R-390A/URRのブロック電解コンデンサ補修について(Aug 16, 2007)
 我々が現在入手する全てのR-390Aは中古(USED)であろう。軍用と言うことで使用部品は非常にハイスペックで、信頼性はアマチュア無線機器を含めた民生品の比ではない。
 オーナーのR-390Aは1982年に入手したもので、その後25年を経過するが真空管以外の部品は交換した事がない。それでも電源を入れれば必ずそれなりの受信をしてくれる、非常に信頼性の高い受信機である。
 特にAM放送の受信については、豊富なIF帯域切り替えと相まって非常に高品質な受信音を提供してくれる。またオリジナル復調機能の組み込みによるSSB音も同様である。
 ところがここ数年、電源投入時から発生するHumが気になってきた。調べると・・・。

 @電源投入後から温まり切るまでの約15分程度SP出力にHumがある・・・投入後数分間は受信出力がマスクされるレベル。
 A温まり切ると程度は激減するが僅かにHumが残る・・・AM局受信では実用上問題にならないレベル。
 B@A何れでも、AFゲイン絞り切りでも発生し、AFゲインを上げると更に増加する・・・AFゲインの前・後のアンプでHum。

 R-390AではB電源の平滑(チョーク入力型)、45μF/300Vが2個アルミ缶にGTプラグと共に封入されたブロック・コンデンサを使用している。 また低周波アンプのプレート電源回路のデカップリングに、30μF/300Vが3個同様なブロック・コンデンサとして使われている。  上記を回路図上から分析すると、これらのコンデンサの容量抜け又は温度特性劣化によるHum混入は明白であり以下対策を試みた。

 写真はブロック・コンデンサを分解した様子。アルミ缶の下端は内側に折り曲げられゴムパッキンでGTプラグを封入する構造になっている。アルミの端を金属ヘラで起こして封入を外し内部を引き出すとこのような状態になる。引き出すときは、コンデンサ部の状況やピッチ(コンデンサ部固定・絶縁用)の詰り方によっては相当な力が必要なので注意する。電解液が滴ると思いきや部分的に乾いておりコンデンサとしはやや怪しい雰囲気だ。
 内部配線やGTプラグ端子には酸化しない材料が使われている。この材料は半田付けが不可能なためカシメ構造を採用している。この材料にステンレス用のフラックスを流し半田付けを試みたがダメだった。
 このブロック・コンデンサの新品購入は見込めない(FRラボ)ため、国産のケミコンを必要数利用することにした。なおブロック・コンデンサを分解する場合は前述の理由でリード線はなるべく長く残す必要がある。電工スリーブを使ってケミコンをカシメで接続する。
 この作業により懸案であるHum問題の殆どが解決される。なお田舎で入手できたケミコンは450Vのため直径が大きく、アルミ缶に収納する事が出来なかった。300V/350Vの物なら可能と思われる。またケミコンが小型なら、電源シャシ内のGTソケットに直接半田付けしてしまう方法もある。FRラボではこちらを推奨している。

 以下、写真左はGTプラグに取り付けたケミコンを電源シャシに実装した様子。使用した450Vタイプ3本束ではアルミ缶に収納できない。右はR-390Aの底面ショット。普段は余お目に掛かる事が少ないが・・・PTOはピカピカ、整流管は半導体型に置き換えられている。
 それにしてもメカとエレキの固まりR-390Aは重く、ラックから外して戻すだけでも大仕事である。末永く大切にしたい受信機だ。




R-390A/URR関連Webサイト

1.R-390A/URRにプロダクト検波器を組み込む
2.R-390A/URR用外部プロダクト検波器の製作
3.R-390A/URRの電解コンデンサ補修について2
4.R-390A/URR用お勧めキャビネット