3番目の家は広い。 実に2000m2の敷地に,、2人の住み込みお手伝いさんが利用する小屋が敷地内に備わっている。 日本の感覚からすると、使用人を雇うなど何と高慢なと思うかも知れないが、ここでは、お手伝いさんは失業対策に大切な職業なのである。 裏庭は野球が出来るほど広い。 前庭には、大木が家の前半分を覆っている。 玄関前にドライブ・ウエーがあり、ウイーク・デーは運転手が毎朝通ってきて、車の面倒をみてくれる。 家の内部は中央がリビング、ペチカ、ダイニングと並んで吹き抜けになっている。 両脇に寝室がそれぞれ2部屋、計4部屋ある。 トイレ、バスも両脇にそれぞれ備わっている。 片方はメイン、他方は子供部屋或いはお客様部屋にでも使うのであろうか。 裏庭の周囲にも大木が茂っており、庭には季節(四季らしきものはある)毎の違った花が咲き乱れる。 原色の小鳥達が木の実をお目当てにやってくる。
第3フラットの居間、暖炉の裏がダイニング、ベランダ、裏庭と続く 英国人好みの典型的な植民地風屋敷である。 持ち主は既に英国に帰っており、空家になっていたのを借りた。 この家のある一帯は趣向を凝らしたコロニアル風の屋敷が軒を連ねる。 かつての植民地時代の開発地区だ。 今はその多くが黒人富裕層の所有物になっている。 使用人が2人居ると言ったが、1人は家の中専用で掃除、洗濯、炊事の手伝いをしてくれる。 もう一人は外専用で、庭の手入れ、草木の水やりが主な仕事だ。 かみさんは、殆ど喋れない英語で使用人に様々な指示をする。 一番厄介なのが炊事の指示らしい。 日本人の米の炊き方にはかなりこだわりが有って、外国人には殆ど理解できないらしい。 使用人に炊かせると、何度も鍋の蓋を開け、その都度水を足す。 之では旨いご飯ができないらしい。
毎日の買いものは、街中に1軒あるスーパーか、オープン市場(野外で主に野菜類を売っている市場)に行く。 私が仕事に行った後、運転手のモーゼスが家に戻り、息子を幼稚園に送り、かみさんを街へ連れていってくれる。 スーパーは品数は少ないが、欧州の田舎のスーパー並の設備と品が揃っている。 オープン・マーケットでは、日本でもお馴染みの野菜類、ジャガイモ、茄子、トマト、キューリ、おくら、かぼちゃ、ピーナツ、みかん、パパイヤ、バナナ、グアバ、マンゴ等をみることができる。 中には日本では見られない変わったものもある。 たとえば、乾燥いもむし、乾燥毛虫、乾燥蟻。 それらが南京袋一杯に入って並べられているのである。 気味悪さに鳥肌が立ちゾクゾクする。 ルサカ市内のオープンマーケット: 様々な野菜が手に入る
よそいきスタイルの息子
玄関前に大きな樹があり、家の前半分を覆っている。 その木の下が我が家の犬(はな)のお気に入りの場所だ。 昼間はよくこの木の下で寝ぞべっている。 この玄関の大木の名は知らないが、食用の実がなるらしい。 その実を目当てに野猿がやって来て実を取っては食べている姿をよく見かける。 木の上の猿に
”はな” が気付くと、そこは古来諺にもある如く、さすが犬猿の仲、ワンワンと吠えだす。 猿は猿で、木に登れない犬を馬鹿にして、吠えている犬の真上の枝まで降りてきて
”はな” をからかう。 ある日、例の如く猿は、”はな” のま真上で ”はな” をからかっていた。 ”はな” は悔しそうに、数10センチ飛びあがるだけ。 到底猿のいる枝には届かない。 ところがどうしたことか、猿が木から落ちた。 これぞ、”猿も木から落ちる”
の故事諺通りの光景である。 猿には申し訳ないが思わず笑う。 ”はな” はどうするだろう。 ”はな” の目に前に猿が落ちたのである。 ”はな” は予期せぬ出来事に驚き、飛び退いた。 猿はその隙に慌てて木に掛け登った。 古来の諺の2つを同時に目の前で見、その結末のあっけなさに少し落胆。
3/Dec/'75 林蔵 @Lusaka Zambia (Updated on 31/May/'09 )#092 |
{林蔵地球を歩く}[頁の始めに戻る] |