Place d'Itlie(イタリア広場)
@June/'07 Paris, France


イタリア広場に面したカフェ: パリの下町の雰囲気が辺りに漂うカフェ
地下鉄から地上に出てここでカフェオレを頼み、ホテルの場所を聞く
 


久しぶりのパリだ。 空港迄なら最近も何度か降り立ったことはあるが、空港を出るのはもうかれこれ20年以上になる。 スイスへの出張でパリ経由でジュネーブに入る際、このシャルル・ド・ゴール空港でパスポート、航空券、財布を紛失した胆い経験を思い出す。 あの時は幸いにも、置き忘れたお店の人が警察に届けてくれて、私が空港警察に届けてあったものと照合が取れたので、ジュネーブ空港で入国拒否を食らい途方にくれていた私の元へ、エアーフランスの客室乗務員がパリからジュネーブ迄パスポートと航空券を運んで来てくれた時には、もう神の救いかと感謝の言葉もなかった。 今回は、アフリカのモーリタニアの首都ヌアクショットへ行く為のトランジットでパリ一泊と成ったのである。

昨夜は成田トランジットでホテル ニッコウ成田での宿泊だった。 北京からのフライトがもう少し早く成田に着いていれば多摩の家に帰れるのだったが、成田の空港を出たのが21時では諦めざるを得ない。 ホテルニッコウ成田でも、何時もの時間6時に起床、朝食を済ませ、ホテルバスで空港へ移動。 空港は今日もすごい人だ。 エコノミーのチェックインは、長蛇の列。 グローバルで良かったと思う瞬間である。 ありがたいことに、グローバルチェックインカウンターは、直ぐに入れて直ぐにチェックインができる。 高い会員費を払っているのだから当然と言えば当然だが、差別社会の醜みくい部分に自分がいるかと思うと、あまり良い気がしない。 チケットはエコノミーセーバーで格安よりは少しましなチケットである。 それでも、エージェントの方がアップグレードしてくれたのか、チェックインカウンターのおねーさんが気を利かせてくれたのか、搭乗券はビジネスにアップグレードされていた。 欧州迄11時間半はエコノミーの席では、この歳になると大変きつくなる。 フルフラットになるシェル座席は長時間フライトには大変ありがたい。



シャルル・ド・ゴール空港: 第2ターミナルFゲート



パリ、シャルル・ド・ゴール空港には予定通り、14:55にランデングした。 荷物は成田でヌアクショット迄バゲージスルーにしたので、パリでは荷物の取り出しはない。 イミグレも簡単。 この空港ではイミグレは各ターミナル毎にあり、大変こじんまりとしている。 係官も2-3人いるだけで、混雑する気配はない。 ちなみにこの空港は到着ロビーと出発ロビーがそれぞれ2階、3階とはっきり分かれている。 航空機につながっている接続ブリッジも到着、出発毎に別々に備わっている。 イミグレ、カスタムズを難なく通過、直ぐに空港の一般ラウンジに出た。 インフォーメーションでホテルの住所を確認し、行き方を聞いてみた。 ホテルには、列車で行くのが最も手っ取り早いらしい。 料金は8.1ユーロだと言う。 ブルーの自動券売機で切符は手に入るらしい。 早速ブルーの券売機を見つけ切符を買おうとした。 券売機はタッチパネル式で仏語と英語の切り替えができる。 何も問題がない筈だが、問題を起こすのが私である。 自動券売機は紙幣は使えない、コインと4種類のクレジットカードが使える。 紙幣は前回ドイツに行った際、両替したのがまだ財布の中に50ユーロ紙幣が2枚在ったがコインの持ち合わせはない。 カードで買おう。 ダイナースカードは使えないので、ビサカードを差込んだ。 英語の表示で買っていたつもりが仏語のままだった。 QuiとOKのボタンを押した。 この時、正常に切符が発券されているのを知らずに、表示を英語に切り替えてもう一度発券をしたのである。 取り出し口を覗いたら、2枚のチケットが刻印され落ちていた。 これも怪我の巧妙で、翌日シャルル・ド・ゴール空港へ向かう際に使用できたのである。




メトロ: Porte d’Italie(イタリア門)駅
パリの列車や地下鉄にはロンドンと同様にアフリカ系の人々を多く見かける



パリは22年振りである。 しかも今度投宿するイタリア広場界隈は初めてだ。 初めての土地を訪れるのが好きだ。 知らないものや人に出会える期待で胸がわくわくする。 あと数日で還暦を迎える歳になってもである。 空港からパリの中心であるシャトレ・レアルには30分程度で着いた。 メトロ7番に乗り換えるのだが、これが正に迷路の如く地下道を歩く歩道を何度も乗り換えて10分程度でやっと7番のホームに出る。 迷路ではあるが、7番を目印に歩いてゆけば自然と辿り着くのは立派。 なお切符はRERからメトロに乗り換える際、改札を通るが、この時取り忘れないようにする。 RERとメトロは別会社で切符は乗り換えに便利なように共通券で販売しているのである。 

シャトレ・レアルで無事乗り換えた。 イタリア広場は7番目である。 メトロから地上に出た。 流石にイタリア広場だけあってイタリアの匂いがする。 人々が話す言葉こそフランス語であるが、措置こちにイタリア語の看板も見る。 さて、予約して頂いたホテルは何処だろう。 全く方向感覚が掴めない。 仕事に就いてからは、外に出ている期間の方が長いくらいの林蔵であるが、初めての土地感の悪さは他を寄せ付けないときている。 こういう時は近くのカフェに入り、コーヒーを一杯注文するのである。 勘定を払う際にそれとなく聞いたりする。 イタリア広場の周囲には洒落たカフェが幾つもある。 そんなカフェの一つに入った。 カフェオレを注文しカウンターで土地の親父と一緒に並ぶ。 カウンターの親父はかなり忙しそうだったが、ホテルの場所を聞いてみた。 親父は面倒さを見せず、示したホテルの住所を暫く覗き込んでいた。 顔を上げて、「その広場の右の通り(イタリア通)を真っ直ぐだ。 そうだな、歩いて10分程度だろう。」 と教えてくれた。 

カフェの親父がホテルの住所を暫く眺めていたのには訳がある。 実は良く似た名のホテルが、イタリア広場にはあったからだ。 私も通りにある住所地図で見て確かめた際、カフェで教えてもらった位置とは少し違うと思いながら、間違って広場にあるホテルの方へ行ってしまったのである。 間違って入ったホテルのカウンターのおにーさんは、かなりしっかりした日本語で、「あなたのホテルはここじゃなくて、別のホテルです。」と、ホテル備え付けの地図で示してくれた。 もー間違うことはない。 真っ直ぐ目指すホテルに行くことができた。

ホテルは実はパリ20区の外にあったのだ。 パリ20区を囲んで高速が走っているが、その環状高速の直ぐ外側の住宅街に佇むプチホテルだ。 空港でホテルの場所を聞いた時、パリではない、と言われたことが今判った。 20区の外はパリとは呼ばないらしい。 無事ウックスプレス・ポルト・デイタリ(ホリデーイン ポルト・デイタリ) ホテルにチェックインした。 荷物(リュック1個)をベッドに放り投げ、先ずはシャワーを浴びる。 日本を出て未だ当日の、日が高いパリの街に出てみよう。 夕食も兼ねてイタリア広場界隈を探索。 パリ随一の中国人街があると言われるだけあって中国レストランや中国人に会うことが多い。 あやしい表記の日本レストランもある。 フジラマ(フジヤマ)、ニホンリオリ(ニホン料理)の如くだ。 土地の経済バロメーターであるマックに入ってみた。 若者や労働者風が多い、日本と同じである。 




パリ20区を取り巻く高速環状線



イタリア通り: 広い歩道は大変歩きやすい
街路樹は鈴掛(プラタナス)にあかしやが多い




路面電車の線路: Porte d’Italie駅付近
見事な芝生に覆われているのはさすがパリ




イタリア広場のモール内: 早朝なので店は未だオープンしていない


翌日、いよいよモーリタニアのヌアクショットへ向かう日である。 フライト便は午後の時間なので、午前中、ホテルのチェックアウト(12時)迄の時間を利用して、私の趣味である市内散歩に出かけた。 イタリア広場からセーヌ川沿いにあるフランス国鉄のオーストリッツ駅まで大通り、ロピタル通が真っ直ぐに伸びている。 実は髭剃りと歯ブラシを、ヌアクショット迄預けた荷物に入れてしまったのだ。 まったく ”どじ” と言わざるを得ない。 早朝のパリ、日用品屋は開いているだろうか。

 


イタリア広場は四方に大通りが放射状に延びる


イタリア広場からゴブラン通りを下る。 早朝のパリ、出勤姿のおじさん、おばさんが子供の手を引いて学校へ送りがてら出勤する姿にいたるところで出くわす。 スクールバスや他人の手に頼らない姿が妙に新鮮に見えたりする。 




ゴブラン通りの歩道



ゴブラン交差点にある洒落たスタバ: パリのスタバはロゴが小さくシック


ゴブラン交差点の角にパリ風にアレンジされたシックなスタバが通りに面して間口を開けている。 右に折れサン・マルセル通りに出る。 狭いジオフロイ・サン・ヒレール通りを左に歩くと植物園、歴史博物館の緑地に辿り着く。 植物園沿いに右に折れ、暫く歩くと植物園、歴史博物館は終わり、パリ南西セーヌ川沿いにあるフランス国鉄のオストリッツ駅が、目の前に現れる。
 


ホテル MAXIM: こんなホテルに宿泊してみたいものである



植物園とつながっている歴史博物館: 入れ物が個性的でスバらしい



オストリッツ駅前の大通り、オピタル通りにはカフェやパン屋(ブーランジェール)が軒を連ねる。 薬屋(ファルマシー)があったので、入った。 歯ブラシは在ったが、髭剃りはない。 歯ブラシを2.5ユーロで買う。 髭剃りは何処で売っているだろうか。 駅へ行ってみた。 長距離列車旅行で髭剃りが必要な者があるのではないだろうかとの思惑を懐いて。 駅のグロサッリーが開いていた。 入って聞いてみると、在ると言うしぐさをする。 親父の後を付いて行くと、電気製品類の中から、電気髭剃り器を取り出した。 僕は手剃りのレザーが欲しかったのだが、これ以上探し回っても時間の無駄と諦め、35ユーロ(高い)の電機髭剃り器をカードで買った。



オストリッツ駅前の大通りに面したブーランジェール(パン屋)
美味しそうな様々なパンが焼き立てで良い香りを周囲に漂わせている



幸い天候に恵まれ、早朝散歩は気分が良い。 CNCF(仏国鉄)のオストリッチ駅迄来ると、そこはもうセーヌの川辺。 水のある景色は古の時代から人々を魅了する。 此のあたりのセーヌの川幅は広い。 歩道や自転車道が整備されていて、成熟した街の景観をみせる。 




パリ市内6箇所にあるフランス国鉄の駅の一つオストリッツ駅: 裏側



オストリッツ駅正面: セーヌ川に面している



よく整備されたセーヌの川辺
車道、自転車道、歩道、船路がきちんと分けられている


オーストリッツ橋の上から暫くセーヌの流れに映える景色を楽しむ。 ヨーロッパの河は大切な流通路であるのは今も変わらない。 国際河川ラインやドナウは言うに及ばす、ロンドンのテームズ、パリのセーヌも現役の交通網の役割を担っている。 輸送船や観光船が岸辺に整然と停泊しているのを見ると、有機的な河川の役割を改めて見せ付けられる思いがする。 

だが、よく見ると社会の歪は何処にでもあることに気付く。 綺麗に整備されたセーヌの川岸の車道と河面の間に少しの空間がある。 そこにはホームレスの人達が粗末なテントで雨風をしのいでいるのが見られる。 この季節は大して苦痛ではあるまい。 むしろ心地良い住み心地かもしれない。 しかし冬場のパリの寒さは半端ではないはずだ。 無事生き延びることができるのだろうか。 
 


セーヌの流れ: オストリッツ橋
河上のシャルル・ド・ゴール橋から見る



橋の上も車道、自転車道、歩道と明確に分かれている
シャルル・ド・ゴール橋の上
 



オピタル通りに面する洒落た外壁装飾のアパート


そろそろホテルへ引き返そう。 オピタル大通りを南に下る。 途中スーパーが開いていたので入ってみた。 物価のチェックがてら、飲み物と果物を買う。 ユーロ高の影響をまともに感ずる。 ダイエットコーク 0.8ユーロ(132円)、リンゴ2個 1.13ユーロ(186円)。 

パリには洒落た建物が多い。 不動産屋のショウウインドウを覗き込んでみると、やはり高価である。 広さは東京の物件と大して変わらない。 30万ユーロ(5、000万円程度)前後の値段が付いている。 最近購入した私の多摩のマンション(日本で言う)よりも相当高い。 私などとても手がでない。
 


イタリア通り: 庶民的なカフェやレストランが通りに面してオープンしている


イタリア広場に戻ってきた。 ここまで来ると、だいぶ庶民街に来た感じがする。 私もしっくりする気がする。 所詮は庶民なのだから。 ホテルに戻り、手短かにシャワーを浴び、無事仕入れた歯ブラシと髭剃りで身嗜みを整え、チェック・アウト。 再び地下鉄で空港に向かう。 昨日誤って買った切符を地下鉄の改札に入れたら、無事自動改札機は私の切符を受け付けてくれた。 シャトレ・レアルで複雑な乗り換え地下道を無事通過、空港行きのRER B線の列車に乗ることができた。

さて、空港駅第2ターミナルで電車を降りたが、Fゲートは何処だろう。 カウンターを端から端まで歩いたがAとCゲートしか見かけない。 Air Franceのスタッフに聞いて見た。 そしたら、向かいの建物だと言う。 前もって空港の見取り図を見ておけば、何も問題はなかったのである。 空港の見取り図を見ていないものだから、AゲートとFゲートの位置関係がまるで掴めない。 案内に従って行けば、行けると、たかをくくっていたのがいけなかった。 フランスは複雑なのが好きなのであったのを忘れていた。 なるほど、Fゲートは道路を挟んで向こうに見えるのがそうらしい。 案内表示には一応 ”Fゲート” はあったのである。 まさか、道路を越して向こう側迄行くとは夢思わないものだから、地下道へ下る目印を見失ってしまったのである。 同じ建物の中をぐるぐる回っていたと言う訳だ。 またしても間抜けな自分を恥じる。




パリ、シャルル・ド・ゴール空港: 第2ターミナル Fゲート
パリとはお別れ、これよりモーリタニアに向かう



間抜けなドジには会ったが、事故も、病気にも掛からず、お気に入りの散歩も堪能することができ、無事フランス・ミニ滞在を終えることができた。 それでは、一ヶ月後に無事で戻ることを祈念してパリを発とう。



パリ、シャルル・ド・ゴール空港の搭乗ブリッジ:
降りるブリッジとそれぞれ専用にある
降りるブリッジは2階に、搭乗ブリッジは3階に接続されている










21/Jun/'07 林蔵 @ Paris France(Updated on 8/Oct/'08)#288

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