ローマの休日
世界遺産@Jun/'05 Rome Italy


ナヴォナ広場: ムーア人の噴水


ナヴォナ広場のその他噴水: ネプチューン噴水 と 4大河噴水

[世界遺産 Historic Center of Rome, the Properties of the Holy See in that City Enjoying Extraterritorial Right and Sun Paulo Fuori le Mura 文化遺産 1980年登録、1990年拡張登録] ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂は、イタリアのローマおよびバチカン市国にあるユネスコの世界遺産の登録物件名。1990年には、アウグストゥスの霊廟、ハドリアヌス帝の霊廟などが拡張登録されている。ヴェネツィア広場を中心としたエリアが登録されている。またやはり世界遺産に登録されているバチカン市国 (世界遺産)とも隣接し、こちらと一体となった保全活動が実施されてもいる。 伝説によると、王の命により双子のロムロスとレムスの兄弟はテヴェレ川に流され、そこで狼に拾われて育てられた。そのロムロスがパラティーノの丘にローマを築いたという。実際には、紀元前7世紀ごろにサビニ人、ラテン人がローマを築いた。その後、現在まで都市として機能しつづけており、都市の中の都市とローマが呼ばれる所以である。 (Wikipediaより)



フランクフルトの息子一家にお世話になった後、ローマにやってきた。 ローマは久しぶりである。 1973年のスイス出張時以来だから、実に32年ぶりだ。 今回はローマ街道一号線アッピア街道をローマからブリンヂシ迄走るのが目的であり、ローマ観光は主たる目的ではない。 だがレンタカーを借りたり、ブリンヂシへの旅支度をする為の拠点として安宿に泊まることにした。 

フランクフルト発のルフトハンザ機に乗り込んだ。 自分の席に向かって狭い中央通路を前に進んでいた時である。 通路側席に見覚えのある顔が見えた。 何と、ヨルダンでボランテイア活動をしている仲間の一人であった。 聞けば休暇で日本へ帰る途中だと言う。 偶然の乗り合わせに心の和む思いがする。 ローマ迄は1時間半程のフライトである。 空港を降りると、パスポートコントロールは無い。 既に欧州諸国がEUと言う共同体になって久しい。 この感覚が経済圏の拡大に大いに役立つのを実感する。 ローマの中心部へは電車で行こう。 勿論イタリア国鉄の駅は空港内にある。 切符売り場は何処?  あたりを見わしたが見つからない。  近くにのインフォーメーション・センターで聞くと、ブースのおにーさんが駅のキオスクを指差す。 キオスクに行ってみた。 なるほど、キオスク内に判り難いが ”Ticket” と書かれた看板が商品の陳列と一緒にあった。 片道チケットを9.5ユーロで買い求める。 意外に高い感じ。 昨年、スペイン・ポルトガルに行った時と同じ感じを思い起こす。 EUになってから、南欧州の物価に割高感がするのは私だけだろうか。 電車は約30分でローマ・テルミニ駅に滑り込んだ。



ローマ: テルミニ駅: 中央駅のコンコースには昔の面影は無い。  ハイセンスな明るいショップが並ぶ



ローマの記憶は、私の頭からもうすっかり消えうせている。 少し復習せねばなるまい。 目的のアッピア街道は何処から始まるのだろうか。 インターネットで予約してあったFirenze通りの安宿は直ぐ見つかった。 成るほど安宿である。 窓の無い地下牢のような部屋だ。 シャワーの出が良いのがせめてもの救いである。 ロケーションはかなり良いが。 ローマ中央駅から歩いて5分程度の場所にある。 造りが昔のローマ帝国時代の邸宅を思わせる。  身の丈3倍くらいはある大きな頑丈な木の扉は、建物に住んでいる住民と共用である。 夕方8時(未だ陽は高い)にはこの頑丈な木の門が閉まる。 ホテル客の出入りはインターフォンで開けてもらう仕掛けである。 間口は狭いが内には広い中庭があり、今は住民の駐車場になっている。 


安宿の玄関: 一般の住宅と同じ門から入る
夜8時以降大きな木の扉が閉まる
出入りは、門の右に住民用のインターフォンと並んで少し大きめのホテル用インターフォンで扉を介して開けてもらう


翌日はレンタカーを受け取り、ホテルの近くの駐車場に駐車して置こう。 ローマの交通事情は聞きしに勝る状態である。 こんな道路状況でレンタカーを運転できるだろうか。 ドイツでは空港からフランクフルト中央駅前のホテル迄難なく運転できたが、ローマはマナーがまるでドイツや日本と違う様子だ。 やたら一方通行が多く、横断歩道に信号が無い。 人は車を全く気にせず、処構わず横断を始める。 スクーターとオートバイが我が物顔で狭いローマの道を車の合間を縫って走り回る。 唯でさえ狭いローマの道が更に狭く感じる。 どの車もウインカーは殆ど出さない。 運転する気がややひるんでくる。  いや、今回はどうしてもアッピア街道を走るのである。 レンタカーは必須だ。 ブリンヂシのホテルも電話で予約してしまったし。

 


ローマの中心ベネチア広場: 無名戦士廟ビットリオ・エマヌエーレ2世記念堂



兎に角、ローマの道に馴れる為、古都を歩き回ろう。 一方通行や通りの名前、目印になる建造物を、歩きながら頭に叩き込んだ。 初日の半日だけでは、どうも未だレンタカーを運転する自信が持てない。 レンタカー屋に電話して車の引き取りを午前10時から午後の時間にずらしてもらう。 レンタカー屋の係員は私の依頼を心よく聞き入れてくれた。 ヨーロッパの長い夏の陽がようやく沈みかける9時近く迄歩き廻った後は、その間に見つけて於いたインターネットカフェへ、ラップトップを持ち込んでメールのチェック。 1時間2ユーロである。 LANの設定を固定IPから自動取得に設定しWEBメールで受信メールをチェックした。 ドイツ滞在中はメールのチェックができなかったのでスパムメールが400通程溜まっている。 スパムメールを丹念に削除し必要なメールを選り分ける。 大事なメールは無かった。 友人からのスパイスの効いたメールとバイク・ボランテイア関連等をざっと目を通してメールを閉じる。



ベネチア広場ビットリオ傍に建つトライアヌスの記念石柱:
トライアヌス帝のダキア(現ルーマニアの一部)戦記が見事な絵巻で200mに渡り石柱面に掘り込まれている


翌日、午前中更に古都を歩き回る。 目的は道を覚える為だが、勿論主要観光名所は外からその景観を楽しむ。  ローマの街は、街を2分するテイベレ川を基準にすると比較的判り易い。 道を覚えながら今回是非訪れて於きたい場所があった。 ナヴォナ広場だ。 古代ローマ時代に戦車(映画に良く出てくる馬に引かれた2二輪車)競技場として作られた細長い広場である。 車の乗り入れが禁じられているこの広場はその広さと言い、取り巻く建物の優美さ、広場の中心部に設けられた3つの個性的な噴水と言い、カフェで寛ぐのにぴったりの場所であると何かの案内書にあった。 広場を取り巻き瀟洒なテラス・レストランが居並ぶ。  広場の角にあるそんなレストランの一つ、"Cafe Bernini" のテラス席で、しばし行き交う人々の風景を楽しむことにしよう。 イタリア滞在中一度位は ”レストラン” で食事をしても良いだろう。 昼である。 メイン・デッシュは要らない。 海老サラダにサイドメ・ニューのポテトを頼んだ。 ポテトはスイスのバター炒めポテトを思わせる。 味もいける。 だが量が多いのには驚きだ。 4人程度のテーブルのサイドメニューにおあつらえの量である。 これにミネラル・ウオーターとパンを付けて、マック6回分程度の値段である。 やはり ”レストラン” は高い。 一人で楽しむにはもったいないとつい生来の貧乏性が出る。 

ナヴォナ広場で昼食休憩した後は、ローマ時代の建物がそのままの姿で残る数少ない建造物、 ミケランジェロが「天使の設計」と賞賛したパンテオン(万神殿)を見る為移動していると、アメリカ人と思しき、 スタイルの良い御婦人が ”Piazza Navona?(ナヴォナ広場はどっち?)” と私に聞いてきた。 一瞬、なぜ一目で外国人観光客と分かる私にと思ったが、よく考えてみると土地の人より外国人観光客に聞いたほうが、英語も分かる可能性が高いし、主要観光地を歩き回っている筈だから、教えてもらえる確立は高いに違いない。 事実、私は即座に、”あの建物の裏側がナヴォナ広場ですよ。” と答えられたのである。 ローマの街は、比較的高い建物が遺跡の上にびっしりと建っており、通り一つ違うとお目当ての建造物や広場が見えないのである。  かく言う私もナヴォナ広場に辿りつくのに2,3回同じ場所を行き来したのを自白しておこう。 


パンテオン(万神殿)内部: 外からは想像も出来ない装飾が見事
中央の高い天井には直径9mの天窓が開いており天然の光が荘厳な雰囲気を醸し出す



通りや建物の位置関係を確かめる為にテイヴェレ川に出る。 主要な四つ角には信号がある。 信号待ちをする車を目当てに、ウインドウ・シールド(フロント・グラス)拭きが専用手拭きモップを持って待ち構えている。  ヨルダンではこの手のバイトは殆どが子供がやっている。 ローマでは、粗末な服装の外国人が殆どだが、サンタンジェロ橋の袂でモップを持っていたのは小奇麗な身なりの美人イタリア娘だった。 こんな娘にウインドウ・シールドを拭かれたらチップを出さざるを得ないだろう。 テイベレ川沿いに少し歩く。  サン・タンジェロを過ぎると直ぐバチカンだ。 ローマ帝国の衰退後、ローマが現代に至る迄 ”永遠の都”  足り得た重要な存在であるカトリックの総本山バチカンは外だけでも見ておこう。  




テイベレ川向こうに威容を誇るサンタンジェロ城: ハドリアヌスの霊廟がある



どうにかローマ中心部の地理は頭に叩き込んだ。 レンタカーを受け取りに行こう。 昨日の電話では、予約したHertzのレンタカー屋は街から随分離れた場所にあるらしい。 ヨルダンを出る前、インターネットで予約したのだが、ローマ市内のレンタカー屋は星の数程ある。 どのレンタカー屋すれば良いのか皆目見当が付かない。 その中から、ローマから北に伸びる古代からの主要幹線道路であるフラミニア街道沿いに住所のあるレンタカー屋を選んだのである。 ローマ・テルミナル駅からバス910番に乗り、終点迄乗る。 其処は郊外のバスセンターらしい。 そこで200番に乗り換え、10個目の停留所にあると言う。 FIATのガレージの看板が目印だと言う。 無事辿り着けるだろうか。 1ユーロの乗車券を買ってバス910番に乗った。 バス内部に検札機が備わっていて、乗客は自主的に各自のチケットを検札機に通す。 見ていると、皆、ちゃんと検札機にチケットを入れている。 イタリア人も真面目なんだと感心しきりである。 30分程度で910番は郊外にあるバスセンターに到着した。 ここから200番に乗換えである。 10分程度待つと、200番のバスはバスセンターを出発した。 10個目の停留所は判るだろうか。 見逃さないようにバス停の数を数える。 どうもここらしい。 降りた。 FIATの看板はあるが、レンタカー屋らしきものは見当たらない。 うろうろしていると、FIATの看板から下に下る道がある。 どうもガレージに繋がっている道らしい。 事務所はガレージの中にあるのだろうか。 行ってみた。 やはりあった。 地下のガレージ内にレンタカー屋の事務所はあった。 インターネットで予約した通りの小形車(FIAT Pumt)が用意されていた。 おねーさんがたどたどしい英語で車の説明をしてくれる。 Pumtは昨年フランクフルト空港で借り、スイスへ行った時にも使った車である。 多少は勝手のわかった車である。



カトリックの総本山 St.Pietro寺院: ローマ帝国衰退後もローマへ世界中から人々を引き寄せ続けた。 



プントの運転席に身を置く。 兎に角街の中心へ向かおう。 この当たりの地理は全く判らない。 道路標識のみが頼りである。 街の中心へは適当に車を走らせれば、知っている標識に出くわす筈である。 ローマに来る前、フランクフルトで借りたレンタカーはBMWだった。 その違いが余りに歴然としているのに驚く。 BMWとPumtでは全く別の乗り物のようだ。 当たり前だが、加速、制動、滑らかさ、インパネの配置、アクセサリー装備、全てに於いてランクが違う。 街の中心へ辿り着くのは、すんなりとは行かなかったが、どうやらバチカンの裏手に出たようだ。 だが此処までくればホテルに行くのは然程難しいことでは無い。 欧州の夏、暗くなる迄未だかなりの時間がある。  レンタカーの返却は空港にした。 ブリンジシから帰りのことを考えて、空港のレンタカー返却場所を確認しておこう。 イタリア最終日の25日は、早朝イタリア半島の踵部分に当たる街ブリンヂシを出て、アッピア街道をローマ迄600km走り、レンタカーを空港で返却、そしてフランクフルト行きのフライトに乗る予定である。 余り時間の余裕は無い。 どこかで時間のロスがあると、フランクフルト行きのフライトに乗り遅れることも在り得るのである。 できるだけ不安要素は取り除いておこう。 空港へは高速ローマ環状線に乗り、空港線に乗れば比較的簡単に行けそうだ。



朝日に映えるスペイン階段: 早朝なので人ではまばら
階段の最上部にそびえるトリニタ・デイ・モンテイ教会は改修工事中で無様な姿を呈す 



高速ローマ環状線に乗るのにかなりの時間が掛かった。 環状線は街のセンターからは以外に遠いのである。 空港入り口に近ずくと、大きな案内看板が出る。 A,B,Cターミナル。 国際線は、”C” ターミナル。 パーキング、Hilton Hotelは、更にその外側のレーンに指示がある。 パーキングは ”A"、 ”B"、 ”C"、 ”D" に分かれている。 レンタカー屋のおねーさんの説明では、パーキング ”C" が返却場所だそうだ。 守備良く ”C" 駐車場に車を入れることができた。 返却時は4Fに停めれば良いらしい。 陽は高いが時刻は既に7時を過ぎている。 夕食を空港のカフェ・ラウンジで軽く済ませる。 空港からの帰りも、どうにか迷わずホテルのあるFrenze通りに辿りついた。 前日確認してあった、ホテル傍の駐車場に翌日の朝まで車を預ける。 前日のルート・チェックが功を成し、事故も無く、余り迷うことも無くローマの街を運転できたのはラッキーだった。 明日は本番、アッピア街道を走る。 安全運転で行こう。 




映画 ”ローマの休日” で馴染みの ”真実の口” がある St. Maria in Cosmedin教会





22/Jun/'05 @Rome Italy (Updated on 11/Aug/'13) #203

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