串本・潮岬
本州最南端 @May/'00 和歌山県 |
潮岬モニュメント
春の連休4日目。 今年の連休は金曜日から始まったから未だ月曜日だ。 娘の出勤時間に合わせて、いつもの休みの日より少し早く起きる。 兼ねてから企んでいた春のソロ・ツーリング決行しよう。 今回の目的地は紀伊半島の最南端、本州の南端でもある串本・潮岬だ。 天候は西から低気圧が移動中だが、此方から今日中に一気に串本迄移動すれば、串本に着いた頃には低気圧の通った後になる筈だ。
午前6時20分、気温14.5度、数日前の夏日に比べるとやや低い。 129号で厚木に入り、ここで246号に乗る。 連休中で道は何処も込み合うが、朝早いと予想通り、道は空いている。 246号の終点、沼津のコンビニで小休憩。 ここから東海道を西に走る1号に乗る。 いつものように高速はできるだけ使用しない。
料金が高く、割りに合わないのと、高速道は運転が短調で眠くなりがちなので避けている。 それでもバイパスは利用する。 混んだ市内に入るとやはり時間が掛かり過ぎるからだ。 清静バイパス、藤枝バイパス、掛川バイパス、磐田バイパス、何れも大した渋滞もなく順調に距離を稼いだ。 次ぎは浜名バイパスだが何処で間違ったか、1号線を逸れどうも浜松市内に入りこんでしまったようだ。 携行荷物を最小にする為、生憎、地図は関西のものしか持っていない。 ここ浜松の1号線は何度も通っている道で
迷うなど全く予想していなかった。 どうにか頼りない記憶と感を頼りに浜名バイパスに辿り着いた。 小一時間をロスってしまった。 バイパスを過ぎ知多半島に入る。 長閑な農村風景が続く42号だ。 順調に伊良湖岬迄走る。 昨年の夏、岬の手前数キロが伊勢湾フェリーに乗る車で大渋滞だったが、今日はすこぶる順調。 タイミングも良い。 フェリー待ちがあれば、湊の道の駅”クリスタルポルトで昼にする予定だったが、10分でフェリーが出ると言う。 昼は鳥羽に着いてからにしよう。 1時間ばかしの船旅、暫し船上の人となり、船室で休息を取る。
夕日と潮岬灯台
約一時間の海上を楽しみ、フェリーは鳥羽港に到着。 海岸沿いの有料道路であるパールロードのルートを取らず、内陸部を走る167号に入る。 前回パールロードを通ったが、スペイン村の手前で大渋滞に巻き込まれた嫌な思いをした。 そんなことが今回の内陸ルートに向かわせている。 途中、コンビニで少し遅めの昼にする。 もくろみ通り渋滞も無く海辺の南勢町に出る。 ここから国道260号だ。 途中、山中にとんでもない登り坂がある。 とても国道とは、思えない。 1車線できついカーブが連続する上り坂。 最徐行で対向車に注意しながら走行する。
緊張したハンドルさばきで暫く山道を行くと、国道42号に出る。 普通の国道規格の道だ。 救われた気分になる。 これから串本迄は、ずっと海岸沿いの42号を南下する。
尾鷲、熊野、神宮、那智勝浦を経て串本に入った。 夜もすっかり更けてしまった。 夜目には地理がよくわからない。 丁度、道路脇に見慣れたモスバーガーの看板が温もりを与えてくれるように目に入った。 夕食兼休憩とする。 店の娘さんに地図上で現在地を教えて貰った。 潮岬へ行くのだと言ったら、「望楼の芝に行くんですか?」と問い返された。 「望楼の芝」など知らん。 「キャンプ場へ行く。」、とちぐはくな会話をしてしまった。 後で聞いたが、キャンプ場は、まさに潮の岬全体に貼られた
「望楼の大芝生」そのものであった。 「キャンプ場」に着いたのは、既に夜の10時過ぎ。 先客がかなり入っている気配だが、スペースはまだ十分ある。 マグライトの明かりで携行したバイク用のテントを貼り就寝。 キャンプをすると朝が早い。 自然の朝は静かではないのだ。 むしろ、うるさいと言った感じ。 明るくなると、様々な鳥達が一斉に御喋り始める。 とても寝てなんて居られない。 6時には朝食を済ませ、今日の目的地、白浜温泉へ向かってスロットルをまわす。 入り組んだリアス海岸の風景を楽しみながらゆったりと鉄馬を走らす。 白浜は関西の3大温泉リゾート地だ。 海岸に面した無料の露天風呂があると、案内書にある。 早速試してみよう。 薄い板のような岩が重なる千畳敷と言う景勝地があり、大きな駐車場を備えている。 バイクをここに留め、徒歩で温泉街を探索。 連休中ではあるが、客が溢れている風でもない。 駐車場も何処も,空きがあり、窮屈な気分は全く無い。 無料の露天風呂「崎の湯」は千畳敷から5分位の所にあった。 小さな看板が道の脇に在るだけで、見つけるのに少し時間が掛かってしまったが。 「日本最古の露天風呂」と書いた石碑がある。 日本最古は日本に幾つもありそうだ。 設備は立派ではく男湯と女湯の間に粗末な萱の仕切がある程度だ。 脱衣場と言ったものもなく、入り口に靴箱があるのみ。 湯壷の回りの濡れない場所に適当に脱いだ着物を置く。 湯壷はあまり広くはない。 幅2-3メートル、長さ4-5メートルくらいか。 だが太平洋を眼前に見ながら、ただの温泉に浸かる気分は最高だ。 客は6-7人である。 バイク乗りも居るらしい。 外にバイクが留まっていたのを見た。 湯から上がり、駐車場に戻る。 風呂上りにアイスクリームを1本、千畳敷の景勝を眺めながら頬張る。
白浜: 太平洋に面する露天風呂、崎の湯
和歌山には日本のエアーズロックがある。 古座川の1枚岩と言う。 高さ100m、幅500m。 本物のエアーズロックには及ぶべくも無いが、せっかく近くに来たのだ。 寄ってみよう。 串本と白浜の間、10kmばかり山間に入った処にある。 途中空模様が怪しくなり、遂に激しい雷雨になった。 山道に入ったばかりで、避難所も無い。 道路を滝の如く流れる雨水にハンドルを取られないよう、慎重に古座川沿いに遡る。 雨の中、訪れる者は居ない。 レストハウスも締まる寸前。 5時で閉店になる。 レストハウスで熱い缶珈琲を1本買い体を温める。 雨の中だが、どうにか写真を2枚取った。 「望楼の大芝生」へ帰ろう。 串本市内のコンビニで夕食と明日の朝食用の食料を買い込み、テントへ戻った。 昼間の嵐でテントが飛んでしまったらしい。 隣のお兄さん達が、取りあえず元の場所に戻して置いてくれた。 小雨の中就寝。
古座川の日本一の一枚岩
日本版エアーズロック
3日目。 今日は那智に行く。 串本から北に向かう。 串本の町外れに「橋杭岩」と言って尖った岩が一列に海に浮かんでいる。 勿論自然現象であるが、弘法大師が大島の間に橋を掛ける工事をしていたが、悪神により妨げられ中断したままと言う説明書きが有った。 那智勝浦の町に入ったら、「マグロ丼500円」と書かれた建て看板が目に付く。 その看板に向かって長い列が出来ている。 マグロ丼500円は安い。 昼の時間にここに戻れば入ってみよう。 那智の滝を見る。 ザンビアで世界の3大爆布と言われるリビングストンの滝を見ているので、それ程の感動は無いが、
何でも神にしてしまい、其処に神社ができる営みを見、実に日本人は古代ローマ人に似ていることかと思う。 全国4、000社余ある熊野神社の元締めとも言う熊野大社に御参りする。 参道にひしめく土産やと飯屋。 さっきのマグロ丼も気になるが、むしょうにうどんが食べたくなった。 遂に誘惑に負け、うどん屋に入った。 関西風の薄味のうどん汁で旨かった。 家への土産に少し上等の和菓子でもと思い、店構えの立派な土産屋、菓子屋に入って見たが、御目当てのものは見つからなかった。 今回も家への土産は無い。
次ぎは温泉。 昨日に続き今日も温泉に入るぞ。 地図の案内では、那智勝浦にも温泉旅館、ホテルが多数ある。 やはり海辺が良い。 案内看板「海のホテル一の滝」を発見。 矢印の方向にハンドルを切る。 玄関に駐車場を備えた海に面した客室50位のこじんまりしたホテル。 連休中は満室らしい。
入浴料500円を支払い、大浴場へ入った。 誰も居ない。 広い温泉が一人締めだ。 半円形の浴場は海に面している。 ホテルの客は未だチェックインして居らず熊野灘を眼前に温泉の大浴場を心行くまで一人で堪能する。
那智の滝
望楼の大芝生」に戻ってびっくり。 キャンプ場は色とりどり、様々な形のテントでびっしり埋まっている。 まさに足の踏み場もない。 1日遅れで来ていたら私の小さなテントでも設営場所を探すのが大変になるところだった。 これはラッキーであった。 明日は帰る日だ。 ゆっくり寝ておこう。 2つくらい先のテントは釣り人仲間であろう、酔いも回り良い気分で盛りあがっている声が聞こえてくる。 漫画の釣りバカ日記を地で行くような、話し声が静かなキャンプ場に響き渡る。 つい聞こえてくる他愛もない会話にほくそえんでしまう。 その内に太平洋の波の音が主役になった。
大地鯨館:体長9mのチャチの芸
帰りは伊勢湾フェリーに乗らないで、42号から1号線を東に向かう事にした。 桑名から名古屋の市内を抜ける1号は何時も混み合い、時間をロスる。 今回は1号より海側を平行して走る23号を走って見た。 大正解。 まるで高速のようなバイパスだ。 岡崎で1号に接続する。 後は沼津からの246号も順調に相模原迄、快調にクルーズできた。 今回のツーリングで感じたこと。 日本は山国。 改めて日本の豊かな自然に感謝。
日本最古の石造り灯台: 樫野崎灯台
1/May/'00 林蔵@潮岬 (Updated on 31/Jan/'08)#040
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