西安(Xi'an)
@May/'06 Xi'an, China


西安城壁内中心部にあるベルタワー界隈
地上には庶民的なレストランが犇き、地下には高級ブランド店が軒を連ねる


[世界遺産、Mausoleum of the First Qin Emperor, 文化遺産、1987年登録] 兵馬俑(へいばよう)は、本来は古代中国で死者を埋葬する際に副葬された俑のうち、兵士及び馬をかたどったものを指す。秦九代目の王穆公が死去した際に177名の家臣たちが殉死することになり、殉死を防ぐために兵馬俑が作られることになった。ちょうど日本の埴輪のようなものであるが、現在では、秦の始皇帝の陵墓の周辺に埋納されたもののみをさすことが多い。秦の始皇帝陵の一部として1987年、世界遺産(文化遺産)に登録さている。(Wikipediaより)


2006年5月、古の都、西安を訪れる機会を得た。 平均標高424m。 年間降雨量604mm。 人口742万。 当市に残る、秦(シン)の始皇帝陵が1987年ユネスコの世界遺産に登録されている。 シルクロードの出発点として名高い。 紀元前12世紀から11王朝(周から唐)の都として栄えた古都である。 かつては長安と呼ばれ、日本の古の知識人も当時の世界の超ファッション都市長安を目指したものである。 平和が訪れた今も人々は城壁の中での生活を謳歌しており、世界でも数少ない城壁都市機能が活きている街でもある。 

西安は私にとって始めての街だ。 初めての街は期待に胸が膨らむ。 何に期待をする訳でもない。 只、未知の街や人に遭遇するのに胸が躍るのである。 立派な空港、高層ビルの建設ラッシュの街は将に今世界のブーミング・リージョンの名に相応しい。 活気に溢れている。 陽が落ちた後の街は、ネオンや様々なイルミネーションで七色に輝き、人で溢れるのは平和の証だ。 街の中心は正確な1辺数kmに及ぶ長方形の堅牢な城壁で囲まれている。 此処が共産国かと思う程、サービス面の対応が驚くばかりに改善されている。 昔のようなつっけんどんな感じは何処にもない。 客の心を掴み、満たすサービスに余念がない。 明らかに正しい方向に向かっている気がする。



雲間に雄姿を見せる富士


中国行きのフライトは朝早いのが、出張を全く苦にしない私に取っても数少ない玉に瑕だ。 4時半起床、朝一番の列車で出かけた。 新宿からは毎回利用している、リムジン・バスに乗り込む。 スタッフが一寸慌しい様子、耳を欹てると、何と先発のお客にチケットを忘れた人が居て、バスごと引き返してくるらしい。 私のような人が他にも居るのだと、迷惑を蒙ったお客には大変申し訳ないが、何故か安心したりする。 バスは成田空港に充分の余裕を持って到着した。 手配して頂いたチケットはエコノミーだったが、航空会社の特典でビジネス・クラスにアップ・グレードして頂いた。 ありがたい。 西安への直行便に乗り込んだ。 お気に入りの窓側の席だ。 日本を昼間出る中国行きは、日本列島の上空を舐めるように飛ぶので、さながら小学校の社会科(地理)の教科書を眺めているような気分になれるのである。 今日の富士は残雪をたっぷり羽織り、雲間にその雄姿をくっきりと突き出している。 



オフィスは西安に多数ある高層ビルにある
高層の割には、エレベータの速度は多少難ありだが



仕事場の事務所は、界隈では一際高さを誇る中国通信社のビルの中にある。 ゆったりしたロビー、大理石の床。 ビル全体に高級感が漂う。 スタッフは概して若く、真面目に職務に勤しむ。 若い分、組織は熟していない感があるものの、其れを差し引いても有り余る躍進力が伺える。 頼もしきことこの上ない。 



ベルタワー界隈にあるレストラン街の有名餃子屋”餃子宴”、290種の餃子が楽しめると言う



いずこの国に行っても最大の関心事の一つは、食事であるに違いない。 特に中国は食の国としても名高い。 大いに期待でき、間違いなく楽しめるのである。 西安では殆どの観光客が足を運ぶという、街の中心地、ベルタワーの傍に広がる飲食店街にある餃子専門店 ”餃子宴” へ案内して頂いた。 店に足を踏み入れると、先ず目に飛び込んでくるのが、金色をした超大型の餃子の模型だ。 説明が中国語でされているので、正確な意味は不明だが、どうやら今年の餃子大賞でも取った記念であろうか。 そして、その傍には代表的な餃子メニューのサンプルが展示されている。 後で聞いたのだが、この店の餃子の種類は、実に290種に及ぶそうだ。 1階席は大衆向けで、広いフロアーにはびっしりと並んだテーブル席に、多くの土地の人々が少しの隙間も無く席を取り、お喋りを肴に特製餃子を夫々の胃袋に収めている。 その一種独特な雰囲気には実に圧倒される。 2階席は高級な造りで、10名程度の個室が、中央廊下の両脇に10室程度並んでいる。 2階席の1室に席を取った。 揃いのユニフォームに身を包んだ5人程度のウエートレスが、我々の部屋の担当らしい。 テーブルを準備する係り、お茶を注ぐ係り、ビールを注ぐ係り、食事を運ぶ係り、お酒を注ぐ係り、夫々別々の係がお客の様子を伺いながら、笑顔で細かくサービスを施してくれる。 未だ人件費の安いこの国ならではのサービス体制であろう。 それにしても、このような気持ちの良いサービスを中国で楽しめるようになったのは、何時も頃からであろうか。 私が最初に中国を訪れた1980年代には考えられなかったことである。 僅か20年と少しでこうも変わるのであろうか。 まるで共産国と言うイメージは最早ない。 サービスを受ける我々に取っては嬉しい限りである。



庶民的な鍋屋: 客6人にチャイナドレスのウエートレス5人が笑顔で専属サービスに当る
豚、牛、マトンの鍋を各自専用鍋で楽しめる



翌日足を運んだのは、大衆鍋料理屋だった。 こちらも、劣らずサービス満点、味極上と言える。 しゃぶしゃぶと思って頂ければ間違いない。 鍋は小型のものが各人専用に用意される。 ここでもサービス係りは細かく分かれていて、鍋を準備する係り、お茶を注ぐ係り、ビールを注ぐ係り、食材を運んでくる係り等。 お肉は3種、マトン、豚、牛であるので、多少嗜好に偏りの有る方でも楽しめる。 豆腐や野菜も豊富だ。 そして最後は、出汁のたっぷりでたスープに麺類を入れて頂くのは、日本の居酒屋と変わらない。 


宿舎は ”西安シェラトン” を取って頂いた。 5つ星のサービスが完備した立派なホテルである。 食べる話ばかりで申し訳ないが、5つ星ホテルの朝食も楽しみの一つである。 仕事前の腹ごしらえは大切だ。 満ち足りた気分はやる気を掻き立てる。 ロビー階にあるカフェは、夕刻になると生バンド、歌手のサービスを楽しめる。 カプチーノにおつまみセットが付いて35元(約500円)である。 インターネットは、部屋では高速ラン・ケーブルが格安で利用でき、カフェやレストラン、ロビー階では無線ランに接続ができる。 オペレーターに部屋番号を告げるだけで、IDとパスワードをゲットすることができる仕掛けである。 この無線ランサービスはすこぶる便利で重宝した。



宿舎:西安シェラトン・ホテル
5つ星ホテルのサービルが完備している
ロビー、カフェ、レストランでは、インターネットはワイヤレスで繋がる







24/May/'06 林蔵 @Xi'an China (Updated on 24/Aug/'08)#222

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