大英博物館
@Oct/'00 London, UK


館内に建てられたギリシャ神殿


10月7日(土)、Notting Hillのアパートを出てオックスフォード通りを東に暫く歩く。 緑豊かなハイド・パークを右手に眺めながら、地下鉄Bays Water駅を過ぎ、セルフリッジ百貨店のある商業地区の通りに出る。 

だんだん目的の場所に近きつつあるのが感じられる。 通りに博物関係のグッズや土産物を売る店が多くなってきたからだ。 露店が一際多くなった場所がその場所であった。 渋いロンドンの空に似た色の巨大な建物が眼前に広がる。 世界随一の規模を誇る British Musium、大英博物館である。 その展示物の多さ、学術的研究の深さでは、この地球上で右に出るものはない。 素晴らしい展示物、世界超一流の資料を無料で拝観できるのが、また素晴らしい。 メイン・ゲートをくぐると大きな寄付箱(Donation Box)がある。 入場者は自分の出せる範囲で、何がしかの小銭を箱の中に投じる。 私は2ポンド(約400円)硬貨を投げ入れた。 



イラン、ペレスポリスの遺跡からの出土品


館内は迷子になるほど広い。 道案内用に館内の書店で案内書を購入する。 おおよその館内見取り図を頭に入れ、探索開始。 見るもの全てが、歴史の一級資料である。 よくもこれだけの物を集めたものだと感心せざるを得ない。 資料の一部は、歴史のどさくさに紛れ、今はこの博物館に収まっている運命にある物も相当の数に上るに違いない。 



巨大な石像、人頭馬



古代エジプト文明の遺産、古代中東の遺産、どのようにしてここ迄運んだのだろう。 ふつふつと疑問が湧く。 大英博物館と言えばロゼッタの石、古代エジプトの象形文字の解読のきっかけになった、1799年ナイル河口、ロゼッタ村で発見された石だ。 高さ114cm、幅72cm、重さ762kgの石。 3段に文字が刻まれており、上段から神官言語の象形文字、ヒエログリフ、中段が民衆文字のデモテック、そして下段がギリシャ文字だ。 発見当時は最下段のギリシャ文字しか解読が出来なかったが、一人の天才言語学者と彼の非常の努力で、やがて全容が解き明かされるに至ったと言う。 物事が、時代の要求と、天才的能力の持ち主と、 その人物の非常な努力とハードワークにより成し遂げられる例をここに見ることができる。 



ロゼッタ石: こんなに小さなものかと初めて知る


あまりに広く、多くの展示物があるこの館内で、ロゼッタの石を探すのは大変なことだ。 やっと見つけた。 他の展示物と何ら変わることなく、床に置かれている。 説明の看板も普通である。 余程注意深く掲示板を見ないと、間違い無く見落とす程だ。 そうなのです。 私はこの場所を2回目に通った時に ”石” を発見したのだ。 こんなに有名でも、他の展示物と同じ重みで展示されているのが、大変好感が持てた。 見る人の興味と判断で展示物の重みに差が出るのであって、初めから重みに差が有るわけではない。 実に理屈が通っていて良い。 



ローマ時代、見世物で奴隷と戦うライオンを檻から出すところ


流石にエジプト関係の資料の物量の多さには驚かされる。 実際にエジプトのギザのピラミッドにも行ったことがあるが、ここ大英博物館のほうが遥かに多くの、そして密度の極めて濃い資料に取り囲まれる。 狭い場所に集めてあるので、当然と言えば当然であるが、この資料の多さは半端じゃない。 ミイラ等何処からこんなに数多く集めたのだろうかと驚きを隠せない。 やはりここも1日ではとても観切れるものではない。 また来館しようと、飽和状態の頭を抱え館を出た。 



群をなすエジプトから運ばれたミイラの面々




大英博物館: 正面入口






Oct/'00 林蔵@London UK (Updated on 17/Nov/'10)#139

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