キューガーデン
世界遺産@Jun/'98 London, UK


オランジェリ(昔室内オレンジ園、今はレストハウス兼売店カフェ)


[世界遺産 Royal Botanic Garden Kew 文化遺産 2003年登録]  イギリスの首都ロンドン南西部のキューにある王立植物園。 1759年に宮殿併設の庭園として始まり今では世界で最も有名な植物園として膨大な資料を有している。 2003年にユネスコ世界遺産に登録された。 18世紀から20世紀に渡る造園の歴史をつぶさに観ることができる。120ヘクタール(1,200,000m2)の広さを有し40,000種に及ぶ植物が収集されている。 又世界の70%の種子を収蔵すると言われる種子保存庫もある。(一部 Wikipediaより)


王立植物園、植物園と呼ぶには大きすぎる。 その敷地は実に300エーカー(1,200,000m2)を越える。 世界最大級の植物園はロンドンの中心から西に7km程離れた場所、テームスが大きく蛇行する南岸に広大な緑地がへばりつく。 植物園で有るだけでなく、植物学の最先端研究センターでもある。 実に世界の植物種の1割、700万種の種子が世界中から集められ、最良の状態で保存されているらしい。 また7万種のサンプル(実物)をみることができるのである。 

6月14日(日)、ノッテイン・ヒルのアパートからジョギングで行ってみた。 アパートからホランダパーク通りに出、シェパード・ブッシュのロータリーを半周、3角のグリーン地帯を過ぎ、後はほぼ直線に進む。 この辺りはロンドンの下町、生活に密着した飾りのない店が軒を連ねる。 こんな風景の中にいると、急に肩の力が抜け、何故かほっとする。 更にどんどん進むと商店の姿は消え住宅地になる。 テームズに掛かるKew Bridgeが見えてくるともう目的地の真近かだ。 Kew Bridgeを渡ると、そこには王立植物園の正門が見えてくる。 Kew Gardenは静かな郊外の住宅地と言った感じの場所に、広大な敷地を占有している。 王立植物園に相応しい立派で頑丈そうなゲートの前にきた。 Kew Garden会員制の案内がある。 20-30ポンド払い季節会員になれば何時でも自由に入場できる。 実にこの広いガーデンを自分の庭に出来るのである。 



巨大な温室



5ポンドの入園料を払い、いよいよ内部に入る。 入った直ぐの処に、しゃれた宮殿風建物がある。 ”オランジュ” と案内板にはある。 内部は売店とコーヒー・ショップになっている。 オランジュの由来は何だろう。 何時も疑問に思っていたが、遂にその意味がわかった。 何のことはない、オレンジを育てる温室のことで、昔オレンジは薬として貴族の間ではもてはやされていたらしい。 イギリスのような北国では冬の季節が寒すぎ、オレンジの木は育たないのである。 そこで温室代わりにハウスの中でオレンジは育てられたと言う、その温室建物なのだ。 それにしても立派な建物。 貴族の世界は、かくあるべきかと納得する。 この”オランジュ”は、故ダイヤナ妃の住居だったケンシントン・パレスにもある。 ケンシントンのオランジュは、アパートから歩いて15分位の処にあり、休日には気軽にジョギングに利用できる格好の場所でもある。 

植物は素晴らしい。 かくも多様な姿で地球の表面を美しく覆い、24時間、7日間、365日、生き物に憩いの場所を、塒(ねぐら)を、食料を、また燃料を与えてくれる。 森や緑地は時間と労力とお金を掛け大事に育み、後世に残さなくては成らない。 それが我々大人の使命だと、この美しく広いガーデンを見て改めて思う。     

広いガーデン、木々の隙間はきれいな芝生のじゅうたんが敷き詰められている。 水場も多い。 水場近くの芝生は水鳥の独断場。 多くの水鳥達がびっしり芝生に寝そべり、我々は細い遊歩道を歩くしかない。 奥のほう(北西)は、テームズが湾曲してガーデンの境をなす。 中には日本庭園もある。 そう言えばホランダ・パークにも日本庭園があった。 何れも本格的な日本庭園だ。 その一角に入ってみると、本当に日本の一部に居る感じがする。 1万kmの距離を飛び越えた世界に浸れる。 緑の草木に覆われた地球に喝采。













Jun/'98 林蔵@London UK (Updated on 17/Nov/'10)#141

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