いわな亭

@Aug/'02 赤城山 群馬


「いわな亭」 おいしいいわな定食が頂ける


仲間とツーリングの日だ。 今日の目的地は赤城山。 始めての行先は、いつも心がはやる。 昨夜5時にセットしてあった目醒ましで起きる。 夏場の太陽は随分と早く空を明るくする。 外は既に明るい。 天気も良い。 家人達を起さないように、ヘルメットとウエスト・バッグにバイク・ジャケットを手に持ち、偲び足で階下に降り洗面を済ませる。 バイクのカバーを剥ぎ、駐車場からバイクを公道に出す。 この6月に替えたバイクはエンジン音が低く、早朝でも近所迷惑をあまり感じずに安心してエンジンを掛けることができる。 今日は温泉にも入る予定だ。 温泉セット(タオルとヘア‐ブラシ)も忘れずにと。 さて出発。

国道16号のバイパスに乗ると、中央道の ”八王子IC” には我が家から僅か15分で来てしまう。 ここからは、国道411号(あきる野街道)を道なりに進むと、待ち合わせの圏央道 ”日の出IC” に行くことができる。 早朝の道はどこも混んでいなく、気持ち良く走れるので好きだ。 待ち合わせの ”日の出IC” には、集合予定時間の6時30より30分も早い、6時に着いてしまった。 15分もしない内に、リーダーのFさんが僕と同じバイクの BMW R1100RS で颯爽と現れた。

日の出から、次の集合場所、関越道 ”高坂SA” に向う。 ここでは、もう一人のメンバー Iさんと落ちあうことになっている。 ”日の出IC” を予定時間より早く出たお陰で、高坂にも早く着いてしまった。 SA内の無料のお茶サービスを頂きながら、Iさんを待つ。 Iさんも、予定より早く現れたので、大て待つことも無かった。 Iさんのバイクは、実にセクシーな赤いBIMOTO、走る為に造られた形と性能。 見るからに走るーと言う感じ。 Iさんとは、暫くぶりだ。 僕達とは違って歳も若く、子供がまだ小さいので、家の諸事でそう頻繁には丸1日バイクに乗ることは出来ない環境だ。 今日は、久しぶりに1日バイクに乗れると嬉しそう。



赤城山頂上、エネルギー館前で


高坂SAを出た後は、赤城IC迄一気に走る。 渋滞もなく快調に走る。 赤城ICで降りた後は、K20,R353で富士見温泉に行くつもりが、赤城山への昇りK4の交差点に着いてしまった。 解り難い場所でも無いので、もう一度引き返してみたが、やはり見つからない。 田舎の1本道である。 通りすがりの人も見かけない。 Fさんが道端の酪農家の家へ訪ねに行った。 どうも道を1本間違えたらしい。 富士見温泉のあるK353はもう1本低い山裾を走る道であった。 教わった通り行ってみると、すぐ解った。 が、開店は10時とのこと。 今はまだ9時なのだ。 1時間も待つのはもったいないのでK4を、赤城山頂を目指して出発した。 標高はぐんぐん上がる。 深い森をワインデイング・ロードが続く。 下界の暑さを忘れ、森の恵みに包まれた山道は素晴らしい。 

最高地点1405mにあるエネルギー舘に到着。 かつては風力発電の風車があったそうだが、夜間のメンテ費用の工面がつかず、風車は、現在は取り外されている。 以前は東電が経営していたが、いまは村営になっているらしい。 内部には、クリーン・エネルギーの紹介がパネル展示されており、環境保護を訴えている。



赤城神社: 赤い社は春日大社を思わせる


赤城山山頂の大沼は、この最高地点から100m程下ったところにある火口湖だ。 今日は、大沼マラソンの日、大沼を回周するコースだ。 交通規制がしかれ、左回り片道通行となっている。 湖側はランナー、 山側は車となる。 湖に突き出た半島に赤城神社がある。 立ち寄った。 山と湖の神赤城大神が祭ってある。 真っ赤な神社、灯篭は奈良の春日神社を思い起こす。 みやげ物屋の店先にあるベンチで暫く休憩。 



赤城山: 大沼湖の半島にある赤城神社前で



今は営業していないケーブルカーの山頂駅。 ここは尾根になっており、今登ってきた方向とは反対方向を見下ろすと、真っ白な雲がみるみる掛け登ってくる。 山の天候の激変ぶりを真の辺りにする。 その後もう一つの火口湖、小沼を見た後はお待ちかねの昼食だ。 



神社傍の茶店で休憩


リーダーのFさんが調べておいてくれた ”いわな亭” は何処だろう。 途中の売店で聞くと、大沼の商店街にあるらしい。 大沼の商店街は極小規模である。 せいぜい10軒あまりのレストランやみやげ物屋が軒を連ねている。 くまなく見まわしたが ”いわな亭” の看板が無い。 やや目をそらし商店街の端を見やると、大きな字で ”いわな亭” と書いた看板があった。 その看板に向って50m位の距離を歩く。 看板のところまで来たが、お店らしきものは見当たらない。 相当古びた、工事現場の小屋のようなものがあるだけだ。 しかし良く見ると、この古びたトタン屋根の小屋はどうも店らしい。 そう言えば客もいるし、一角では、いわなを炭で焼いている。 いわな亭はここだったのだ。 早速入ってみた。 外見通り決して綺麗ではないが、昔ながらの土間に粗末な細長いテーブルが石油ストーブを囲んでいる。 石油ストーブの上には狸の剥製がとくりを持ち、客を眺めている。 冬場は石油ストーブだけで大丈夫かなと思う程の建てやの造りだ。 聞くと冬場は気温が-20度にもなるらしい。 1角に2-3人座れる。 そんなテーブルが2つと、4-5人の狭い座敷席がある。 客足は、それなりに途絶えず続く。 唯一お勧めの、”いわな定食” を注文した。 いわなを焼いている親爺はユニークで名物親爺のようだ。 ここにもビジネスの成功秘訣を見る思いがした。 しっかりとポリシーを守り、暑さ、寒さに負けず、ひたむきに短純な作業に、絶対的な誇りを持って、人との関わりを大事にする。 惚れぼれする思いである。 出てきた定食は、期待通りの味と量。 量が多いと嬉しくなる。 戦後の食糧難の時代に育ったいやしい性格が抜けきらない。 定食の見本には、”いわな” は1匹であるが、おまけで2匹。 たっぷりのぜんまい、いわなの寒露に1匹、いわなの佃煮、味噌汁に大盛のご飯。 幸せな一時である。



いわな亭の名物親爺: 全てのビジネスに通じるポリシーを持っている


楽しい食事の後は、赤城山西麓を一気に掛け下る。 適度のワインデイングで道も良く、快適に下る。 降りきったところで、エネルギー舘の叔父さんに聞いた、”しゃくなげ の湯”を探す。 その湯は直ぐ見つかった。 出来てまだ1年もたたないらしい。 建物の内装にふんだんに木材が使用されていて、美しい木肌が訪れる者の心を豊かにしてくれる。 受け付けで2時間券を500円で買う。 脱衣場の体重計で入浴前の体重を計る、 64.3kg。 8月の中国出張で、少し太ったかと心配していたが、私の標準体重の67kgより少し少なめなので一安心。 大浴場と露天風呂を楽しんだ。 露天風呂の外は川原になっているのに、塀が高い。 もう少し低い塀で川原が露天風呂から眺めることが出来れば、もっと良いのにと思う。 

しゃくなげの湯で温泉を楽しんだ後は、再び赤城ICで高速に乗り、もと来た道を家路に急いだ。 無事、19:45 相模原に帰った。 素晴らしいツーリングの1日が終わった。


 
いわな亭の豪華ないわな定食








25/Aug/'02 林蔵 (Updated on 17/Apr/'08)#119

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