高速道路無料化実験 @Oct/'10 湘南、箱根、東富士/神奈川、山梨 道の駅 ”鳴沢” の食堂テラスから望む富士山 日本の高速道路は欧米のそれに比べて割高だとは以前から感じていた。 米国は殆ど名実共にフリーウエー、オーストラリア、ドイツも事実上フリーウエー、スイスは年間2千円程度のステッカー制で全線乗れる、イタリア、英国やフランスは日本と似ているが日本に比べ格段に安いと思った。 我が国では現政権になって、施政マニフェストに高速道路の無料化が唄われた。 理論的には無料化で生まれる経済効果で総合的には差し引きプラスになることは理解できるが、人間の造る世の中は理論通りに行かないことが常である。 無料化で何兆円にも及ぶ高速道路の維持管理費を払う財源が結局都合付かず、完全実施には及ばないのではないかとの思いが強い。 だがそれでも現政権はけなげに真面目だ。 完全無料化の前に実験をやることになったのだ。 庶民にしてみれば肩透かしの感がしないでも無いが、無料化の経済効果で税収がそれ以上に上がるのか、或いは見込んだ経済波及効果があるのかを確かめず、実施に踏み切れないのもわかる。 拙宅の多摩から南関東を一周するツーリングコースが丁度この高速道路無料化実験路線になっている。 早速、ある日このコースをソロのバイク・ツーリングに出掛けてみた。 西湘PAの相模湾に面したテラス: 約1時間半のクルージング後の休憩に丁度良い、相模湾を前に潮風を受けながら飲む一杯の珈琲は旨い 多摩から一般国道129号を南下、湘南海岸に出る。 ここから西に伸びる相模湾沿いの西湘バイパスが無料化実験路線だ。 此処まで、我が家から1時間30分。 左に相模湾を、右手に松林を見ながらのお気に入りの小田原迄の短いバイパス。 国府津にある西湘PAで小休止。 家を出てから1時間45分。 自販機のドリップ珈琲を手に海岸側のボードに向かう。 ボードに備えられた椅子に座り、相模湾から打ち寄せる波と、釣り人が垂れる釣り糸を眺めながら暖かい珈琲を戴く。 無料化になってからこのPAのお客が急増しているのを実感する。 バイク専用駐輪場は何時も大小のバイクで溢れている。 良く手入れの行き届いた大型バイクがやはり多い。 巷では日本は不景気だと騒いでいるが本当だろうかと思ってしまう程だ。 最近は大型車用駐車区域の一部を割いてバイク駐車区域に割り当てられている。 桃源台: レストラン窓際のカウンター席はは絶景、 しかも人出はまばら、少し時間を長く居ても迷惑にはならない ここで抹茶のロールケーキと珈琲セットを注文し、リュックから文庫本を取り出す 西湘PAを出ると直ぐ小田原だ。 小田原漁港、早川で高速道は3方向に分かれる。 無料化実験中の箱根新道、箱根ターンパイク(有料)、真鶴ー熱海道(有料)。 迷わず無料化実験路線の箱根新道に入る。 ここでもETCのゲートを潜る。 無料であるが通行量のデータを取得しているらしい。 箱根へ一気に駆け上る。 箱根峠をほぼ上りきった地点で、芦ノ湖出口を出る。 芦ノ湖畔へ下る。 家を出てから2時間半程度で芦ノ湖畔に辿り着く。 湖東側に沿う湖畔道路を北上、、桃源台の海賊船乗場、ロープウエー乗場の駐車場にバイクを止める。 ここに併設されたレストランカフェに入る。 建物は湖面から急に立ち上がる斜面にありレストランは丁度湖を見晴らす位置にあるのだ。 このレストランカフェの窓側のカウンター席からの眺望が素晴らしいの一言に尽きる。 真下が海賊船乗場の桟橋になっていて、眼前に濃い深緑色の湖面が両脇の急峻な箱根の連山に挟まれて広がる。 森と湖とカラフルな海賊船が絶妙の色彩バランスを醸し出す。 末っ茶ケーキセットを注文する。 領収書とブザーが手渡される。 準備ができたらブザーが鳴る仕掛けだ。 ここはセルフサービス制になっている。 絶景を堪能しながら持参した文庫本をリュックから取り出し、小一時間ばかりの時間を楽しむ。 仙石原: 秋はススキで有名、一面ススキで覆われる 桃源台から、ススキが一面に群生する仙石原を経て湖尻へ。 ここを左に折れ、乙女峠に向かう。 乙女峠のトンネルを抜けると眼下に御殿場の町が箱庭のごとく広がる。 道は一気に御殿場へ駆け下る。 御殿場を突っ切り、須走へ向かう。 ここから今日3本目の無料化実験路線の東富士五湖道路が始まる。 この高速に乗り、篭坂トンネルを抜けると右手が山中湖、左が自衛隊の東富士演習場だ。 終点は河口湖。 道路は中央高速に繋がっているが此処で降りる。 左に折れ、本日の最終目的地、道の駅 ”鳴沢” へ向かう。 この道の駅には小さな食堂がある。 ここのカウンター席が又素晴らしい。 真前に四季折々の装いを纏った富士が聳える。 此処で蕎麦とおにぎりの昼食。 昼食後は物産店を物色、めぼしいものを発見すれば土産に買って帰る。 今回は土産にするものは見当たらなかった。 高山の漆工芸品のお店が出ていた。 出張カバンに詰める品の一つと思い漆塗りの木のマイカップを1個買った。 手にも唇にも熱くないと言う売り文句にそそられたのだ。 そうそう、もう一つ、道の駅 ”鳴沢” の耳寄り情報をお教えしよう。 温泉施設 ”湯らり” が直ぐ隣にあることだ。 道の駅 ”鳴沢” の駐車場に車を置いたまま歩いて行けるのである。 勿論、湯らりには専用駐車場が完備されているが、道の駅に来たなら ”湯らり” に行くには、この高原の清清しい風のなか歩くほうが数倍良いに決まっている。 道の駅”鳴沢”に併設されている富士山博物館(入場無料) 富士山の歴史が模型と画像でわかり易く解説されている 道の駅””鳴沢: 富士山博物館、動く恐竜が見られる 戻りは、山中湖を経て道志川沿いの渓谷道路、道志道、国道413号を相模原方面へ駆け下る。 山中湖から相模原迄殆ど下りで適度なワインデイングがあり交通量も比較的少ない、おまけに道志川の清流と神奈川の水源の森が道の両脇に迫る、申し分の無いツーリング道なのである。 道の駅 ”鳴沢” を出て約3時間で多摩に帰着できる。 総走行距離255km、朝8時に多摩を出て、まだ明るい内に帰宅できる。 日本の豊かで美しい自然美に恵まれた贅沢なツーリングコースだと改めて確信するのであった。 こんな素晴らしいコースが身近にあることを、そして走れる時間と体力があることを神にそして人々に感謝しなければならない。 山中湖: 富士五湖の一つ、五湖の内最も標高が高く、981mもある 昔夏場、ランニングの練習に湖周をよく走った、1周14kmの平坦で景色が良く最高の練習コースの一つ 山中湖: アヒル型観光船、山中湖はわかさぎの宝庫としてもゆうめいだが、最近は外来魚に侵食されていたりしていないだろうか [後記] 高速道路無料化で確かにその高速道路を使って移動する人の数は確実に増えている実感はある。 だがそれがその土地に経済効果を与えているだろうか。 道の駅やPAは繁盛しているが、土地の商店街や道すがらのお店には客数が増えている様子はあまり見られないように思える。 これもマクロの目でみれば栄華衰退は世の常と言う範疇にはいるのだろうか。 出掛けることは、必ずその土地に何がしかのお金を落とすことは確かなことだ。 それが結局マクロ的な目でみればその土地が潤うことに繋がるのだろうか。 それにしても我が日本人のステレオタイプを好むこと。 振り返れば自分自身も正にその一人であるのだが。 この性向はわが国が、維新開国後、一気に近代国家に成り得た大きな要因の一つに違いないが、現代社会における弊害の一つにもなっているのではないだろうか。 官製休日にしか休みを取らないサラリーマン。 テレビで何処が見所と放映されれば、官製休日にこぞって其処へ殺到する、何処に旨いものがあると言えばしかり。 我が同胞の行動に多様性に欠けていると感じるのは私だけだろうか。 おりしも今、名古屋でCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催中だ。 せいぜい行動の多様性を心がけたい。
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