Amboseli国立公園
@Feb/'09 Amboseli National Park, Kenya


キリマンジャロの北麓に広がるAmboseli国立公園

[Amboseki National Park] ケニアとタンザニアの国境、アフリカの最高峰キリマンジャロ山(5895m)北麓に広がる392km2の比較的小さなサファリーパークだ。 Amboseliは、アーネスト・ヘミングウエーが狩を愛し、「キリマンジャロの雪」を執筆した場所としても名高い。 キリマンジャロ山の噴火土砂でが造った湖が干上がってできた平地で、火山灰土に覆われているので全体に白っぽい。 キリマンジャロ山の地下水が中央の湿地帯を常に潤している。 乾季には多くの動物が水場近くに群れる。 



Amboseli国立公園メシャンニ・ゲート: 
ランドクルーザーは悪路走行の末ようやくゲートに辿り着いた



ナイロビにやってきて2週間あまりが過ぎた。 ガーナでは休日らしい休日を殆ど味わったことがないが、ここでは比較的オンとオフのけじめが付くことに気付いた。 この変化は、事務所があることとアパートに移ったことが大きいだろうか。 ある休日を利用して仲間3人とタンザニアの国境、キリマンジャロ山北麓に広がるアボンセリ国立公園へ出かけた。 
 




水場近くの草地には様々な動物が共生する


キリマンジャロを見るには午前中太陽が西に傾く前、できれば早い時間に現地に着かなければならない。 勿論広い公園内を走り回る時間も必要だ。 そんな訳で朝は早く出ることになった。 長距離ジャーニーになるので大型のトヨタ・ランドクルーザーも借りた。 1日2万5000円程度なので3人なら8000円程度で済むことになる。 3人の同行者が居て大変経済的で助かる。 出発は未だ夜も明けぬ暗い5時半と決まった。 当日、時間ぴったりに運転手がアパートに迎えにくる。 車で埋まる平日の昼間とは丸で違う殆ど車の居ない街を飛び出し、タンザニア国境に向けてランドクルーザーは疾走する。 



サバンナの午後、気温は一気に上昇する、草原のあちこちで竜巻が発生する

途中ラジエーターの水が無くなりオーバーヒートのハプニングに遭遇したが、11時過ぎにはアボンセリ国立公園のゲートに辿り着いた。 それにしてもプロのドライバーが、出発前に車の点検を殆どすることが無いのには驚く。 数年前、シリアのダマスカスからヨルダンのアンマンへ向かう時のことだ、予め予約してあった、大型クルーザーで半砂漠のハイウエーを走っていたた時のことだ、信じられないことが起こった。 周囲見渡す限り何も見えないデザート・ハイウエーのど真ん中で、車が止まってしまったのだ。 何とガス欠だと言う。 もうー、開いた口がふさがらないとはこんなことを言うのだと、変に開き直ったのを思い起こす。 タンザニアに抜ける幹線道路は至る箇所で工事区間があり、未舗装のラフなバイパス道路をもうもうと砂煙を挙げて走行する。 対向車に逢う度に激しい砂煙の中を駆け抜けることになる。 タンザニアとの国境の町、ナマンガからは、全くの未舗装路だ。 しかも、遠い昔ザンビアで経験したそろばん道である。 車のスピードに共振してランドクルーザーが激しく振動しながら走る。 典型的な悪路なのだ。 公園に辿り着いた頃には既に身体中埃まみれになっていた。




ライオンは相変わらず日陰で休む


入園料、一人60ドルに車と運転手の入園料600シリング(約1000円)をゲートで支払い、いざ入園。 実はゲートに辿りつく迄に、既に多くの動物に出くわしている。 キリン、縞馬、オーストリッチ等。 なにせ、公園とは言っても地図上に線があるだけで実際には垣根も何も無いのであるから、野生動物は餌を求めて、縄張りを確保しながら園内外を活動範囲にしてしまう。 公園の中に入っても直ぐに動物が居る訳でもない。 暫くこれまでと同様の悪路をゆっくり走る。 公園の中央に近ずくと緑の濃い一帯が所々に見られる。 キリマンジャロの湧き水が出る湿地帯だ。 乾季、動物たちの大切な水場である。 その湿地帯に近ずくと徐々に大型動物の姿が多くなる。 ザンビアでは、訪れたサファリー・パークは木が茂り過ぎて、動物は木陰に隠れて見つけるのが大変だった記憶があるが、ここアンボセリでは、大木はまばらで平らな草原に多くの動物が群れて居て、実に良く見えるのには感激する。 皆一様に仲良く並んで草を食んでいる。 争っている姿は遂に見ることがなかった。 (半日程度の観察では、生態系の変化を見ること等できる訳もないが。) 生態のバランスが保たれている証であろう。 




Ol Tukaiロッジの前の草原には様々な動物が群れる


万年雪を冠ったキリマンジャロは真前に聳えている。 凄いことに違いない。 だが、いとも簡単にキリマンジャロが見える場所に来れたので、感動が今一沸いてこない。 キリマンジャロは早朝、朝焼けが最も美しく見えるらしい。 仕事の合間を縫って日帰りでやって来た我々には残念ながらこの朝焼けを見ることはできない。 それでも遅い時間ではあったが午前中に着いたのと、雲が切れていたので、その雄大な姿を眺望することができた。 幸運に感謝しなければならない。 近年この雪がめっきり少なくなっているのだそうだ。 温暖化のせいだとも言う。 



Amboseli Serenaロッジ: 五星ホテルのサービスを楽しめる


公園に入って小一時間で多くの動物に出会うことができた。 運よく木陰で休んでいる雄ライオンにも出会えた。 公園内では、サファリー道はしっかりと管理されており、サファリー道を外れて走行してはいけない、決まりだ。 多くの他の観光パーテイーの車に遭遇する。 その度に運転手同士が現地語で、情報交換をする。 ライオンは見たか?とか、チーターは居たか?とか。 朝早くから車で移動しているので、休憩も兼ね昼食ブレークの為、数あるロッジの一つAmboseli Serena ロッジに立ち寄る。 SerenaロッジはAmbseliでは最も設備が良いロッジらしい。 濃い緑の大木が茂るオアシスに設営された有名5星ホテルの経営するロッジである。 ロッジ内は5星レベルの設備とサービスを提供している。 公園内の乾燥したサバンナとは打って変わった上質な空間と雰囲気が漂っている。 西洋の女流作家だろうか、黒人秘書にパソコンで口述するスクリプトを打たせていた。 彼女もかつてのヘミングウエーを夢見て創作に打ち込んでいるのかもしれない。 立派な受付では訓練された担当者が、案内を買って出てくれる。 時間は未だ12時に少しある。 食事をお願いしたが、12時からのサービスで未だ少し時間があるから、テラスへ案内しましょうと言う。 案内に任せてバーラウンジを抜けるとテラスに出る。 テラス前は少し低くなっており、湿地帯の端に当たる。 小さな水場も見える。 大きなアカシアの木の下のテーブル席に身を委ねた。 コーヒーを注文すると、セルフサービスだと言う。 テラスの脇にある一流ホテルのドリンクバーと変わらぬ設備でコーヒーを入れる。 乾燥しているので木陰に居ると、日中サバンナは気温が上がると言っても、すこぶるしのぎ易い。 暑くもなく寒くもない気候が一年中楽しめるのだからありがたい。 



Amboseli Serenaロッジのテラス



Amboseli Serenaロッジ内: 糸瓜の天井飾り



ダチョウ



ヌー



キリン:このキリンは公園に入る前に見た



水場に近い草原に集まる動物、ガゼール、縞馬、バファロー等



湿地帯: 象、カバ、ヌー:
象は湿地の沼の中、カバは陸にあがり草を食む




湿地帯: カバの群れ



湿地帯: ハイエナにカメラを向けると、頭だけを下げて隠れる



湿地帯: 象の親子


素晴らしい休日を過ごさせて頂いた。 国立公園は観光化が進んでいるとは言え、野生動物の保護と生態系の維持は見事に成果を挙げていると思われる。 日本の動物園では決して見ることのできない野生のリアルな姿を見ることができる。 アフリカの最高峰キリマンジャロに育まれた大自然からの贈り物、人類の宝をを大切に残しておいて欲しいと願う。










林蔵@Amboseli National Park 8/Feb/'09 (Updated on 22/Jan/'10)#315
 

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