桂林・り江(Guilin/Lijiang) @Oct/'06 Guilin, China
り江、中国を代表する川の一つである。 日本ではあの桂林の山水画で有名だ。 かつて桂林が海の底にあった時期、大量の珊瑚が海中の炭酸ガスを膨大な層の石灰岩に変換した。 ここは大量の地球温暖化ガスを閉じ込めた世界最大の貯蔵庫であることはご存知であろうか。
磨盤山船着場を10時に出航予定である。 事業所の専任運転手のY嬢がBUICHの大型バンでホテルに迎えに来た。 通訳で庶務全般を取り仕切るL嬢、西安の事業所から出張で来ているP嬢にC顧問、L部長も同行してくれると言う手厚い歓迎ぶりである。 流石、桂林の目玉観光スポットだけある。 広くて立派なゲート、待合所、品数を揃え整然とした土産物売り場が我々を出迎えてくれる。 運転手のY嬢とは、一旦ここでお別れである。 Y嬢は一足先に、我々の河下り船が着く陽朔へ車を移動し、我々を待って居てくれるのである。
桂林市は広西自治区の州都だ。 今が乾期とのことである。 り江の水位は相当下がっているが概して綺麗で少しの匂いも無い。 川幅は処により随分と狭くなり、上り下りの船がすれ違うのも難儀するほどだ。 それにしてもこの観光船の多さはどうだろう。 前後見渡す限り、正に数珠繋ぎ状態だ。
船内には、給仕係り、風景・観光案内係り、機関士、コック、船長等、それぞれの制服に身を固めサービスに努めている。 案内嬢は船内放送で、船の両脇に迫る奇岩群の説明を中国語と英語で行ってくれる。 船長も折を見て客室に姿を現す。 給仕から料理を受け取り、我々のテーブルに振舞い、愛嬌を振りまくサービスもしてくれる。 まるでデズニーランドばりである。 この辺が計画経済から自由経済への切り替えに成功した姿だろうか。
桂林事業所の通訳、庶務兼社長秘書のL嬢は日本からの出張者には細々と世話を焼く。 入社3ヶ月だそうだ。 広西大学で日本語を専攻したそうだ。 最近の日本の若者が使う日本語を見事に喋る。 然程大きくない事業所の雰囲気は大変良い。 そんな家族的な事業所の雰囲気が大変気に入っているとも話してくれた。
ゆっくり下る観光船の両脇には見事な山水の風景が刻々と変化する。 世界中から観光客が絶えない訳である。 川下り船の数の多さもうなずける。 関心するのは、ごみの少なさである。 この河は多くの街を縫って流れてきている筈である。 それにしては、川面に廃棄ごみが殆ど浮かんでいない。 アジアの文化の一つは河に何でも捨てる習慣だ。 この河に恩恵を受ける街々は典型的なアジア文化を持っていると思われるが、政府の宣伝が功をなしているのか、文化レベルが西洋化しているのか、その訳は知らない。
約4時間後、河下り船は河下りの終点陽朔に到着した。 陽朔に上陸すると、瀟洒な町並みが出迎えてくれる。 先を行っていた観光船に乗っていた世界中からやって来た観光客が既に上陸しており、通りは彼ら彼女らで溢れている。 ロンドンのポート・ベローを思い出させる。 バーやカフェは既に多くの外国人観光客で賑わい、ここが中国の桂林かと一瞬疑わざるをえない。
運転手のY嬢に電話で連絡を取る。 既に街の駐車場に車を止め我々を待っていてくれた。 Y嬢と合流し、Buichの大型バンに乗り込む。 ここには有名な月山があると言うので、向かうことにした。 なるほど、山の中央が綺麗な幾何学的にくり貫かれていて如何にも月が出たように見える。 米国の科学者が之は自然の造形物ではないと疑い、実際に調査をした結果自然のものであることを確認したこともあるそうだ。 この月山の月は見る角度により、新月から満月、更に新月へと1ヶ月の変化を見せるそうだ。
Y嬢の運転する大型バンで帰路につく。 帰路の道すがら観る山水も河下りに負けじ劣らずの景観が連なる。 桂林の山水を堪能した一日であった。 中国の山河に、人々に喝采。
14/Oct/'06 林蔵 @Guilin China (Updated on 27/Sep/'08)#273 |
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