SEPA Island
@Feb/'07 Thousand Islands, Indonesia


Sepa島の桟橋: エメラルドグリーンの熱帯の海


気温31,5度、海抜1m、周囲0.5km、熱帯の海に浮かぶ珊瑚の島。 地球温暖化で海中に沈む候補の筆頭でもある。 だが、今はエメラルドグリーンに輝く熱帯の海に濃い緑に覆われた楽園を呈す。 Sepa島、ジャカルタの北50km程の海域に千を越す島々が郡を成して点在する。 サウザンド・アイランド諸島と言うらしい。 その多くの島の一つである。 他の島に比べて何の変哲もない島である。 どうしてか知らないが、この島には宿泊設備とレストランが完備している。 

2月の第3週は中国のお正月。 この国では中国人が多いので、いたる所でChinese New Yearを祝う催しものがある。 ドラゴンダンスにライオンダンス、お店には花火が並ぶ。 自然我々も浮かれ気分になる。 そんな日曜日、ホテルのコンシェルジュに頼んで、一日ツアーをリザーブしてもらった。 できれば島で一泊したかったが、依頼する時間が遅く、土日のツアーは予約ができなかったのである。 



ジャカルタのデズニーランド風遊園地傍の船着場



午前7時、ツアー会社のバンがホテルにピックアップに来てくれる。 ツアー代金はその時のツアーガイドに支払えば良いとのことだ。 

7時ぴったりに、如何にもそれと判る少し派手なツアー会社のミニバンがやてきた。 ツアーガイドは日本語が少しできる。 日本語のツアーガイドはギャラが良いらしい。 その内に日本語のツアーガイドになろうと自己訓練しているらしい。 ツアー代金のUS$70を支払った。 船着場へ行く前にもう一箇所ピックアップするらしい。 シャングリラホテルに立ち寄る。 そこで男性1名、女性3名のお客を拾い一路船着場へ向かう。 この4名はグループらしい。 英語で話をしているが、3名の若い女性は地元らしい、少し年のいった男性はアジア風だが土地の者ではない。 会話の内容からして、この4人は少し怪しい、訳ありのグループだろうか。 ミニバンは30分ほどで船着場に到着した。 あの4人組は別のツアーらしい。 別の船に案内されて行った。 Sepa Island行きの船着場には、西洋の女性が2名既に乗船を待っていた。 この2名の女性は後で判明するが、ドイツ人で、1人はジャカルタで大学に通う女子大生、もう一人は友人でドイツから遊びにきたらしい。 




ジャカルタとSepa島を結ぶボート: 26人乗りで小型バスのようだ、構造はすこぶる簡単
YAMAHA製200馬力の船外機エンジンが4機後部船外に取り付いている



8時定刻にボートは港を出た。 乗客はあの西洋女性2人組、土地の家族4人に、やはり土地のカップル1組。 一人は私だけだ。 又もや浮いた存在になってしまった。 散々同じ場面を世界中で経験してきたが、寂しさはぬぐえない。 

港と言っても河口に簡単な木製の桟橋を設置しただけのものだ。 多数のプレジャーボートが係留されており、そんなプレジャーボートと同じ位の大きさで、色も同じような白なので、どれが乗り込むボートなのか一見区別が付かない。 今は雨季。 ほぼ連日雨が降るお陰で川の水は流れる。 乾季にはヘドロと生活汚水で極度に汚染が進む川だが今はそれほど目をそむける程ではない。 



Sepa島に到着: 桟橋には連絡ボート客向け待合室の屋根がある
ここまでくればエメラルドグリーンに輝く海に触れることができる



9時40分、島に到着した。 1時間40分でSepa島に到着したことになる。 途中の海は天候に恵まれ大変静かだった。 少し風でも吹けば小さなボートは、木の葉の如く翻弄されるに違いない。 ツアーガイドもそのようなことをミニバンの中で言っていた気がする。 ここまで来ると海の色はジャカルタの海とは打って変わる。 エメラルドグリーンに輝く海が目の前に広がる。 大枚$70を叩いた甲斐は十分にある。 私の好きな白い砂浜だ。 サンゴ礁の島だから言うまでもないが。 



Sepa島に着くとWELCOMEボードが我々を出迎えてくれる


ボートを降りて桟橋を渡り島へ向かう
エメラルドグリーンの海には日本では観賞用水槽でしか見ることのできない
エンゼルフィッシュのような熱帯魚が悠々と泳ぐ



洒落た感じのリゾートの受付: 
島内にある20余りのコッテージやレストラン、ダイビングセンターの管理を行っている



桟橋を渡り島内に足を踏み入れると感じの良いリゾート受付が目に入ってくる。 早速受け付けで島内の設備、地理、昼食の時間等の説明を受ける。 昼食は12時、帰りのボートの出発時刻は2時。 この2つさえしっかり守れば良い。 実にシンプル、これぞリゾートと呼ぶにふさわしい時間の流れ。 



レストラン、テラス席: ここはカップルでないとさまにならない
サンゴ礁の島々が浮かぶ海を眺めながら取る食事は浪漫を演出する



20棟ばかりあるコッテージ: ローカル色豊かな木製、エアーコン完備だ


リゾートの時間である。 何もしない時間。 いや何もしないことはない。 身体を心の向くままに任せる。 先ずは狭い島だが周囲を歩く。 歩くことぐらいしか能のない私であるが、今ではこれも立派な能の一つと思うようになった。 島は熱帯雨林でびっしり覆われている。 時計周りに歩いた。 真っ白な珊瑚の砂浜とエメラルドグリーンの海の向こうに浮かぶ島がひっきりなしに変わる。 それほど小さな円を描いて歩いているのだ。 それにしても小さい島だ。 10分程で1周してしまった。 




水と森の美しいコンビネーション


大きなマングローブの木が珊瑚砂の海岸にせり出す



暫く木陰で休むとしよう。 ハワイとはまた違う風景だ。 ハワイの海は紺碧の海原に向こうには只水平線がまるでその先が永遠の淵でもあるが如く続く。 ここはどうだ。 サウザンドアイランドの名の通り見渡す限り小さな島影が続く。 そういえば、サウザンドアイランドはドレッシングの名でもある。 実は2001年、アメリカに滞在中苦い経験がある。 ワシントン州のChelan湖のほとりMansonのモーテルに投宿した時のことだ。 村のレストランでサラダのドレッシングにサウザンドアイランドをお願いした。 どうしたことだ。 何度発音してもウエートレスのおねーさんは理解してくれない。 遂に諦め、イタリアンドレッシングにした覚えがある。 




桟橋の向こうには幾つもの島影が見える: 流石にサウザンド・アイランド諸島



白い砂浜の木陰で蒼い海に浮かぶ島影をぼんやり眺めながら、短いスローな時間を過ごす。 椰子の実が波打ち際に一つ。 遠い旅をこれからするのか、してきたのか。 珊瑚砂の海辺にはよく見ると、様々な小さな生き物がいる。 

12時と言われたお昼の時間がやってきた。 おもむろに立ち上がり、島を時計と反対周りに回ってレストランへ向かう。 レストランには屋根はあるが壁はない。 中央がダンススステージになっている。 バックにはバンドのセットもある。 脇にバイキング用の料理ボールが幾つか並んでいる。 ビーフ、チキン、フィッシュ、野菜、スープ、珈琲、紅茶、果物(スイカ、パインアップル、パパイヤ。メロンの組み合わせはジャカルタの投宿しているホテルと同じだ。)等が並んでいる。 料理の味は誉めたものではないが、このような場所で満足な食事ができるのは大変ありがたい。 



桟橋越に隣の島を望む



島のリゾート客は三々五々、コッテージや砂浜からレストランにやってくる。 大概はカップル、家族、友人同士だ。 私のような独り者は他には見ない。 少し肩身の狭い思いをしながら、一人でテーブルの席に着く。 広いオープンレストランには数組がテーブルを囲んでいる。 他の数組は浜辺のテラス席で海を眺めながら食事を楽しんでいる。 ゆっくり食事を楽しんだ後は、帰りの船が出るまで少しの時間を気ままに過ごす。



熱帯雨林は白い珊瑚砂の海岸すれすれに迫る: 微妙な生態のバランスを保っている


美しい、この水と森の星、地球は。 この星に営みを持つ多くの生物と自然が造る人類のかけがえのない財産を失ってはならない。 そして守らなくてはならない。 我々の手で。 小さな努力を惜しんではならない。 大きな力にかわるから。 始めよう小さな努力。 素直な気持ちで。 身近な人の為に。 人類の為に。 そして水と森の星に生を営む全ての生物の為に。 







18/Feb/'07 林蔵 @Sepa Island, Thousand Islands, Indonesia (Updated on 3/Oct/'08)#282

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