熱帯ウオーク
@ガーナ大学キャンパス Apr/'10 Accra, Ghana


職員宿舎前の広いドライブウエー: なだらかな登り坂が続く
大学敷地は小高い丘になっており、太陽が昇るホテルのあるEast Legon地区を見下ろすことができる



熱帯の地でロングウオークをするのはちょっとした工夫が必要だ。 とにかく昼間は暑い、しかも多湿ときている。 夜は街中と言えども街灯がない場所がほとんどなので、いくらガーナは安全とは言え、やはり夜の遅い時間に歩くのも旨くない。 そこで辿り着いたのが早朝散歩だ。 普段の日は、外が明るくなる日の出直前の時刻、6時から1時間だ。 一般道はこの時刻、既に夥しい車がひしめき合う。 整備不良車も決して少なくなく、その排気ガスの酷さは目に余る。 健康の為の散歩がこれでは健康を害してしまうのではないかと心配する程だ。 滞在しているホテルから徒歩で10分程度の場所にガーナ大学の広大な敷地が横たわる。 ここを利用しない手はない。 大学構内は立ち入り自由だし、緑豊かな広大な敷地内はそれほど車が忙しく走り廻っている訳でもない。 格好の散歩コースではなかろうか。
 




職員宿舎:
道路からは広いセットバックが取られており、土地をゆったり使った設定だ




スイミングプール: 飛び込み台も備わっており本格的だ
後方の町は現在滞在中のホテルがあるEast Legon地区



ガーナ大学は Legon Hill の東麓に広がる広大な敷地の中にある。 敷地の南部に広がる施設運営支援職員住居地区に繋がる公道から敷地に入る。 此のあたりは大木が道の両脇に茂り、足を踏み入れると同時に森に入った匂いを肌で感じる。 ミモザの黄色い花びらが路肩を覆う。 何とも贅沢な散歩道の始まりである。 道路は広く舗装されており、すこぶる歩き易い。 道はわずかな登り傾斜になっている。 これも散歩には軽い負荷が掛かって誠に都合が良い。 




ガーナと言えば、日本人は ”野口英世” を思い起こすに違いない:
大学内の通りの名にもなっている



緩い登り坂を上りきるとキャンパスが広がる平坦地になる。 建物と設備の間隔はあくまでも広く取ってあり、開放感満点だ。 学生寮、院生寮、教職員寮、学部棟、スポーツ・フィールドもふんだんに面を取る。 それらを区切る道路には例外なく大木の並木が陽光を遮ってくれる。 もっとも早朝であると陽光は然程問題ではないが。 




大学構内のスポーツグランド脇に一際目立つ赤い花の木




構内の道路は樹木で覆われる場所が多い:
この小道の両脇にはミモザが道路を覆う、道路わきが黄色いのはミモザの花びら




学生寮: 休日の朝、寮の前では、ロンドンのハイドパークのスピーカーコーナーよろしく、
どの学生寮の前でも、大声で一人演説をしているのが毎週見られる




大学スタジアム


洒落た大学図書館


樹木や適度な広場があれば、集まるのは人間だけではない。 鳥たちに取っても魅力的な場所があるようだ。 毎日同じ場所に、白鷺とハゲタカ、時にカラスが舞い降りて何やら啄ばんでいる場所がある。 恐らく地下に巣を造っている蟻か何かが、地表に出てくるのを待ち構え捕食しているのかもしれない。 雨上がりの日だった。 いつもは何も見ない蟻塚の麓で異常な光景を目にした。 ハゲタカが数羽にカラスが数羽激しく陣取り合戦をしながらしきりに蟻塚を突っついているのだ。 雨上がりに羽化した羽蟻が飛べずに蟻塚の周りで這い回っているのを容赦なく啄ばんでいるのだ。 側溝の水面には羽蟻の落ちた羽がびっしりと浮かんでいた。 厳しい自然の掟を目の当たりにしたのである。




構内の広場: この場所には毎朝同じ場所に同じ鳥がいる
白鷺とハゲタカ



構内の道路沿いの林には蟻塚を多く見かける



蟻塚: 木の傍にあることが多い



構内には樹木が多い: 森林浴にもなる朝散歩だ


職員住居にはほとんどと言って良いくらい鶏が放し飼いにされている。 筆者が子供時代を過ごした淡路島の実家でも同じだった。 鶏は卵を産むし、祝い事があればかしわ飯の材料になる。 実に貴重な贅沢な蛋白源であったように思う。 そして親鶏の傍には卵からかえったばかりのひよこが勝って気ままに餌を求めて歩き回っている光景にもよく出くわす。 構内は広い。 職員住居の隣は広い草原だったりするのである。 ひよこが親鶏から離れ広場のほうへ移動していた。 そんな傍を通りかかった時だ。 親鶏が懸想を変え飛べない羽を一杯に広げてけたたましく鳴きながら全速で雛鶏の方へ向かったのと、空からハゲタカが舞い降りたのは同時だった。 ハゲタカは獲物を取り損ねた。 鶏は臆病者の代名詞にされる。 筆者がオーストラリア滞在中に付けられたニックネームはアーニーチキンだ。 2人乗りのグライダーに乗るのを怖がった時に付けられたニックネームだった。 だが、ハゲタカから雛鳥を守ろうとした鶏は決して臆病チキンでは無かった。 感動の一齣であったと思う。




樹木にぴったり寄り添った蟻塚






ダブル蟻塚


又、ある日のことだ。 後方から5~6匹の野良犬が私の傍を勢いよく駆け抜けて行った。 ふと目をその犬達に向けると、犬達の向かって行った先には、職員住居があり、一匹の野ざるが庭先の木に長いロープで繋がれていた。 そのサルを目掛けて犬達が殺到した訳である。 諺に曰く、犬猿の仲と、本当にそうなのだと納得する。 これは実は遠い昔、ザンビアに滞在中、我が家の庭でも経験したことである。 その時は、ロープに繋がれて居たのは我が家の犬の方であったが。 




Legon Hill: 標高160m, 丘の頂上に佇むVice Chancellor Lodge


構内の西の端がLegonの丘の頂上になっている。 標高は正確ではないが、腕時計に組み込まれた高度計によると160m。 丘の頂上には教会のようなVice Chancellor Lodgeが佇んでおり、周囲を取り巻くアクセス道路を歩くと、特に雨上がり等空気の澄んだ日にはギニア湾に面するアクラの街とその周辺の素晴らしいパノラマが楽しめる。 やはり遠くを見晴らせるのは気持ちが良い。 日曜日には構内の方々にある教会設備から賛美歌の声が聞こえる。 街を歩いていても、日曜日は建設途中の屋根の無い教会などからアフロリズムに乗った力強い賛美歌がドラム等と一緒に大声で歌われているのを聞くが、ここ大学構内では少し趣が違う。 ある場所ではプロの聖歌隊かと思われる程の歌声が、あるところでは、数名の男女が大木の陰で美しいハーモニーを聞かせてくれる。 今度は、構内にある植物園に足を伸ばしてみよう。 レゴンの丘に喝采。 





Legon Hill: レゴンの丘からはアクラの街が見晴らせる


















林蔵@Accra 4/Apr/'10 (Updated on 12/Apr/'10)#335
  

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