トリポリのバス
@Sep/'06 Tripoli, Libya
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ムジャンマ: トリポリ近郊行きのバス・タクシーターミナル
バスは全てマイクロ・バス、大型バスは国際長距離バス路線のみ
トリポリの交通手段は、自家用車、タクシー、バスである。 いわゆる列車のような大量輸送手段は無い。 従って朝の通勤時間、学校の終わる時間、公務員の帰宅時間、一般企業勤務者の帰宅時間は、恒常的に街は大混雑する。 この街に限らず、私はタクシーが苦手だ。 割高感があるのと、一般的に外国では一々交渉で値段を決めなくてはならないからだ。 それに、そもそも歩くのが大好きである。 短い距離(数km:他の人たちには、短いとは言えないかもしれないが。)ならタクシーに乗るより、歩く方を選ぶ。
トリポリでは、ホテルから事務所の間がかなりある。 タクシーで約20-30分。 歩いて2時間(一度歩いてみた)の距離だ。 バスは、よそ者に取って走る路線が判りにくく、初心者には利用し難い。 トリポリに入った当初、事務所へは、もっぱら嫌いなタクシーを利用していた。 1ヶ月位経って、トリポリの道もだいぶわかる様になった。 バスを利用してみた。 運転は荒いが、運転手は意外に親切で悪くない。 運転台の上は、運転手の好みで様々な装飾がなされている。 一見荒くれた運転手のように見えるが、実は家族を愛し、平和を愛する善良な一市民であることが、その装飾から見て取れる。 又バスは、何にも増して飾らない土地の人々の顔が見えて、とても居心地が良い。 しかも安い。 30分程度乗って、0.25 リビア・デナール(20円程度)である。 それ以降、バスにはまってしまった。
バス運転席上部の装飾: 欧州のサッカー・チームのバナーを飾っているバスが多い
イスラムの世界では、家の外では家族以外の男女の同席は許されない。 狭いバス内ではどうするのだろうか。 見ていると、むさくるしい、いかつい運転手が手際よく、客に指示を出す。 女性が乗ってきたら素早く座席状況は判断し、女性同士を座らせるか、或いは男性に立つように促す。 目配せを食らった男性は、素直に席を立つ。 この辺は絶妙のタイミングである。 実に秩序のある社会に見える。
運転席上部の飾り: 家族の写真でシンプルに纏めている
マイクロ・バスは、真新しいものは少ない。 大概は相当古い代物である。 時に途中でエンコすることもある。 ドアーは概ね損傷が激しい。 開け閉めが粗雑な上に、バス停など無く、頻繁に手さえ上げれば何処でも止まる。 ドアーの取っ手には、ビニールの紐が付いて居て、開いたドアーは運転席から紐を引けばドアーが閉まるようになっている。 一種の自動ドアーだ(閉めるだけだが)。 もっとも、客がステップに乗るなり、バスを急発進させるので、ドアーはその反動で自動的に閉まることが殆どだ。 紐を引くまでもない。 座席は悪くない、タクシーの座席よりましではなかろうか。 殆どが、ビニール(相当年季が入っているが)を被せたままである。
運転席上部飾り: 子供の写真と禁煙マーク
車内に入り、先ず驚くのは、運転席の上部の空間だ。 マイクロ・バスは屋根の高い仕様で、運転席上部に広い空間と屋根が傾斜した相当に広いキャンバスが広がる。 このキャンバスに運転手の好みで、様々に飾り立てている。 コーランの一節の飾り、家族の写真、フット・ボール・チームのバナー、風景画等、様々である。
運転席上部の飾り: スポーツ・カーの飾りラグ(敷物)
サービスの概念が我々のものとは多少違う。 我々の概念では、公共交通機関の最大のサービスは安全に気持ち良く人を運ぶことであるが、ここでは、安全とか気持ち良くと言った概念は、あまり感じられない。 早く、安くがサービスの最大の概念のようだ。 従って運転は相当に荒い。 急ブレーキ、急発進、急ハンドルは当たり前である。 客が座席に着く前に急発進をする。 客も心得ていて、乗ったら、先ずどこかにしっかり捕まる。
運転席上部の飾り: コーランの一章が飾られている
バスの行き先は何処にも書いていない。 バス・ターミナルでは、子供のような車掌が居て、大声で行き先を叫び客を呼び込む。 路線で客を拾う場合は、行き先に応じて、小さな手サインをしている様にも見える。 私は手サインがわからないので、バスを止めて、行き先方面の地名を告げ、車掌の顔色を見る。 顔色がOKサインであれば乗る。 これで大体間違ったことは無い。 (偶に違う方向に行く場合もあるが。) 又事務所からホテルに帰る場合は、どのバスに乗っても、バスは街のセンター(マデイナ)へ行くので間違うことはない。
ムジャンマー(バス・ターミナル): 各地へ向かうマイクロ・バスが整然と並ぶ
28/Sep/'06 林蔵 @Tripoli Libya, (Updated on 25/Sep/'08)#271