ハイドパーク・ヒルトン
@Nov/'08 London, UK


ハイドパーク・ヒルトン: 冬のハイドパークの木立に隠れるホテル


夏に続き冬のロンドンにやってきた。 今回の滞在も短い。 1日のトランジットである。 最近、空港のイミグレーションでは必ず滞在目的を問われる。 簡単に ”Oneday Transit” と答えた。 平均的な日本人の面を下げたGパン姿の老人を係官はすんなり通してくれた。 夏には誤って、1日しか有効でない地下鉄の往復券を自動販売機で買って失敗したが、流石に同じ失敗を繰り返す程私の脳みそは耄碌していないようだ。 片道切符を購入、ピカデリー線に乗った。 チューブ(地下鉄)の車内広告には相変わらず劇場の宣伝が多い。 Her Majesty’s Theatreでは今だに "The Phantom of the Opera”が、Queen’s Theatreでは "Les Miserable"が上演中だ。 いずれも、私が8年前程前に滞在中に同じ劇場で同じ題目のミュージカルが上演されていたのを思い起こす。 グロッチェスターロード駅でサークルラインに乗り換えれば、前回と同じ今夜の宿であるハイドパーク・ヒルトンに近いベイズウオーター駅には簡単に行ける筈だった。 グロッチェスタ^ロード駅で降り、サークルラインの列車を待つ。 暫く待ったが列車は来る様子がない。 プラットホームには列車待ちをする人がどんどん膨れ上がる。 その内構内放送があり、信号故障の為、西周りの列車の運転を取り止めたとインフォームがあった。 ロンドンの地下鉄の時間が狂うのは昔から日常茶判事である。 約束時間に遅れた言い訳は何時も、地下鉄が遅れたから、と言うものだ。 仕方なく、反対側のプラットフォームで東周りのサークルラインの列車を待つことにした。 東回りの列車も西周りの信号故障のあおりを食って、ダイヤは相当乱れている。 プラットホームに溢れる人の波は、東京の山手線並みの混み様である。 案内表示板には、次から次とダイヤの乱れや遅延の表示が現れる。 ようやく東周りのサークルラインの列車が到着し、多くの通勤客と一緒に乗り込んだ。 ほぼサークルラインを一周してベイズウオーター駅に辿り着いたのは、既に日もとっぷり暮れた18:30をまわっていた。 ヒースローの空港駅を出てゆうに2時間以上の時間が経過している。 これも時間を損したと考えるか、サークルラインを一周できた面白い経験ができたと思うかは、感じ方次第。 正直言って今回はその両方を感じたのである。 後者の感じを持てたのは年の功だろうか、それとももともとそのようなのんびり屋だからだろうか。 




早朝のロンドン: 意外と自転車通勤者が多いのに気付く


ハイドパーク・ヒルトンの受付では、私が以前に同ホテルに宿泊した記録が残っていたため、ヒルトン特有の ”Wellcome back" の挨拶で迎えられる。 部屋もアップグレードされており、以前の屋根裏部屋のような場所からハイドパーク側のダブルの部屋があてがわれている。 これならヒルトンの値打ちが十分に味わえる。 軽い食事はヒースローに着陸する前に出ているが、ロンドンの街中に来たのである、外で何か取ろう。 シャワーを浴び、外に出る。 シェパードブッシュ・グリーンの小さなイタリアレストラン、Renezio に本当は行きたいが、ベイズウオーターからは夜歩くには少し遠い。 ベイズウオーター駅前を散策することにした。 少し歩くと Bella Italiano の看板が目に入る。 以外と中華のお店も多い。 やはりイタリアンにしよう。 Bella Italiano の内部は、思った通りのシックな雰囲気が漂っている。 全体に黒が基調の室内装飾、濃い色の木のフロアーに同色の木のテーブル。 やや、Renezioの感じに似ている。 規模はこちらのほうがずっと大きいが。 制服のウエートレスとウエーターがクールにゲストのサービスに当たる。 赤ワインのグラスとスパゲテイーを注文する。 程なく注文の品がテーブルに運ばれてきた。 食器の扱いはあくまで丁寧。 気持ちが良い。 一人ではあるがゆっくり赤ワインとパスタの夕食を楽しんだ後、満ち足りた気分で、宿のハイドパーク・ヒルトンへ戻った。



Hammersmith駅: 昔通った駅である、今朝も多くの通勤客が利用する


翌朝は、何時もの時間、6時に起床し、半地下のホテル・レストランで朝食を取る。 ホテルの朝食が始まる時間6時30分にグランドフロアーのレストランへ向かう。 この時間に朝食を取る者は極めて少ない。 ゆっくりと贅沢なヒルトンブラックファーストを楽しめるのである。 朝食を楽しんだ後、未だ夜の帳が明けないロンドンの街に繰り出す。 既に自転車や徒歩で出勤の多くのワーカーに出くわす。 数年前に比べて自転車が多いのに驚く。 エコの概念がより多くの市民に浸透しているのだろうか。 



Hammersmith駅: この辺りはシックな建物やお店が多い、 ここでも自転車通勤の人を見かける


ハイドパークに沿ったベイズウオーター通りを西に歩くとノッテイングヒルに辿り着く。 ここからは通りの名がオランダ・パーク通りとなる。 そのまま通りを更に西に歩く。 30分程度でシェパード・ブッシュ・グリーンに出る。 ここには数年前長期滞在したケンシントン・ヒルトンがある。 丁度そのケンシントン・ヒルトンの前を差し掛かった時だ、未だ薄暗い中、自転車の女性が私に道を尋ねてきた、 ”ハマースミスはどっち?”。 ハマースミスは数年前事務所があった場所で良く知っているが、此処からハマースミスに行く道順となると残念ながら旨く説明できない。 彼女には、この辺は不案内であることを告げ分かれた。 シェパード・ブッシュに来たのは、小さなイタリア・レストラン ”Renezio” をこの時間では営業をしている訳がないが、外からでももう一度見ておこうと思ったからだ。 ルネッチオはシェパード・ブッシュ・グリーンから南に下る通りに入った直ぐの左手にある。 営業をしている午後の時間に来れなくて残念だが昔と変わらぬ看板を見て何故か安堵感を覚えるのである。



Renezio: 昔よく利用した小さなイタリア・レストラン、 今もその質素な佇まいは変わらない


シェパード・ブッシュから、実は南西に伸びる通りを左に進むと意外と簡単にハマースミスに出るのである。 今回この道を歩いて初めてそのことを知った。 ハマースミス迄来た頃、時刻は既に8時半になっていた。 通りには夥しい通勤の人々が歩道を埋めている。 懐かしい建物の姿が目の前にクリスマスの準備を始めた街に広がっていた。 今日の散歩は此処までにしておこう。 ホテルに戻り、空港へ向かおう。 3時間の朝の散歩はすこぶる気分の良い時間だった。 成熟した安全で清潔なロンドンに感謝と祝福を。



Waterloo駅: 一人のホームレスがBig Issueの束を抱えて駅の外に立っていた、 1冊を1.5ポンドで買った



Jubilee Garden側からロンドン・アイを見る



London Eye: ビッグベンと並び今ではすっかりロンドンの名物になった



オランダ・パーク通り: ノッテインヒルからシェパード・ブッシュ・グリーンに伸びる通り
プラタナスの大木の並木に覆われる










林蔵@London 26/Nov/'08 (Updated on 30/Dec/'08)#310
  

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