ヌアデボウ
@Jun/'07 Nouadhibou, Mauritania


仕事場の番をしてくれている現地警備会社のおじさん:
この小屋で寝泊りして番をしてくれる、サイトを訪れた際、お茶セットを前に写真をせがまれた
この装束が砂漠の飛ぶ砂除けには最適
この番小屋は風の当たり難くい場所を巧みに選んでいる 



モーリタニアに来て、まだ3日目だ。 急に首都のホテルを引き払い、モロッコとの国境にある小さな港町、ニアデボー(Nouadhibou)に向かうことになった。首都ヌアクショットとヌアデボーを結ぶ通信回線の総仕上げの為だ。 海岸沿いに500km程度の道のりである。 海岸沿いと言っても、道路は10km程度内陸を走っているので海は見えない。 首都ヌアクショットを出ると、延々と砂漠地帯が続く。 街はヌアデボー迄全く望めない。

途中道路沿いにある、通信サイトを回りながら、北に進む。 ヌアクショットを出ると、強風(15m/s から20m/s)が常に吹き、砂漠の砂を巻き上げる。 所々にそのような風で形成された大小の砂山が遠く、近くに姿を現わす。 仕事場の環境は大変厳しい。 瞬く間に、強風で巻き上げられたパウダー砂が、目、鼻、耳、喉、肺、顔面に汗と共に張り付く。 照りつく太陽はみるみる間に気温を40度以上に上げる。



砂漠のサービスステーション、立派なレストランが備わっている



昼を過ぎの4時半頃、中間点にあるサービス・ステーションに到着した。 ヌアクショットとヌアデボーの丁度中間辺りに、立派なサービスス・テーションがある。 レストラン(遠くからの見栄えが良いが、やはり相当非衛生的。 それでも、相当ましなほうであろう。)もあり、超古い品揃えの売店、ガソリンスタンドも備わっている。 ヌアクショットとヌアデボーを結ぶ長距離バスも休憩に停まる。 これから、真っ直ぐヌアデボーに向かうが、勿論途中に気の利いたレストラン等全く望めない。 昼食も取っておらず、ヌアデボー到着が遅い時間になるのは確実なので、このサービス・ステーションで早めの夕食をとることにした。 砂漠では、食べられる時に、食べられるものを、食しなければならない。 後でとか言うのは通用しない。 スカンピ(海老のソテー)にポテトチップス、1500UM(約750円)、コーラが250UM(約125円)。日本並みに高い物価を再確認する。




SAのレストランに居た、土地の親子、
写真をせがまれ撮ったが、彼らに手渡すすべはない



丁度休憩中の土地の親子に会った。とても好感が持てるカップルで、写真を撮ってくれと言う。 それが、上の写真である。 撮ったのは良いが、その写真を彼らに手渡すすべがない。




SAのガソリンスタンド、立派な設備、規模のガソリンスタンドである
首都ヌアクショットのガソリンスタンドは、殆どは今にも壊れそうな酷い設備が多い




SAのレストランの裏側に広がる砂漠



ヌアクショットとヌアデボーくぉ結ぶ長距離高速バスの休憩ストップする
左手に見える、壁、窓の無い屋根だけの建物は、土地の人々が戸目的に使う
お茶を入れる、お祈りをする、食事をする、大体が寝そべった姿勢で過ごす



早めの夕食の後、ヌアデボーに直行するつもりが、予定変更し、更に途中のサイトを回りながら、北へ進む。 仕事場の通信サイトは、直ぐ道端にある訳ではない。 道路から少し砂漠に入ったところにある。砂漠に入る程度がサイトによりまちまちで、数10mから、1km程度あるサイトもある。 1kmも砂漠中に入ると、全く一面何も無くなる。 下の写真はそんなサイトで撮った作業車両。

 


作業に回る為の車、当国では、殆どが4輪駆動のピックアップトラックが主流、
砂漠では必須のアイテムだ


砂漠を2分して走る高速道路(単に舗装した道路)は、モーリタニアの経済を支え、人々の移動を助ける重要な幹線道路だ。 太陽が砂漠の地平線に沈みかけた。 太陽が地平線に沈むとあっと言う間に暗くなる。 荷物を満載した乗用車がヌアクショットに向けて、砂漠の地平線の向こう大西洋に沈にかけた太陽を右手に先を急ぐ。




夕日に映えるヌアクショット - ヌアデボー道路を走る車
この地点からヌアクショット迄約300km、時刻はPM8時少し前、
この車はヌアクショットには夜の12時頃到着するのだろうか


砂漠は決して不毛ではない。 良く見ると、蟻は勿論、小鳥やバッタも居る。 そして、ラクダにロバ、ヤギの数が以外に多く見かける。 ラクダ、ロバ、羊は人間に飼われているのが殆どである。 自然のままだと、数はずっと少ないに違いない。 詰まり、家畜の数が砂漠に多過ぎるのではないだろうか。 当然、ラクダ、ロバ、ヤギは食料を必要とする。 人口飼料等も与えられているようだが、何しろ放し飼いである。 当然砂漠に僅かに生える緑は容赦なく食べてしまう。 このことが、更なる砂漠化を大きく助長しているのではないだろうか。 数年前に住んでいたヨルダンの自然保護区のパネルにもそのことが書かれていたのを思い起こされる。 これら、すべて人間のなせる業である。 砂漠に住む最も危険な動物は人間かもしれない。



砂漠にも良く見ると、様々な生き物がいる、これは砂漠ばった


水無くして人は勿論、動植物は生きることができない。 砂漠でも何処かに僅かな水が自然に存在する。 そのお陰で、住める限度の動植物が生息する訳である。 ところが、現代の砂漠は動物の数が異常に多いのは、前節で述べた。 その原因の一つが下の写真に示す、水タンクであろう。 灼熱に太陽に照らされた水タンクにはさぞかし、熱い水が蓄えられているに違いない。 だが、水には違いない。 これで、人や多くの家畜が砂漠でも生きられるのである。 確かに便利であるにが、生態系を脅かす道具の一つではないだろうか。




砂漠の道路沿いの民家や通信設備のある場所には、このような水タンクが置いてある
空になるとタンクローリーで水を運んできてもらう



ヌアデボーには、真夜中近くに到着した。 運転手も予約してある宿が何処にあるのか、定かでないらしい。 大きくはない街である。 暫く街を回ると、宿に辿り着くことができた。 小さなアパートメント・ホテルである。 首都の宿とは比べるべくもないが、ベッドとバスタブもある。 最も湯は殆どで出かったが。 何よりも有難かったのが、部屋に相当古い代物だが、冷蔵庫が在ったことだ。 首都のホテルにも冷蔵庫はスイートの部屋でなければ付いていない。 冷蔵庫は、水や飲み物、果物等が砂漠の作業場から戻った時、冷えたのを頂けるのが実にありがたい。 エアーコンはあるが、電源が繋がっていない。 魚港の町であるので、当然海に面しており、夜は然程気温が高くないので、エアーコン無しでも寝苦しくはない。
 
だいぶ汚いが、プチ・ホテルの一階中央に薄暗いレストランがある。 このレストランの隅でインターネットのランケーブルを発見することができる。 そして、インターネットに繋ぐこともできるのである。 このサービスがある為、この街でこのプチ・ホテルを利用しているらしい。

朝食サービスがあるが、中国人の仲間達は全く利用していないらしい。 勿論高価な為だ。 試してみた、珈琲、フランスパンが半分にバター少々、ジャム少々。 これで1000UM(約500円)、首都のホテルの半額であるが、高い。

この街に4日滞在したが、此処でも仕事は日夜長時間作業が続き、まともな食事はこのホテルの朝食だけである。 終ぞレストランにお世話にには成らなかった。 昼と夜は、車で移動中にフランスパンと水で済ます。 他の中国人スタッフは朝食をホテルのレストランで取っていないから、どうしているのだろうか。 どうも、街の食料屋で適当に食料を買い込み、ホテルの部屋で朝事を取っているらしい。



ヌアデボーでの宿舎、Nezha Hotel Apartment
1.5星程度だろうか、1階はロビーと奥に暗い小さなレストラン、2階に6部屋程度ある
インターネットがレストランの隅で接続できるのがすごい




さー、ヌアデボーの仕事は終わった、ヌアクショットへ戻ろう
ピックアップトラックにデイーゼルオイルを満タンに入れる
燃料油は高い、デイーゼルで120円/リッターもする、ガソリンは160円/リッターだ






23/June/'07 林蔵 @ Nouadhibou Mauritania (Updated on 11/Oct/'08)#291

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