早朝ウオーク
@May/'07 Islamabnad, Pakistan



AtaTurk Ave,のジャカランダ: 世界の3大花木といわれる、 ラッパ状の花弁を多数つける
ジャカランダはノーゼンカズラ科だと言う、あのハワイの夕日よりも鮮やかなオレンジ色の花弁とは、何と異なることか
 


海外での勤務は極端な運動不足に陥り易い。 通勤は運転手付きのレンタカー、仕事場では殆ど一日中座ったまま。 これでは体に良い訳はない。 何とか運動不足を解消しようと習慣を付けているのが早朝散歩だ。

早朝と言っても6時、7時代のことである。 暗い内から歩く訳ではない。 もっとも海外、特に外務省で危険度B以上に指定されている地域での行動は、できるだけ暗い内の行動は控えなければならない。 当地もその内である。 だが最も大きな制約は、ホテルの朝食時間にある。 朝の散歩は朝食後と決めてある。 昨年から今年に掛けて滞在したジャカルタのホテルの朝食時間は6時からだったが、イスラマバードのホテルの朝食時間は遅い。 なんと7時にレストランがオープンする。 スタッフには嫌味で迷惑かも知れないが此方も都合がある。 5分前にレストランに行き、珈琲やパン等が揃うの待つ。 今ではレストランのスタッフともすっかり顔馴染みになり、迷惑がっている様子は毛頭ない。 なにせ彼らは日本人のように客が待っていれば、少しでも便宜を計ろうと、いそいそと働いたりすることは無い。 私が居ようがいまいが、何も変わらぬ様子でいつも通りの朝食の準備が進む。 




先ずは朝食: 朝食はレストランオープンと同時に取る、朝の散歩は朝食後に、普段は1時間、週末は2時間



朝食は一応バイキングだが、さほど料理の種類はない。 結局、オレンジジュース、パン、卵、インゲン豆の煮物、フルーツカクテルに珈琲となる。 それでも結構なメニューである。 日本の朝食より良いかもしれない。 この時間に食事をする者は多くは居ない。 見掛けるのは、航空会社のキャビン・スタッフ、 日本の団体観光客くらいである。 それにしても、イスラマバードくんだりまで日本の観光客が団体でくるのは少し驚きでもある。 聞くとパキスタン北部のフンザ地方へ足を伸ばすらしい。 フンザ地方は7000m級のカシミールの山々が聳える谷間の桃源郷らしい。 シルクロードの南ルートにも当たる。 若い女性の添乗員に添われた10数人の、概してお歳を召した方々が多い。 やはり日本は金満国なのだろうか。



宿舎を出ると右手にPSO(パキスタン国営石油)社のガソリン・スタンドがある


イスラマバードは作られた街である。 街路は古の長安(現在の西安)や奈良の都と違わず碁盤の目の如く網目を作る。 つまり大変わかりやすい街である。 方向感覚に弱い筆者には大変ありがたい。 迷うことなく歩き回ることができる。 

ホテル前の道はMunicipal Rd.(市民通り)だ。 中央分離帯に大木が茂る立派な通りである。 ホテルの警備ゲートを出て、右に折れ100mも歩くとPSO(パキスタン国営オイル会社)のガソリン・スタンドがある。 1リットル、レギュラーで53.77パキスタン・ルピー(約108円)、日本よりは少し安いが、これでは此方の人にとって高価なガソリンに違いない。 ガソリン・スタンドを過ぎると、市民通りは終わり、Post Office Rd.(郵便局通り)が右に直角に伸びる。 ポスト・オフィス・ロードを、車の修理屋の前を歩く。 ポスト・オフィス・ロードは300m程度しかない。 直ぐにShaheen-e-Milat Ave.にぶつかる。 これも右に折れる。 200mも歩くと、宿舎である某ホテルの裏手に来る。 



ガソリン・スタンドを更に右手に折れるとポスト・オフィス通り: 中央郵便局がある



中央郵便局の前のアルジェリア公園: バックにマルガラ山塊が映える



ホテル裏手にあるメロデー・フード・コート: 半野外のローカルレストランが軒を連ねる
アラブ諸国でよく見かける水タバコ屋もある、こちらの男達はこの水タバコをやりながら長い時間おしゃべりを楽しむ




ロデーフードコートのレストラン: 早朝から営業している、パン(ナン)は通路に設置した簡易釜で焼く
パン焼き職人は手際よく小麦粉の玉を、パンパン、と広げて焼けた鉄板に勢い良く貼り付ける



宿舎の某ホテルの裏手にはメロデイー・フード・コートが広がる。 ローカル食のレストランが軒を並べる半野外レストラン街である。 ここでは早朝から食事サービスをしているレストランが何軒かある。 パン(ナン:薄い大きな円形のパン)はその場の簡易パン焼き釜(釜と言えるかどうか疑問だが。 上の写真を見て読者に判断してもらおう。 ドラム缶をくり貫き、内部にガスバーナーを入れ、上に鉄板を乗せただけ。)で焼く。 すこぶる新鮮な焼きたてパンが朝食客には振舞われる。

 


バザール通りの歩道: イスラマバードの主要な道には歩道が整備されている


Shaheen-e-Milat Ave,はメロデイー・フード・コートの裏手で、あまり広くないBazar Rd.が直角に始まる。 毎朝ここを左に折れてBazar Rd.を東に向かって歩く。 この通りには幾つかの小学校がある。 イスラマバードの小学生は小さなミニバンで通学する。 ミニバンはスクールバスではなく。 一般の業者(多分個人営業)のサービスのようだ。 軽のミニバンには派手なビニールの幌が被さっており、荷台には向かい合いにベンチシートがある。 様々な飾りを凝らしたミニバンが学校めがけて四方からやってくる。 1台のミニバンに少なくとも10人は乗っているだろうか。 完全に定員オーバーに違いないが、そんなことお構いなしである。 子供達は元気が良い。 狭いミニバンの後部座席で大きな声でおしゃべりに余念がない。 




通学に使われるミニバン: これに10人以上の子供達が乗ってやってくる


 
ジャカランダの花びらで紫の絨毯が広がる: 早朝は新鮮なラッパ状の花びらで歩道は埋まる


約500m程度のBazar Rd.はAta Turk Ave,につき当たると終わる。 Ata Turk Ave,に出ると、右に折れる。 この通りは広く、両側の歩道も広い。 丁度今、街路樹のジャカランダが紫色の花を満開に咲かせている。 1974年から1976年に掛けて住んでいたザンビアで街路樹だったこの世界3大花木を知ったが、ここイスラマバードでも誠に高貴な色彩を惜しげもなく放っている。 朝早い時間だとその落下した花びらは、人に踏み潰されることなく、原型のまま、まるで紫の絨毯のごとく行く手に広がる。 



Ata Turkアベニューの途中にある小川: 都会の中とは思えない



Ata Turkアベニューの南の端にあるクリケット場


パキスタンと言えばクリケットは欠かせない。 ウルムチからイスラマバードに向かう為、ウルムチの空港でチェックインする際、パキスタン人と思われる男性が使い込んだクリケットのクラブを持っていたのを思い出す。 街をウオークしていると子供や大人が至るところで、ミニ・クリケットに興じているのを良く見かける。 このクリケット場は立派だ、公式の試合もできるのではないだろうか。 休日には土地の代表(であろう)チームが練習に来ているのを見かける。 そう言えば先日パキスタンの代表チームの監督Bob Woolmer氏がジャマイカのホテルで謎死をとげた事故が新聞紙上やCNNの画面を賑わしていた。 



Ata Turkアベニュー脇の空き地に咲く紫の野花



Ata Turkアベニューが終わった処、Khayaban-e-Suhrawardy大通りに面して、国営オイル会社PNOが寄贈した立派な公園がある。 常時手入れが行き届き大変美しい。 夜にはきのこ状のオブジェに灯りが点るようになっている、さぞかし幻想的な世界を浮き上がらせることだろう。 




Ata Turkアベニューの終わりからConsititution(憲法)アヴェニューに掛けてある
PSO(パキスタン国営石油)会社の私設公園




Ata Turkアベニュー南端から憲法通りに行く、PSO寄贈の公園手前に佇む
イスラマバード随一の設備とサービスを誇るSerrenaホテル
このホテルはAta Turk Ave.の北の端に位置するこうひとつの高級ホテルMarriottと肩を並べる




PSO私設公園脇の歩道に咲き乱れるニッコウキスゲ?

 
下の写真はConstitution Ave(憲法通り)。 恐らくイスラマバードで一番手入れの行き届いた通りであろう。 この通りを境に東側(写真右側)が官公庁、各国大使館エリア(Diplomatic Enclave)、西側(写真左側)が商業・住宅地区になっている。 わが国の大使館もこのロータリーの直ぐ右手を入った処にある。 この通りには首相官邸、最高裁判所、国会議事堂、財務省、科学技術省等が広大なスペースを有し、刈り込んだ芝生に囲まれ佇んでいる。 



Consititutionアベニュー: この右側は政府官公庁及び大使館街
左側は公邸、住宅、商業私設区画となる



Constitutionアベニューのバラの植え込み 



最高裁判所の手前にある一際立派な首相官邸



憲法通りの南半分の中ほどに一際目立つ、手入れの行き届いた芝生に囲まれたイスラム風の現代的な建築物が目に入ってくる。 これが首相官邸(首相府)だ。 立地条件は最高、憲法通りで最も目立つ建物である。 



Constitutionアベニューの樹木に覆われた広い歩道: PSO私設公園脇


憲法通りの中央には国会議事堂が置かれている。 その議事堂から商業・住宅地区を隔てる幅200m余りのグリーンベルト内に白亜の巨大なアパート風の建物がある。 議員宿舎だ。 なかなか機能的で立派に見える。 




国会議事堂の西側公邸地区にある立派で巨大なな白亜の議員宿舎


議事堂前には大きな三角形の植え込み公園があり、憲法通りは三角形の二辺に添い曲がる。 三角形の頂点からは、ジェット戦闘機も離着陸できるかと思う程の広い目抜き通りJinnah Ave. が街を二分して真っ直ぐに西へ伸びる。 このJinnah通りの両脇に発展する商業地区をブルーエリアと言う。 我々が入っている事務所ビルもこのエリアにある。 



街の中心、国会議事堂
ここから左側(西側)に目抜き通りJinnah Ave,が真っ直ぐに街を二分する
このJinnah通りの両脇に発展した商業地区をブルーエリアと言う




Constitutionアベニュー北側:パキスタンTV前の大木並木
ロンドンのノッテイングヒルに住んでいた頃の歩道の大木を思い起こす
程西洋的雰囲気がある


国会議事堂を過ぎると、広大な敷地を有し、緑に囲まれたホテルのような建物がみえる、パキスタン・テレビ局だ。 パキスタン・テレビ局前の並木道が特に立派だ。 PTVの角を左に曲がるとAgah Khan通りがマリオット・ホテルの前を通り、スーパー・マーケットへと伸びる。 この通りは休日の少し時間を掛けた散歩でしか歩かないコースである。 




マリオット・ホテル: Serrenaと同格の老舗ホテル: Constitutionアベニューの北端に位置する


12年前に出張で訪れた時に泊まったのは、このマリオット・ホテル。 当時は外国の元首や外交官が泊まるのはこのホテルしかなかたと聞いている。 現在もその状況はあまり変わったいないようだ。 この頁のすこし前に紹介したSerena ホテルができた程度だろうか。 このホテルにはアルコール類を販売する小さな店が入っているらしい。 同僚でアルコール類の欠かせない人はここに仕入れにくるそうだ。 先日自爆テロがあったらしく、あまり近寄らないようにとの注意であるが。 私も休日にはここのカフェレストランで、この原稿を打つのに利用したりする。 
 




ブルーエリアの電力トランス
イスラマバードには電柱が無い、通りはとてもすっきりしている


街を歩くと、上の写真のような電力トランスに良く出くわす。 日本ではあまりお目に掛からない。 日本では電力トランスは電柱の上に載っている場合が殆どだからである。 これは何を隠そう、イスラマバードは日本の殆どの街よりも、進んでいる証拠なのだ。 つまり電線は地下に埋装されており、日本でよく見かける誠に格好悪い蜘蛛の巣のような電線は、地上に全く見られない。 大変すっきりした町並みが保てるのである。 天晴れと言わざるを得ない。 



事務所の前にあるキオスクの壁にある小さな電熱器を利用した簡易タバコライター:
たいがいの客はタバコを数本単位で買う、その場でこのライターのスイッチを押し1本に火をつける




Jinnah Ave.野外にある大きな金魚鉢、中の金魚も大きい


イスラマバードには金魚鉢が多い、高級ホテルのロビーには必ず大きな金魚漕がある。 私が泊まっている大して高級でもないホテルのロビーにも立派な大きな金魚漕がある。 そう言えば、我々の事務所にも、入り口に50リットル程度の金魚鉢がある。 それにしても素朴な疑問だが、この上の写真の野外金魚漕、何も保護柵はない。 通りに無造作に置いてある誰でも飲める水瓶とコップに誰も悪さをしないのと同じく、誰も水槽のガラスを斧で割ったりしない。 当たり前かもしれないが、この当たり前がしばしば通用しないのが、昨今我々の住む世の中ではないだろうか。 西洋や日本では、この水槽は成り立たないのではないかと疑ったりするのであるが、私の心が歪んでいるのだろうか。 改めてイスラムの教えの有効性かと思う。 



Faisal通りのタンポポ: メインの幹線道路脇にあるサービス道路



とにかく街は広いスペースを取って造ってある。 上の写真はファイサルモスクへ通じるファイサル通りの側道である。 公園面積が街の50%と言うのもうなずける。 ただ、公園と言っても広い場所に歩道らしきものがあるだけだが。 




Faisalモスクへ伸びるFaisal通り西側の築山になった公園通り: 並木の向こうにFaisaiモスクが見える


ファイサルモスクへの通じるファイサル通りと側道の間にある築山。 大小の樹木が適度に植え込まれ歩くに気持ちの良い細長い小公園である。 ここまで足を伸ばすのは休日でないとできない。 ここまで来るのに優に1時間は掛かるからだ。 休日には、更にこのファイサル通りから西側のF9地区にある広大なJinnah Fatima公園迄足を伸ばす。 もう、こうなると、これは散歩ではなくなる。 日除け対策のスカーフを首に巻き、リュックには予備の水を入れ、ほぼ丸一日掛けての強行ウオークとなる。 こんな馬鹿なことをするのはそう居まい。 現にそんな類の者には一人と会わない。 



F9地区にあるFatima Jinnah公園: 周囲8kmある広大な公園、中にも周囲にも売店はない



公園内にある園芸部: 様々な植物が色や形を競い合っている: 後方に見えるのはマルガラ山塊



広大なJinnah Fatima公園内には日曜日だが人影は見たり見なかったり程度、広過ぎるのだろうか。 いや、そうではなかろう。 公園等に来ることのできる人口が少ないのと、やはり大きいせいもあるだろうか。 単に広い場所だけなのである。 しかも暑い。 こんな日照りの中、哲学の物思いに耽る人種はそう多くはいないに違いない。



公園内の植え込みに咲く花



Jinnah Fatima公園の西端までやってきた。 ようやくF10地区の建物が見えてきた。 そうだ、もう昼の時間だ。 どこか適当なレストランでも見つけて昼食ブレークにしよう。 しゃれたピザハットがあった。 入ってみた。 所謂日本にもあるあのピザハットである。 世界統一規格のサービスを此処でも保っている。 スモールピザにサラダセットとコークで250パキスタンルピー(約500円)、此方では上等の昼食に違いない。 上等でも一人では味気ないことに変わりは無いが。 下の写真は、F9地区とF10地区の境にある世界レストラン、マクドナルド。 実はこのレストランを目指していたのだが、先日の強行散歩時には、見つけることができなかった。 マックは一種の経済バロメーター。 入っている人の人種で、その土地のおおよその経済力を測ることができる。 後で行って見れば、ピザハットとは目と鼻の先である。 かようにイスラマバードは樹木が多く近くにあってもわからない。 



イスラマバードにもマックはある: F9地区のF10寄りの角にあり、歩いて行くと2時間はゆうゆうに掛かる
KFCやピザハットはイスラマバードに複数店舗あるが、MACは1軒: 散歩道からは程遠い




マルガラ山塊1150m地点にある新しくできた展望レストラン: イスラマバードの街が一望できる



この上の写真は、散歩で来る場所ではない。 車で30分程度山道をドライブして辿り着く、高度1150mにある展望レストランである。 何処にでも裕福な人種は居る。 このレストランは相当高級、それでも客には事欠かない。 このテラスから、毎日歩くイスラマバードの街を一望できる。 イスラマバードの鳥瞰を見て頂こうとここに写真を入れてみたが、霞んでいて良く見えなかった。 画面上部、左から右に一本の白い線状の建物の並びが見えるのがお分かりだろうか。 これがブルーエリアと呼ばれている、左端の国会議事堂から真っ直ぐ伸びるジェット戦闘機が離着陸できるかと思う程のJinnah Ave.大通りを挟んだ商業地区だ。 



中央郵便局に戻り、この裏のメロデーフードコートを抜けて宿舎の某ホテルに戻る


日課の朝ウオークも終盤。 中央郵便局に戻ってきた。 ここまで来ると、もう帰り着いた気分になる。 そして下の写真は宿舎の某ホテル前の通り、ミュニシパル通りの対面にある歩道だが、立派な水飲み器が置かれている。 これはアラブの国では良く見かける風景だが、アラブの国で見かけるのは素焼きの大きな壷と金属製のコップを置いてあるのが多い。 だが、この多分浄化装置の付いた給水気は立派過ぎる。 それにしても、アラブの国で見かける通行人用の水瓶を見て、いつも思ったのだが、人通りの少ない場所でも平気で置いてある。 あれでよく子供などが悪さをしないものだと感心する。 そこは、やはりイスラムの教えの国では、子供でもそんなことをする輩はいない。 日本では残念ながらこれは機能しないだとうと、少し寂しい思いにになるのである。 さて、宿舎の某ホテルに戻ってきた。 手早くシャワーを浴びて出勤準備完了。 今日も元気で仕事に行こう。



通りの水飲み場: ヨルダンでは素焼きの壷に水を入れて家の前に出しているのを良く見かけたが、
ここでは立派な給水器だ、 金属製のコップが2個鎖で繋がれて備わっている




乳配達のバイク: 朝はこのような牛乳配達バイクを多く見かける
多分練乳はしていない生の濃い牛乳に違いない








6/May/'07 林蔵 @ Islamabad Pakistan (Updated on 7/Oct/'08)#287

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