は概ね半分が低圧トランス巻き線、また半分はGU-84B周りとリレー周りに配線される。直に配線するか、或いは途中にTB等を挿入するかは製作者の考え方で変わってくる。このようにコネクタで切り離しが出来るようにしておくと、低圧ボードの製作やメンテナンスがやり易くなる。 オーナーはこのコネクタをかれこれ四半世紀も使わせて頂いているが、最も扱い易く信頼度が高いコネクタだと思っている。またこれもお馴染みだが、ケーブルは協和電線のUL耐熱電線を使用している。私はこの耐熱電線が好きで125℃でも溶融変形しないため、真空管アンプでは古川電線のBEAMEXと並んで多用している。 オンマウスカーソルすると圧着に使用している年季の入った電工ペンチと処理中の端子&ケーブルの様子が伺える。 |
GU-84BのスペックでEcg-Ip静特性(Ep=2KV/Esg=250V)を見ると、Ipのカットオフに要するCgバイアスが-110V程度必要であることが以前から気になっていた。元々Cg-BIASによるスタンバイは考えていなかったのだが、回路の都合上採用せざるを得ないため計画中の回路でどの程度の出力電圧を得る事ができるかテストしてみた。このためトランスの巻き線は60Vであり、両波倍電圧整流を余儀なくされる。図にテストした回路と、負荷状態による電圧変化を記入した。負荷はBIAS調整VRや保護リレー回路を含めて10KΩを想定しているが、テストでは倍の5KΩの状態も測定してみた。 この定数で5KΩ負荷でも138.2V程度をReg出力しているが、10KΩ負荷を前提として定数を変えれば150V近くまでRegできそうな感じもする。試しに33Kを36Kにしたところ1OKΩ負荷でも150VをReg出力し、更に5KΩ負荷にすると148Vまで低下したが実用範囲と言って良いだろう。もし巻き線の電圧が不足なら小型のトランスを追加するか、或いはリレー電源を-24Vに戻してDCレベルで加算するとか…。それにしても相変わらずのプアマン方式で苦笑される向きもあるのではないだろうか…。なおLM317HVの動作は極めて安定で、5KΩ負荷で約27mA流れているが全く発熱もない…ドロップ電圧が極端に少ないから当然ではあるが。 オンマウスカーソルすると畳の上で始まってしまった作業風景を見る事が出来る。 |
Sg電源のReg制御にパワーMOS-FETを試してみるためにコストや容量を検討していたが、東京秋葉原の秋月電子通商にToshibaのSK2847(900V/85W)が1個\200と値打ちのため購入してみた。発注はインターネット上で行い送金は代金引き換えで行った。手数料を含むと10個で\3000になってしまうが、それでも1個\300であり地方に住む者には有り難い。大須のタケイムセン辺りでも置いてあると思うが、往復の交通費や所用時間などを考えると、PCのキーボードを叩くだけで届いてしまう仕掛けはお値打ちと言わざるを得ない。 写真は早速取り出した2SK2847のグループショット。これ以外にB5版のデータシートが1枚付いている。Vth=2〜4Vで、これに見合ったツェナーダイオードとソース抵抗により、自己保護回路を構成する予定。基準電圧は0.5〜1W程度で360Vの小型ツェナーダイオードで行う。この2SK2847のVthやD-S間オン抵抗(1.1〜1.4Ω)はIRF830とほぼ同等であるが、入力静電容量は2SK2847は2040PFもあるがIEF830は160PFである。また電力容量的には2SK2847が一回り大きい容量を持っている。 2SK2847やそのシリーズは、AC220/240V入力のスイッチング電源用のパワーMOS-FETでπ-MOSと呼ばれ、VDSSが700〜1000V、PDも40〜200Wの範囲でラインナップされている。 |
GU-84BのSg(スクリーングリッド)電源のレギュレータ回路を全電源回路から書き出して見た。今までは安価なバイポーラTrを使う機会が多かった。何しろ500V/100W級が僅か\100程度で買えるんだから間違って飛ばしてしまっても痛くも痒くも無い。ただ過電流検知用のTrを組み込むとどうしても2個のTrが必要になるため部品点数が増える煩わしさがある。それで今回は以前から気になっていたALPHA社の91β等に使われていたレギュレータ回路をそのまま使ってみる事にした。この回路は非常に簡単で、パワーMOS-FETであるIRF830(International Rectifier)を1個とツェナーダイオード2本でその目的を果たしている。 図でR3には負荷電流に応じた電圧が発生する。この電圧がZD2の電圧(R2+ZD2+負荷で構成)を越えるとG-S間のG側が負方向にBIASされる。Sに対するGの電位をD-S間がOFFになる様にR3/ZD2の関係を適当に設定しておけば、容易に保護回路が構成できる。FETは電圧(電荷)制御デバイスであるがこの目的にはEnhancement型(ゼロBIASでIdが流れないタイプ)FETが必要である。オンマウスカーソルするとバイポーラTrによるレギュレータ回路に変わる。この回路はARRL HANDBOOKで紹介されている4CX1600BアンプのSg電源回路をモディファイしたもので、GU-74B/2mアンプで使用している回路である。R3に過電流が流れて生じた電圧が0.7V(B-E間降下)を超えるとTr2がONになりTr1のB-E間を短絡しTr1をOFFにして保護が成立する。FETは温度係数が負で熱暴走に強く、こうした用途にもっと使われるべきだと感じている。 |
秋葉原東京ラジオデパート(TRD)3Fの斉藤電気にお願いしておいた#43材大型メガネコアが届いた。斉藤電気に電話したところ、一番リーズナブルな送金方法と輸送方法を指示して頂いた。結局送金は現金書留で発送は定形の郵便だった。コアは輸送中の事故が多いので少なくとも個別にビニールなどで包む必要があるが、送られてきたものは一つずつビニール袋に収められた10個(店頭販売と同じ)をビニール袋で包み、エアキャップで2重に包みボール紙の箱に入れてあり完璧だった。 写真は早速取り出したコア3個からビニールを剥ぎ取り記念撮影したもの。大きさは9mmx19mmx25mmで穴は直径5mmである。これに直径2mmの導線を通してインダクタンスを計ると約3.6μHを示した。コア無しだとインダクタンスを示さないので大した透磁率だと思う。その様子をオンマウスカーするすると覗くことが出来る。 |
もう随分前に札幌のFDT LABORより購入したFAIRCHILDの1N5408
を取り出してきた。このダイオードの逆耐圧と順方向電流は1KV/3Aとなっている。トランスの2次電圧が2.3KVあるので、これをブリッジ整流するには1本x4では、逆方向耐圧が1KVx2=2KVしかとれず複数個を直列にする必要がある。その昔は日本インターの10D10(1KV/1A)等を、最近はPANJITのUF2010(1KV/2A)を使っていたが、試しに100本程札幌のFDT LABORから購入したのが写真。直径がリード線とモールド部分共に大分太くなり頑丈そうである。なおUF2010は国内では秋葉原の秋月電子にあり通販でも取り扱っている。これ以外に国産で富士電機のERE-41-15があるがHJ(No.111)でJH0WJF/矢口氏が紹介している。こちらは1.5KV/3Aと耐圧が5割増しなので直列にする数は少なくて済む。
なおAC(巻き線)側からダイオードをみると、平滑コンにチャージされた電圧が逆相時に印加されないため、ダイオードの逆耐圧は巻き線電圧の√2倍以上あれば良い。但し実装時は一定の余裕を持たせるべきだろう。一方DC(平滑コン)側からダイオードを見ると、平滑コンにチャージされた電圧が2本直列のダイオード(2組)に印加されているが分圧されるので条件は緩くなっている。また少量だが、トランス巻き線と筺体間の持つストレー容量も過渡的に影響を及ぼす事が予想される。 |