ハンプトン・コート
@Sep/'00 London, UK

テームズをボートで上ると、幾つもの水位を調整する水門をくぐる


オーストラリアの友人からからメールが入っていた。 ロンドンに行くから連絡はロンドンのメール・ボックスに入れて置いてくれるように言ってあったからだ。 彼のメールには、是非ハンプトン・コートは見逃さないようにと、特に注意書きがあった。 ロンドン案内にも必ずと言っていいほど載っている観光名所だ。 ヘンリー八世が6人の妻とハネムーンを過ごしたお気に入りの別荘。 ロンドン郊外のテームズ川沿いに広大な庭園と共に佇んでいるお城である。 




バッキンガム・パレス横のグリーン・パーク



日曜日、ボートで行こう。 ウエスト・ミンスター・ピアーからハンプトン・コート行きのボートが出ている。 確かボートは11時20分発だ。 朝アパートで少しゆっくりしていると時間が足りなくなってきた。 だが、普段の運動量が日本にいるより随分少ない、はやりテムズの船乗り場には地下鉄に乗らないで歩いていこう。 テームズ川のピアーには11時15分に着いた。 が、既にボートの姿は無かった。 ハンプトン・コート行きのボートは11時15分発だったのだ。 1日2便。 次の12時のボートを待つ事にした。 半時間余りのフリータイム、お陰でゆっくり人々の行き交う様を眺め、楽しむ事ができる。 片道2時間のテームズの船旅だ。 12時の便はピアーがビッグベンの直ぐ前ではなく、対岸の少し離れたピアーから出る。 そこまで僅かの距離だがバスで運ばれる。 この時間になるとロンドン市内は何処も込み合い、バスは進まない。 やっとピアーに着いた。 丁度バス1台分のお客が乗るのに良い程のボートだ。 雨も振りだし出発の時間が大分遅れた。 ボートはゆっくりと満潮の川面を上流へと、幾つもの橋を潜りながら進む。 船長兼、舵取り兼、ガイドのお兄さんが、大きな舵を回しながら片手にマイクを持って、過ぎ行く橋や、川辺の建物の説明をしてくれる。 客室には小さなバーがある。 寒くなってきたのでコーヒーを入れて貰った。 何でも高いイギリス、まして船の中だ、さぞかし割高だろうと思いきや以外に安価なのを発見。 70ペンス、カフェでは1.2ポンドが相場だ。



雨模様のテームズ: 対岸にはロンドン名物のロンドン・アイとロンドン水族館



2時間程で3番目の船着場に到着。 殆どの乗客が降りたので、つい降りてしまったのが誤り。 ここはリッチモンドだった。 ボートは既に岸を離れているので、列車で行こうと、慌て急ぎ列車の駅を探すと、以外に直ぐに駅は発見できた。 ハンプトン・コート行きの切符を買おうとしたら、駅員がハンプトンコートに行くならバスが良いと教えてくれる。 バスはR69番だと言う。 R69番のバスを待つ。 20分程待つ。 ようやくR69のバスがやって来た。 バスで20分、やれやれハンプトン・コートの門前に着いた。 小雨に煙る赤レンガのハンプトン・コートは流石に威風堂々としている。 おりからの雨。 庭は見ないで中を小一時間見て回り、中世の貴族の贅沢な暮らしを偲ぶ。

広大な別荘城を探索した後、4時のボートに飛び乗った。 帰りは引き潮で、テームズの水位はぐっと下がっている。 河底が見える程である。 テームズの干満の差は凄く、時に9メートル近くにもなると言う。 満潮時の市街地への被害を防ぐ為、ロンドンの東には巨大な堰が設けられている。 今日も6メートル位の引き潮で、ボートはパナマ運河のような水門を2回通った。 大型のレジャーボート2隻と一緒に水門に入り、それぞれ3メートルばかりの水位調整を経験した。 もう一つ感心したのは、テームズではカヌーやレガッタと言った競技用小型ボートの練習をしている場所が多い。 そんな練習ボートと行き違う場合には、こちらのボートは極端に速度を落とす。波で転覆や練習の支障を防ぐ為だ。 この辺の気配りは将に英国紳士的である。 結局、帰りは3時間の船旅になった。 既に日は暮れ、ロンドンの街灯が輝き始めていた。 



ビッグ・ベン: この時刻を告げるチャイムは世界標準だ







25/Sep/'00 林蔵@London UK (Updated on 6/Nov/'08)#032

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