MRF255を工業用高周波電源基板(MRF429使用・日本高周波製)でテストする(Oct 5. 2010)
2010年4月、秋葉原の秋月電子がモトローラMRF255(12V/MOS-FET)の格安販売を始めた。早々に1レール(20個)購入したが殆どお蔵入り状態だった。10月になってこのFETでSSPAを試作中の友人5T31氏から、14MHzから上のハイバンドで入力SWRが下がらないとBBSに書込みがあった。基板を起こすのは面倒なので、MRF429(50V/Bipolar-Tr)プッシュプル基板の合成実験でTrがオシャカになった基板に、MRF255を実装して動作を確認した。
基板の回路は変更せずMRF255を2個実装し、ノンバイアスでIC-756から10W程度で駆動してみた。SWRはIC-756のSWRメータを読んだ。駆動同軸長は約4m。ただしInput側に並列接続されているC(101/221=322PF)は実装していない。電源は13.8V(注:回路表記は50V)。
以下上記条件での入力SWR測定結果。
1.9MHz〜7MHz=スケールアウト、10MHz=3以上、14MHz=1.7、18MHz=1.4、21MHz=1.45、24MHz=1.25、28MHz=1.1、50MHz=1.0
エンハンスメント型のMRF255がノンバイアスなので利得は3dBも無くIdは2A程度。バイアスを与えアイドリングIdを400mAx2程度流すと利得が劇的に上がると思われる。また入力SWRの変化を招く。
という事で現状でそこそこの特性が得られている。この後実際にバイアスIdを流し様子を見てみたい。下はMRF255x2と周辺のクローズアップ。




ローバンドでSWRが急激に落ちるのは、回路図中の各G-S間に並列接続されているRFC/2.2μH(写真上の赤赤金銀のソリッド抵抗状の物、直流抵抗1.1Ω)の影響と考えられる。
元々27.12MHz専用の基板と思われるので、この値ではローバンド十分なインダクタンスを得られないのでは…。
RFCの値を10倍程度にするか、相応のRに置き換えれはSWRは改善すると思われる。
またバイアス回路を追加すればFET動作点の調整が可能になり、リニアアンプへの期待も深まる。

左図は左上図のFRF429をMRF255に書き換えRFCを47μHに変更し、電源電圧を13.8Vとしバイアス回路も追記している。
バイアスはSi-Diodeの順方向電圧≒0.7Vをカスケードにして生成している。
ただしマッチドペアFETではないので、バイアス調整はFET個々に調整できるのがベターだろう。
なお回路図では入力側のC(101/221=320PF)は残しているが、ハイバンドではこれが無い方がSWRが良好であった。
【あくまでMRF429の基板流用テストです。図をクリックすると拡大します。】

その後試みにRFCのコールド側を外した状態で同様にSWRを測定すると。
1.9MHz〜7MHz=スケールアウト、10MHz=3以上、14MHz=1.2、18MHz=1.1、21MHz=1.1、24MHz=1.05、28MHz=1.05、50MHz=1.0
改善が見られるが、ローバンドは予想に反して相変わらずで、別の要因が考えられる。
また約3VのバイアスをRFC経由でゲートに与え、微調整し合計1A程度のIdを流してみたが、利得3dB程度で劇的な変化は無かった。
現状の定数はBipolar-Tr用なので、入力トランスの2次側は相応な低Z回路で終端しTrを電流駆動している。
MOS-FETを使う場合には電圧駆動ながらも大入力Cを抱えているため回路と定数の変更が必要な印象だ。
また出力側にあっては50V系と12V系の違いがありこれも用件等の感がある。
内心はBipolar-TR用基板がそのまま使えるかもと期待を持っていたのだが…そんなに調子よくは行かないようだ。当たり前だけど。